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  • 平成9年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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  • 不当事項

補助金


(205)−(220) 林業改善資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)林野庁 (項)林業振興費
部局等の名称 林野庁
助成の根拠  林業改善資金助成法(昭和51年法律第42号)
事業主体 青森県ほか6県
事業の内容 林業従事者等に対する無利子の林業改善資金の貸付け
貸付件数 16件(14林業従事者等)
貸付金額の合計 150,779,000円
(国庫補助金相当額100,519,328円)
不当貸付金額 44,728,400円
補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 29,818,928円

1 補助金の概要

 林野庁では、林業従事者等(注) の林業経営の改善等に必要な資金の貸付けを行う都道府県に対して、当該貸付けに必要な資金の3分の2を林業改善資金造成費補助金として交付している。
 都道府県は、この補助金に自己資金等を合わせて林業改善資金として資金を造成し、林業経営の改善を促進するために必要な機械の購入又は施設の設置等を行う林業従事者等に対して、その必要な資金を無利子で貸し付けている。この林業改善資金の貸付限度額は、当該機械の取得に要する費用の100分の80などとなっており、償還期間は原則として10年以内となっている。
 林業改善資金の貸付けを受けようとする林業従事者等は、貸付申請書に事業計画書を添えて貸付申請を行い、都道府県はその内容を審査の上貸付けの適否を決定することとなっており、林業従事者等が貸付決定前に機械等を据付けるなどした場合は貸付対象としないこととされている。そして、借受者は、機械等を処分しようとする場合は都道府県に対して報告することが貸付けの条件となっている。また、借受者は事業完了後に事業実施報告書を提出し、都道府県はこれに基づいて事業の実施状況を確認することとなっている。

(注)  林業従事者等 林業従事者若しくはその組織する団体、木材製造業を営む者若しくはその組織する団体又はその他の林業を行う法人

2 検査の結果

 この林業改善資金の貸付けについて検査したところ、14林業従事者等に対する16件150,779,000円の貸付けにおいて、借受者が、機械を貸付対象事業費より低額で購入したり、貸付けの対象とならない事業に対して貸付けを受けていたり、機械を県に無断で処分したりなどしていた。このため、44,728,400円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額29,818,928円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。これは、借受者から事実と相違した内容の貸付申請や事業実施報告がされていたのに、これに対する県の審査及び確認が十分でなかったことなどによるものである。
 これを県別・貸付先別に示すと次のとおりである。


県名 貸付先 貸付対象 貸付年月 貸付対象事業費 貸付対象として適切でない事業費 補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 摘要
同上に対する貸付金額 同上に対する貸付金相当額

(205)

青森県

林業を行う法人

油圧式ショベル等の購入

6.11
千円
22,416
(16,475)
千円
4,391
(2,055)
千円
1,370

低額実施
(206) 林業を行う法人 フォワーダ等の購入 7.8 19,168
(15,330)
5,168
(4,130)
2,753
(207) 林業を行う法人 クローラスキッダの購入 8.3 12,875
(10,000)
2,875
(2,000)
1,333
(208) 林業従事者 ハーベスタの購入 8.11 9,167
(7,330)
1,957
(1,562)
1,041 低額実施
(209) 林業従事者 油圧式ショベル等の購入 8.11 12,257
(9,800)
2,523
(2,013)
1,342
(210) フォワーダの購入 9.11 8,610
(6,800)
2,100
(1,592)
1,061
(211) 林業を行う法人 ハーベスタの購入 9.8 10,605
(8,400)
2,730
(2,100)
1,400
(212) 林業を行う法人 油圧式ショベル等の購入 9.11 22,648
(18,000)
5,323
(4,140)
2,760

 これら8件の貸付けは、7林業従事者等に対し、油圧式ショベル、フォワーダ(注1) 、クローラスキッダ(注2) 、ハーベスタ(注3) 等の機械の購入に必要な資金の一部として貸し付けたものである。各借受者は、これらの機械を貸付対象事業費どおりの額で購入したとしているが、これらはすべて同一の業者から契約額を水増しするなどして購入したもので、実際はこれより低額で購入していた。
 これら8件のうち、(206)の事例を示すと次のとおりである。

<事例>

 この貸付けは、フォワーダ、油圧式ショベル、グラップル(注4) 各1台の購入に必要な資金19,168,300円の一部として、15,330,000円を貸し付けたものである。借受者は、これらの機械を貸付対象事業費どおりの額で購入したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は14,000,000円で購入していた。
 したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると11,200,000円となるので、本件貸付金額との差額4,130,000円が過大な貸付けとなっている。

