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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 令和3年9月

公的統計の整備に関する会計検査の結果について


第2 検査の結果

1 公的統計の整備に関する業務の実施体制

(1)各府省等及び統計センターにおける業務の実施体制

ア 各府省等における業務の実施体制

各府省等は、法に基づく公的統計の作成・提供、統計調査及び統計情報処理に関する理論又は技術の研究その他統計の作成を円滑にする目的をもって行うなどの業務(以下「統計業務」という。)を主に担当する部局(以下「統計主管部局」という。)において、基幹統計を作成したり、当該府省等内の統計業務の管理を行ったりなどしている。また、個別の行政ニーズに直結する統計については、当該行政の担当部署が作成するなどしている。

各府省等において統計業務を本務とする職員(注11)(以下「統計従事職員」という。)の人数についてみると、総務省の公表資料では、図表2-1-1のとおり、平成24年度では2,047人、直近5か年度では27年度1,938人、28年度1,899人、29年度1,904人、30年度1,947人、令和元年度1,953人となっており、平成28年度までは24年度と比較して減少して推移し、29年度は28年度と比較して微増となっている。30年度には統計改革の推進に必要な体制の整備等のために、内閣府等3府省の人員が増員されるなどしている。また、令和元年度における府省等別の状況をみると、少ないところで法務省8人、多いところで農林水産省612人となっている。

(注11)
統計業務を本務とする職員  統計業務を専担とする職員又は統計業務と統計業務以外の業務とを兼務する職員のうち統計業務を本務とする職員(統計調査員、非常勤職員及び臨時職員を除く。)

図表2-1-1 統計従事職員の配置状況(平成24年度~令和元年度)

府省等名 平成
24年度
25年度 26年度 27年度 28年度 29年度 30年度 令和元年度
(人) (人) (人) (人) (人) (人) (人) (人) 基幹統計数
人事院 11 12 12 12 15 15 14 13 0
内閣府 96 96 95 94 85 86 100 104 1
総務省 560 545 542 537 554 557 589 591 12
法務省 8 8 8 8 8 8 8 8 0
財務省 75 75 74 74 74 74 74 76 2
文部科学省 20 19 18 17 20 20 20 18 4
厚生労働省 247 243 240 238 237 237 233 235 9
農林水産省 698 683 667 652 606 610 613 612 7
経済産業省 278 266 259 252 247 245 245 242 7
国土交通省 54 52 57 54 53 52 51 54 9
2,047 1,999 1,972 1,938 1,899 1,904 1,947 1,953 51
  • 注(1) 各年度4月1日時点の職員数を示している。また、統計従事職員が配置されていない外務省、環境省及び防衛省は除いている。
  • 注(2) 「府省等名」欄で示している府省等には、外局及び地方支分部局が含まれている。
  • 注(3) 「基幹統計数」欄は令和2年3月末現在の状況であり、複数府省が共管している2統計を除いている。

主な府省等における統計主管部局の設置状況等をみると、次のとおり、所管する統計、統計調査の規模や内容、さらに、調査を地方公共団体が行うか、地方支分部局が行うかなどにより、異なる状況となっている。

(ア) 内閣府

内閣府は、統計主管部局として経済社会総合研究所が置かれており、基幹統計として国民経済計算(加工統計)の作成を行っている。また、機械受注統計調査及び消費動向調査(いずれも一般統計調査)を始めとする主に景気動向に関連する統計調査を実施している。

(イ) 総務省

総務省は、統計主管部局として統計局が置かれており、統計主管部局としては他の行政機関と異なり、特定の行政分野にとらわれずに、国勢調査その他の国勢の基本に関する統計調査等を実施し、統計を作成している。統計調査の実施に際しては、都道府県に設置された国の統計調査に関する事務を集中的に処理する部署(以下「統計主管課」という。)等が大きな役割を担っている(後掲第2の1(2)イ参照)。

(ウ) 厚生労働省

厚生労働省は、統計主管部局として政策統括官(統計・情報政策担当)が置かれており、都道府県を通じるなどして、人口動態調査(基幹統計調査)を始めとする統計調査を実施するなどして人口動態統計等を作成している。都道府県においては、多岐にわたる行政分野に応じて、統計主管課のほか、保健及び労働政策に関する部署等によって調査等が分担されている。

(エ) 農林水産省

農林水産省は、統計主管部局として大臣官房統計部が置かれており、農業経営統計調査(基幹統計調査)を始めとする農林水産業の各分野の統計調査を実施している。また、同省の地方支分部局である地方農政局等にも統計部が置かれており、統計部において実査を実施している。

(オ) 経済産業省

経済産業省は、統計主管部局として大臣官房調査統計グループが置かれており、工業統計調査(基幹統計調査)を始めとする多岐にわたる統計調査を実施し、統計を作成している。

(カ) 国土交通省

国土交通省は、総合政策局が統計主管部局としての役割も担っており、建設工事統計調査(基幹統計調査)を始めとする建設工事関連の統計調査を実施したり、港湾調査(基幹統計調査)を始めとする交通関連の統計調査を実施したりするなどして、統計を作成している。

イ 各府省等における統計従事職員の専門性

統計業務には専門性の高い側面があることから、統計に関する専門的な知見等を有している統計従事職員を配置することが重要である。そこで総務省の公表資料により、基幹統計を所管している8府省別の統計検定(注12)の資格取得者の令和元年度末時点の人数をみると、総務省において23人、経済産業省において13人、内閣府及び厚生労働省において4人、財務省及び農林水産省において1人、文部科学省及び国土交通省において該当者なしとなっていた。

(注12)
統計検定  一般財団法人統計質保証推進協会が実施する統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験

また、厚生労働省についてみると、同省は、専門性の高い統計業務の例として、合計特殊出生率等の我が国の人口動態把握の基礎となる各種指標や生命表等の加工統計の作成・評価、さらには、これらの指標や加工統計を活用した国の施策の実施に必要となる将来推計や、施策の実施による効果の定量的な分析等が挙げられるとしている。そこで、同省は、このような専門性の高い統計業務を実施するために、統計従事職員235人(令和元年度)のうち、数理職(注13)の統計従事職員を14人(5.9%)配置している(注14)

(注13)
数理職  国家公務員総合職試験の試験区分である「数理科学・物理・地球科学」の合格者等から採用される職員であり、数学や数理科学の専門的知識を有する者

(注14) 数理職については、これまで国家公務員試験の試験区分の変更が行われていることなどから、厚生労働省以外の各府省等について数理職に該当する職員を把握することはできなかった。

総務省政策統括官は、法第55条第2項に基づき作成している統計法施行状況報告において、基幹統計を所管する各府省における統計従事職員の修士号・博士号の保有状況を記載している。しかし、総務省政策統括官は、修士号・博士号の具体的な内容について各府省等に報告を求めていないことから、統計学、数理学等の分野に係る修士号・博士号であるかどうかまでは把握していない状況となっていた。

なお、各府省等においては、統計従事職員が執務を通じての研修(On the Job Training。以下「OJT」という。)として実務を重ねることで専門的な知見等を身に付けていくとしている。

ウ 統計センターにおける業務の実施体制

統計センターは、総務省設置法(平成11年法律第91号)第4条第81号に規定する国勢調査その他国勢の基本に関する統計調査の集計を行う製表、これに必要な統計技術の研究等を一体的に行うことにより、統計の信頼性の確保及び統計技術の向上に資することを目的として設置されている。

統計センターが製表を行う統計調査については、社会・経済情勢に対応した統計データを迅速かつ的確に作成するために、総務省が定める基準に沿って、期限までに製表結果を作成し総務省に提出することとなっている。このほか、統計センターは、行政機関又は地方公共団体の委託を受けて、統計調査を実施し、又は統計調査の製表を行っている。

統計センターが製表を行った総務省所管の統計調査数は、平成27年度から令和元年度までの間に大きな変動はない。また、統計センターの職員数についてみると、主に製表を行う統計編成部門において定員削減計画及び今後の統計改革に対応していくため、情報通信技術の活用や製表のプロセスの見直しを行っていることもあって、平成31年4月時点で614人となっており、30年4月時点の666人から52人減少している。

さらに、統計センターの職員の各種資格の取得状況をみると、31年4月時点において、統計検定の資格取得者は28人、情報処理に係る資格取得者は基本・応用情報技術者16人、ITパスポート6人、その他情報処理関連資格等を取得している者は60人となっていた(延べ人数)。なお、統計センターによると、統計業務には専門性の高い側面があるものの、OJTとして実務を重ねることによって専門性を身に付けていくとしており、各府省等と同様の方針(イ参照)であった。

(2)国と地方公共団体との連携等

ア 国と地方公共団体との連携

基幹統計調査の実施に当たっては、限られた期間内に実査を円滑に終えるために多くの統計調査員を動員して大規模に行う場合等があることから、国の職員だけで対応することは困難である。このため、国の統計調査に関する事務の一部を、法第16条に基づく法定受託事務として地方公共団体が行うこととし、当該法定受託事務に要する経費は、地方財政法(昭和23年法律第109号)に基づき国が全額支出することとしている(注15)

(注15) 国及び地方公共団体において実施している基幹統計調査としては、総務省所管の家計調査(基幹統計調査)等がある。家計調査は、全国の世帯から抽出した世帯を調査対象として、国民生活における家計収支の実態を把握して国の経済政策の立案のための基礎資料を提供することを目的とするものであり、4種類の調査票を用いて実査を実施している。家計調査における事務についてみると、総務省統計局が調査票の設計、調査方法等の企画・設計、調査地域の選定等を、都道府県が統計調査員の選任・指導、調査世帯の選定等をそれぞれ実施している。

イ 地方公共団体における業務の実施体制

地方統計機構整備要綱(昭和22年7月閣議決定)に基づき、都道府県に国の統計調査に従事する地方公務員(以下「統計専任職員」という。)が置かれている。そして、都道府県には統計主管課が設置されており、統計主管課の統計専任職員に係る人件費等の費用は、アの法定受託事務として国がその全額を支出している。具体的には、総務省政策統括官が、統計調査事務地方公共団体委託費取扱要綱(平成17年総務省政策統括官(統計基準担当)決定)に基づき総務大臣の定めた職員数(以下「配置定数」という。)を基に算出した人件費等の額を統計調査事務地方公共団体委託費(以下「事務委託費」という。)として予算に計上して、都道府県に対して交付している。また、個別の統計調査に関する事務に必要な経費については、当該統計調査を所管する各府省等が委託費(以下「調査委託費」という。)として予算に計上して、都道府県に対して交付している。

配置定数は、昭和24年以降に行われた国の行政整理や43年以降における国家公務員の定員削減計画に準じて削減されている。直近では、平成26年7月に、各年度の行政機関の機構・定員管理を戦略的かつ的確に実施するための基本的な枠組み及び指針を定めた「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針-戦略的人材配置の実現に向けて-」が閣議決定された。これを踏まえて、27年度以降は新たな定数削減が計画的に実施されていることから、都道府県全体として減少傾向にある。

なお、配置定数の削減を受けて、総務省は、28年度から事務委託費の物件費を事務補助職員の賃金に充てることを認めている。

会計実地検査を行った11都道府県の統計専任職員の実際の配置職員数についてみると、令和元年度では、7道府県において、実際に配置されている職員数が配置定数を上回っていた(都道府県の統計専任職員に係る配置定数については別図表4参照)。

そして、統計主管課における統計作成に係る業務についてみると、国の統計調査に関する業務が多数を占めているが、地方公共団体が独自に行う統計調査に関する業務もある(注16)(上記の会計実地検査を行った11都道府県に係る統計調査等数の比較については別図表5参照)。

(注16) 地方公共団体が独自に行う統計調査の例として、北海道は、市町村に届出のあった事項のデータを取りまとめて人口の移動状態を明らかにし、各種施策の基礎資料を得ることを目的として、北海道住民基本台帳人口移動報告(業務統計)を作成している。

そこで、実際の配置職員に係る人件費をみると、前記の7道府県において、統計作成に係る業務の必要性等のため事務委託費により措置される配置定数を上回る数の職員を配置していたり、事務委託費の算定基準となる職員の等級と実際に配置されている職員の等級との相違が生じていたりすることもあって、平成27年度から令和元年度までの11都道府県における統計主管課の人件費は、人件費に係る国からの事務委託費の額を上回っていた。統計主管課の人件費に対する都道府県の負担割合について、5か年度の計でみると18.8%から34.6%となっていて、これらの財源には都道府県予算が充てられていた。総務省政策統括官では、上記のように統計主管課が地方公共団体において独自に行う統計調査に関する業務を担っている側面もあるなどの状況を踏まえ、地方公共団体における統計作成に係る業務の実施状況を別途調査するなどして業務量の把握に努めているとしている(上記の会計実地検査を行った11都道府県における統計主管課の人件費の負担状況については別図表6参照)。

(3)国及び都道府県の職員に係る統計に関する研修

統計改革を始めとする統計行政の重要課題を推進するために取りまとめられた「統計改革推進会議最終取りまとめ」(平成29年5月19日統計改革推進会議決定)では、国及び地方の職員一般を対象とした統計研修の充実等を図ることが求められており、第Ⅲ期基本計画においても、統計作成の効率化及び報告者の負担軽減を図りつつ、統計の品質を確保し、統計の利活用促進・環境改善等を推進するためには、個々の職員の能力向上が不可欠であるとされている。

国及び都道府県の職員に対する統計に関する研修の代表的なものとしては、統計に関する我が国唯一の専門研修機関とされている総務省の統計研究研修所が実施する研修課程が挙げられる。統計研究研修所では、統計の基礎的知識の習得に係る研修から統計理論や統計分析の専門的な研修まで、幅広い研修課程を設けている。

そこで、統計従事職員が所属する10府省等及び会計実地検査を行った11都道府県について、平成27年度から令和元年度までの間に開催された、統計研究研修所の主催する研修課程の受講状況を確認したところ、国の職員の統計に関する研修については、10府省等における職員(統計従事職員以外の職員も含む。)の受講者数は延べ5,381人となっていた。平成30年度以降に受講者が急増しているが、これは、オンラインによる研修受講者の増加等によるものである(10府省等の研修課程の受講状況については別図表7参照)。都道府県職員の統計に関する研修については、11都道府県における職員の受講者数は延べ1,466人となっていた。30年度以降に受講者が急増しているが、これは、オンラインによる研修受講者の増加等によるものである。そして、上記延べ1,466人のうち統計主管課の職員の受講者数を都道府県別にみると、埼玉県において延べ41人中36人、香川県において延べ55人中45人、福岡県において延べ71人中69人となっていた(11都道府県の研修課程の受講状況については別図表8参照)。

2 公的統計の整備に関する予算の執行状況及び同業務の実施状況

(1)公的統計の整備に関する予算の執行状況

ア 公的統計の整備に関する予算の状況
(ア) 統計事業に係る予算の状況

公的統計の整備に関する予算については、各府省等において、統計作成に係る経費の規模等に応じて、独立した予算科目として計上していたり、一般の事務経費等と合わせて計上していたりしていて、予算計上の方法は区々となっており、統一的に把握できるようにはなっていない。

一方で、第1の3(1)オのとおり、総務省政策統括官は、毎年度、各府省等に依頼を行い、提出された情報を基に国の統計予算を取りまとめて公表している。

これにより、総務省政策統括官は、翌年度の統計調査の実施に係る承認審査・調整業務の円滑化・効率化を図るとともに、財政当局に対して各府省等の予算を含む事業計画等に関する意見を通知することで、適正な統計リソースの確保及び有効活用に資するとしている。

そして、27年度から令和元年度までの国の統計予算を基にするなどして、会計検査院において各府省等から改めて調書を徴して統計事業に係る予算を集計した結果は第1の3(1)オのとおりである。これを統計調査及び統計関連事業に区分して示すと図表2-2-1のとおりであり、5か年度の計2326億余円のうち上位5省に係る予算額が計2212億余円と95.1%を占めていた。また、5か年度のうち、5年に一度実施される総務省所管の国勢調査の実査が行われた平成27年度の予算額が925億余円(うち、国勢調査に係る予算が670億余円)と突出して大きくなっていた。

