会計名及び科目 | 一般会計 (組織)農林水産本省 (項)農業施設災害復旧事業費 |
部局等の名称 | 近畿農政局 |
補助の根拠 | 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和25年法律第169号)等 |
事業主体 | 和歌山県田辺市 |
補助事業 | 農業用施設災害復旧(ため池9年災害復旧) |
補助事業の概要 | ため池の堤体からの漏水を防止するなどのため、平成9年度に、グラウト工、制波工等を施工するもの |
事業費 | 26,502,000円 |
上記に対する国庫補助金交付額 | 25,706,940円 |
不当と認める事業費 | 3,580,500円 |
不当と認める国庫補助金交付額 | 3,473,085円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、和歌山県田辺市が、台風により被災したため池を復旧する農業用施設災害復旧事業の一環として、同市中芳養(なかはや)地区において、堤体からの漏水を防止するなどのため、平成9年度に、グラウト工及び制波工等を工事費26,502,000円(国庫補助金25,706,940円)で実施したものである。
このうちグラウト工は、ため池堤体の堤頂部から垂直に削孔(径46mm、深さ2.20m〜7.70m)し、セメントミルク(注)
を堤体内に注入し固化させることにより漏水を防止するためのものである(参考図参照)
。
本件グラウト工の注入費の積算に当たっては、セメントミルクを注入する対象土量を基に、セメント使用量を77,616kgと算定し、これを25kg(1袋当たりセメント重量)で除して、必要なセメント袋数を3,105袋とし、これに地質調査業団体が制定した積算資料に基づき算定した1袋当たりの注入単価を乗じて、注入費を10,870,605円と積算していた。
2 検査の結果
検査したところ、グラウト工の注入費の積算が次のとおり適切でなかった。
上記のセメント袋数3,105袋については、セメント使用量を25kgで除して算出しているが、本件積算で1袋当たりの注入単価を算定する際に用いた積算資料では、1袋当たり40kgで計算することとなっている。したがって、必要なセメント袋数は、セメント使用量を40kgで除して算出すべきであったのに、誤って、25kgで除していたため、セメント袋数が過大に算出されていた。
また、注入対象土量も誤って過大に算定されていたため、これを修正して計算すると、本件グラウト工のセメント使用量は75,298kgとなり、必要なセメント袋数はこれを40kgで除した1,882袋となる。
そして、上記のセメント袋数1,882袋に、機械器具損料等が積算過小となっていた1袋当たりの注入単価を修正して乗じると、注入費は6,927,642円となる。
上記により工事費を修正計算すると、積算過小となっていた透水試験費等計1,119,448円を考慮するなどしても、工事費総額は22,921,500円となり、本件工事費はこれに比べて3,580,500円割高となっており、これに係る国庫補助金相当額3,473,085円が不当と認められる。
(注) セメントミルク セメントと水を練り混ぜたもので、セメントペーストともいう。