会計名及び科目
|
一般会計 (組織)農林水産本省 (項)農村整備事業費
|
|
部局等の名称
|
中国四国農政局
|
|
補助の根拠
|
土地改良法(昭和24年法律第195号)
|
|
補助事業者
|
広島県
|
|
間接補助事業者
(事業主体)
|
広島県佐伯郡湯来町(平成17年4月25日以降は広島市)
|
|
補助事業
|
農村総合整備モデル
|
|
補助事業の概要
|
住民の生活行動と関連する道路網整備の一環として、平成7年度から12年度までの間に農道を整備するもの
|
|
事業費
|
197,760,000円
|
|
上記に対する国庫補助金交付額
|
98,880,000円
|
|
不当と認める事業費
|
197,760,000円
|
|
不当と認める国庫補助金交付額
|
98,880,000円
|
この補助事業は、広島県佐伯郡湯来町(平成17年4月25日以降は広島市)が、農村総合整備モデル事業の一環として、同町湯来地区において7年度から12年度までの間に事業費計197,760,000円(国庫補助金計98,880,000円)で農道(計画延長620m、幅員4m)を整備したものである。
本件農道は、事業実施計画において、同町における住民の生活行動と関連する道路網整備の一環として、起点が里道に、終点が既設の農道にそれぞれ接続する道路として計画されたものである。上記の里道は、町道に接続しており、その幅員は町道側が約3m、本件農道の起点側が約1mで、この幅員約1mの区間については本件農道の整備に合わせて3mに拡幅する予定とされていた。
そして、同町では、この計画に基づいて、本件農道用地と里道の拡幅用地について、6年度にすべての土地所有者から土地の無償譲渡の同意を得るとともに、本件農道の整備については、7年度に事業に着手し、12年度に計画どおり完了したとしていた。
本件補助事業について、事業実施計画書、事業実績報告書等及び現地の状況を検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた(参考図参照) 。
同町では、里道の拡幅を予定していた区間に隣接する民有地において、6年度に、別途に実施していた残土処理工事のために土地所有者から土地の無償貸与を受けて幅員3mの仮設道路を築造していたことから、里道の拡幅工事を行わないで、この仮設道路を里道の代替道路として利用することとした。
しかし、この仮設道路は、無償貸与期間の経過等により、10年頃から利用できない状況となった。このため、再び里道の拡幅工事が必要となったのに、同町では、その後、同工事を行っておらず、里道は車両の通行ができないままとなっていた。なお、この里道の一部は、その位置、幅員が確認できなかったり、法面が崩壊したりなどしていた。
同町では、本件農道のうち起点から440mまでの区間の整備を9年度に終了した。しかし、当初無償譲渡の同意を得ていた残りの区間の農道用地の一部について、同年度に、土地所有者の都合により取得できなくなった。このため、終点を既設の農道から付近の町営グラウンドに変更し、同グラウンドを介して町道に接続することとして、10年度から12年度までの間に、起点から340mの地点から同グラウンドまでの区間(延長202m、幅員4m)の工事を実施した。そして、この状態をもって本件農道の整備工事を終了しているばかりでなく、町営グラウンドの町道に通じる出入口の門扉は通常施錠されていることから、本件農道に一般車両が進入できないものとなっていた。
上記(1)及び(2)の結果、本件農道は、整備が完了したとしていた12年度以降、町営グラウンドの門扉の鍵を借り受けた耕作者のみが、本来車両が通行する場所ではない同グラウンドを通って利用しているにすぎない状況となっていた。
このような事態が生じていたのは、同町が、起点側について、仮設道路が利用できなくなったのに、その後里道の拡幅工事を実施しなかったこと、終点側について、土地の無償譲渡の同意を得た時点で速やかに土地を取得すべきであったのにこれを行わなかったり、既設の農道等に接続するための他の方策を採らなかったりしたこと、また、同町に対する広島県の指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件補助事業(事業費計197,760,000円)は、整備した農道が通行可能な道路に接続していないため、長期間にわたり車両が自由に通行できない状況となっていて、道路網整備という補助の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金計98,880,000円が不当と認められる。
農道の概念図