図表2-2-1 統計事業に係る予算額(平成27年度~令和元年度)

(単位:千円)
府省等名 区分 平成27年度 28年度 29年度 30年度 令和元年度
注(3)
人事院 統計調査 9,520 13,443 9,550 8,636 39,872 81,021
統計関連事業 - - - - - -
小計 9,520 13,443 9,550 8,636 39,872 81,021
(0.0%)
内閣府 統計調査 423,337 468,550 534,536 546,701 502,642 2,475,766
統計関連事業 245,807 185,518 202,554 279,572 311,831 1,225,282
小計 669,144 654,068 737,090 826,273 814,473 3,701,048
(1.5%)
復興庁 統計調査 - - - - - -
統計関連事業 9,704 9,704 10,467 10,648 10,960 51,483
小計 9,704 9,704 10,467 10,648 10,960 51,483
(0.0%)
総務省 統計調査 74,814,799 15,887,451 9,000,803 15,305,699 16,383,096 131,391,848
統計関連事業 1,651,332 1,839,725 2,690,491 2,477,034 2,771,284 11,429,866
小計 76,466,131 17,727,176 11,691,294 17,782,733 19,154,380 142,821,714
(61.3%)
法務省 統計調査 - - - 26,740 - 26,740
統計関連事業 54,862 29,362 73,765 24,424 26,588 209,001
小計 54,862 29,362 73,765 51,164 26,588 235,741
(0.1%)
財務省 統計調査 191,430 190,741 191,225 213,034 219,387 1,005,817
統計関連事業 550,694 336,688 400,123 388,824 669,235 2,345,564
小計 742,124 527,429 591,348 601,858 888,622 3,351,381
(1.4%)
文部科学省 統計調査 216,424 173,677 182,919 256,168 214,220 1,043,408
統計関連事業 368,271 532,446 178,476 173,288 172,375 1,424,856
小計 584,695 706,123 361,395 429,456 386,595 2,468,264
(1.0%)
厚生労働省 統計調査 4,812,818 5,840,986 5,744,900 4,966,440 5,643,932 27,009,076
統計関連事業 - - 19,972 - 2,869 22,841
小計 4,812,818 5,840,986 5,764,872 4,966,440 5,646,801 27,031,917
(11.6%)
農林水産省 統計調査 3,103,229 2,264,262 2,196,540 3,488,378 8,064,137 19,116,546
統計関連事業 975,064 1,415,469 1,128,140 1,078,309 1,090,330 5,687,312
小計 4,078,293 3,679,731 3,324,680 4,566,687 9,154,467 24,803,858
(10.6%)
経済産業省 統計調査 2,637,158 2,198,568 3,908,786 3,560,396 2,095,649 14,400,557
統計関連事業 428,278 465,228 494,384 545,705 870,497 2,804,092
小計 3,065,436 2,663,796 4,403,170 4,106,101 2,966,146 17,204,649
(7.3%)
国土交通省 統計調査 1,791,035 1,529,815 1,521,487 2,554,411 1,858,108 9,254,856
統計関連事業 13,054 3,238 40,304 53,867 42,724 153,187
小計 1,804,089 1,533,053 1,561,791 2,608,278 1,900,832 9,408,043
(4.0%)
環境省 統計調査 253,728 372,540 312,749 300,870 227,684 1,467,571
統計関連事業 8,812 9,153 8,645 - - 26,610
小計 262,540 381,693 321,394 300,870 227,684 1,494,181
(0.6%)
12府省等計 統計調査 88,253,478 28,940,033 23,603,495 31,227,473 35,248,727 207,273,206
統計関連事業 4,305,878 4,826,531 5,247,321 5,031,671 5,968,693 25,380,094
小計 92,559,356 33,766,564 28,850,816 36,259,144 41,217,420 232,653,300(A)
(100.0%)
上位5省計 統計調査 87,159,039 27,721,082 22,372,516 29,875,324 34,044,922 201,172,883
統計関連事業 3,067,728 3,723,660 4,373,291 4,154,915 4,777,704 20,097,298
小計 90,226,767 31,444,742 26,745,807 34,030,239 38,822,626 221,270,181
(95.1%)
  • 注(1) 本図表は当初予算額を記載している。
  • 注(2) 各府省等から総務省政策統括官へ提出された資料を基に、会計検査院が各府省等から改めて調書を徴して集計している。ただし、統計関連事業に係る予算のみを計上している復興庁については、国の統計予算の数値を記載している。
  • 注(3) ( )は、12府省等計(A)に占める各府省等の小計の割合である。
(イ) 国の統計予算に含まれていない主な経費及び公的統計の整備に関する経費の全体像

第1の3(1)オのとおり、総務省政策統括官が取りまとめている国の統計予算は、公的統計の整備に関する予算を網羅的に把握したものではないとしている。そこで、これに含まれない主な経費について、会計検査院において統計従事職員に係る給与等を試算するとともに、統計専任職員に係る人件費等及び統計センターに係る経費を取りまとめ、これらを統計事業に係る予算に加えることにより、公的統計の整備に関する経費の全体像を示すと、次のとおりとなっていた。

a 国の統計予算に含まれていない主な経費

(a) 統計従事職員に係る給与等

統計従事職員に係る給与等については、年度別の統計従事職員数は総務省政策統括官により公表されているものの、給与等について集計されたものはないため、そのおおよその規模を把握するために、会計検査院において次のとおり試算した。すなわち、人事院が毎年公表している国家公務員給与等実態調査(業務統計)の結果を基に単価を算出し、これに上記の年度別の統計従事職員数を乗じると、令和元年度で132億余円となる(平成27年度から令和元年度までの統計従事職員に係る給与等の試算額については別図表9参照)。

(b) 統計専任職員に係る人件費等

国の行う統計調査については、各府省等が実施する場合のほか、都道府県に委託して実施する場合がある。総務省は、1(2)イのとおり、統計専任職員に係る職員基本給等の人件費等を対象として事務委託費を予算計上しており、元年度の当初予算額は95億余円となっていた。

(c) 統計センターに係る経費

統計センターに係る経費について、統計センターの支出予算額を確認したところ、元年度で107億余円となっていた(平成27年度から令和元年度までの統計センターに係る予算及びその内訳については別図表10参照)。

b 公的統計の整備に関する経費の全体像

公的統計の整備に関する経費の全体像を、元年度について示すと、図表2-2-2のとおり、統計事業に係る予算等額が計593億余円、統計従事職員に係る給与等の試算額が132億余円となっていた(平成27年度から30年度までについては別図表11参照)。

イ 公的統計の整備に関する予算の執行状況

公的統計の整備に関する予算には、ア(イ)のとおり、統計事業に係る予算のほか、統計従事職員に係る給与等、統計専任職員に係る人件費等及び統計センターに係る経費がある。このうち、会計検査院において試算した統計従事職員に係る給与等以外の予算について、その執行状況を示すと次のとおりである。

(ア) 統計事業に係る予算の執行状況

ア(ア)のとおり、公的統計の整備に関する予算は、府省等ごとに予算計上の方法が区々となっているが、統計事業に係る予算は、総務省政策統括官が取りまとめて公表している国の統計予算を用いるなどして把握できる。一方、統計事業に係る予算の執行状況については、総務省政策統括官は業務上の必要が生じていないとして取りまとめていないため、今回の検査では、会計検査院が統計事業に係る予算の執行状況を検査して、その内容を集計することとした。

そして、統計調査に係る予算が統計事業に係る予算の89.0%と大半を占めていたことを踏まえて、検査の対象期間である27年度から令和元年度までに統計調査を実施していた11府省等(注17)を対象として検査を行い、これらに係る統計調査及び統計関連事業に係る予算(以下「11府省等の統計事業に係る予算」という。)の執行額(支出済歳出額)等を集計した(注18)

(注17)
11府省等  人事院、内閣府、総務省、法務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省

(注18) 統計事業に係る予算には、復興庁の統計関連事業に係る予算が含まれているが、同庁は検査対象期間に統計調査を実施していなかったため検査の対象としておらず、同予算についても本件の集計には含めていない。

検査の結果、図表2-2-3のとおり、11府省等の統計事業に係る予算の執行額は計2227億余円となっており、当初予算額に、補正予算額、流用等増減額及び繰越額を加除した予算現額計2349億余円に対して94.8%となっていた。また、上記の予算現額2349億余円と執行額2227億余円との差額122億余円については、間接費等として統計以外に係る経費と合わせて執行されていたり、不用額となっていたりしていた。

図表2-2-3 11府省等の統計事業に係る予算の執行状況(平成27年度~令和元年度)

(単位:千円)
府省等名 区分 予算現額
(平成27~令和元年度計)
注(2)
(A)
執行額 注(3)
平成27年度 28年度 29年度 30年度 令和元年度
(B)
((B)/(A)(%))
人事院 統計調査 81,021 6,570 7,137 5,805 5,612 12,509 37,636
統計関連事業 - - - - - - -
小計 81,021 6,570 7,137 5,805 5,612 12,509 37,636
(46.4 %)
内閣府 統計調査 2,475,766 410,392 398,672 499,159 406,059 502,653 2,216,937
統計関連事業 1,225,282 194,313 106,113 115,012 209,488 235,745 860,673
小計 3,701,048 604,705 504,786 614,172 615,548 738,398 3,077,610
(83.1 %)
総務省 統計調査 131,370,904 74,401,487 15,326,968 8,715,697 14,682,317 15,601,190 128,727,663
統計関連事業 14,764,245 1,781,536 2,176,366 2,726,376 3,794,309 3,364,999 13,843,588
小計 146,135,149 76,183,024 17,503,335 11,442,074 18,476,627 18,966,190 142,571,251
(97.5%)
法務省 統計調査 26,740 - - - 26,298 - 26,298
統計関連事業 209,001 52,527 21,226 68,841 22,400 23,610 188,606
小計 235,741 52,527 21,226 68,841 48,698 23,610 214,904
(91.1%)
財務省 統計調査 1,005,817 181,419 173,584 170,810 186,442 193,420 905,677
統計関連事業 2,320,564 532,641 325,232 384,516 382,474 631,910 2,256,777
小計 3,326,381 714,061 498,817 555,327 568,917 825,331 3,162,455
(95.0%)
文部科学省 統計調査 1,043,408 140,440 160,273 150,724 194,289 188,818 834,545
統計関連事業 1,424,856 358,291 518,626 161,571 171,452 160,084 1,370,027
小計 2,468,264 498,731 678,900 312,296 365,742 348,903 2,204,573
(89.3%)
厚生労働省 統計調査 26,977,383 4,436,100 5,309,919 5,250,612 4,324,888 5,244,485 24,566,006
統計関連事業 22,841 - - 18,301 - 2,921 21,222
小計 27,000,224 4,436,100 5,309,919 5,268,914 4,324,888 5,247,406 24,587,228
(91.0%)
農林水産省 統計調査 19,091,274 2,670,293 1,869,329 1,936,135 3,141,006 7,634,094 17,250,860
統計関連事業 5,618,909 891,297 1,463,387 1,106,229 1,030,868 964,408 5,456,190
小計 24,710,184 3,561,591 3,332,717 3,042,364 4,171,874 8,598,502 22,707,050
(91.8%)
経済産業省 統計調査 13,600,823 2,030,757 1,763,693 2,846,271 2,958,750 1,712,767 11,312,241
統計関連事業 2,804,092 503,456 456,899 513,293 513,757 849,311 2,836,718
小計 16,404,915 2,534,214 2,220,592 3,359,565 3,472,507 2,562,078 14,148,959
(86.2%)
国土交通省 統計調査 9,254,856 1,546,882 1,432,331 1,423,188 2,461,406 1,820,836 8,684,644
統計関連事業 153,187 6,845 192 7,889 51,563 37,131 103,622
小計 9,408,043 1,553,727 1,432,523 1,431,078 2,512,970 1,857,967 8,788,267
(93.4%)
環境省 統計調査 1,467,571 283,235 233,511 222,892 284,290 209,236 1,233,167
統計関連事業 26,610 7,452 11,880 8,640 - - 27,972
小計 1,494,181 290,687 245,391 231,532 284,290 209,236 1,261,139
(84.4%)
11府省等計 統計調査 206,395,563 86,107,580 26,675,423 21,221,298 28,671,361 33,120,013 195,795,678
統計関連事業 28,569,587 4,328,361 5,079,925 5,110,674 6,176,315 6,270,122 26,965,399
小計 234,965,151 90,435,942 31,755,349 26,331,973 34,847,676 39,390,135 222,761,077
(94.8%)
上位5省計 統計調査 200,295,240 85,085,522 25,702,243 20,171,906 27,568,369 32,013,374 190,541,416
統計関連事業 23,363,274 3,183,135 4,096,845 4,372,091 5,390,497 5,218,770 22,261,341
小計 223,658,515 88,268,658 29,799,089 24,543,997 32,958,867 37,232,145 212,802,757
(95.1%)
  • 注(1) 国の統計予算を基に、その執行状況について会計検査院が各府省等から調書を徴して集計した。
  • 注(2) 「予算現額」欄には、図表2-2-1の当初予算額に、補正予算額、流用等増減額及び繰越額を加除したものを記載している。
  • 注(3) 複数の統計調査及び統計関連事業で一括で執行された経費は、当初予算額で案分等して計上している。また、間接費等として統計以外に係る経費と合わせて執行されていて、統計調査又は統計関連事業に係る経費として特定できなかったものは計上していない。
(イ) 上位5省における統計事業に係る予算の執行状況等

図表2-2-3のとおり、予算と同様執行額も多額となっている上位5省について、統計事業に係る予算の執行状況等の概要を示すと次のとおりである。

a 総務省

(a) 統計事業に係る予算の執行状況

総務省所管の統計調査及び統計関連事業に係る平成27年度から令和元年度までの予算現額計1461億余円に対して、執行額は計1425億余円となっていた。同省は、図表1-4で示した50基幹統計調査のうち15基幹統計調査(共管の3基幹統計調査を含む。これらのうち都道府県を通じて実査を実施しているものは12基幹統計調査)を所管しており、これらに係る執行額は計1222億余円となっていた。

同省が所管する主な統計調査は、図表2-2-4のとおり、執行額の大きい順に国勢調査、経済センサス‐活動調査(基幹統計調査)、住宅・土地統計調査(基幹統計調査)等となっていた。このうち、家計消費状況調査(一般統計調査)及び政府統計共同利用システムの運用等を除く8基幹統計調査では、業務の一部を都道府県へ委託している。これらに係る執行額は調査委託費を含む総額で計1157億余円と、同省の執行額1425億余円の81.1%を占めていた。その中でも、国勢調査は、統計調査の中で最大の規模のものであって、これに係る執行額は、計703億余円(平成27年度計669億余円(同年度に実査を実施)、28年度計7379万余円、29年度計1億余円、30年度計4億余円、令和元年度計27億余円)となっており、同省の執行額1425億余円の49.3%、11府省等の執行額の総額である2227億余円の31.5%を占めていた(注19)

(注19) 統計調査ごとの執行額の集計に当たっては、各統計調査の実施のための経費に、これに付随して発生する、調査区管理、試験調査等を含む準備経費と、検証、公表等の事後的な経費を合算している。以下同じ。

また、複数の府省等が横断的に用いている政府統計共同利用システムの運用等に必要な経費は、同省において執行されており、その執行額は計53億余円となっていた。

図表2-2-4 総務省が所管する主な統計調査又は統計関連事業(平成27年度~令和元年度)

