会計名及び科目 | 一般会計 (組織)建設本省 (項)河川等災害復旧事業費 |
部局等の名称 | 鹿児島県 |
補助の根拠 | 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和26年法律第97号) |
補助事業者 (事業主体) |
鹿児島県大島郡大和村 |
補助事業 | 村道湯湾釜国直線道路災害復旧 |
補助事業の概要 | 被災した道路を復旧するため、平成11年度に法面工等を施工するもの |
事業費 | 65,625,000円 |
上記に対する国庫補助金交付額 | 64,246,875円 |
不当と認める事業費 | 4,395,000円 |
不当と認める国庫補助金交付額 | 4,302,705円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、鹿児島県大島郡大和村が、平成10年6月の豪雨により被災した村道湯湾釜国直線を復旧する道路災害復旧事業の一環として、同村国直地内において、道路延長42mにわたって崩落した山側法面を復旧するため、11年度に土工及び法面工を工事費65,625,000円(国庫補助金64,246,875円)で実施したものである。
このうち法面工は、垂直高が最高39.3mの切土法面の崩落した箇所を整形した後に、法面の安定を図るため現場吹付法枠工及び厚層基材吹付工などを2,177m2
施工するものである。
そして、現場吹付法枠工は、法面の形状に合わせて変形可能な金網でできた型枠を格子状に設置(縦横各2m間隔)してアンカーで固定し、この型枠の内部にモルタルを吹き付けて法枠(枠断面200mm×200mm)を築造するものである(参考図参照)
。
同村では、現場吹付法枠工費の積算に当たり、鹿児島県制定の土木工事標準歩掛(以下「標準歩掛」という。)及び土木工事設計単価表(以下「単価表」という。)により、法枠1m当たりの単価に法面の垂直高が高いことによる補正係数(以下、単に「補正係数」という。)を乗じて得た金額を1m2
当たりに換算して施工単価を11,086円と算出していた。そして、この1m2
当たりの施工単価に施工面積を乗じて24,134,222円と積算していた。
2 検査の結果
検査したところ、現場吹付法枠工費の積算が、次のとおり適切でなかった。
現場吹付法枠工費の施工単価については、標準歩掛によれば、法面の垂直高が30m以下の場合には単価表に定める単価をそのまま用いることとし、30mを超える場合には作業効率が低下することなどから、その超える部分について当該単価に補正係数を乗じることとされている。
しかし、同村では、前記のとおり垂直高が30m以下の部分も含めた全施工面積について当該単価に補正係数を乗じて得た金額から算出された施工単価を用いていて、現場吹付法枠工費を過大に積算していた。
したがって、法面の垂直高が30m以下の施工面積(1,814m2
)に単価表に定める単価から算出した1m2
当たりの施工単価8,528円を、30mを超える部分の施工面積(362m2
)に補正係数を乗じて算出した施工単価11,086円をそれぞれ乗じると、本件現場吹付法枠工費は19,482,924円となり、4,651,298円が過大に積算されていた。
このような事態が生じていたのは、同村において、標準歩掛で示されている補正係数の適用の範囲についての理解及び積算内容に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
上記により、本件工事費を修正計算すると、積算過小となっていた厚層基材吹付工費等866,000円を考慮するなどしても、諸経費等を含めた工事費総額は61,230,000円となる。その結果、本件工事費はこれに比べて4,395,000円割高となっており、これに係る国庫補助金相当額4,302,705円が不当と認められる。