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  • 平成14年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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補助金


(225)漁港漁村活性化対策事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、漁具洗浄用導水路の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)水産庁 (項)水産業振興費
部局等の名称 岩手県
補助の根拠 予算補助
補助事業者
(事業主体)
岩手県
補助事業 漁港漁村活性化対策
補助事業の概要 漁具洗浄施設を新設するため、平成12、13両年度に洗浄導水路等を施工するもの
事業費 74,250,000円
上記に対する国庫補助金交付額 37,125,000円
不当と認める事業費 9,581,352円
不当と認める国庫補助金交付額 4,790,676円

1 補助事業の概要

 この補助事業は、岩手県が、漁港漁村活性化対策事業の一環として、九戸郡野田村字長根地内において漁具洗浄施設を新設するため、平成12、13両年度に洗浄導水路工、洗浄場築造工等を工事費74,250,000円(国庫補助金37,125,000円)で実施したものである。
 このうち洗浄導水路工は、近隣の河川から取水した用水を洗浄場に配水するための鉄筋コンクリート構造の導水路A(延長27.9m、内空断面の幅0.9m、高さ2.5m〜2.8m)、導水路B(延長26.5m、内空断面の幅0.9m、高さ2.8m)等を築造するものである。
 上記両導水路の底版(厚さ20cm)の下面側に配置する主鉄筋については、応力計算を行い、必要鉄筋量を求めた上で、径13mmの鉄筋を20cm間隔に配置することとして設計し、このように鉄筋を配置すれば応力計算上安全であるとして、これにより施工していた(参考図参照)

2 検査の結果

 検査したところ、本件両導水路の設計が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、導水路の底版と側壁は一体となった鉄筋コンクリート構造物であるのに、誤って、それぞれ独立した構造物として応力計算を行っていた。このため、側壁に作用する土圧等の影響が底版にも及ぶのにそれが考慮されず、底版に作用する曲げモーメント(注1) が過小に計算されていた。
 そこで、両導水路の底版の下面側に配置する主鉄筋について、改めてこれに生じる引張応力度(注2) (常時)(注3) を計算すると、導水路Aでは377.60N/mm 、導水路Bでは378.31N/mm となり、いずれも鉄筋の許容引張応力度(注2) (常時)157N/mm を大幅に上回っていて、応力計算上安全な範囲を超えている。
 このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
 したがって、本件両導水路は設計が適切でなかったため、両導水路及びその上部に設置されたコンクリート蓋板等(これらの工事費相当額9,581,352円)は、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額4,790,676円が不当と認められる。

(注1) 曲げモーメント 外力が部材に作用し、これを曲げようとする力の大きさをいう。
(注2) 引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生じる力の単位両積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。
(注3) 常時 地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。

(参考図)

(参考図)

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