(単位:千円)
統計調査又は統計関連事業名 対象年度 予算現額 執行額
国勢調査 注(3) 平成27~令和元年度 70,245,365 70,318,232
経済センサス‐活動調査 平成27~令和元年度 13,163,237 12,495,085
住宅・土地統計調査 平成27~30年度 8,662,598 8,601,248
労働力調査 平成27~令和元年度 7,790,844 7,752,858
家計調査 平成27~令和元年度 6,856,780 6,765,059
政府統計共同利用システムの運用等 注(4) 注(5) 平成27~令和元年度 5,455,445 5,326,612
小売物価統計調査 平成27~令和元年度 4,533,135 4,413,413
家計消費状況調査 平成27~令和元年度 3,087,582 3,037,510
経済センサス‐基礎調査 平成27~令和元年度 2,890,821 2,812,265
全国家計構造調査(平成30年度以前は全国消費実態調査) 平成27、28、30、令和元年度 2,667,975 2,590,164
  • 注(1) 総務省が所管する統計調査又は統計関連事業について、平成27年度から令和元年度までの予算現額及び執行額をそれぞれ集計し、執行額の大きい順に10件記載している。
  • 注(2) 本図表のうち、業務の一部を都道府県へ委託している基幹統計調査は①から⑤まで、⑦、⑨及び⑩であり、執行額は計1157億余円となっている。
  • 注(3) 「執行額」欄記載の額が「予算現額」欄記載の額を超過しているものは、他の統計調査等の執行の残額を用いており、予算科目間の流用によるものではない。
  • 注(4) 統計関連事業である。
  • 注(5) 平成26年度予算からの繰越予算がある。

(b) 統計専任職員の人件費等に係る予算の執行状況

同省において、統計専任職員に係る人件費等のために措置されている事務委託費に係る予算の執行状況については、平成27年度から令和元年度までの歳出予算現額計485億余円に対して、支出済歳出額は計480億余円となっていた。

事務委託費の内訳としては、統計専任職員の人件費のほか、統計主管課における共通的な事務経費等に充てるための物件費等がある。そして、同省から事務委託費を交付された都道府県等における事務委託費の執行状況をみると、交付額計480億余円に対して、精算額は計477億余円となっており、残額は、翌年度以降に国庫に返還されていた。

b 厚生労働省

厚生労働省所管の統計調査及び統計関連事業に係る平成27年度から令和元年度までの予算現額計270億余円に対して、執行額は計245億余円となっていた。同省は7基幹統計調査を所管しており、これらに係る執行額は計163億余円となっていた。

同省が所管する主な統計調査は、図表2-2-5のとおり、執行額の大きい順に人口動態調査、毎勤調査、国民生活基礎調査(基幹統計調査)等となっていた。このうち、基幹統計調査についてみると、人口動態調査、毎勤調査、国民生活基礎調査及び薬事工業生産動態統計調査は業務の一部を都道府県へ委託しており、これらに係る執行額は調査委託費を含む総額で計153億余円と、同省の執行額245億余円の62.5%を占めていた。

図表2-2-5 厚生労働省が所管する主な統計調査又は統計関連事業(平成27年度~令和元年度)

(単位:千円)
統計調査又は統計関連事業名 対象年度 予算現額 執行額
人口動態調査 平成27~令和元年度 8,288,008 8,110,517
毎勤調査 平成27~令和元年度 5,566,930 5,092,184
国民生活基礎調査 平成27~令和元年度 1,786,006 1,750,944
介護事業実態調査 平成27~令和元年度 1,024,969 959,511
国民健康・栄養調査 平成27~令和元年度 914,770 830,565
介護サ-ビス施設・事業所調査 注(3) 平成27~令和元年度 792,309 807,543
社会福祉施設等調査 平成27~令和元年度 738,303 697,314
賃金構造調査 平成27~令和元年度 756,276 685,675
社会保障生計調査(被保護者生活実態調査) 平成27~令和元年度 599,947 450,115
薬事工業生産動態統計調査 平成27~令和元年度 523,477 432,750
  • 注(1) 厚生労働省が所管する統計調査又は統計関連事業について、平成27年度から令和元年度までの予算現額及び執行額をそれぞれ集計し、執行額の大きい順に10件記載している。
  • 注(2) 本図表のうち、業務の一部を都道府県へ委託している基幹統計調査は①から③まで及び⑩であり、執行額は計153億余円となっている。
  • 注(3) 「執行額」欄記載の額が「予算現額」欄記載の額を超過しているものは、他の統計調査等の執行の残額を用いており、予算科目間の流用によるものではない。
  • 注(4) 「執行額」欄記載の額のほかに、間接費等の個々の統計調査又は統計関連事業に振り分けられない経費がある。

c 農林水産省

農林水産省所管の統計調査及び統計関連事業に係る平成27年度から令和元年度までの予算現額計247億余円に対して、執行額は計227億余円となっていた。同省は7基幹統計調査を所管しており、これらに係る執行額は計127億余円となっていた。

同省が所管する主な統計調査は、図表2-2-6のとおり、執行額の大きい順に農林業センサス(基幹統計調査)、農業経営統計調査、作物統計調査(基幹統計調査)等となっていた。このうち、基幹統計調査についてみると、農林業センサス及び漁業センサスは業務の一部を都道府県へ委託しており、これらに係る執行額は調査委託費を含む総額で計77億余円と、同省の執行額227億余円の33.9%を占めていた。

また、同省が所管する統計調査で共通に用いている農林水産統計システム整備に係る経費として計37億余円が執行されていた。

図表2-2-6 農林水産省が所管する主な統計調査又は統計関連事業(平成27年度~令和元年度)

(単位:千円)
統計調査又は統計関連事業名 対象年度 予算現額 執行額
農林業センサス 平成27~令和元年度 7,330,919 6,816,136
農林水産統計システム整備 注(3) 平成27~令和元年度 3,836,919 3,788,501
農業経営統計調査 平成27~令和元年度 2,889,038 2,415,017
作物統計調査 平成27~令和元年度 5,052,650 2,226,768
漁業センサス 平成27~令和元年度 1,032,191 886,932
農業物価統計調査 平成27~令和元年度 604,298 589,665
内水面漁業生産統計調査 平成27~令和元年度 264,426 246,149
生鮮食料品流通情報調査 注(3) 平成27~令和元年度 259,959 243,773
海面漁業生産統計調査 平成27~令和元年度 253,966 229,548
6次産業化総合調査 平成27~令和元年度 299,494 229,098
  • 注(1) 農林水産省が所管する統計調査又は統計関連事業について、平成27年度から令和元年度までの予算現額及び執行額をそれぞれ集計し、執行額の大きい順に10件記載している。
  • 注(2) 本図表のうち、業務の一部を都道府県へ委託している基幹統計調査は①及び⑤であり、執行額は計77億余円となっている。
  • 注(3) 統計関連事業である。
  • 注(4) 「執行額」欄記載の額のほかに、間接費等の個々の統計調査又は統計関連事業に振り分けられない経費がある。

d 経済産業省

経済産業省所管の統計調査及び統計関連事業に係る平成27年度から令和元年度までの予算現額計164億余円に対して、執行額は計141億余円となっていた。同省は9基幹統計調査(総務省と共管の3基幹統計調査を含む。)を所管しており、これらに係る執行額は計63億余円となっていた。

同省が所管する主な統計調査は、図表2-2-7のとおり、執行額の大きい順に工業統計調査、エネルギー消費統計調査(一般統計調査)、商業動態統計調査(基幹統計調査)等となっていた。このうち、基幹統計調査についてみると、工業統計調査、商業動態統計調査及び経済産業省生産動態統計調査は、業務の一部を都道府県へ委託しており、これらに係る執行額は調査委託費を含む総額で計47億余円と、同省の執行額141億余円の33.7%を占めていた。

また、経済センサス‐活動調査、工業統計調査及び経済構造実態調査(平成30年度以前は特定サービス産業実態調査及び商業統計調査)は、経済構造統計を構成するものであり、これらに係る執行額は、計31億余円(総務省において計上されていた予算の執行額を含めると計60億余円)(注20)と、同省の執行額141億余円の22.5%を占めていた。

(注20) 総務省と共管の経済センサス‐活動調査、令和元年度以降の工業統計調査及び経済構造実態調査については、総務省において予算計上し、一部を経済産業省へ支出委任して執行している。

また、同省が所管する統計調査で共通で用いている経済産業省調査統計システムの運用管理に係る経費として計11億余円が執行されていた。

図表2-2-7 経済産業省が所管する主な統計調査又は統計関連事業(平成27年度~令和元年度)

(単位:千円)
統計調査又は統計関連事業名 対象年度 予算現額 執行額
工業統計調査 平成27~30年度 2,527,569 2,353,803
エネルギー消費統計調査 平成27~令和元年度 2,371,484 2,060,583
商業動態統計調査 平成27~令和元年度 1,772,342 1,609,709
中小企業実態基本調査 平成27~令和元年度 1,523,798 1,417,356
経済産業省調査統計システムの運用管理 注(3) 平成27~令和元年度 1,436,613 1,160,922
経済産業省生産動態統計調査 平成27~令和元年度 1,602,344 812,834
特定サービス産業実態調査 平成27~30年度 820,924 689,893
経済産業省企業活動基本調査 平成27~令和元年度 705,852 639,577
情報通信業基本調査 平成27~令和元年度 349,747 341,631
海外事業活動基本調査 注(4) 平成27~令和元年度 245,172 259,826
  • 注(1) 経済産業省が所管する統計調査又は統計関連事業について、平成27年度から令和元年度までの予算現額及び執行額をそれぞれ集計し、執行額の大きい順に10件記載している。
  • 注(2) 本図表のうち、業務の一部を都道府県へ委託している基幹統計調査は①、③及び⑥であり、執行額は計47億余円となっている。
  • 注(3) 統計関連事業である。
  • 注(4) 「執行額」欄記載の額が「予算現額」欄記載の額を超過しているものは、他の統計調査等の執行の残額を用いており、予算科目間の流用によるものではない。
  • 注(5) 「執行額」欄記載の額のほかに、間接費等の個々の統計調査又は統計関連事業に振り分けられない経費がある。

e 国土交通省

国土交通省所管の統計調査及び統計関連事業に係る27年度から令和元年度までの予算現額計94億余円に対して、執行額は計87億余円となっていた。同省は9基幹統計調査を所管しており、これらに係る執行額は計40億余円となっていた。

同省が所管する主な統計調査は、図表2-2-8のとおり、執行額の大きい順に法人土地・建物基本調査(基幹統計調査)、訪日外国人消費動向調査(一般統計調査)、自動車輸送統計調査(基幹統計調査)等となっていた。このうち、基幹統計調査についてみると、法人土地・建物基本調査、港湾調査及び建設工事統計調査は業務の一部を都道府県へ委託しており、これらに係る執行額は調査委託費を含む総額で計27億余円と、同省の執行額87億余円の31.4%を占めていた。

図表2-2-8 国土交通省が所管する主な統計調査又は統計関連事業(平成27年度~令和元年度)

(単位:千円)
統計調査又は統計関連事業名 対象年度 予算現額 執行額
法人土地・建物基本調査 平成27~令和元年度 1,883,580 1,798,206
訪日外国人消費動向調査 平成27~令和元年度 1,209,255 1,125,156
自動車輸送統計調査 平成27~令和元年度 1,097,451 996,902
宿泊旅行統計調査 平成27~令和元年度 870,143 830,032
旅行・観光消費動向調査 平成27~令和元年度 545,794 530,097
港湾調査 平成27~令和元年度 513,496 511,615
建設工事統計調査 平成27~令和元年度 468,352 452,482
大都市交通センサス 平成27~29年度 343,422 329,917
幹線鉄道旅客流動実態調査 平成27、28年度 314,275 270,540
国際航空旅客動態調査 平成27~30年度 254,000 249,469
  • 注(1) 国土交通省が所管する統計調査又は統計関連事業について、平成27年度から令和元年度までの予算現額及び執行額をそれぞれ集計し、執行額の大きい順に10件記載している。
  • 注(2) 本図表のうち、業務の一部を都道府県へ委託している基幹統計調査は①、⑥及び⑦であり、執行額は計27億余円となっている。
  • 注(3) 「執行額」欄記載の額のほかに、間接費等の個々の統計調査又は統計関連事業に振り分けられない経費がある。
(ウ) 都道府県における調査委託費の執行状況等

a 都道府県における調査委託費の執行状況

上位5省が平成27年度から令和元年度までに都道府県に交付した基幹統計調査に係る調査委託費の執行状況についてみると、その精算額は、図表2-2-9のとおり、総務省所管の国勢調査の実査年度である平成27年度に609億余円と突出して大きくなっていた。

図表2-2-9 都道府県における調査委託費の執行状況(平成27年度~令和元年度)

(単位:百万円)
省名 平成27年度 28年度 29年度 30年度 令和元年度
交付額 精算額 翌年度以降返納額 交付額 精算額 翌年度以降返納額 交付額 精算額 翌年度以降返納額 交付額 精算額 翌年度以降返納額 交付額 精算額 翌年度以降返納額
総務省 58,935 57,776 1,159 10,712 9,755 956 6,202 5,969 232 10,600 10,123 473 8,737 8,039 697
厚生労働省 2,526 2,382 2,857 2,707 2,710 2,494 2,590 2,367 2,843 2,668
農林水産省 282 204 77 10 8 2 - - - 651 485 165 4,853 4,614 238
経済産業省 460 375 84 448 366 82 1,142 996 145 1,083 955 128 346 265 81
国土交通省 202 197 - 202 198 - 225 214 - 364 311 - 205 199 -
62,407 60,936 14,232 13,036 10,280 9,676 15,290 14,243 16,985 15,787
  • 注(1) 厚生労働省所管の基幹統計調査については、新型コロナウイルス感染症に係る対応等のため、同省において調書を作成することが困難であったことから、一部執行状況の集計の対象としていない(「翌年度以降返納額」欄)。また、同省所管の薬事工業生産動態統計調査の調査委託費については、同様の理由で全て集計の対象としていない。
  • 注(2) 国土交通省は調査委託費を精算払等で処理している。

都道府県に交付された基幹統計調査に係る調査委託費の執行状況について、新型コロナウイルス感染症に係る対応等のため確認することができなかった厚生労働省を除く4省について確認したところ、いずれも交付年度中又は交付の翌年度までに精算を行い、その残額は国庫に返納されていた。

b 都道府県に対する上位5省の実地監査の状況

上位5省は、都道府県に交付する調査委託費の委託要綱等において、調査委託費の経理について実地監査をすることができるとしている。(注21)そして、上位5省による都道府県に対する実地監査の実施状況(注22)をみると、総務省及び経済産業省は毎年度実地監査を行っていた。厚生労働省、農林水産省及び国土交通省は、実地監査を行っておらず、各都道府県から提出される精算報告や添付された証拠書類により確認しているなどとしていた。

(注21) 監査条項を設けていない総務省所管の地方公務員給与実態調査(基幹統計調査。平成30年度のみ交付)及び厚生労働省所管の薬事工業生産動態統計調査を除く。

(注22) 会計実地検査時点で実地監査が終了していた平成27年度から30年度までの4か年度を対象に検査した。

(エ) 統計センターに係る予算の執行状況等

統計センターに係る27年度から令和元年度までの支出予算の執行状況についてみると、5か年度の予算額計492億余円に対して、決算額は計474億余円となっていた。なお、毎年度の収入決算額と支出決算額の差額を含む積立金については、積立金の額に相当する金額から所管大臣の承認を受けた金額を控除した残余の額が国庫に納付されていた。

(2)公的統計の整備に関する業務の実施状況

公的統計の整備に関する業務のうち統計調査が(1)イ(ア)のとおり、統計事業に係る予算の大部分を占めている。また、公的統計の整備に関する業務の一環として公的統計に係るシステム整備が行われており、これについては、第1の3(1)カのとおり、政府統計共同利用システムの整備により効率的なシステム投資や業務の効率化を図ることとされている。このような状況を踏まえて、統計調査の実施状況、公的統計に係るシステム整備等の状況等に着眼して検査した。

ア 統計調査の実施方法

第1の3(1)イ(イ)のとおり、行政機関の長は、基幹統計調査又は一般統計調査を行おうとするときは、法第9条第1項又は第19条第1項の規定に基づき、あらかじめ、総務大臣の承認を受けなければならないこと、承認を受けようとする行政機関の長は、所定の事項を申請書に記載して総務大臣に提出することとなっている。そして、行政機関の長は、総務大臣の承認を受けた基幹統計調査を変更し、又は中止しようとするときは、法第11条第1項の規定に基づき、あらかじめ、総務大臣の承認を受けなければならないこととなっている。

