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  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 第11 建設省|
  • 不当事項

補助金


(286)(287) 都市公園整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため雨水排水管が不安定な状態になっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)建設本省 (項)都市計画事業費
部局等の名称 神奈川県
補助の根拠 都市公園法(昭和31年法律第79号)
事業主体 神奈川県足柄上郡中井町
補助事業 中井中央公園建設
補助事業の概要 都市公園を整備するため、平成7、8両年度に、造成工、雨水排水工、擁壁工等を施工するもの
事業費 (1) 465,560,000円 (平成7年度契約分)
(うち国庫補助対象額340,000,000円)
(2) 501,610,000円 (平成8年度契約分)
(うち国庫補助対象額276,000,000円)
967,170,000円
(うち国庫補助対象額616,000,000円)
上記に対する国庫補助金交付額 (1) 170,000,000円
(2) 138,000,000円
308,000,000円
不当と認める事業費 (1) 5,714,000円 (全額国庫補助対象額)
(2) 9,238,000円 (全額国庫補助対象額)
14,952,000円 (全額国庫補助対象額)
不当と認める国庫補助金交付額 (1) 2,857,000円
(2) 4,619,000円
7,476,000円
 上記の補助事業において、雨水排水管の設計が適切でなかったため不安定な状態になっており、これに係る国庫補助金相当額7,476,000円が不当と認められる。

1 補助事業の概要

 この補助事業は、神奈川県足柄上郡中井町が、中井中央公園建設事業の一環として、同町比奈窪等の地区において、野球場、多目的広場等を整備するため、平成7、8両年度に、造成工、雨水排水工、擁壁工等を工事費465,560,000円(7年度契約分、うち国庫補助対象額340,000,000円、これに対する国庫補助金170,000,000円)及び工事費501,610,000円(8年度契約分、うち国庫補助対象額276,000,000円、これに対する国庫補助金138,000,000円)で実施したものである。
 このうち、雨水排水工は、公園内の雨水を排水するため、内径250mmから1,000mmの雨水排水管(以下「管きょ」という。)を延長計1,640.3m布設したものである。

 上記管きょのうち、内径600mmの延長28.6m、同700mmの延長57.3m、同800mmの延長35.9m、同1,000mmの延長11.5m、延長計133.3mについては、土被り厚を3.4mから5.7mとしていた。
 そして、その設計計算においては、管きょの埋設形式を溝型(管頂部における埋戻し幅が管外径の2倍未満である場合などの形式)として管きょに作用する土圧等の計算を行い、これにより管きょに生じる最大曲げモーメント(注1) の計算を行っていた。その結果、使用する管種を遠心力鉄筋コンクリート管(注2) (一種管)、また、管きょの基礎を砂による120度基礎とすれば、管きょに生じる最大曲げモーメントは、許容曲げモーメント(注1) をいずれも下回っていることから、応力計算上安全であるとしていた。
 また、同町では、管きょの布設に当たり、その勾配を確保するため管きょの基礎を変更したいとの請負人の申出を承認し、管底部をコンクリートにより管きょの外周の4分の1で固定する90度固定基礎として施工していた(参考図参照)

2 検査の結果

 検査したところ、管きょの設計が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、設計図面によれば、これらの管きょは、現地盤を法勾配5分(注3) で掘削して布設した後、所定の計画高さまで埋戻し及び盛土することとしており、布設する管きょの管頂部に おける埋戻し幅は管外径の2倍以上となっていた。そして、実際の施工においても、設計図面に基づき現地盤を法勾配5分で掘削して管きょを布設していた。
 しかし、このような場合には、土圧計算の対象となる範囲が広くなり、その分管きょに作用する土圧も大きくなることから、設計計算において採用する埋設形式は前記のように溝型とするのではなく、突出型(管頂部における埋戻し幅が管外径の2倍以上ある場合などの形式)とすべきであった。
 そこで、本件管きょについて、埋設形式を突出型とし、また、管きょの基礎をコンクリートによる90度固定基礎に変更したことを考慮して、改めて応力計算を行うと、管きょに生じる最大曲げモーメントは、次のとおりの結果となり、いずれも許容曲げモーメントを大幅に上回っていて、応力計算上安全な範囲を超えている。

管の内径(mm) 許容曲げモーメント(tf・m) 最大曲げモーメント(tf・m)
600 0.330 0.462
700 0.428 0.727
800 0.541 0.596
1,000 0.811 1.380

 このため、内径700mmの管きょについては、ほぼ全長にわたってその管頂部及び管底部に、また、内径1,000mmの管きょについては一部の区間の管頂部に、き裂が多数生じている状況である。
 したがって、本件管きょ延長計133.3m(工事費相当額7年度契約分5,714,000円、8年度契約分9,238,000円、計14,952,000円)は設計が適切でなかったため、不安定な状態となっており、これに係る国庫補助金相当額7年度契約分2,857,000円、8年度契約分4,619,000円、計7,476,000円が不当と認められる。

(注1) 最大曲げモーメント・許容曲げモーメント 「最大曲げモーメン卜」とは、外力が材に作用し、これを曲げようと材に生じる力(tf・m)の最大値をいう。その数値が設計上許される上限を「許容曲げモーメント」という。
(注2) 遠心力鉄筋コンクリート管 コンクリートを遠心力によって締め固め、成形したもので、外圧強さにより、一種管と二種管(一種管の約1.5倍の強度)に区分される。
(注3) 法勾配5分 土木工事においては、勾配は通常斜面を斜辺とする直角三角形の縦の辺の長さに対する横の辺の長さの比で表わされ、例えば高さ1mに対して長さが0.5mの場合を「5分」という。

(参考図)

(参考図)

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