会計名及び科目 | 一般会計 (組織)農林水産本省 (項)卸売市場施設整備費 |
部局等の名称 | 東北農政局 |
補助の根拠 | 予算補助 |
事業主体 | 岩手中部生鮮食品流通事業協同組合(岩手県胆沢郡金ヶ崎町) |
補助事業 | 卸売市場流通高度化 |
補助事業の概要 | 生鮮食料品等の合理化、高度化を図るため、平成9年度に冷蔵庫施設、入荷量表示設備等を設置するもの |
上記に対する国庫補助金交付額 | 139,242,000円 |
不当と認める事業費 | 26,522,500円 |
不当と認める国庫補助金交付額 | 6,630,571円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、岩手中部生鮮食品流通事業協同組合(岩手県胆沢郡金ヶ崎町)が、卸売市場流通高度化事業の一環として生鮮食料品等の流通の合理化、高度化を図るため、平成9年度に冷蔵庫施設、入荷量表示設備等を設置したものである。
同組合では、本件事業を事業費563,482,500円で請負業者と契約し、その全額を支払っている。そして、国庫補助対象事業費を、上記事業費のうち工事費等530,450,000円にこれに係る消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)の額26,522,500円を加えた556,972,500円とし、10年3月に実績報告書を提出し、これにより国庫補助対象事業費の精算を受けていた。
消費税は、事業者が課税対象となる取引を行った場合に納税義務が生じるが、生産、流通の各段階で重ねて課税されないように、確定申告において、消費税の課税対象となる資産の譲渡等に係る消費税額から消費税の課税対象となる資産の譲受け等(以下「課税仕入れ」という。)に係る消費税額を控除(以下「仕入税額控除」という。)する仕組みが採られている。
そして、補助事業の事業主体が補助対象の機械や施設を取得することも課税仕入れに該当し、上記の仕組みにより確定申告の際に課税仕入れに係る消費税額を仕入税額控除した場合には、事業主体は補助事業で設置した機械等に係る消費税額については、実質的に負担していないことになる。
このため、本件補助事業については、「卸売市場施設整備費補助金交付要綱」(昭和52年52食流第3752号農林事務次官依命通達)に準拠して、岩手県と事業主体との間で交わした「平成9年度卸売市場整備費補助金交付契約書」において、次のように取り決めている。すなわち、事業主体は、実績報告書の提出に当たって、本件補助金に係る仕入れに係る消費税相当額があり、かつ、その金額が明らかな場合には、これを補助金額から減額して報告しなければならない。そして、上記消費税相当額が実績報告書の提出後に申告により確定し、その額のすべてが補助金額から減額されていなかった場合には、上記契約書に添付された「平成9年度仕入れに係る消費税等相当額報告書」(以下「消費税報告書」という。)によりその金額等を速やかに県に報告するとともに、当該金額を返還しなければならないこととなっている。
2 検査の結果
検査したところ、同組合は、10年3月に県に提出した前記の実績報告書において、本件補助金に係る仕入れに係る消費税相当額を補助金額から減額していなかった。そして、同年6月、消費税の確定申告を行い、同月、本件補助金に係る仕入れに係る消費税相当額26,522,500円を含め、27,072,500円の還付を受けていた。
しかし、確定申告後速やかに県に提出することになっている消費税報告書を提出しておらず、本件補助金に係る仕入れに係る消費税相当額を返還していなかった。
したがって、適正な国庫補助対象事業費は、上記消費税相当額26,522,500円を控除した530,450,000円となり、消費税相当額に係る事業費26,522,500円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金相当額6,630,571円が不当と認められる。