承認要領によれば、基幹統計調査の調査計画に記載する事項は、図表2-2-10のとおり、法第9条第2項各号に掲げる事項であるとされている。

図表2-2-10 基幹統計調査の調査計画に記載する主な事項等

事項 主な記載内容 調査計画に記載された事項の主な具体例(注)
調査の名称 統計調査を行うに当たって称される名称を記載する。 国勢調査
調査の目的 どの基幹統計を作成するために行うのかを記載する。 法第5条第2項の規定に基づき、国勢統計(法第2条第4項第1号に規定する基幹統計)を作成し、国内の人及び世帯の実態を把握し、各種行政施策その他の基礎資料を得ることを目的とする。
調査対象の範囲 統計調査の対象となる母集団の地域的及び属性的な範囲を記載する。 (地域的範囲)
本邦(総務省令で定める島を除く。)
(属性的範囲)
本邦に常住する者(ただし、外国政府の外交使節団・領事機関の構成員等は除く。)
報告を求める個人又は法人その他団体 報告者の数、報告者の具体的な選定の方法、法第13条に規定する報告義務を負う個人又は法人その他の団体を記載する。 (数)
約1億2700万人(約5300万世帯)
(選定の方法)
全数
報告を求める事項及びその基準となる期日又は期間 統計調査によって集められる情報の内容、いつの時点又はどの期間の内容について報告を求めるのかを記載する。 (報告を求める事項)
調査票により、次に掲げる事項を調査する。
ア 氏名
イ 男女の別
ウ 出生の年月 等
(基準となる期日又は期間)
調査実施年の10月1日午前零時現在
報告を求めるために用いる方法 どのような組織を用いて、又は、経由して統計調査を行うのか、調査員調査、郵送調査、オンライン調査、その他の別について明らかにした上で、具体的な実施方法について記載する。 (調査方法)
調査員調査、郵送調査、オンライン調査
報告を求める期間 調査の周期、調査の実施期間又は調査票の提出期限を記載する。 (調査の周期)
5年
(調査の実施期間又は調査票の提出期限)
9月14日~10月20日
  • (注) 調査計画に記載された事項の主な具体例」欄は、令和2年に実施された国勢調査の調査計画を基にしている。

調査計画に記載する調査方法には、調査員調査、郵送調査、オンライン調査等があるが、図表2-2-11のとおりそれぞれに長所及び短所がある。このため、統計調査ごとに、調査対象の範囲等に応じて適当な調査方法が採用されている。

図表2-2-11 各調査方法の長所及び短所

調査方法 長所 短所
調査員調査

・調査票の回収率を確保可能

・調査事項が多少複雑でも調査可能

・質問の内容を相手に理解させることが可能なため正確に記入してもらえる。

・経費がかかる。

・調査員の選任及び指導の事務が必要

・調査対象者が不在の場合、面接できない。

郵送調査

・広い地域にわたる調査が可能

・調査員や特別な調査組織を必要としない。

・面接調査では回答しづらい内容の事項でも調査可能である。

・調査票の回収率が確保しにくい。

・無回答から起こる誤差が大きくなる可能性がある。

・質問の内容を誤解することにより誤回答が多くなる。

オンライン調査(インターネット調査)

・24時間いつでも回答可能となるなど利便性の向上

・面接調査では答えにくい内容の事項でも調査が可能

・厳しいセキュリティ対策が必要

・利用環境が整備されていない調査対象もある

  • (注) 本図表は、統計実務を基に会計検査院が作成した。
イ 統計調査の実施状況

第1の3(2)イのとおり毎勤不適切事案により雇用保険等について追加給付が必要になることに伴って毎勤対応経費が発生していた。また、第1の3(3)のとおり厚生労働省所管の賃金構造調査において調査計画と異なる調査方法で調査を実施したことに伴って都道府県労働局において、統計調査の実施に要する経費を、厚生労働本省から示達されるなどした一般会計の歳出科目ではなく、一般会計と区分経理されている労働保険特別会計の歳出科目から支出するなどの適切でない会計処理が行われていた。

そこで、各府省等が2年3月末現在で実施している50基幹統計調査及び248一般統計調査、計298統計調査について、各府省等及び会計実地検査を行った11都道府県における調査票の集計方法、回収方法等の状況を検査した。検査したところ、次のとおり、国土交通省所管の建設工事受注動態統計調査(以下「受注動態調査」という。)において集計に含めるべきではない過去の調査周期に係る調査票(以下「過去分の調査票」という。)も集計していたり、8統計調査において調査計画で定められていない郵送により調査票の提出を受けていたりするなどの状況が見受けられた。

(ア) 集計に含めるべきではない過去分の調査票の情報も集計していたもの

国土交通省は、建設工事及び建設業の実態を明らかにし、建設行政等に必要な基礎資料を得ることを目的として、建設工事統計調査を実施しており、平成27年度から令和元年度までにおいて計4億5248万余円を執行している。

このうち受注動態調査は、調査計画によると、調査周期を毎月とするもので、全国の約12,000業者を調査対象とした毎月1日から末日までの一月における月間受注高等について、毎月、調査期日(毎月月末)の属する月の翌月10日を提出期限として報告を求めるものとなっている。そして、調査計画によると、都道府県は、受注動態調査の調査組織として、管内の調査対象から提出された紙媒体の調査票を取りまとめて、調査期日の属する月の翌月20日までに同省に送付することとなっている。

しかし、11都道府県において検査したところ、同省は、図表2-2-12のとおり、都道府県に対して、一の調査対象から、所定の提出期限後に過去分の調査票を含んだ複数の調査票がまとめて提出された場合には、過去分の調査票の情報を、提出時点における調査周期の調査票の情報に含めて同省に提出するように指示していた。そして、同省は、過去分の調査票の情報を、調査計画に定められた本来の調査周期ではなく、提出時点における調査周期の調査票の情報に含めて集計していた。

そこで、同省を通じて、過去分の調査票の提出状況を確認したところ、元年5月分から2年3月分までの調査対象数延べ85,093者のうち9,540者(11.2%)については、過去分の調査票の情報を提出時点における調査周期の調査票の情報に含めて提出されていたことが判明した。

このように、調査計画に定められている調査周期と異なる調査周期の調査票の情報を提出時点の調査票の情報に合算して同じ調査周期の調査結果とする集計方法では、実態を示すことができないことから、作成される調査結果は精度が低いものになっていると思料された。

なお、元年12月分の集計以降、同省は、前記の指示を改めて、過去分の調査票を別途提出するように都道府県に対して指示していた。そして、同省は、統計の品質向上の観点から、過去分の調査票について関係機関と集計方法等の見直しを検討して、3年4月分の集計以降、都道府県から別途提出を受けた過去分の調査票について提出時点の調査周期の調査票の情報に含めずに集計している。

(イ) 調査計画に定められていない郵送により調査票の提出を受けるなどしていたもの

a 調査計画に定められていない郵送により調査票の提出を受けるなどしていたもの

第1の3(2)エのとおり、「賃金構造基本統計調査において、調査員調査により実施するとしている配布・回収とも郵送調査により実施していたこと等について」によれば、賃金構造調査において、調査計画では調査員調査と定められているのに郵送調査を実施していたとされている。また、31年の一斉点検では、賃金構造調査のほか、厚生労働省所管の港湾運送事業雇用実態調査(一般統計調査)においても、調査計画と異なる調査方法により調査票を配布して回収していたことが報告されている。

そこで、これら以外にも調査計画に定められた調査方法と各統計調査の実態との整合性が取れていないのに、31年の一斉点検において報告されていないものがないかなどについて11都道府県等において検査したところ、図表2-2-13のとおり、4府省が所管する8統計調査を実施した全ての年度において、調査計画では調査票の提出方法として郵送が定められていないにもかかわらず、調査対象者の要望があった場合等に郵送により調査票の提出を受けるなどしている状況が見受けられた。

図表2-2-13 調査計画に定められていない郵送により調査票の提出を受けるなどしていた統計調査

府省名 統計調査名 統計調査の種別 調査実施年度における調査計画に定められていない郵送により調査票の提出を受けるなどしていたもの
平成27年度 28年度 29年度 30年度 令和元年度
総務省 注(2)
労働力調査
基幹統計調査
総務省 就業構造基本調査 基幹統計調査
総務省 社会生活基本調査 基幹統計調査
総務省 注(3)
小売物価統計調査
基幹統計調査
厚生労働省 注(2)注(4)
毎月勤労統計調査
基幹統計調査
国土交通省 港湾調査 基幹統計調査
内閣府 青少年のインターネット利用環境実態調査 一般統計調査
厚生労働省 公的年金加入状況等調査 一般統計調査
  • 注(1) 「○」は調査計画に定められていない郵送により調査票の提出を受けるなどしていた年度を、「/」は調査を実施していない年度をそれぞれ示している。
  • 注(2) 新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、郵送調査を実施できるよう、労働力調査については令和2年3月、毎月勤労統計調査については同年7月に、調査計画をそれぞれ変更している。
  • 注(3) 小売物価統計調査については、郵送により調査票の提出を受けている他の7統計調査と異なり、調査計画において都道府県の職員が調査店舗の事業主に価格について質問することにより調査票の作成を行うとされているが、調査店舗のウェブサイトに掲載されている情報を調査票に入力するなどすることにより調査を行っていたものである。
  • 注(4) 毎月勤労統計調査については、第二種事業所への調査及び特別調査で見受けられたものである。

上記について事例を示すと、次のとおりである。

<事例> 調査計画に定められていない郵送により調査票の提出を受けていたもの(労働力調査)

総務省は、国民の就業及び不就業の状態を明らかにするための基礎資料を得ることを目的として、労働力調査を実施し、その結果に基づき労働力統計を作成している。

労働力調査は、全国の国勢調査調査区から選定された約2,900の調査区に居住している約4万世帯の調査世帯を2か年にわたり同一の2か月間調査することなどによって、15歳以上人口の就業・不就業状態等を毎月調査するものである。そして、調査計画によれば、調査票は、都道府県知事から任命された統計調査員が各調査世帯を訪問して配布及び回収を行うことなどとされている。

しかし、11都道府県において検査したところ、平成27年度から令和元年度までの間の労働力調査において、郵送により調査票の提出を受けており、調査計画に定められていない方法で実施していた。そして、元年度に実施した労働力調査において提出を受けた調査票のうち、郵送により提出を受けたものの割合を都道府県別にみると、最も低い都道府県において22,584件中487件で2.1%、最も高い都道府県において6,954件中2,029件で29.1%、11都道府県の計で193,290件中31,042件で16.0%となっていた。

上記検査の結果等について、前記の4府省に対して見解を徴したところ、総務省は、賃金構造調査のように調査計画と異なる調査方法により調査票の配布及び回収を行っていたものとは異なり、調査票の配布については統計調査員が実施しており調査計画を遵守していることから、調査計画の変更までは要しないとしていた。また、内閣府、厚生労働省及び国土交通省は、公的統計における政府横断的な調整を行う総務省政策統括官に、調査計画の変更手続が必要なのか確認したところ、変更を要しない旨の回答を得たとしていた。

そこで、会計検査院において改めて総務省政策統括官の見解を徴したところ、原則として調査計画に基づいた調査方法で調査票の回収等を行う必要があるが、調査計画における調査方法に郵送調査が定められていないなどの場合であっても、報告者の要望若しくは事情又は調査員の事故等により郵送で調査票の提出を受けるなどのやむを得ない場合には、調査計画の変更を要しないとしている。しかし、やむを得ない場合であっても、「経常的かつ一定の規模」で調査計画と異なる方法により調査票の回収が行われている場合には、調査計画の記載等の適正化を求めていくことも想定されるとしている。

そして、前記のとおり、8統計調査を実施した全ての年度において郵送により調査票の提出を受けるなどしていたこと、また、元年度に実施した労働力調査(基幹統計調査)において、提出を受けた調査票のうち、郵送により提出を受けた調査票の割合は16.0%となっていたことを踏まえると、8統計調査については「経常的」に行われていた可能性があり、特に、そのうち労働力調査については、それが「一定の規模」で行われていた可能性がある。

上記の状況を踏まえ、総務省政策統括官においては、調査計画と異なる調査方法により調査を行っている実態が常態化していないか、今後、各府省等が実施する統計調査について、調査方法等の実態把握を行い、調査計画の変更又は調査方法等の見直しが想定されるなどの事態が見受けられた場合には、その結果を踏まえ、適正化に努める必要がある。

b 調査計画に定められていない郵送により調査票の提出を受けていた統計調査に係る会計経理上の影響

aの調査計画に定められていない郵送により調査票の提出を受けるなどしていた8統計調査のうち、総務省所管の労働力調査、就業構造基本調査(基幹統計調査)及び社会生活基本調査(基幹統計調査)、厚生労働省所管の毎勤調査並びに国土交通省所管の港湾調査の5統計調査(注23)については、都道府県に対して、実査を委託するとともにこれに係る経費を調査委託費として交付している。調査計画に定められていない郵送により調査票の提出を受けていたことによって、実査に係る費用にどのような影響があったかなどについてみるために、調査委託費の検査を行ったところ、次のような状況となっていた。

各省から都道府県に交付されている調査委託費の会計処理については、調査委託費ごとに定められた委託要綱等に基づいて実施されており、各省は調査委託費の額を費目ごとに決定した上で、区分経理させるなどしていた。

(注23) 調査計画に定められていない郵送により調査票の提出を受けるなどしていた8統計調査のうち、内閣府所管の青少年のインターネット利用環境実態調査(一般統計調査)及び厚生労働省所管の公的年金加入状況等調査(一般統計調査)については、都道府県に対して実査を委託していないため調査委託費が交付されておらず、また、総務省所管の小売物価統計調査(基幹統計調査)については、aで記載した事態は都道府県職員がウェブサイトを閲覧することによって調査していたものであり、これによって新たな調査委託費を要するものではないことから、分析の対象としていない。

平成27年度から令和元年度までの間に交付された調査委託費の内訳をみると、総務省及び厚生労働省所管の4統計調査では、各統計調査の精算額計に占める統計調査員等の手当に係る費目の割合が62.3%から83.5%となっており、調査委託費の大きな割合を占めていた。また、国土交通省所管の港湾調査では、精算額計に占める都道府県から管内の港湾管理を実施する市町村等への委託料の割合が、42.8%から51.0%となっており、調査委託費の大きな割合を占めていた。そして、統計調査員等の手当は、都道府県において調査員を雇用する場合には謝金として、市町村等の委託先において雇用する場合には委託料の一部として支出されるなどしていた(平成27年度から令和元年度までの5統計調査における調査委託費の精算額の内訳については別図表12参照)。

調査計画に定められていない郵送により調査票の提出を受けていたことに伴い会計経理にどのような影響が生じているかについて、調査委託費を構成する個々の費目をみたところ、郵送に係る費目において当初交付額を上回る精算額となっており、調査委託費の交付時点において見込まれていない費用が生じている可能性があるものが見受けられた。これについては、前記の委託要綱等に従い必要に応じて流用申請等の手続をとった上で、他の費目で生じた節減額を流用するなど所定の手続に従って処理されていた。そして、調査委託費ごとの合計額でみると、5統計調査はいずれも最終的な交付額の範囲内となっており、委託要綱等で認められていない異なる調査委託費の間で流用を行ったり、必要な手続をとることなく費目間の流用を行ったりしているような事態は見受けられなかった。

また、調査員手当等の統計調査員に係る経費についてみたところ、統計調査員による調査を一切行うことなく郵送により調査票の提出を受ける方法のみを実施していたのではなく、統計調査員による調査と郵送により調査票の提出を受ける方法を併用していたこともあり、統計調査員等の手当に係る費目の精算額が当初交付額を著しく下回っているなどの状況は確認した範囲では見受けられなかった。

(ウ) 毎勤調査の実施状況等

第1の3(2)イのとおり、厚生労働省は、毎勤調査について、東京都における「500人以上規模の事業所」を全数調査とすべきところ抽出して調査を実施させていたことなどが判明したとしている。また、同省は、大阪府及び神奈川、愛知両県に対して、平成31年1月分調査から「500人以上規模の事業所」を抽出して調査する内容の通知を発出し、全数調査とすべき「500人以上規模の事業所」を抽出して調査しようとしていたとされている。

