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  • 平成10年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第7 農林水産省

補助金


(149) 水環境整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため水路等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)農林水産本省 (項)農村整備事業費
部局等の名称 中国四国農政局
補助の根拠 予算補助
事業主体 鳥取県八頭郡若桜町
補助事業 水環境整備
補助事業の概要 水路等の農業水利施設を自然環境に配慮したものに改修するなどのため、平成8、9両年度に水路工等を施工するもの
事業費 36,847,650円
上記に対する国庫補助金交付額 18,423,825円
不当と認める事業費 7,565,445円
不当と認める国庫補助金交付額 3,782,722円

1 補助事業の概要

 この補助事業は、鳥取県八頭郡若桜町が、水環境整備事業の一環として同町若桜地区において水路等の農業水利施設を自然環境に配慮したものに改修するなどのため、平成8、9両年度に水路工、護岸工等を工事費36,847,650円(国庫補助金18,423,825円)で実施したものである。
 このうち水路工は、農業用水等を確保するために八東川(はつとうがわ)の河川敷内にある既設の水路を取り壊し、改めて築造するもので、上部に管理用通路を設置する暗きょ部(ボックスカルバート構造)延長20.0m、除塵機を設置する開きょ部(鉄筋コンクリート構造。以下「鉄筋コンクリート水路」という。)延長10.3m及び既設の水路との接続部(無筋コンクリート構造)延長2.5mから構成されている。
 上記水路のうち鉄筋コンクリート水路の設計に当たっては、「土地改良事業標準設計」(農林水産省構造改善局建設部設計課監修。以下「標準設計」という。)に基づくこととし、水理計算を行い断面寸法を仮定した後、外力等の計算などを行った結果、本件鉄筋コンクリート水路は応力計算上安全であるとしていた。

2 検査の結果

 検査したところ、鉄筋コンクリート水路の設計が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、標準設計によれば、水路の設計については、水理計算を行い断面寸法を仮定した後に、地下水位による浮力に対する検討を行うこととされているのに、この浮力の検討を行わないまま設計し、これにより施工していた。

 そして、本件鉄筋コンクリート水路は、前記のとおり河川敷内に築造されていて周囲の地下水位が河川水位と連動しているため、洪水時には地下水位が鉄筋コンクリート水路の天端高近くまで高くなることから、地下水位による浮力の影響を受けやすい状態になっていた(参考図参照)

 そこで、本件鉄筋コンクリート水路に生ずる浮力について安定計算すると、洪水時における浮力は6.96tf/m となり、防火用水の確保などのためこの水路に流す水の重量を考慮しても、浮力に対する鉄筋コンクリート水路等の自重力4.57tf/mを大幅に上回っていて、安定計算上安全な範囲を超えている。

 したがって、本件鉄筋コンクリート水路の設計が適切でなかったため、鉄筋コンクリート水路及びこの水路に設置している除塵機等(これらの工事費相当額7,565,445円)は所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額3,782,722円が不当と認められる。

(参考図)

(参考図)

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