会計名及び科目 | 道路整備特別会計 (項)地方道路整備臨時交付金 |
部局等の名称 | 岐阜県 |
補助の根拠 | 道路整備緊急措置法(昭和33年法律第34号) |
事業主体 | 岐阜県恵那郡明智町 |
補助事業 | 恵那郡明智町町道1-14号線緊急地方道路整備 |
補助事業の概要 | 橋りょう工事のため、平成元、2両年度に、橋台、上部工等を施工するもの |
事業費 | 29,787,600円 |
上記に対する国庫補助金交付額 | 14,893,800円 |
不当と認める事業費 | 24,302,000円 |
不当と認める国庫補助金交付額 | 12,151,000円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、岐阜県恵那郡明智町が、町道1—14号線の緊急地方道路整備事業の一環として、同町大字才坂地区の才坂川にプレストレストコンクリート道路橋(橋長16.6m、幅員7.7m)を新設するため、平成元、2両年度に、橋台2基の築造、プレストレストコンクリート桁の製作、架設等を工事費29,787,600円(国庫補助金14,893,800円)で実施したものである。このうち、右岸側橋台は、高さ7.32m、底版幅7.0mの鉄筋コンクリート構造とし、その縦壁の背面側に配置する主鉄筋については、同橋台の配筋図において、径16mmの鉄筋を12.5cm間隔に配置することとして設計し、これにより施工していた(参考図参照) 。
2 検査の結果
本件右岸側橋台の設計について調査したところ、縦壁の主鉄筋については、同橋台の設計の基礎となっている設計計算書によれば、径25mmの鉄筋を12.5cm間隔に配置することとしていた。そして、これによると縦壁と底版との接合部に生ずる引張応力度(注1) は、1,051kg/cm2 (常時)(注2) 、2,119kg/cm2 (地震時)となり、許容引張応力度(注1) 1,600kg/cm2 (常時)、2,700kg/cm2 (地震時)を下回ることから、応力計算上安全なものとなっていた。
しかし、本件橋台の配筋図を作成する際に、縦壁の主鉄筋について、設計計算書どおり径25mmの鉄筋とすべきところを、誤って径16mmとして作成し、これにより施工していた。
このため、本件橋台の縦壁の主鉄筋に生ずる引張応力度は、縦壁と底版との接合部で、2,511kg/cm2 (常時)、5,151kg/cm2 (地震時)となり、許容引張応力度1,600kg/cm2 (常時)、2,700kg/cm2 (地震時)を大幅に上回っている。
したがって、本件右岸側橋台は設計が適切でなかったため安定が確保できず、同橋台及びこれに架設されたプレストレストコンクリート桁等(工事費相当額24,302,000円)は不安定な状態になっており、これに係る国庫補助金相当額12,151,000円が不当と認められる。
(注1) 引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいう。
その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。
(注2) 常時 地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。