そこで、東京都、大阪府、神奈川県及び愛知県の4都府県における調査の実施状況等について検査したところ、次のような状況となっていた。

a 東京都の状況

前記のとおり、厚生労働省は、毎勤調査について「500人以上規模の事業所」を全数調査とすべきところ抽出して調査を実施させていたことなどが判明したとしている。同省大臣官房統計情報部が隔年で改訂する「毎月勤労統計調査抽出替えに伴う事務取扱要領」(以下「毎勤事務取扱要領」という。)を確認したところ、東京都における「標本調査」(注24)とした理由として、図表2-2-14のとおり、改訂の翌年となる16年から26年までの間に実施した調査について、東京都内の「500人以上規模の事業所」を「標本調査」とする記載が見受けられた。

(注24)
「標本調査」  調査の対象全体の中から一部を抽出して、この抽出した部分のみ調査し、その結果から全体について値を推定しようとする調査

また、上記の期間における毎勤事務取扱要領には「規模500人以上事業所は、東京都に集中しており(約4分の1)、全数調査にしなくても精度が確保できるためである。」とその根拠が明記されており、統計の精度が維持できるとされていた。

図表2-2-14 毎勤事務取扱要領における「標本調査」とした理由の記載の変遷

改訂年月 対象期間 「標本調査」とした理由
平成13年 8月 14年~15年
15年 7月 16年~18年 従来から規模500人以上事業所は全数調査としていたが、今回は東京都に限って一部の産業で標本調査とした。
18年 7月 19年~20年 従来から規模500人以上事業所は全数調査としていたが、前回より東京都に限って一部の産業で標本調査としている。
20年 4月 21年~23年 従来から規模500人以上事業所は全数調査としていたが、平成16年より東京都に限って一部の産業で標本調査としている。
23年 4月 24年~26年 従来から規模500人以上事業所は全数調査としていたが、平成16年より東京都に限って一部の産業で標本調査としている。
26年 4月 27年~
  • 注(1) 「一部の産業」とは、「標本調査」でも標本数が足りると厚生労働省が判断した、日本標準産業分類で定める分類項目であり、東京都においては建設業等が該当する。
  • 注(2) 「-」は毎勤事務取扱要領に「標本調査」とした理由の記載がないものである。
  • 注(3) 下線は、記載の内容に変更があった箇所を示すために、会計検査院が付したものである。

一方、調査計画の記載を確認したところ、毎勤不適切事案が発覚する直前である29年2月に承認された調査計画では、「500人以上規模の事業所」について全数調査とすると明記されており、東京都のみ「500人以上規模の事業所」を抽出して調査することについては記載されていなかった。

b 大阪府及び神奈川、愛知両県の状況

前記のとおり、厚生労働省は、大阪府及び神奈川、愛知両県に対して、31年1月分調査から「500人以上規模の事業所」を抽出して調査する内容の通知を発出し、全数調査とすべき「500人以上規模の事業所」を抽出して調査しようとしていたとされている。

3府県において検査したところ、3府県は、上記の通知において、調査対象事業所を決定するために事前に実施する予備調査についても抽出された事業所を対象として調査を行うこととされていたことから、これに沿って予備調査を行い、30年10月までに予備調査を完了していた。その後、毎勤不適切事案が発覚する前の同年12月に、厚生労働省は、「500人以上規模の事業所」について抽出による調査ではなく全数調査とするために、予備調査についてもこれに対応して抽出された事業所だけでなく全事業所を対象とするよう追加の予備調査を実施することを求める通知を3府県に対して発出しており、結果的に東京都以外の道府県は、「500人以上規模の事業所」について全数調査を行っていた。

しかし、令和2年10月末に厚生労働省に対して、3府県が行った全数調査の結果が適正に集計結果に反映されているか確認したところ、同省は、「500人以上規模の事業所」について全数調査とする取扱いに戻した後、全ての調査票を回収していたのに、3府県の79事業所に係る調査票を集計に含めておらず、集計誤りが生じていたことが判明した。

なお、上記の状況については、その後、同年11月5日に「毎月勤労統計調査(全国調査)」における公表結果の訂正等について」として公表されている。

c 毎勤不適切事案の影響を受けた経済指標、統計指標等に係る調査

厚生労働省は、毎勤不適切事案に伴う毎月勤労統計の訂正が生ずることを踏まえて、内閣官房副長官補室の参事官を通じて、全府省等に対して、毎月勤労統計の影響を受けた経済指標、統計指標等に係る調査を行い、各府省等の11の経済指標、統計指標等について修正等の必要があることを把握していた(毎勤不適切事案の影響を受けた経済指標、統計指標等に係る所管府省等による対応状況については別図表13参照)。

なお、上記調査の対象に含まれていなかった日本銀行への影響について確認したところ、同行が公表している需給ギャップと潜在成長率及び企業向けサービス価格指数について、同行は、厚生労働省から情報の提供を受けることなく、同省が公表する毎月勤労統計の再集計値の情報を自らウェブサイトで入手の上、修正していた。

d 毎勤不適切事案以外の毎勤調査における不適切な事務処理

毎勤不適切事案発覚後の元年10月、厚生労働省は、「大阪府において判明した「毎月勤労統計調査」を担当する統計調査員による不適切な事務処理事案を踏まえた全国点検の結果について」を公表した。この公表資料によると、大阪府において毎勤調査を担当する統計調査員2名が平成26年1月分から令和元年6月分までについて不適切な事務処理を行っていたとしており、これを踏まえた集計結果の訂正は同年8月に公表されたとしている。また、上記の公表資料によると、厚生労働省は、同事案を踏まえて、同府を除く全ての都道府県に対して同様の事案がないか点検を依頼した結果、奈良県においても同種の事態が確認されたとしている。

これらの大阪府及び奈良県での不適切な事務処理を踏まえて、毎月勤労統計は訂正されている。そこで、同訂正に伴い生じた経費について厚生労働省に確認したところ、同省は、労災保険に関して、3,258人について計343,245円の追加給付が生ずるとしており、このうち、3年1月末現在で2,981人に対して計299,787円支払っていた。なお、雇用保険、船員保険及び雇用調整助成金の追加給付については発生していなかった。

(エ) オンライン調査の実施状況

第1の3(2)アのとおり、オンライン調査は、電子メールを含むインターネット等を用いて調査票の配布・取集を行うものであるが、オンライン調査を実施する場合の具体的な方法としては、主に、①オンライン調査システム、②電子政府の総合窓口(e-Gov)、③電子メール及び④インターネット上に設けたウェブサイト(回答ページ)がある。

第Ⅲ期基本計画において、統計調査を取り巻く環境が一層厳しさを増す中、オンライン調査の導入や導入後のオンライン回答率の向上は、報告者の負担軽減・利便性の向上、調査票の回収率・記入率の向上を通じた正確性確保への寄与や統計調査業務の効率化の実現に向けた有効な手段と位置付けられており、総務省政策統括官は、毎年度、各府省等の基本計画の推進状況を確認している。

そして、「オンライン調査の推進に関する行動指針」(平成27年オンライン調査推進会議申合せ。以下「オンライン推進指針」という。)によると、各府省等は、オンライン調査の導入促進や導入後のオンライン回答率の向上に取り組むなどとされている。

そこで、各府省等が実施している統計調査におけるオンライン調査の実施状況を検査したところ、図表2-2-15のとおり、50基幹統計調査、248一般統計調査、計298統計調査のうち、元年度末時点において、オンライン調査が導入されている統計調査は、それぞれ47基幹統計調査、208一般統計調査、計255統計調査となっており、全体の85.5%は既にオンライン調査が導入されていた。

一方、上記の255統計調査について、統計調査ごとに、調査票の回収総数に対するオンライン調査による回答数の割合をみると、同割合が50%に満たない統計調査が158統計調査となっており、このうち10%に満たない統計調査が59統計調査となっていた。そして、59統計調査のうち、オンライン調査の導入から少なくとも5回以上調査が実施されているものが22統計調査あり、当該統計調査の実施の間においてオンライン調査による回答率は低調となっていた。

これらのオンライン調査による回答率が低調となっている理由について、各府省等によると、個人を調査対象とする統計調査において、オンライン調査に必要な電子機器を保有していないといった調査対象側の環境が未整備であることやオンライン調査による回答に対する調査対象側の心理的抵抗があることなどとしている。各府省等において、引き続き、オンライン推進指針に基づいてオンライン調査に係る回答率の向上を図るよう努めることが望まれる。

図表2-2-15 各府省等が実施している統計調査におけるオンライン調査の実施状況

府省等名 統計調査数 オンライン調査が導入されている統計調査数 調査票の回収総数に対するオンライン調査による回答数の割合
50%未満の統計調査数 10%未満の統計調査数
オンライン調査導入からの実施回数
5回以上の統計調査数 2~4回の統計調査数 1回の統計調査数
基幹 一般 基幹 一般 基幹 一般 基幹 一般 基幹 一般 基幹 一般 基幹 一般
人事院 4 - 4 1 - 1 1 - 1 - - - - - - - - - - - -
内閣府 14 - 14 12 - 12 8 - 8 1 - 1 1 - 1 - - - - - -
総務省 21 12 9 20 11 9 16 10 6 2 2 - - - - 2 2 - - - -
法務省 1 - 1 1 - 1 - - - - - - - - - - - - - - -
財務省 7 2 5 6 2 4 4 2 2 1 - 1 - - - - - - 1 - 1
文部科学省 20 4 16 19 4 15 3 - 3 2 - 2 1 - 1 1 - 1 - - -
厚生労働省 76 7 69 48 5 43 28 2 26 8 - 8 2 - 2 4 - 4 2 - 2
農林水産省 46 7 39 46 7 39 34 6 28 25 4 21 11 2 9 9 - 9 5 2 3
経済産業省 28 6 22 28 6 22 18 4 14 6 - 6 - - - 1 - 1 5 - 5
国土交通省 63 9 54 59 9 50 38 6 32 13 2 11 6 1 5 4 1 3 3 - 3
環境省 8 - 8 7 - 7 2 - 2 - - - - - - - - - - - -
共管分 10 3 7 8 3 5 6 3 3 1 - 1 1 - 1 - - - - - -
298 50 248 255 47 208 158 33 125 59 8 51 22 3 19 21 3 18 16 2 14
  • 注(1) 令和2年3月末時点で行われている統計調査を対象にしている。
  • 注(2) 本図表において、「基幹」欄は基幹統計調査を、「一般」欄は一般統計調査を表している。

また、オンライン調査が導入されていない統計調査のうち、検査実施時点においてオンライン調査の実施を検討しておらず今後もオンライン調査を実施するかどうかが未定であるものが18統計調査あった。その理由についてみると、調査対象が高齢者であるなどオンライン調査が不向きなものであるためとしているものが10統計調査、調査内容が調査対象と対面によって調査する必要があり、オンライン調査が不向きなものであるためとしているものが3統計調査等となっていた(オンライン調査において、各府省等が利用しているシステムに着眼した検査結果については後掲第2の2(2)ウ(ア)b(b)参照)。

ウ 政府統計共同利用システム等の整備、利用等の状況
(ア) 政府統計共同利用システム

a 政府統計共同利用システム全体の運用管理の状況

政府統計共同利用システムの運営に係る費用は、政府統計共同利用システム基本規程(平成20年統計調査等業務最適化推進協議会決定)に基づき、構成府省(注25)及び承認機関(注26)が負担する利用料金等(注27)により賄われることとなっている。上記の利用料金は、図表2-2-16のとおり、統計関係職員数や統計調査数の規模に応じるなどして算定されている。

(注25)
構成府省  「統計調査等業務最適化推進協議会について」(平成18年各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)において統計調査等業務最適化推進協議会の構成員となっている府省等
(注26)
承認機関  政府統計共同利用システムの利用料金を負担して利用機関となることについて統計調査等業務最適化推進協議会の承認を得た機関

(注27) 利用料金以外には、総務省が統計センターに支払っている事業所母集団データ整備等に係る費用(平成27年度~令和元年度計45億6776万余円)がある。

そして、平成27年度から令和元年度までに政府統計共同利用システムの運営に係る費用のうち、システムの運用・保守に要する経費として構成府省及び承認機関が負担した利用料金(注28)は、計37億6976万余円となっている(構成府省及び承認機関が負担した利用料金の詳細については別図表14参照)。

(注28) 総務省以外の各構成府省が負担する利用料金は、総務省自身の負担する利用料金とともに同省の予算に一括計上されており、同省は、統計センターとの間で締結した契約に基づき支払を行っている。また、承認機関(日本銀行)は、統計センターとの間で締結した契約に基づき、負担する利用料金計2507万余円を統計センターに直接支払っている。

構成府省及び承認機関は、上記の利用料金を負担することで、図表1-7の13サブシステムによる各種情報及び機能の提供等のサービスを利用していた(13サブシステムの機能等については別図表15参照)。

また、各サブシステムにおいて蓄積している統計表、統計情報データベース等に係るデータを記録するための領域(以下「ストレージ」という。)は、サブシステムごとのストレージ容量及びデータ量を把握できる仕様とされておらず、政府統計共同利用システム全体で共有する仕様として設計されていた。

そこで、統計センターにおいて、政府統計共同利用システム全体のストレージ容量及びデータ量について検査したところ、元年度末時点のストレージ容量は62.3TB(テラバイト)、データ量は14.8TB(ストレージ容量に対するデータ使用率23.7%)であり、ストレージには容量の約7割の空き容量がある状況となっていた。

そして、ストレージ容量の推移について検査したところ、統計センターは、平成30年1月にデータベースへのアクセスの高速化を図るなどのために、システムの基盤を更新したことにより、付随的にストレージ容量を増加したとしており、29年12月以前のストレージ容量は21.7TB(28年度末時点のデータ量は8.2TB。同時点のストレージ容量に対するデータ使用率37.7%)であった。

なお、統計センターは、今後、オンライン調査、統計情報のデータベース化、業務統計のe-Statへの登録等の推進等によって、ストレージの空き容量の活用を行うとしている。

b 政府統計共同利用システムの各サブシステムの整備、利用等の状況

(a) e-Stat等8サブシステムの整備、利用等の状況

総務省は、各府省等が公表する統計データ、公表予定、新着情報、調査票項目情報等の各種統計情報について、広く国民がインターネットを通じて利用できるようにするために、ワンストップで提供することを実現するためのポータルサイトとしてe-Statを整備している。そして、国民等の統計利用者は、図表1-7のとおり、e-Stat上において、e-Stat等8サブシステム(注29)の機能やこれらに蓄積された情報を利用することができる。

(注29)
e-Stat等8サブシステム  e-Stat、標準地域コード管理システム、調査項目データベース、統計表管理システム、統計情報データべース、地域統計分析システム、統計地理情報システム及び統計分類データベースの8サブシステム(図表1-7及び別図表15の①~⑧

統計センターにおいて、e-Stat等8サブシステムに関連するe-Stat上のページアクセス等の件数を確認したところ、令和元年度の件数は平成30年度に比べて、ほとんどの項目において増加していた(e-Stat等8サブシステムに関連するe-Stat上のページアクセス等の件数の推移については別図表16参照)。

ただし、統計センターによると、これらの件数の増減要因は、統計利用者における分析の傾向の変化やe-Stat上で提供された統計情報に対する各統計利用者の関心の差異といった、e-Stat上で提供している機能や情報の追加等とは別の影響を受けているとしていた(e-Statの登録及び利用状況に着眼した検査結果については後掲第2の4(2)参照)。

(b) オンライン調査システムの整備、利用等の状況

総務省は、国民、企業等を対象とする統計調査をオンライン調査により行う手段の一つとしてオンライン調査システムを整備している。最適化計画によれば、国民、企業等を対象とする統計調査をオンラインにより行う場合には、オンライン調査システムを利用することとされているが、円滑な事務の遂行及び費用対効果の観点から、電子メール等を利用することもやむを得ないとされている。ただし、そのような統計調査においても、調査の実施に当たっては、引き続きオンライン調査システムの利用可能性について検討することとされている。

