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  • 平成8年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 第11 建設省|
  • 不当事項

補助金


(291) 道路改良事業の実施に当たり、設計が適切でなかったためボックスカルバートが不安定な状態になっているもの

会計名及び科目 道路整備特別会計 (項)道路事業費
部局等の名称 三重県
補助の根拠 道路法(昭和27年法律第180号)
事業主体 三重県
補助事業 一般国道163号島ヶ原バイパス道路改良
補助事業の概要 道路を改良するため、平成8年度にボックスカルバート等を施工するもの
事業費 60,327,100円
上記に対する国庫補助金交付額 33,179,905円
不当と認める事業費 31,531,000円
不当と認める国庫補助金交付額 17,342,050円
 上記の補助事業において、ボックスカルバートの設計が適切でなかったため不安定な状態になっており、これに係る国庫補助金相当額17,342,050円が不当と認められる。

1 補助事業の概要

 この補助事業は、三重県が、一般国道163号島ヶ原バイパス改良事業の一環として、上野市三軒屋地区において、道路を改良するため、平成8年度に、ボックスカルバート(以下「カルバート」という。)の築造、舗装工、排水工等を工事費60,327,100円(国庫補助金33,179,905円)で実施したものである。
 このうちカルバートは、本件道路の盛土により遮断される既存の市道の機能を維持するため築造するもので、延長24.2m、内空断面が幅4.5m、高さ4.0mの鉄筋コンクリート構造となっている。そして、頂版(厚さ60cm)の下面側及び底版(厚さ70cm)の上面側に配置する主鉄筋については、配筋図において、径19mmの鉄筋を25cm間隔に配置することとして設計し、これにより施工していた(参考図参照)

2 検査の結果

 検査したところ、頂版の下面側及び底版の上面側に配置する主鉄筋については、設計の基礎となっている設計計算書によれば、応力計算上安全なものとなるよう、径19mmの鉄筋を12.5cm間隔に配置することとしているのに、配筋図を作成する際に、誤って25cm間隔に配置することとしていた。
 このため、上記の主鉄筋に生ずる引張応力度(注1) (常時)(注2) は、頂版の下面側では2,210kgf/cm2 、底版の上面側では2,404kgf/cm2 となり、鉄筋の許容引張応力度(注1) (常時)1,600kgf/cm2 を大幅に上回っていて、いずれも応力計算上安全な範囲を超えている。
 したがって、本件カルバート(工事費相当額31,531,000円)は、設計が適切でなかったため不安定な状態になっており、これに係る国庫補助金相当額17,342,050円が不当と認められる。

(注1) 引張応力度・許容引張応力度「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力(kgf)の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。
(注2) 常時地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。

(参考図)

(参考図)

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