会計名及び科目 | 一般会計 (組織)農林水産本省 | |
(項)牛肉等関税財源畜産振興費 |
部局等の名称 | 関東農政局 |
補助の根拠 | 予算補助 |
補助事業者 | 群馬県 |
間接補助事業者 | 群馬県吾妻郡中之条町 |
間接補助事業者(事業主体) | 沢田エコ堆肥組合 |
補助事業 | 耕畜連携・資源循環総合対策 |
補助事業の概要 | 家畜排せつ物を処理して良質なたい肥生産を行うとともに、畜産環境問題の改善を促進するため、平成15年度にたい肥化施設を整備するもの |
事業費 | 69,897,450円 | |
上記に対する国庫補助金交付額 | 34,948,000円 | |
不当と認める事業費 | 31,529,257円 | |
不当と認める国庫補助金交付額 | 15,763,997円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、沢田エコ堆肥組合(群馬県吾妻郡中之条町)が、耕畜連携・資源循環総合対策事業の一環として、畜産農家から発生する家畜排せつ物を処理して良質なたい肥生産を行うとともに、家畜排せつ物からの汚水が流出することによる河川や地下水の汚染を防止するため、平成15年度に、たい肥化施設として、たい肥舎1棟、自走式たい肥攪拌機(以下「たい肥攪拌機」という。)1台等を事業費69,897,450円(国庫補助金34,948,000円)で整備したものである。
農林水産省が定める「たい肥舎その他の家畜排せつ物の処理又は保管の用に供する施設の構造設備及び家畜排せつ物の管理の方法に関し畜産業を営む者が遵守すべき基準」によると、たい肥舎のような家畜排せつ物の処理又は保管の用に供する施設は、家畜排せつ物からの汚水が流出したりすることがないように床をコンクリート等の不浸透性材料で築造することとされている。そして、同組合では、たい肥舎の床(1,596.3m2
)について、次のようなコンクリート構造として設計し、これにより施工している。
〔1〕 重量5tのたい肥攪拌機のタイヤ輪が直接通過する部分(478.7m2
)については、コンクリートの厚さを15cmとし、径6mmの丸鉄線を用いた縦横15cm間隔の溶接金網をその中間部に配置して荷重に対する補強を行う。
〔2〕 その他の部分(1,117.6m2
)については、厚さ10cmの無筋コンクリートとする。
2 検査の結果
検査したところ、たい肥舎の床コンクリートの設計及び施工が、次のとおり適切でなかった。
(1)設計について
前記のとおり、たい肥舎の床コンクリート部分の面積は1,596.3m2 に及んでおり、このような場合、温度変化や乾燥収縮などによるコンクリートのひび割れ対策として、床コンクリートに目地を設けたり、その全面に均等に鉄筋を配置したりするなどの必要があったのに、同組合では、本件床コンクリートの設計において、これらの対策を講じることとはしていなかった。
(2)施工について
同組合では、本件工事について、建築工事共通仕様書(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修)に基づき施工することとしており、これによると、コンクリート打設後の養生については、表面の乾燥防止のため、5日以上湿潤を保つこととされている。しかし、実際には、施工業者は、床コンクリートについて養生マット等による湿潤養生を行っていなかった。
このため、たい肥舎の床コンクリートには、そのほぼ全体にわたり、多数の亀裂が生じていた。そして、このうち12箇所を削孔して調査したところ、すべての箇所で亀裂が床コンクリートの底部まで貫通していて、家畜排せつ物からの汚水が地下に浸透する状態となっていた。
このような事態が生じていたのは、次のことなどによると認められる。
ア 事業主体において
(ア)委託した設計業務の成果品が適切でなかったのに、これに対する検査が十分でなかったこと
(イ)施工が適切でなかったのに、これに対する監督が十分でなかったこと
イ 県及び町において、事業主体に対する指導が十分でなかったこと
したがって、本件たい肥舎(事業費相当額31,529,257円)は、補助の目的を達成しておらず、これに係る国庫補助金相当額15,763,997円が不当と認められる。