そこで、各府省等において、27年度から令和元年度までに国民、企業等を対象とする統計調査をオンライン調査により行った50基幹統計調査、228一般統計調査、計278統計調査に係るオンライン調査システムの利用状況を検査したところ、オンライン調査システムを利用していなかったものは174統計調査(278統計調査の62.5%)となっていた。また、上記の174統計調査におけるオンライン調査の方法について検査したところ、総務省が運用する電子政府の総合窓口(e-Gov)の電子申請システムを利用していたものは18統計調査(174統計調査の10.3%)、電子メールを利用していたものは102統計調査(同58.6%)、各府省等の既存システムを利用していたものは13統計調査(同7.4%)、調査を委託するなどして民間事業者のシステムを利用するなどしていたものは61統計調査(同35.0%)となっていた(オンライン調査システムの利用状況の詳細については別図表17参照)。

さらに、オンライン調査システムを利用していなかったものについて主な理由を確認したところ、オンライン調査システムの利用の検討にとどまっていたり、既に別の手段でオンライン調査を行っていたためオンライン調査システムの利用を検討していなかったりしていたものが見受けられた。

(c) 調査員管理システムの整備、利用等の状況

総務省は、地方公共団体における登録調査員(注30)に関する情報の効率的かつ適切な管理、統計調査員等の選任等に際しての当該データの有効活用等に資することを目的として、調査員管理システムを整備している。調査員管理システムは、図表2-2-17のとおり、調査員基本情報(調査員の氏名等)、調査従事実績情報等を登録して管理することができるシステムであり、地方公共団体において任意に利用できるものとされている。地方公共団体の担当職員が調査員管理システムを利用するに当たっては、地方公共団体の課室管理者ユーザにより、調査員管理システムのアクセス権が付与された一般ユーザ(注31)のID(以下「アクセス権付与ID」という。)が発行されることが必要となる。

(注30)
登録調査員  地方公共団体が、公募、推薦その他の方法により募集した、国の統計調査に係る統計調査員希望者の中から選考し、当該希望者の同意を得て登録した者
(注31)
一般ユーザ  利用機関(各府省等、地方公共団体、日本銀行等)において、政府統計共同利用システムを使用する者。使用が許可されたシステムを用いて、設定されたアクセス権限の範囲内で各種操作を行うことができる。

統計センターにおいて、地方公共団体におけるアクセス権付与IDの発行状況を検査したところ、1,724地方公共団体(注32)のうち25道府県及び287市区町村の計312地方公共団体(18.0%)でアクセス権付与IDが発行されていた。

(注32)
1,724地方公共団体 47都道府県及び1,741市区町村の計1,788地方公共団体から、令和元年6月から管内市町村との間で調査員管理システムを相互利用する業務体系を構築した埼玉県及び同県管内63市町村の計64地方公共団体を除いたもの

そして、312地方公共団体のうち5道府県及び43市区町の計48地方公共団体において、調査員管理システムの利用状況を検査したところ、調査員管理システムを利用して調査員名簿の管理等を行っていると認められる地方公共団体は、1府及び5市町の計6地方公共団体(12.5%)となっていて、調査員管理システムの利用が低調となっていた(地方公共団体における調査員管理システムの利用状況の詳細については別図表18参照)。

また、アクセス権付与IDが発行されていない5都府県及びアクセス権付与IDが発行されているものの調査員管理システムを利用しているとは認められない4道県の計9都道府県において、調査員管理システムを利用していない理由や調査員名簿の管理等の方法を確認したところ、次のとおりとなっていた。

すなわち、上記の9都道府県は、調査員管理システムの運用開始以前から独自に調査員名簿の管理等を行う業務体系を整備していたり、各府省等へ報告する調査員名簿等の様式が各府省等によって区々になっていたり、個人情報保護の観点から調査員情報を他の機関や他の課室と共有することに抵抗があったりするなどのため、調査員管理システムを利用せずに表計算ソフト等の汎用ソフトウェアや独自に開発した情報システムにより調査員名簿の管理等を行っていた。

総務省においては、調査員管理システムの利用状況が低調であることや、上記のような調査員管理システムを利用していない理由を踏まえて、地方公共団体への連絡調整会議等を通じて実情や課題を把握することにより、調査員管理システムの見直しも含めた今後の方策について速やかに検討する必要がある。

(イ) 各府省等が独自に整備した政府統計関係情報システム

各府省等は、各府省等が独自に整備した政府統計関係情報システムについて、最適化計画に基づき、政府統計共同利用システムと連携するために必要となるシステムの改修等の必要な措置を講ずることとしている。また、政府統計共同利用システムの整備状況を踏まえつつ、政府統計共同利用システムと重複又は類似する機能について、必要に応じて廃止その他の見直しを行うこととしている。

各府省等において検査したところ、各府省等が独自に整備した政府統計関係情報システムは元年度末現在で計121システムあり、このうち、2年度以降も継続して運用することとしているものが67システム、政府統計共同利用システム等に移行済み又は廃止済みのものが51システム及び政府統計共同利用システム等に移行予定又は廃止予定のものが2システムとなっていた(各府省等が独自に整備した政府統計関係情報システムの状況の詳細については別図表19参照)。

(3)毎勤不適切事案によって発生した雇用保険等の追加給付の実施状況等

厚生労働省は、毎勤不適切事案により、第1の3(2)イのとおり、雇用保険等について必要となる追加給付費等及び毎勤対応経費の見込額(以下「厚労省見込額」という。)を発表している。

厚生労働省において、厚労省見込額に対する支出済額の内容を検査したところ、図表2-2-18のとおり、厚労省見込額に対する支出済額のうち雇用保険等の追加給付費等は3年3月末時点で395億余円(追加給付額373億余円、加算額21億余円)、毎勤対応経費は79億余円(元年度分)、計475億余円となっていた。

図表2-2-18 厚労省見込額に対する支出済額

(単位:千円)
費目 雇用保険 労災保険 船員保険 雇用調整助成金
追加給付費等(令和3年3月末時点)
追加給付額 17,731,508 17,164,021 1,407,237 1,076,139 37,378,907
加算額 1,147,164 896,855 78,325 48,771 2,171,117
18,878,673 18,060,876 1,485,563 1,124,911 39,550,025
毎勤対応経費(令和元年度分) 6,872,031 578,529 97,554 414,363 7,962,478
合計 25,750,704 18,639,406 1,583,118 1,539,274 47,512,504

そして、厚生労働省、日本年金機構及び全国健康保険協会において毎勤不適切事案によって発生した雇用保険等の追加給付等に対する対応等が適切に行われているか、各府省等及び都道府県において厚労省見込額には含まれていない費用等が生じていないか検査したところ、次のような状況となっていた。

ア 毎勤不適切事案によって発生した雇用保険等の追加給付の実施状況

厚生労働省は、第1の3(2)イのとおり、毎勤不適切事案によって雇用保険等の追加給付が必要となったため、通常の給付と同様に、被保険者等から徴収した雇用保険分の保険料等を基に運用している労働保険特別会計予算等を財源にして(注33)、平成31年2月4日に追加給付のスケジュールを公表し、同年3月15日に「追加給付業務に係る留意事項」等を発出して、追加給付を開始している。

(注33) 雇用保険のうち早期再就職支援基金事業に係る給付金の追加給付については、通常の給付と同様に、一般会計予算を財源にしている(令和3年3月末時点での支出済額は18,775,205円)。

厚生労働省において、雇用保険等の追加給付の実施状況をみたところ、令和3年3月末時点では、図表2-2-19のとおり、雇用保険、労災保険及び船員保険の追加給付の人数並びに追加給付費等は、それぞれ延べ13,405,875人、188億7867万余円(平成31年1月末時点における追加給付の試算額に占める割合63.8%)、延べ347,339人、180億6087万余円(同70.7%)及び延べ10,279人、14億8556万余円(同85.8%)、雇用調整助成金の追加給付の対象件数及び追加給付費等は、延べ170,334件、11億2491万余円(同34.7%)であり、これらの追加給付費等の合計は、395億5002万余円(同65.8%)であった。

厚生労働省によれば、雇用保険等の追加給付については、追加給付のスケジュールどおり支払を順次行っており、令和5年までに対応していくとしている。

図表2-2-19 平成31年1月末に厚生労働省が示した雇用保険等の追加給付費等の試算及び令和3年3月末時点の追加給付の実施状況

給付内容 平成31年1月末時点(厚生労働省試算)
追加給付の対象となる延べ人数又は件数
(A)
追加給付費等
(千円)
(B)=(C)+(D)
 
追加給付額
(千円)(C)
加算額
(千円)(D)
雇用保険 19,421,053人 29,544,937 27,563,440 1,981,497
労災保険 720,000人 25,511,627 24,090,846 1,420,781
船員保険 10,756人 1,729,964 1,643,465 86,499
雇用調整助成金 303,530件 3,234,881 3,061,305 173,576
60,021,409 56,359,056 3,662,353
 
給付内容 令和3年3月末時点
追加給付された延べ人数又は件数
(E)
追加給付費等
(千円)
(F)=(G)+(H)
  対応済の人数又は件数の割合(%)(E)/(A) 平成31年1月末時点における追加給付費等の試算額に占める割合(%)(F)/(B)
追加給付額
(千円)(G)
加算額
(千円)(H)
雇用保険 13,405,875人 18,878,673 17,731,508 1,147,164 69.0 63.8
労災保険 347,339人 18,060,876 17,164,021 896,855 48.2 70.7
船員保険 10,279人 1,485,563 1,407,237 78,325 95.5 85.8
雇用調整助成金 170,334件 1,124,911 1,076,139 48,771 56.1 34.7
39,550,025 37,378,907 2,171,117 65.8
イ 厚生労働省等における毎勤対応経費等の状況

(ア) 厚生労働省等における毎勤対応経費の状況

厚生労働省は、図表1-9のとおり、厚労省見込額を約195億円(うち元年度分約96億円)としている。そして、厚労省見込額に対する支出済額のうち元年度末時点における毎勤対応経費は、図表2-2-18で示したとおり79億6247万余円であるが、これを費目別でみると、図表2-2-20のとおり、633万余円から35億8887万余円となっていた。

図表2-2-20 厚労省見込額に対する支出済額のうち毎勤対応経費の内訳(令和元年度末時点)

(単位:千円)
給付内容 費目
追加給付の連絡等に要する郵送費等 コールセンター運営費 追加給付に必要となるシステム改修等 台帳確認等に要する人件費 その他(周知費用等)
雇用保険による支出済額 3,032,283 528,376 1,399,701 1,911,451 218 6,872,031
労災保険による支出済額 154,788 82,797 289,179 49,043 2,721 578,529
船員保険による支出済額(注) 1,592 60,200 32,363 3,397 97,554
雇用調整助成金による支出済額 400,212 14,151 414,363
3,588,876 671,374 1,721,243 1,974,646 6,337 7,962,478
  • (注) 船員保険に係る毎勤対応経費については、全国健康保険協会からの支出であり、その財源には労働保険特別会計の労災勘定から交付される職務上年金給付費等交付金が充てられる。当該年度の交付額に過不足が生じた場合には、翌々年度に精算される(一部、平成30年度支出分が含まれている。)。

(イ) 毎勤対応経費に充てるために厚生労働省において捻出したとされる財源

雇用保険及び雇用調整助成金における通常の保険給付に要する経費は労働保険特別会計雇用勘定から、労災保険及び船員保険における通常の保険給付に要する経費は労働保険特別会計労災勘定からそれぞれ支出されている。そして、厚生労働省は、今回の毎勤対応経費も、通常の保険給付と同様に労働保険特別会計の両勘定から支出することとしており、そのための財源については、既定の経費の節減により捻出を行うことによって確保していくとしている。

そこで、毎勤対応経費に充てるために捻出したとされる財源を検査したところ、図表2-2-21のとおり、システム改修経費や庁舎新営の繰延等が含まれており、これらは元年度には支出されないものの、後年度において支出することが見込まれる経費であった。

図表2-2-21 毎勤対応経費に充てるために捻出したとされる財源(平成30年度末時点)

(単位:千円)
給付内容 費目 金額
雇用保険 システム改修経費の削減 3,846,902
拠点新設等の抑制 1,760,000
手続の合理化の体制整備による削減 3,284,460
雇用保険相談員の削減 4,164,297
雇用保険事業用印刷費におけるリーフレットの削減 1,476,025
庁舎新営の繰延等 3,084,046
17,615,730
労災保険
船員保険
システム改修経費(注) 1,391,641
雇用調整助成金 令和2年度から5年度までの相談員の削減 904,288
合計 19,911,659
  • (注) 厚生労働省は、船員保険に係る経費は、労働保険特別会計からの繰入で賄われており、労働保険特別会計において既定の経費を削減することにより、船員保険の追加給付に要する経費に充てることとしている。
ウ 厚労省見込額には含まれていない費用等の状況

毎勤不適切事案に関して、各府省等及び都道府県において、厚労省見込額には含まれていない費用等がないか検査したところ、次のような状況となっていた。

すなわち、厚生労働省において、雇用保険等の追加給付の対応に要する費用が、図表2-2-22のとおり、平成30年度支出済額で計2億8944万余円見受けられた。

図表2-2-22 雇用保険等の追加給付の対応に要する費用の支出済額(平成30年度決算額。厚労省見込額には含まれていない費用)

(単位:千円)
給付内容 費目
追加給付の連絡等に要する郵送費等 コールセンター運営費 追加給付に必要となるシステム改修等 台帳確認等に要する人件費
雇用保険による支出済額 125,378 32,270 6,715 164,364
労災保険による支出済額 1,118 118,119 119,238
船員保険による支出済額(注) 5,842 5,842
1,118 249,340 32,270 6,715 289,444
  • (注) 船員保険については、厚生労働省が日本年金機構に交付した日本年金機構運営費交付金から賄われたものである。また、コールセンター運営経費については、既存のコールセンター契約から追加給付に係る対応件数を踏まえて算出した額である(一部、令和元年度支出分が含まれている。)。

厚生労働省は、当該費用の支出については30年度予算の執行残額で対応したとしており、31年度予算の見直しの対象ではないことから厚労省見込額には含めていなかった。

上記のほか、特別監察委員会に要した費用474万余円を含む計550万余円が見受けられた(550万余円の内訳については別図表20参照)。

したがって、ア、イ及びウの状況を踏まえて、厚生労働省等においては、毎勤不適切事案によって発生した雇用保険等の追加給付等について、経費の節減等に留意しつつ、迅速かつ的確な追加給付等の実施に努めることが必要である。

3 公的統計に対する点検検証の取組状況

毎勤不適切事案を受けて実施された公的統計に対する点検検証等の取組状況及び再発防止に向けた取組状況は、次のようになっていた。

(1)31年の一斉点検、検証等の結果等

ア 31年の一斉点検、検証等の結果

第1の3(2)オのとおり、31年の一斉点検が実施された。その後、点検検証部会は、総務省政策統括官から報告された31年の一斉点検の結果について検証を行い、24基幹統計調査及び154一般統計調査に不適切な対応があったことを公表した。

さらに、上記の公表後に、厚生労働省所管の就労条件総合調査(一般統計調査)について、公表方法が調査計画と一致しないなどの不適切な状態となっていたことが判明し、この結果、不適切な対応があった一般統計調査は最終的に155統計調査となり、基幹統計調査と合わせて計179統計調査において不適切な対応があったものと整理された。

イ 31年の一斉点検及び検証に基づく態様別の影響度区分

点検検証部会は、総務省政策統括官から報告された31年の一斉点検の結果について検証を行い、図表1-11のとおり、影響度評価としてその結果を公表しており、その中で各統計調査の影響度区分が示されている。

そこで、基幹統計調査について、31年の一斉点検における報告及び検証の結果に基づき、態様別に影響度区分を整理したところ、図表2-3-1のとおり、点検検証部会において「数値の誤りも利用上の支障も生じない場合」(Ⅰ)又は「数値の誤りは生じていないが、利用上の支障を来す場合」(Ⅱ)に分類されている「公表期日の遅延」等の態様が多くを占めていた。そして、図表2-3-1に示した態様のうち、「利用上重大な影響が生じると考えられる数値の誤り」(Ⅳ)に分類されている「承認された調査計画や対外的な説明内容に照らして、実際の調査方法、復元推計の実施状況に問題がある」の態様は、国が交付する給付金等の金額の算定根拠として直接的に用いられている毎勤調査の1統計調査のみとなっていた。

