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  • 平成14年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 農林水産省|
  • 不当事項|
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補助金


(233)農地防災事業の実施に当たり、ため池堤体内の旧底樋の存置に係る設計が適切でなかったなどのため、工事の目的を達していないもの

会計名及び科目 一般会計  (組織)農林水産本省  (項)農地等保全管理事業費
部局等の名称 近畿農政局
補助の根拠 土地改良法(昭和24年法律第195号)
補助事業者 兵庫県
間接補助事業者
(事業主体)
兵庫県姫路市
補助事業 農地防災
補助事業の概要 ため池を改修するため、平成13年度に堤体の盛土、底樋の改修等を行うもの
事業費 34,751,703円
上記に対する国庫補助金交付額 17,375,851円
不当と認める事業費 34,751,703円
不当と認める国庫補助金交付額 17,375,851円

1 補助事業の概要

 この補助事業は、兵庫県姫路市が、農地防災事業の一環として、同市東阿保中池地区において、洪水時の越流を防止するための堤体の余裕高が不足するなどしていて危険な状態となっているため池を改修するため、平成13年度に堤体の盛土やため池から用水を取水するための施設である底樋の改修等を工事費34,751,703円(国庫補助金17,375,851円)で実施したものである。
 このうち底樋の改修については、同市では、設計図書等において、新たな底樋(遠心力鉄筋コンクリート管、内径600mm、延長17.2m)を現況堤体下部に埋設されている老朽化した既設の底樋(遠心力鉄筋コンクリート管、内径300mm、延長15.0m。以下「旧底樋」という。)から離れた箇所に設置し、旧底樋は撤去せずに存置することとしていた。

2 検査の結果

 検査したところ、旧底樋の存置に係る設計が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、本件のように旧底樋を堤体内に存置する場合の設計については、農林水産省制定の「土地改良事業設計指針「ため池整備」」及び同県制定の「土地改良技術基準」(以下、これらを併せて「設計指針等」という。)によれば、存置する旧底樋が破損して漏水経路となることを防ぐため、その両端をコンクリートで閉鎖し、管内すべてをモルタルで充てんすることなどとされている。しかし、同市では、旧底樋の流入部及び出口部の両端についてはコンクリートで閉鎖することとしていたものの、管内については何らの処理もしないで存置することとしていたため、旧底樋については、設計指針等に示されているような漏水経路となることを防ぐための適切な処理が設計上執られていないものとなっていた。
 また、旧底樋の実際の処理状況について確認したところ、流入部は堆積した土砂を除去しないままコンクリートを打設し、出口部は土砂で閉鎖されているにすぎない状態で(参考図参照) 、流入部に詰められたコンクリートには空隙が生じてその隙間から管内に漏水が認められた。
 このような事態が生じていたのは、同市において、旧底樋を堤体内に存置する場合の設計についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、本件ため池の堤体内に存置した旧底樋については、設計が適切でなかったなどのため、漏水経路となってため池の堤体が損壊するおそれがあり、ため池自体の安全性が確保されていない状態となっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金17,375,851円が不当と認められる。

(参考図)

(参考図)

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