会計名及び科目 | 一般会計 (組織)農林水産本省 (項)農林水産本省 |
部局等の名称 | 農林水産本省 |
補助の根拠 | 予算補助 |
事業主体 | 社団法人日中農林水産交流協会 |
補助事業 | 中国青年農業指導者育成 |
補助事業の概要 | 中国の中核的、指導的立場にある青年農業者を日本国内の先進的農家に受け入れ、農業技術等を体得する機会を提供し、併せて各種の研修を実施するもの |
事業費 | 130,609,034円 | (平成5年度〜7年度) |
上記に対する国庫補助金交付額 | 86,754,000円 | (平成5年度〜7年度) |
不当と認める事業費 | 79,291,282円 | (平成5年度〜7年度) |
不当と認める国庫補助金交付額 | 52,736,279円 | (平成5年度〜7年度) |
1 補助事業の概要
中国青年農業指導者育成事業(以下「農業指導者育成事業」という。)は、日本と中国の農業交流を組織的かつ効率的に実施し、中国農業の近代化を担う中核的農業指導者の育成を図るため、社団法人日中農林水産交流協会(以下「協会」という。)が実施している事業である。その事業内容は、中国の中核的、指導的立場にある青年農業者を日本国内の先進的農家に受け入れ、農業生産技術、経営管理、農村コミュニティの在り方等について体得する機会を提供し、併せて中央及び地方で集合研修を実施するとともに、非常勤専門家を各受入地域へ派遣して巡回指導等を実施するものである。
農林水産省では、協会が行う上記事業に対して、中国青年農業指導者育成事業費補助金交付要綱(昭和50年50農経C第542号。以下「交付要綱」という。)に基づき、昭和60年度から中国青年農業指導者育成事業費補助金(補助率3分の2以内又は定額(3分の2相当))を交付している。その額は平成5年度27,219,000円、6年度29,810,000円、7年度29,725,000円となっている。
協会では、交付された国庫補助金及び自己資金(会員から徴収する会費、負担金等の収入)を財源として、上記の事業を自ら行うとともに、事業の一部を全国各地に設置された日中農交地方協会(以下「地方協会」という。)に行わせている。そして、その事業費は、交付要綱上、研修実施費、事前協議旅費、報告書作成費及び非常勤専門家活動費に区分されている。
2 検査の結果
協会における5年度から7年度までに実施された農業指導者育成事業について、事業の執行及び経理処理の状況を検査したところ、実績報告書において「補助事業に要した経費」としていた額に、次のとおり架空の支出額を含めていた。
ア 5年度から7年度までの間に協会が自ら行う事業のために支出したとしていた研修実施費(非常勤専門家旅費、通訳料、通訳旅費、教材作成費、資料整理賃金及び研修生保険料)、事前協議旅費及び非常勤専門家活動費計68,479,686円のうち計63,815,282円については、当該経費として支出した事実は無かった。協会では、当該金額を、〔1〕 正規の預金口座から直接又は協会が無断で開設した非常勤専門家名義の預金口座を経由して、正規の会計とは別に資金を管理する預金口座に入金して簿外資金としたり、〔2〕 架空の会費収入を計上するなどして協会の自己資金としたりしていた。
イ 5年度から7年度までの間に地方協会で行う事業のために送金したとしていた研修実施費(講師謝金、通訳料、研修生旅費、研修生滞在費、講師旅費、会場費及び会議費)15,476,000円については、実際は当該経費として送金した事実は無く、当該金額をアの〔2〕 と同様に協会の自己資金としていた。
そして、協会では、上記のアとイによりねん出した資金を農業指導者育成事業には使用せず、協会の他の事業に使用したり既往の簿外借入金の返済に充てたりするなどしていた。
したがって、5年度から7年度までの間の国庫補助対象事業費計130,609,034円(国庫補助金計86,754,000円)のうち、協会が事実と相違した経理処理により支出したこととしていた事業費計79,291,282円は過大に精算されていて、これに係る国庫補助金相当額計52,736,279円が不当と認められる。