図表2-3-1 31年の一斉点検及び検証に基づく態様別影響度区分別の基幹統計調査数

31年の一斉点検における報告の態様 影響度区分
Ⅰ又はⅡ  
公表期日の遅延 14 - - 14
調査計画上の集計事項の中に集計、公表されていないものがある 9 - - 9
公表方法の変更 4 - - 4
集計事項 1 - - 1
計画変更手続の未実施 1 - - 1
告示が未修正 1 - - 1
調査対象の範囲 1 - - 1
調査票の配布・回収方法 1 - - 1
都道府県における抽出作業の手順が細部において相違していたもの 1 - - 1
報告を求める期間 1 - - 1
結果数値の訂正があるもの - 1 - 1
統計調査員による不適切な調査事務の実施 - 1 - 1
承認された調査計画や対外的な説明内容に照らして、実際の調査方法、復元推計の実施状況に問題がある - - 1 1
22 2 1 24
  • (注) 影響度区分」欄の計は純計であり、一つの統計調査が複数の態様に該当することがあるため、合計しても「計」欄と一致しないものがある。

また、同様に、一般統計調査について、31年の一斉点検における報告及び検証の結果に基づき、態様別に影響度区分を整理したところ、図表2-3-2のとおり、点検検証部会において、前記のとおり「数値の誤りも利用上の支障も生じない場合」(Ⅰ)等に分類されている「公表遅延」等の態様が多数を占めていて、基幹統計調査と異なり、「利用上重大な影響が生じると考えられる数値の誤り」(Ⅱ)に該当するものはなかった。

図表2-3-2 31年の一斉点検及び検証に基づく態様別影響度区分別の一般統計調査数

31年の一斉点検における報告の態様 影響度区分
Ⅰ又はⅡ
公表遅延 92 - 92
集計事項 57 - 57
調査期間、提出期限、基準日等 48 - 48
抽出方法等 43 - 43
調査方法、調査組織 13 - 13
公表方法 12 - 12
報告事項 6 - 6
調査票の保存 3 - 3
統計基準 2 - 2
結果数値の誤り - 16 16
復元推計未実施 - 2 2
154 16 155
  • 注(1) 影響度評価においては、基幹統計調査と一般統計調査で同一の態様であっても、態様の表記が異なっているものがある。(例 基幹統計調査:公表期日の遅延、一般統計調査:公表遅延)
  • 注(2) 「影響度区分」欄の計は純計であり、一つの統計調査が複数の態様に該当することがあるため、合計しても「計」欄と一致しないものがある。
ウ 31年の一斉点検のその後の改善状況

31年の一斉点検の結果を踏まえて、総務省政策統括官は、各府省等に対して、元年12月末までに報告事項に対する対応状況について報告を求め、第13回点検検証部会は「一斉点検結果を踏まえた個別統計の改善について」を公表している。この公表資料では、「対応済」「対応中」「対応予定」及び「検討中」の四つの改善状況の態様を定めている。

31年の一斉点検において、不適切な対応があったとされた179統計調査のうち、中止予定又は1回限りの実施とされている11統計調査を除いた168統計調査に係るその後の対応状況について検査したところ、図表2-3-3のとおり、2年11月時点で、109統計調査が「対応済」となっていた。

一方、「対応中」が42統計調査、「対応予定」が17統計調査、「検討中」が1統計調査となっていた。これらについては、次回の統計調査で「対応済」となる予定であるとされていたり、新型コロナウイルス感染症等の対応のために対応が延期されていたりしているなどとされており、「対応済」となっていない統計調査については、各省において速やかな改善を図ることが望まれる(31年の一斉点検の2年11月時点の改善状況の詳細については別図表21参照)。

図表2-3-3 「一斉点検結果を踏まえた個別統計の改善について」で示された基幹統計調査及び一般統計調査の改善状況(令和2年11月時点での対応状況)

影響度区分 基幹統計調査数
(24統計調査)
一般統計調査数(155統計調査) 統計調査数計(179統計調査)
継続調査
(144統計調査)
中止予定・1回限り
(11統計調査)
改善状況
(168統計調査)
中止予定・1回限り
(11統計調査)
対象 改善状況 対象 改善状況
1 注(2)
対応済:1
対応済:1
2 対応済:2 15 対応済 :8
対応中 :5
対応予定:2
注(3)
1
対応済 :10
対応中 : 5
対応予定: 2
1
Ⅰ又はⅡ 21 対応済:14
対応中: 7
131 対応済 :84
対応中 :31
対応予定:15
注(4)
検討中 : 1
10 対応済 :98
対応中 :38
対応予定:15
検討中 : 1
10
統計調査数計 24 対応済:17
対応中: 7
144 対応済 :92
対応中 :35
対応予定:17
検討中 : 1
11 対応済 :109
対応中 : 42
対応予定:17
検討中 : 1
11
  • 注(1) 重複して計上されている統計調査が含まれていることから、各項目ごとの数値を合計しても「統計調査数計」欄と一致しないものがある。
  • 注(2) この1統計調査は、毎勤調査である。
  • 注(3) この1統計調査は、平成30年調査で調査終了となった環境省所管の環境にやさしい企業行動調査であり、数値誤りは訂正済みである。
  • 注(4) この1統計調査は、関係機関で企画検討が継続して行われている各府省共管の産業連関構造調査である。

(2)再発防止の取組の進捗状況等

31年の一斉点検の結果を踏まえて、第1の3(2)オのとおり、点検検証部会による点検検証が行われ、再発防止策を盛り込んだ品質管理建議が総務大臣に提出されている。そして、厚生労働省、統計改革推進室及びその他の各府省等においても再発防止の取組が行われている。

そこで、厚生労働省、統計改革推進室及びその他の各府省等における再発防止の取組の進捗状況をみたところ、次のとおりとなっていた。

ア 厚生労働省における再発防止の取組の進捗状況

厚生労働省は、「毎月勤労統計及び毎月勤労統計調査に係る統計法の施行状況に関する意見」において、毎勤調査の信頼回復に向け、東京都の「500人以上規模の事業所」の全数調査を可及的速やかに履行するよう具体的措置の実施が求められた。これを受けて、同省は、「500人以上規模の事業所」のうち、全数調査の3分の1に相当する、これまで調査対象としていた事業所については引き続き東京都が実施することとした。また、従来調査対象から除外していたため新たに調査対象となった、全数調査の3分の2に相当する事業所について、元年6月調査以降、東京都の負担軽減の観点から同省が直接調査を実施することとした。そして、同省は、上記3分の2に相当する事業所について直接調査できるようにするために、総務大臣の承認を受けて毎勤調査の調査計画を変更していた。

また、復元処理を行うために必要なデータの一部が不足している平成16年から23年までの毎勤調査の遡及推計作業の主な結果は、令和2年8月及び同年10月の2回に分けて、「時系列比較のための推計値」としてe-Statに公表されていた。

そして、上記の公表に間に合わなかった推計データについては、3年6月時点において作業が終了しておらず、公表されていない。

イ 統計改革推進室における再発防止の取組の進捗状況等

統計改革推進会議は、元年8月に、統計行政新生部会及び統計改革調査部会を設置している。これらの部会で討議された内容及び各府省等における取組状況は、次のとおりとなっていた。

(ア) 統計行政新生部会での検討状況等

統計行政新生部会は、毎勤不適切事案に端を発する統計行政の問題について、再発防止にとどまらない、国民に真に信頼される政府統計の確立に向けた総合的な対策を検討することを目的として開催されている。そして、同部会は元年12月に、「統計行政の新生に向けて~将来にわたって高い品質の統計を提供するために~」(令和元年12月統計改革推進会議統計行政新生部会)を公表した。同報告書では、「統計行政の改善のための8つのステートメント(基本認識)」とその実現のための「29のタスク」を定めた「総合的対策」の提言がなされていた。

同報告書で提言された改革の内容について、各府省等の取組状況をみたところ、総務省政策統括官は、2年6月に「総合的対策に基づく改革工程表」を策定し、同日の統計行政推進会議において、その内容について申合せが行われていた。

そして、同年7月には、統計改革推進室及び総務省は、リソースを集中して作成や見直しを重点的に行うべき重要な統計を区分することとして、一般統計調査の区分の見直しを行うなどしており、今後各府省等と一体となって各種取組を実施することとしていた。

また、統計改革推進室では、今般の公的統計に関する不適切事案を受け、調査担当から独立した立場で分析的審査を実施するために、元年7月までに統計改革推進室に新たに統計分析審査官を配置するとしていた。これらの統計分析審査官は、各府省等に派遣されて常駐し、集計結果の公表前の分析的審査、公表済みの統計の点検や誤りの是正、調査設計変更時の影響分析・補正手段の検討、誤りが発覚した事案への対応や再発防止策の検討等を行うとしていた。2年9月現在、課長補佐級又は係長級の職員計33人が派遣されており、派遣された各府省等の統計幹事の統括の下で分析的審査の導入等の業務を行っていた。

(イ) 統計改革調査部会での検討状況等

統計の体系的整備と個別統計の改善に関し、必要な調査を行い、統計改革を不断に継続するために、統計改革調査部会が開催されている。統計改革調査部会は、毎勤不適切事案を契機として行われた点検検証部会による検証において各府省等が所管する統計の利用状況を十分に把握できていないことが確認されたことから、統計を作成した各府省等において、当該統計が政府内でどのように利用されているか十分に把握できるよう統計利活用リストの整備等をしていくことについて、今後も継続して議論していくとしている。

そこで、統計利活用リストの整備状況について確認したところ、統計改革推進室は、政府内における統計の利活用状況等を把握するために、各府省等に対して元年11月下旬に照会を行っていた。そして、当該照会に基づき、各府省等から延べ2,465件の利活用が報告されていた。

4 公的統計の利用状況

(1)各府省等において作成された公的統計の利用状況

公的統計は、社会の情報基盤として、行政機関、国民、学術研究機関等において幅広く利用されている。

行政機関における公的統計の利用をみると、特定の公的統計のデータを用いることが法令に規定されているものがある。例えば、国民年金法(昭和34年法律第141号)において、毎年度の老齢基礎年金等の額の改定に当たっては、消費者物価指数を用いることとなっている。法令に規定されているもの以外にも、行政上の施策における利用や、行政上の計画の策定における利用等があり、様々な場面で利用されている。

公的統計のうち、特に、基幹統計については、統計実務によれば、行政施策推進のための基礎資料として必要不可欠なもの、又は国民生活の把握にとって重要なものとなっているとされている。そこで、基幹統計を所管する各府省では、所管している基幹統計をどのような目的で利用しているかについて上記の各府省から調書を徴するなどして検査した。

その結果、利用件数が膨大であるため把握困難であるとした内閣府所管の国民経済計算を除き、図表2-4-1のとおり、「行政上の施策における利用」が240件、「他の統計への利用」が145件、「白書における分析のための利用」が88件、「地方行政のための利用」が43件、「民間企業や学術研究のための利用」が35件、「各種法令に基づく利用」が26件、「行政上の計画の策定における利用」が23件、「国際比較のための利用」が12件となっており、「行政上の施策における利用」が多くを占める状況となっていた。

図表2-4-1 各省別の基幹統計の類型別の利用状況

省名 所管する基幹統計数 利用件数(a) 利用類型ごとの利用件数
行政上の施策における利用(b) 他の統計への利用(c) 白書における分析のための利用(d) 地方行政のための利用(e)
  利用件数に占める割合   利用件数に占める割合   利用件数に占める割合   利用件数に占める割合
  (b/a×100)   (c/a×100)   (d/a×100)   (e/a×100)
総務省 12 191 52 27.2% 24 12.5% 43 22.5% 38 19.8%
財務省 2 13 7 53.8% 1 7.6% 3 23.0% 0 0.0%
文部科学省 4 87 57 65.5% 12 13.7% 6 6.8% 1 1.1%
厚生労働省 9 86 36 41.8% 14 16.2% 22 25.5% 0 0.0%
農林水産省 7 78 47 60.2% 18 23.0% 2 2.5% 2 2.5%
経済産業省 7 78 21 26.9% 37 47.4% 10 12.8% 3 3.8%
国土交通省 9 88 21 23.8% 43 48.8% 4 4.5% 0 0.0%
50 612 240 39.2% 145 23.6% 88 14.3% 43 7.0%
 
省名 利用類型ごとの利用件数
民間企業や学術研究のための利用(f) 各種法令に基づく利用(g) 行政上の計画の策定における利用(h) 国際比較のための利用(i)
  利用件数に占める割合(f/a×100)   利用件数に占める割合(g/a×100)   利用件数に占める割合(h/a×100)   利用件数に占める割合(i/a×100)
総務省 14 7.3% 12 6.2% 4 2.0% 4 2.0%
財務省 0 0.0% 0 0.0% 2 15.3% 0 0.0%
文部科学省 0 0.0% 0 0.0% 9 10.3% 2 2.2%
厚生労働省 1 1.1% 6 6.9% 2 2.3% 5 5.8%
農林水産省 0 0.0% 8 10.2% 1 1.2% 0 0.0%
経済産業省 5 6.4% 1 1.2% 0 0.0% 1 1.2%
国土交通省 15 17.0% 0 0.0% 5 5.6% 0 0.0%
35 5.7% 26 4.2% 23 3.7% 12 1.9%
  • 注(1) 複数の省による共管となっている基幹統計については、各省ごとに利用件数を計上し、「計」欄において重複分を控除しているため、各省ごとの件数を合計しても「計」欄と一致しないものがある。
  • 注(2) 「所管する基幹統計数」欄については、別図表1の基幹統計及び基幹統計調査の件数に基づき記載している。

このうち、「地方行政のための利用」では、総務省所管の国勢調査の調査結果のうち「人口」「世帯数」等が地方交付税配分額の算定の際に用いられるなどしていることから国勢調査により作成される国勢統計がその9割近くを占めていた。このように、利用類型の中には、特定の統計の利用が多くを占めているものがある。

また、公的統計を作成している各府省等における公的統計の利用状況の把握方法をみると、統計を作成した府省等内での利用状況については、総務省政策統括官に対する調査計画の変更申請の際に行う調査実施担当部署から他部署へのヒアリングや、調査票情報の二次利用の申請等を通じて把握していた。また、統計を作成した府省等外における利用状況については、当該統計を利用して白書を作成する他の府省等からの事前合議等を通じて把握していた。具体的な把握方法についてみると、農林水産省では、統計部統計企画管理官が、同省所管の全ての統計の利用状況を毎年、定期的に把握して整理していた。一方、その他の府省等では、各統計作成部署に利用状況の把握が委ねられている状況となっていた。

(2)e-Statの登録及び利用状況

ア e-Statの登録状況等

(ア) 統計行政新生部会での検討状況等

e-Statは、各府省等における公表する統計データ、公表予定、新着情報、調査票項目情報等の各種統計情報について、広く国民がインターネットを通じて利用できるようにするためにワンストップで提供するポータルサイトとして位置付けられている。そして、e-Statは、政府統計共同利用システムの運営に係る費用として構成府省及び承認機関が負担した利用料金(元年度7億5228万余円)の一部によって運用されている。

第Ⅲ期基本計画によれば、各府省等は、政府の統計データについて、e-Statへの登録を原則とすること、機械判読可能な形式等により、調査の概要等の統計を利用する際に必要な情報も登録すること、より利便性の高い統計情報データベースによるデータ提供を計画的に実施することなどにより、統計利用者の利便性の向上を図ることとされている。

e-Statにおいて登録されている統計データの数は、図表2-4-2のとおり、元年度末現在において628となっていた。また、平成27年度から令和元年度までの登録数の推移をみると、一般統計調査の登録数が毎年度増加していた。さらに、平成29、30両年度のシステム改修に伴って行われたe-Statのデータ整理の影響を除くと、業務統計及び加工統計の登録数も微増傾向となっていた。このため、全体の登録件数としても増加傾向となっていた。

