会計名及び科目 | 港湾整備特別会計(港湾整備勘定) (項)港湾事業費 |
部局等の名称 | 関東地方整備局(平成13年1月5日以前は運輸省第二港湾建設局) |
補助の根拠 | 港湾法(昭和25年法律第218号) |
補助事業者 (事業主体) |
茨城県 |
補助事業 | 港湾改修 |
補助事業の概要 | 臨港道路及び港湾関連用地の雨水を排水するため、平成12年度から14年度までの間にボックスカルバートの埋設等を行うもの |
事業費 | 239,505,000円 | (うち国庫補助対象額101,587,500円) |
上記に対する国庫補助金交付額 | 50,793,750円 | |
不当と認める事業費 | 138,974,000円 | (うち国庫補助対象額33,319,500円) |
不当と認める国庫補助金交付額 | 16,659,750円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、茨城県が、鹿島港の港湾改修事業の一環として、同港北公共ふ頭地区において、臨港道路及び港湾関連用地の雨水を排水するため、平成12年度から14年度までの間に、内空断面高1.5m、幅3.5mのボックスカルバート(以下「カルバート」という。)延長192mの埋設等を工事費239,505,000円(うち国庫補助対象額101,587,500円、国庫補助金50,793,750円)で実施したものである。
同県において、9年8月に作成した北公共ふ頭地区の排水計画に係る基本設計によると、集水した雨水は、ふ頭用地に埋設するカルバートを通して岸壁前面の吐口部から海面へ排水することとしていた。
上記の吐口部については、潮位が朔望(さくぼう)平均満潮面(注)
のときであっても排水が逆流しないように、この満潮面より上に、計画排水量に対応できる排水能力に必要な内空断面(以下、この断面の高さ、幅をそれぞれ「有効高」「有効幅」という。)を確保することとし、朔望平均満潮面から岸壁天端までの高さ2.0mから、埋設するカルバートの土被り厚1.0m及び頂版厚0.26mを差し引いた0.74mを有効高とし、これと計画排水量を考慮して有効幅を3.5mとしていた。
そして、本件カルバートについては、上記の要件を満たし、汎用性、経済性に優れた内空断面高1.5m、幅3.5mのプレキャスト製カルバートを採用して、有効高0.74mを確保できる位置に埋設することとし、これに基づいて排水能力を計算すると計画排水量を上回ることから適切であるとしていた(参考図参照)
。
2 検査の結果
検査したところ、本件カルバートの設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、茨城県では、基本設計作成後、9年12月に北公共ふ頭地区の給水設備の設計を行った際、本件カルバートは、給水管と交差することとなったため、給水管の下を通すこととした。そして、排水能力に必要な内空断面を検討しないまま、給水管の管径及び基礎の厚さが計0.35mであることから、本件カルバートを基本設計より0.35m下げた位置に、形状を変えずにそのまま埋設することとし、設計図面を作成し、これにより施工していた(参考図参照)
。
しかし、朔望平均満潮面は変わらないことから、カルバートを0.35m下げると、吐口部の有効高も0.35m低くなり、基本設計の0.74mに対して0.39mとなる。
そこで、上記の有効高0.39mにより、改めて本件カルバートの排水能力を計算すると1.683m3
/sとなり、計画排水量2.602m3
/sを大幅に下回っている。
このような事態が生じていたのは、同県において、設計に当たって本件カルバートの所要の排水能力を確保するための検討及び設計に対する審査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件カルバート(工事費相当額138,974,000円、うち国庫補助対象額33,319,500円)は設計が適切でなかったため、所要の排水能力が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額16,659,750円が不当と認められる。