(注1)  フォワーダ 荷台に木材を積載する集材用車両

(注2)  クローラスキッダ 木材等を引きずって運ぶキャタピラ式の機械

(注3)  ハーベスタ 油圧式ショベルに取り付けて使用し、木材の伐倒、枝払い、切断及び集積作業を連続的に行う機械

(注4)  グラップル 油圧式ショベルに取り付けて使用し、伐倒された木材の集積作業を行う機械

(213) 青森県 林業を行う法人 ローダーの購入 9.8 11,865
(9,400)
2,465
(1,880)
1,253 低額実施

 この貸付けは、ローダー(注) 1台の購入に必要な資金11,865,000円の一部として、9,400,000円を貸し付けたものである。借受者は、この機械を貸付対象事業費どおりの額で購入したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は9,400,000円で購入していた。
 したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると7,520,000円となるので、本件貸付金額との差額1,880,000円が過大な貸付けとなっている。

(注)  口ーダー 木材などの積込み、積卸しを行う荷役作業車

(214) 長野県 木材製造業者 オガ粉製造機の設置 7.11 7,000
(3,900)
7,000
(3,900)
2,600 貸付対象外

 この貸付けは、オガ粉製造機1台の設置に必要な資金7,000,000円の一部として、3,900,000円を貸し付けたものである。借受者は、この機械を平成7年11月に据付けたとしているが、実際は、既に貸付決定より前の6年4月に据付けていた。
 したがって、この事業は貸付対象にならないものである。
(215) 岐阜県 林業従事者 油圧式ショベル等の購入 7.3 7,910
(6,300)
3,573
(2,830)
1,887 事業の一部不実施

 この貸付けは、油圧式ショベル、グラップル各1台の購入に必要な資金7,910,000円の一部として、6,300,000円を貸し付けたものである。借受者は、これらの機械を貸付対象事業費どおりの額で購入したとしているが、実際は、油圧式ショベルのみを4,336,300円で購入し、グラップルについては借受者が以前から所有していたことから購入していなかった。
 したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると3,469,040円となるので、本件貸付金額との差額2,830,960円が過大な貸付けとなっている。
(216) 奈良県 林業従事者 輸送用自動車の購入 7.9 2,530
(2,000)
2,530
(2,000)
1,333 無断処分

 この貸付けは、林業労働従事者を輸送するための自動車1台の購入に必要な資金2,530,000円の一部として、2,000,000円を貸し付けたものである。借受者は、この自動車を平成7年9月に購入したが、8年12月に県に無断で処分していた。
 したがって、この自動車に係る貸付金2,000,000円は、貸付けの目的を達成していない。
(217) 山口県 林業従事者 バックホウ等の購入 8.1 5,047
(5,000)
4,037
(4,000)
2,666 無断処分

 この貸付けは、バックホウ、フォーククロー各1台の購入に必要な資金5,047,000円の一部として、5,000,000円を貸し付けたものである。借受者は、これらの機械を平成8年1月に購入したが、同年11月に県に無断で処分していた。
 したがって、これらの機械に係る処分時点での貸付金残高4,000,000円は、貸付けの目的を達成していない。
(218) 愛媛県 林業を行う法人 油圧式ショベル等の購入 7.9 20,750
(16,600)
3,806
(3,045)
2,030 低額実施
(219) 油圧式ショベル等の購入 8.3 11,845
(9,470)
1,890
(1,506)
1,004

 これらの貸付けは、林業を行う同一の法人に対し、〔1〕平成7年9月に油圧式ショベル、プロセッサ(注) 各1台の購入に必要な資金20,750,000円の一部として16,600,000円を、〔2〕 8年3月に油圧式ショベル、グラップル各1台等の購入に必要な資金11,845,000円の一部として9,470,000円を、それぞれ貸し付けたものである。借受者は、これらの機械を貸付対象事業費どおりの額で購入したとしているが、これらの額は契約額を水増ししたもので、実際は〔1〕 については16,943,500円、〔2〕 については9,954,950円で購入していた。
 したがって、これらの事業についての適切な貸付金額を計算すると、〔1〕 は13,554,800円、〔2〕 は7,963,960円となるので、本件貸付金額との差額〔1〕 3,045,200円及び〔2〕 1,506,040円が過大な貸付けとなっている。
(注)  プロセッサ 油圧式ショベルに取り付けて使用し、伐倒された木材の枝払い、切断及び集積作業を連続的に行う機械
(220) 福岡県 林業従事者 クレーン付きトラックの購入 6.8 5,974
(5,974)
5,974
(5,974)
3,982 貸付対象外

 この貸付けは、クレーン付きトラック1台の購入に必要な資金5,974,000円の全額を貸し付けたものである。借受者はこのトラックを自らの林業経営の改善を目的として購入したとしていた。しかし、実際は、借受者の父親の経営する造園会社が、林業従事者等でなく資本金の借受資格がないことから借受者の名義を借り、本資金を利用して同社の事業の用に供するためにトラックを購入していた。
 したがって、この事業は貸付対象にならないものである。
(205)-(220) の計

190,668
(150,779)
58,346
(44,728)
29,818

 

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