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  • 平成10年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 農林水産省

補助金


(155)−(158) 林業改善資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)林野庁 (項)林業振興費
部局等の名称 林野庁
助成の根拠 林業改善資金助成法(昭和51年法律第42号)
事業主体 宮城県ほか2県
事業の内容 林業従事者等に対する無利子の林業改善資金の貸付け
貸付件数 4件(4林業従事者等)
貸付金額の合計
36,000,000円


(国庫補助金相当額23,999,999円)

不当貸付金額 29,000,000円
補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 19,333,332円

1 補助金の概要

 林野庁では、林業従事者等(注) の林業経営の改善等に必要な資金の貸付けを行う都道府県に対して、当該貸付けに必要な資金の3分の2を林業改善資金造成費補助金として交付している。
 都道府県は、この補助金に自己資金等を合わせて林業改善資金として資金を造成し、林業経営の改善を促進するために必要な機械の購入又は施設の設置等を行う林業従事者等に対して、その必要な資金を無利子で貸し付けている。この林業改善資金の貸付限度額は、当該機械の取得に要する費用の100分の80などとなっており、償還期間は原則として10年以内となっている。

 林業改善資金の貸付けを受けようとする林業従事者等は、貸付申請書に事業計画書を添えて貸付申請を行い、都道府県はその内容を審査の上貸付けの適否を決定することとなっており、林業従事者等が貸付決定前に機械等を納入させるなどした場合は貸付対象としないこととされている。そして、借受者は、機械等を処分しようとする場合は都道府県に対して報告することが貸付けの条件となっている。また、借受者は事業完了後に事業実施報告書を提出し、都道府県はこれに基づいて事業の実施状況を確認することとなっている。

(注)  林業従事者等  林業従事者若しくはその組織する団体、木材製造業を営む者若しくはその組織する団体又はその他の林業を行う法人

2 検査の結果

 北海道ほか23府県における林業改善資金の貸付けのうち312件の貸付けについて検査したところ、宮城県ほか2県の4林業従事者等に対する4件36,000,000円の貸付けにおいて、借受者が、貸付決定前に既に納入させていた機械を対象として貸付けを受けていたり、機械を購入していなかったりなどしていた。このため、29,000,000円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額19,333,332円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。これは、借受者が事実と相違した内容の貸付申請や事業実施報告を行っていたこと、これに対する県の審査及び確認が適切でなかったことなどによるものである。
 これを県別・貸付先別に示すと次のとおりである。


県名 貸付先 貸付対象 貸付年月 貸付対象事業費 貸付対象として適切でない事業費 補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 摘要
同上に対する貸付金額 同上に対する貸付金額相当





千円 千円 千円
(155) 宮城県 林業を行う法人 フォワーダの購入 8.6 13,132
(10,000)
13,132
(10,000)
6,666 事業の不実施

 この貸付けは、フォワーダ(注) 1台の購入に必要な資金13,132,500円の一部として、10,000,000円を貸し付けたものである。借受者は、この機械を貸付対象事業費どおりの額で購入したとしているが、実際は購入していなかった。
 したがって、本件貸付けはその要がないものである。

(注)  フォワーダ 荷台に木材を積載する集材用車両

(156)   木材製造業を営む法人 バーカの設置 8.6 9,064
(9,000)
2,064
(2,000)
1,333 低額実施

 この貸付けは、バーカ(注) 1台の設置に必要な資金9,064,000円の一部として、9,000,000円を貸し付けたものである。借受者は、この機械を貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、実際は値引きを受けて、これより低額な7,000,000円で設置していた。
 したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると7,000,000円となるので、本件貸付金額との差額2,000,000円が過大な貸付けとなっている。

(注)  バーカ 伐倒された木材から樹皮をはぐ機械

(157) 長野県 林業を行う法人 油圧式ショベル等の購入 8.12 23,648
(12,000)
23,648
(12,000)
8,000 貸付対象外

 この貸付けは、油圧式ショベル及びプロセッサ(注) 各1台の購入に必要な資金23,648,000円の一部として、12,000,000円を貸し付けたものである。借受者は、これらの機械を平成8年11月に納入させたとしているが、実際は、既に貸付決定より前の7年9月に納入させていた。
 したがって、この事業は貸付対象にならないものである。

(注)  プロセッサ 油圧式ショベルに取り付けて使用し、伐倒された木材の枝払い、切断及び集積作業を連続的に行う機械

(158) 岡山県 林業従事者 バックホウの購入 8.3 5,356
(5,000)
5,356
(5,000)
3,333 無断処分

 この貸付けは、バックホウ1台の購入に必要な資金5,356,000円の一部として、5,000,000円を貸し付けたものである。借受者は、この機械を平成8年3月に購入したが、同年6月に県に無断で処分していた。
 したがって、この機械に係る貸付金5,000,000円は、貸付けの目的を達成していない。

(155)−(158) の計
51,200
(36,000)
44,200
(29,000)
19,333

 

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