会計名及び科目 | 一般会計 (組織)林野庁 (項)林業振興費 |
部局等の名称 | 林野庁 |
補助の根拠 | 予算補助 |
事業主体 | 福島県いわき市 |
補助事業 | 松くい虫防除事業 |
補助事業の概要 | 松くい虫を駆除するため、平成5年度から9年度までの間に、被害木を伐倒し、切断・集積の上、薬剤の散布を行うもの |
事業費 | 353,013,615円 |
上記に対する国庫補助金交付額 | 176,506,807円 |
不当と認める事業費 | 27,616,300円 |
不当と認める国庫補助金交付額 | 13,808,149円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、福島県いわき市が、森林病害虫等防除事業の一環として、松くい虫(注)
を駆除するため、平成5年度から9年度までの間に、松くい虫防除事業(伐倒駆除・薬剤散布型)を事業費計353,013,615円(国庫補助金計176,506,807円)で実施したものである。
この松くい虫防除事業は、同市が指定したあか松等の被害木(材積計24,039m3
)を伐倒し、切断・集積の上、薬剤を散布するもので、同市では、これらの作業を10会社等に対して延べ39契約により委託して実施している。
これらの委託契約では、上記の作業のうち薬剤散布については、仕様書及び設計書により、灯油で希釈した薬剤(以下「希釈薬剤」という。)を被害木の材積1m3
当たり10l散布することとしていた。
そして、同市では、完了検査の結果、各契約とも作業は仕様書及び設計書のとおり実施されたとして、前記事業費の支払を了していた。
2 検査の結果
検査したところ、被害木の伐倒等は、各契約とも指定した被害木について実施されていたが、6会社に係る28契約(事業費計312,409,595円、国庫補助金相当額計156,204,797円)において、次のとおり、被害木(材積計21,182m3
)への希釈薬剤の散布が適切でないと認められた。
すなわち、薬剤及び灯油の購入量を請求書等により調査したところ、薬剤については、仕様書等に基づく必要数量37lから693l計7,930lに対し購入量が38lから694l計7,954lとなっていて、必要数量に合致するものとなっていた。しかし、灯油については、いわき市が完了検査の際に確認したとしている納品書は架空のものであり、必要数量1,462lから21,450l計203,890lに対し、実際の購入量は646lから12,483l計128,190lとなっていて、差し引き386lから14,069l計75,699lの灯油が不足する状況となっていた。
そして、これら28契約においては、灯油の購入不足量に相当する分の希釈薬剤の散布は行われていないと認められた。
これは、同市において、完了検査に当たり、灯油の購入量に対する確認が十分でなかったことなどによると認められた。
したがって、本件事業は、購入されなかった灯油に係る材料費、その購入不足量の希釈薬剤の散布に係る労務費等計27,616,300円に相当する事業量が不足しており、これに係る国庫補助金相当額13,808,149円が不当と認められる。
(注) 松くい虫 松の枯死の原因となるマツノザイセンチュウを運ぶマツノマダラカミキリをいう。