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  • 平成11年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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補助金


(234)(235)街路事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため橋脚の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの

会計名及び科目 道路整備特別会計 (項)街路事業費
部局等の名称 兵庫県
補助の根拠 道路法(昭和27年法律第180号)
補助事業者
(事業主体)
(1) 兵庫県尼崎市
(2) 兵庫県西宮市
補助事業 阪神間都市計画道路山手幹線道路改築
補助事業の概要 道路橋を新設するため、平成10、11両年度に橋脚等を施工するもの
事業費 (1) 128,100,000円
(2) 273,000,000円
上記に対する国庫補助金交付額 (1) 64,050,000円
(2) 136,500,000円
不当と認める事業費 (1) 62,069,000円
(2) 99,945,000円
不当と認める国庫補助金交付額 (1) 31,034,500円
(2) 49,972,500円

1 補助事業の概要

 この補助事業は、兵庫県尼崎市及び西宮市が阪神間都市計画道路山手幹線の道路改築事業の一環として、両市境の武庫川において道路橋(橋長245.8m、幅員22.8m)を新設するものである。このうち(1)尼崎市の工事は橋脚1基の築造、低水護岸工等を工事費計128,100,000円(国庫補助金64,050,000円)で、(2)西宮市の工事は橋脚1基の築造、低水護岸工、道路施設工等を工事費計273,000,000円(国庫補助金136,500,000円)で、それぞれ平成10、11両年度に実施したものである。
 上記(1)、(2)の工事のうち、橋脚各1基はいずれも、高さ14.7m、底版部が橋軸方向9.0m、橋軸直角方向19.5mの矩形断面、柱部が橋軸方向2.5m、橋軸直角方向19.0mの小判型断面の鉄筋コンクリート構造となっている(参考図1参照)
 そして、これらの橋脚の柱部の鉄筋については、主鉄筋、帯鉄筋及び中間帯鉄筋をそれぞれ配置することとしており、このうち帯鉄筋及び中間帯鉄筋は、これらの鉄筋が一体的な構造となってコンクリートを横方向から拘束することにより、構造物の保有する靭(じん)性(注1) を向上させることなどを目的として配置するものである。
 上記の各鉄筋については、設計図書等によると次のように配置することとしていた。
(ア) 主鉄筋は、径29mmの鉄筋を、柱の周縁部に12.5cmから25.0cm間隔で鉛直方向に二重に配置する。
(イ) 帯鉄筋は、径19mmの鉄筋を、主鉄筋を取り囲むようにして15cm間隔で水平方向に二重に配置する。
(ウ) 中間帯鉄筋は、両端部をフック状に曲げ加工した径19mmの鉄筋を、帯鉄筋が配置されるすべての断面において、橋軸方向及び橋軸直角方向に格子状になるようにそれぞれ100cm間隔で、その両端部を外側の帯鉄筋にかけて配置する(参考図2参照)
(エ) 中間帯鉄筋の直線部の長さは2,290mm(橋脚両端の円弧部分を除く橋軸方向)とする。
 そして、設計計算書は、「道路橋示方書・同解説」(平成6年2月、社団法人日本道路協会編)等に基づいており、このうち橋脚の耐震設計については、「兵庫県南部地震により被災した道路橋の復旧に係る仕様について」(平成7年2月、建設省都街発第9号、建設省道二発第5号及び建設省道地発第6号)等に基づき地震時保有水平耐力の照査(注2) を行っている。これによると、前記のように柱部の鉄筋を配置すれば、平成7年兵庫県南部地震による地震動の場合における橋脚の地震時保有水平耐力が橋脚に作用する慣性力を上回ることから、本件各橋脚は、耐震設計上安全であるとしていた。

2 検査の結果

 検査したところ、中間帯鉄筋(橋脚両端の円弧部分を除く橋軸方向)の設計が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、中間帯鉄筋は、その両端部を外側の帯鉄筋にかけて配置する必要があるのに、設計図書を作成する際、誤って、その直線部の長さを、外側の帯鉄筋の内側に位置する主鉄筋の中心間隔である2,290mmと同じ長さで表示していた。
 そして、請負者は中間帯鉄筋を次のように加工し、施工していた(参考図3参照)
 (1)の工事では、中間帯鉄筋を設計図書に表示された長さに加工し、その端部の一方を外側の主鉄筋にかけ、他方はいずれの鉄筋にもかけないまま施工していた。
 (2)の工事では、中間帯鉄筋を外側の主鉄筋にかけることができる長さに加工し、両端を主鉄筋にかけて施工していた。
 このように、両工事においては、設計図書の表示が誤っていたため、中間帯鉄筋は、その両端部を外側の帯鉄筋にかけて配置されずに施工されていた。
 このため、いずれの工事も、帯鉄筋と中間帯鉄筋とが一体となっておらず、橋脚が大きな地震力を受けた際、帯鉄筋のはらみだし等に対する中間帯鉄筋の抑制効果が期待できないことになる。この結果、帯鉄筋と中間帯鉄筋が一体的な構造となってコンクリートを横方向から拘束する効果が低下することとなり、ひいては、構造物の保有する靭(じん)性を低下させることとなる。
 そこで、本件各橋脚について、他の設計誤りも含めて改めて橋軸方向における地震時保有水平耐力及び慣性力を計算すると、地震時保有水平耐力は、(1)の工事の橋脚が1,066.87tf、(2)の工事の橋脚が1,064.16tf、慣性力はいずれも1,468.29tfとなり、地震時保有水平耐力が慣性力を大幅に下回っている。
 このような事態が生じていたのは、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、両市において、これに対する検収等が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、本件(1)の工事の橋脚(工事費相当額62,069,000円)及び(2)の工事の橋脚(工事費相当額99,945,000円)は、設計が適切でなかったため所要の安全度が確保されていない状態になっており、これらに係る国庫補助金相当額31,034,500円及び49,972,500円が不当と認められる。

(注1) 靭(じん)性 外力に抗して破壊しにくく、衝撃力にも耐えるようなねばり強い性質
(注2) 地震時保有水平耐力の照査 大地震に対しても、構造物に適切なねばりを持たせ、靭(じん)性を高めることにより、構造物全体としての崩壊を防止するという観点から定められた照査手法。安全性の判定は、構造物が有している地震時保有水平耐力が、地震時に作用する慣性力以上になることにより行う。この慣性力は物体の重量に、構造物の靭(じん)性に応じて低減される設計震度を乗じて算出される。

(参考図1)

(参考図1)

(参考図2)

(参考図2)

(参考図3)

(参考図3)

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