第Ⅲ期基本計画によれば、30年以降、一般統計調査のほか、業務統計及び加工統計を含め、所管する統計データをe-Statに登録することとされている。また、統計情報データベースへのデータ登録を計画的に実施することとされている。

しかし、令和2年9月末時点において公表期限を経過した調査結果等について、e-Statへの登録状況を確認したところ、図表2-4-3のとおり、調査結果等が一切登録されていないものが13府省等において281統計等(4一般統計調査及び277業務統計等)見受けられたほか、直近の調査結果等が登録されていないものが5省において32統計等(1基幹統計、15一般統計調査及び16業務統計等)となっていた。

図表2-4-3 e-Statに調査結果等が登録されていない統計等数

府省等名 調査結果等が一切登録されていない統計等数 直近の調査結果等が登録されていない統計等数
  統計等の種類
内閣 9 - 9
  業務統計 9 - 9
人事院 9 - 9
  業務統計 9 - 9
内閣府 6 - 6
  一般統計調査 1 - 1
  業務統計 5 - 5
総務省 57 - 57
  業務統計 56 - 56
  加工統計 1 - 1
法務省 3 - 3
  業務統計 3 - 3
財務省 30 - 30
  一般統計調査 1 - 1
  業務統計 29 - 29
文部科学省 26 - 26
  業務統計 26 - 26
厚生労働省 56 12 68
  一般統計調査 2 7 9
  業務統計 54 5 59
農林水産省 25 2 27
  一般統計調査 - 2 2
  業務統計 23 - 23
  加工統計 2 - 2
経済産業省 6 6 12
  業務統計 5 5 10
  加工統計 1 1 2
国土交通省 21 10 31
  基幹統計 - 1 1
  一般統計調査 - 5 5
  業務統計 21 4 25
環境省 15 2 17
  一般統計調査 - 1 1
  業務統計 15 1 16
防衛省 13 - 13
  業務統計 13 - 13
共管分 5 - 5
  業務統計 5 - 5
281 32 313
  基幹統計 - 1 1
  一般統計調査 4 15 19
  業務統計 273 15 288
  加工統計 4 1 5
  • 注(1) 「調査結果等が一切登録されていない統計等数」欄及び「直近の調査結果等が登録されていない統計等数」欄には、e-Statに登録する代わりに所管府省等のウェブサイトに公表しているものなどが含まれている。
  • 注(2) 「直近の調査結果等が登録されていない統計等数」欄には、一定の時点で調査結果等をまとめて登録しているものが含まれている。
  • 注(3) 結果を非公表とする内容で調査計画の承認を受けているものを除いている。

そして、調査結果等が一切登録されていない281統計等について、その理由を確認したところ、当該府省等のウェブサイトで公表しているためなどとしていた。しかし、当該府省等としてe-Statに登録すること自体に特段の支障はなく、また、2(2)ウ(ア)aのとおり平成30年にe-Statのシステム上のストレージ容量を増加させたことにより空き容量があることからシステム上も支障はないと認められた。さらに、統計を作成している担当者が調査結果等を法に基づく統計情報であると認識していないような場合も見受けられた。

これらのことから、各府省等において、統計を作成している関係部門に対し、e-Statが国民にワンストップサービスを提供するためのポータルサイトとなっている趣旨を周知した上で、e-Statに調査結果等が登録されていない統計等については、登録の促進を図る必要がある。

(イ) 登録のデータ形式

各府省等のe-Statへの統計データの登録は、①xlsx、CSV、XML(注34)又はPDF(注35)形式で統計作成府省等の作業意図に沿って作成された統計表ファイルとして登録する方法、②データ抽出、レイアウト変換、グラフ作成等のデータ分析に容易に利用できる構造に設計された統計情報データベースとして登録する方法があり、各府省等は、登録する公的統計の情報に応じて登録することになっている。

(注34)
 XML  eXtensible Markup Language の略で、拡張可能なマーク付け言語と呼ばれる。ソフトウェアとデータの連携に重点が置かれた言語
(注35)
 PDF  電子文書のためのファイル形式で、電子文書作成時と異なる環境においても元の文書のイメージのままに表示、印刷等できるもの

これらの登録方法別の登録数をみると、令和元年度末時点において、①の統計表ファイルとしての登録数は、63基幹統計等(基幹統計及び基幹統計調査)、342一般統計調査、125業務統計、44加工統計、その他53統計等、計627統計等となっていた。一方、②の統計情報データベースとしての登録数は、59基幹統計等(基幹統計及び基幹統計調査)、118一般統計調査、57業務統計、18加工統計、その他9統計等、計261統計等となっており、登録のためにデータを加工する作業が必要になることなどから、統計表ファイルとしての登録数に比べて少なくなっていた。

前記のとおり、各府省等は、第Ⅲ期基本計画において、統計情報データベースによるデータ提供を計画的に実施することとなっていることに鑑み、統計表ファイルのみならず、利用者がシステムにおいて直接データを編集する機能を有する統計情報データベースとしての登録件数を一層拡充する必要がある。

イ e-Statの利用状況

第2の2(2)ウ(ア)b(a)のとおり、e-Statに登録された統計データは、政府統計共同利用システム内のサブシステムによって、国民、企業等を始めとした利用者において利用することができる。例えば、サブシステムの一つである統計情報データベースは、図表2-4-4のとおり、基幹統計等を一元的にデータベース化し、インターネットを通じ、統計表の検索、データの抽出、グラフの作成、データのダウンロード等の機能を有するシステムとして、一般利用者に利用されている。

そこで、統計情報データベースにおけるページアクセス件数を確認したところ、合計件数はおおむね増加傾向となっていた。

特に、平成28年度から30年度にかけては、総務省によると、30年1月にデータ利活用の推進を目的にe-Statのインターフェイスを変更して、統計情報データベースの利便性を向上させたことから、大幅にアクセス件数が増加したとしている(統計情報データベースにおけるページアクセス件数については別図表22参照)。

(3)法に基づく調査票情報の二次的利用の状況等

ア 公的統計の利用促進

第1の3(1)エのとおり、30年改正法により、調査票情報の二次的利用の促進等を図るために、調査票情報の提供対象の拡大措置が講じられたことにより、オーダーメード集計及び匿名データの利用者の範囲が拡大されている。また、令和元年度から、情報セキュリティが確保された環境で、許可を受けた研究者が調査票情報を用いて、独自の集計・分析を行うことができる専用室(以下「オンサイト施設」という。)が総務省及び統計センターと連携する国立大学法人等に設置されており、その施設において調査票情報の提供(以下「オンサイト利用」という。)が実施されている。

また、統計センターは、各府省等における二次的利用に係る事務の効率的かつ効果的な実施を支援するために、法第37条に基づき、各府省等の委託を受けて、これらの二次的利用に係る事務を実施している。

30年改正法施行後の調査票情報の二次的利用の形態を整理すると、大きく四つの利用形態により運用されている(法に基づく調査票情報の二次的利用の形態については別図表23参照)。

イ 法に基づく調査票情報の二次的利用の状況

調査票情報の二次的利用の平成27年度から令和元年度までの実績を利用形態別に示すと、図表2-4-5のとおり、おおむね横ばいで推移している。

図表2-4-5 調査票情報の二次的利用の実績

(単位:件)
利用形態 平成27年度 28年度 29年度 30年度 令和元年度
①調査票情報の二次利用 596 579 662 613 674 3,124
②調査票情報の提供 公的機関等が利用する場合 2,585 2,586 2,584 2,358 1,999 12,112
主に公的機関等以外の者が公的機関等が行う統計の作成等と同等の公益性を有する統計の作成等として利用する場合 267 324 369 382 219 1,561
一般の者が相当の公益性を有する統計の作成等として利用する場合 11 11
③オーダーメード集計 22 17 25 22 35 121
④匿名データの提供 39 39 45 49 26 198

毎年度、①調査票情報の二次利用については数百件、②調査票情報の提供については数千件程度の利用となっている一方、③オーダーメード集計及び④匿名データの提供については数十件程度の利用となっている。

そこで、30年改正法により利用促進を図るために利便性が向上したと考えられるオーダーメード集計、匿名データ及びオンサイト利用による二次的利用の状況をみたところ、次のようになっていた。

(ア) オーダーメード集計の運用状況

統計作成府省等は、法第34条に基づき、その業務の遂行に支障のない範囲内においてオーダーメード集計を行って、オーダーメード集計を委託した利用者に対して、集計して作成した結果のみを提供することができることとなっている。オーダーメード集計は、法の施行に伴い平成21年度から導入されている。また、アのとおり、統計センターも、法第37条に基づき、統計作成府省等からオーダーメード集計事務の委託があった場合、上記と同様、オーダーメード集計を行って、利用者にその結果を提供している。

このように、オーダーメード集計は、統計調査ごとに、統計センターが実施する場合と、統計作成府省等が実施する場合とがある。令和2年10月現在、オーダーメード集計が実施可能な統計調査は、統計センターの場合、6府省に係る17統計調査(12基幹統計調査及び5一般統計調査)となっていた。一方、統計作成府省等の場合、5府省に係る12統計調査(11基幹統計調査及び1一般統計調査)となっていた(オーダーメード集計が実施可能な統計調査の詳細については別図表24参照)。

なお、オーダーメード集計が実施可能な5府省においては、オーダーメード集計を実施している旨をe-Statや各府省のウェブサイトで周知していた。

オーダーメード集計を実施可能としているとしているものの、平成27年度から令和元年度までの間において実績がない府省等に対してその理由を確認したところ、統計調査の結果を詳細に公表していることからオーダーメード集計を利用する必要性が低いのではないかとしているものや、オーダーメード集計を利用しなくても既に法第32条又は第33条に基づく調査票情報の提供等によりニーズを満たすことができているのではないかとしているものなどがあった。

(イ) 匿名データの運用状況

各府省等は、法第35条に基づき、自らが行った統計調査に係る調査票情報を用いて、匿名データを作成することができることとなっている。作成に当たっては、特定の個人又は法人その他の団体が識別されないよう十分な匿名化処理が行われる必要があり、特に基幹統計調査に係る匿名データの作成については、専門的・技術的観点から検証を行うため、あらかじめ統計委員会の意見を聴かなければならないこととなっている。そして、法第36条に基づき、学術研究の発展に資すると認める場合その他の一定の公益性が認められる場合に、一般からの求めに応じて匿名データを提供することができることとなっており、法の施行に伴い平成21年度から導入されている。

調査を実施した各府省等における匿名データの提供可能件数は、令和元年11月時点において、総務省及び厚生労働省所管の7基幹統計調査となっていた。匿名データの提供を実施している両省は、匿名データの提供を実施している旨をe-Statや両省のウェブサイトで周知していた。一方、匿名データの提供実績のない各府省等において匿名データを提供していない理由については、いずれの府省等も、現時点で利用者からの具体的な要望が寄せられていないことを挙げており、今後、具体的な要望が寄せられることがあればその提供について検討することも考えられるとしていた。

(ウ) オンサイト施設における運用状況

法に基づく調査票情報の提供に関し、オンサイト施設では、調査対象の秘密保護を図った上で、調査票情報を利用できることとなっている。30年改正法により、元年度から、調査票情報の利用が可能な学術研究等の範囲が広がり、提供対象の拡大が図られている。第Ⅲ期基本計画では、調査票情報等の提供及び活用を推進するために、オンサイト利用について、利用拠点や利用可能なデータの段階的拡充に取り組むこととなっている。

オンサイト施設は、個票データの持ち出しができない仕組みや作業内容の監視システム等の環境の下、オンサイト施設に設置されたパーソナルコンピュータを用いて、あらかじめ利用申出を行った調査票情報を使用して、利用者自身で用意したデータやプログラムを利用して研究分析を行うことができるものとなっている。オンサイト施設で研究分析した結果は、秘密保護の観点から、所定の審査を経た上で提供を受けることができるものとなっている。このように、オンサイト利用は、調査票情報を直接使用できることから、各府省等から匿名データの提供を受ける場合よりも原情報に近い情報に接触することができるものとなっている。

そして、総務省及び統計センターは、高度なデータ解析を行うための基盤整備等を進めており、平成30年4月に、先進的なデータ利活用の推進拠点として和歌山県和歌山市に統計データ利活用センターを設置してオンサイト施設としての機能も持たせているほか、国立大学法人等との連携により令和2年10月時点で全国の11国立大学法人等にオンサイト施設を設置している。

これらのオンサイト施設で提供される調査票情報は、各府省等が保有している調査票情報を統計センターに寄託した上で、統計センターが、オンサイト利用が可能になるようにデータの不備の確認、データ加工等の必要な事務処理を施した上で利用者に対して提供するものとなっている。このため、オンサイト施設における調査票情報の積極的な利用の推進に当たっては、各府省等が統計センターに対して調査票情報を寄託することが必要となる。

そこで、オンサイト利用に向けた、各府省等の統計センターに対する調査票情報の寄託の状況についてみたところ、図表2-4-6のとおり、2年10月現在において、7府省49統計調査に係る調査票情報について、統計センターに寄託されオンサイト利用が可能な状態になっていた。

しかし、国土交通省は元年度末までに3統計調査を、農林水産省は2年度中に28統計調査をそれぞれ寄託するための事務処理を進めていたものの、一部の調査においてデータの差替えが必要となったことなどから、統計センターにおける必要な事務処理が完了しておらず、これらの統計調査に係る調査票情報については、利用者が利用できない状態であった。また、統計センターにおいて、オンサイト利用を可能とする統計調査数の目標の有無を確認したところ、そのような目標は設定されていなかった。

図表2-4-6 実施している統計調査のうちオンサイト利用が可能な統計調査

府省等名 令和2年3月末現在も行われている基幹統計調査数 令和2年3月末現在も行われている一般統計調査数
(a) オンサイト利用可能数(b)
(注)
(b)/(a)×100 (c) オンサイト利用可能数(d)
(注)
(d)/(c)×100 (e) オンサイト利用可能数(f)
(注)
(f)/(e)×100
人事院 4 0 0.0 4 0 0.0
内閣府 14 2 14.2 14 2 14.2
総務省 12 10 83.3 9 3 33.3 21 13 61.9
法務省 1 0 0.0 1 0 0.0
財務省 2 1 50.0 5 0 0.0 7 1 14.2
文部科学省 4 2 50.0 16 0 0.0 20 2 10.0
厚生労働省 7 3 42.8 69 3 4.3 76 6 7.8
農林水産省 7 0 0.0 39 0 0.0 46 0 0.0
経済産業省 6 6 100.0 22 10 45.4 28 16 57.1
国土交通省 9 0 0.0 54 0 0.0 63 0 0.0
環境省 8 5 62.5 8 5 62.5
共管分 3 2 66.6 7 2 28.5 10 4 40.0
50 24 48.0 248 25 10.0 298 49 16.4
  • (注) 令和2年10月現在の状況を示している。

そして、統計センターにおいて、統計データ利活用センターのオンサイト利用の状況を確認したところ、図表2-4-7のとおり、オンサイト施設に設置されたパーソナルコンピュータのログイン件数をみると、利用が進んでいるとはいえない状況と思料された。

前記のとおり、第Ⅲ期基本計画において、調査票情報等の提供及び活用を推進するために、オンサイト利用について、利用拠点や利用可能なデータの段階的拡充に取り組むこととなっていることに鑑み、総務省及び統計センターにおいて、オンサイト利用が可能な統計調査数の目標を定めるなど、更なる利用促進のための取組を行う必要がある。

図表2-4-7 統計データ利活用センターのオンサイト施設に設置されたパーソナルコンピュータのログイン件数

(単位:件)
第1四半期 第2四半期 第3四半期 第4四半期
平成30年度 60 72 69 74 275
令和元年度 45 60 63 60 228
2年度 51 (注)41
  • (注) 把握できた令和2年8月までの件数を記載している。

なお、統計データ利活用センターは、オンサイト施設としての機能のほかに、地方公共団体における統計データを活用した課題解決の支援、データによる課題解決事例の研究等、統計データの利活用を推進している。その一環で、地方公共団体が保有するビッグデータと公的統計とを組み合わせて、新たな活用方策を見いだすための研究を実施するなどとしている。