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  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 第12 建設省|
  • 不当事項

補助金


(210) 道路橋の災害復旧等事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため橋台等が不安定な状態になっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)建設本省 (項)河川等災害復旧事業費

(項)河川等災害関連事業費
部局等の名称 北海道
補助の根拠 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号)等
事業主体 北海道白糠郡白糠町
補助事業 トマリベツ川災害復旧及び災害関連
補助事業の概要 被災した道路橋等を復旧するため、平成2年度に、橋台、上部工等を施工するもの
事業費 31,054,500円
上記に対する国庫補助金交付額 24,497,720円
不当と認める事業費 7,290,000円
不当と認める国庫補助金交付額 5,705,509円

 上記の補助事業において、道路橋の基礎杭の設計が適切でなかったため、橋台及びこれに架設された桁等が不安定な状態になっており、これに係る国庫補助金相当額5,705,509円が不当と認められる。

1 補助事業の概要

 この補助事業は、北海道白糠郡白糠町が、トマリベツ川災害復旧等事業の一環として、同町庶路東3線地区の久保橋をプレストレストコンクリート道路橋(橋長10.8m、幅員3.5m)として築造するなどのため、平成2年度に、橋台2基の築造、プレストレストコンクリート桁の架設等を工事費31,054,500円(国庫補助金24,497,720円)で実施したものである。このうち、両橋台については、現地の土質調査の結果等を基にして杭基礎とすることとし、鋼管杭(外径400mm、杭長5m)各4本ずつ計8本を打込み工法により施工する設計とし、これにより施工していた。

 上記両橋台の基礎杭の設計についてみると、設計図に示された深度別土質図において地盤面の高さを標高32.86mとし、ここから10.5mの深さにある支持層の位置まで基礎杭の先端を根入れすることとしていた。そして、この地盤面から基礎杭の杭頭までの深さが5.5m程度であり、杭頭から上記の支持層の位置までの深さが5m程度となることから、その杭長を5mとしていた(参考図参照)

 この設計に基づき基礎杭の安定計算を行った結果、これらの杭の軸方向押込み力(注1) に対する許容支持力は、両橋台とも46t/本(常時)(注2) 、69t/本(地震時)となり、杭の軸方向押込み力37.5t/本(常時)、51.77t/本(地震時)を上回っていることから、本件橋台は安定計算上安全であるとしていた。

2 検査の結果 

 しかし、現地の状況を調査したところ、地盤面の高さを標高32.86mとしていたのは測定を誤ったものであり、実際の地盤面の高さは標高30.15mであった。このため、深度別土質図は前記の設計図に示された位置より2.71m低い位置からのものとなるので、基礎杭の根入れに必要となる支持層の位置も設計図に示された支持層の位置より2.71m深い位置になる。その結果、この基礎杭の先端は支持層に到達していないことになる(参考図参照)

 そこで、この基礎杭について改めて安定計算を行うと、杭の軸方向押込み力に対する許容支持力は、両橋台とも13t/本(常時)、19t/本(地震時)となり、杭の軸方向押込み力37.5t/本(常時)、51.77t/本(地震時)を大幅に下回っている。

 したがって、本件両橋台は基礎杭の設計が適切でなかったためその安定が確保できず、両橋台及び同橋台に架設されたプレストレストコンクリート桁等(工事費相当額7,290,000円)は不安定な状態になっており、これに係る国庫補助金相当額5,705,509円が不当と認められる。

(注1)  杭の軸方向押込み力 杭が支持している構造物の荷重等により杭に押し込もうとする力が作用するときの杭1本当たりに作用する力をいう。  

(注2)  常時 地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。

(参考図)

(参考図)

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