会計名及び科目 | 道路整備特別会計 (項)地方道路整備臨時交付金 |
部局等の名称 | 山口県 |
補助の根拠 | 道路整備緊急措置法(昭和33年法律第34号) |
事業主体 | 山口県都濃郡鹿野町 |
補助事業 | 都濃郡鹿野町町道西河内線緊急地方道路整備 |
補助事業の概要 | 道路を拡幅改良するため、昭和63年度に土工等を施工するもの |
事業費 | 36,454,000円 |
上記に対する国庫補助金交付額 | 20,049,700円 |
不当と認める事業費 | 2,154,000円 |
不当と認める国庫補助金交付額 | 1,184,700円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、山口県都濃郡鹿野町が、町道西河内線の緊急地方道路整備事業の一環として、同町大字大潮字西河内地区の道路(延長370m、幅員2.5mから5.3m)を幅員6.5mに拡幅するとともに線形の改良を行うため、昭和63年度に、土工、排水工等を工事費36,454,000円(国庫補助金20,049,700円)で実施したものである(参考図参照) 。
このうち土工についてみると、当初設計では、切土及び床掘からの発生土を道路の路体盛土及び路肩盛土や擁壁等の床掘箇所の埋戻土に流用することとしていた。
しかし、工事着工後、発生土を目視により粘性土と判断して63年8月に切土箇所についての土質調査及びCBR調査(注) を行った結果、土質は砂質土及びれき質土であったが、CBRが1%以下であったため路体盛土等としての材料に適さないと判断した。
このため、路体の盛土及び床掘箇所の埋戻しを購入土2,026m3 により行うこととし、切土及び床掘からの発生土2,338m3 のうち、2,246m3 は運搬捨土し、92m3 は路肩盛土に流用することとする設計変更を行い、これにより施工することとしていた。
(注) CBR調査 道路舗装の設計の際行う路床、路盤の強さについての調査で、この結果が舗装の構成や厚さの決定の基礎として使われる。本件のような簡易舗装の場合、路床については、CBRの値が1.5%以下と軟弱な場合は、路床土を置き換えるなどして舗装することとなっている。
2 検査の結果
検査の結果、上記の路体盛土及び埋戻土の設計については、次のことから、発生土を流用しても特に設計上問題はなく、発生土を流用する設計とすべきであったと認められる。
(ア) 路体盛土として使用する土の適否については、一般的に用いられている「道路土工施工指針」(社団法人日本道路協会編)によれば砂質土及びれき質土は盛土材料としてほぼ問題がないとされている。
(イ) CBR調査は、路床土としての適性を判断するものであり、これにより路体盛土の適性を判定することは適切ではない。
(ウ) 擁壁等の床掘箇所の埋戻しについては、背面側の埋戻土は、路体の一部になると考えられること、また、前面側の埋戻土は、安定計算上受働土圧として考慮する設計とはなっていないことから発生土によることとしても特に問題はないと認められる。
現に、実際の施工においても、路体盛土及び埋戻土については購入土ではなく、運搬捨土することとしていた切土及び床掘からの発生土を流用している状況であった。
いま、購入土に代えて発生土を流用する設計により工事費を修正計算すると、購入土2,026m3 の購入費用1,823,400円及び切土等の捨土費用1,524,037円は不要となる。一方、流用することにより必要となる発生土運搬費用等1,379,795円及び設計に計上されていなかった水替費等428,437円が増加することとなる。 この結果、工事費は総額34,299,317円となり、本件工事費はこれに比べて2,154,000円が不経済になっており、これに係る国庫補助金相当額1,184,700円が不当と認められる。