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  • 平成17年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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補助金


(336) 都市下水路事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、ボックスカルバートの所要の安全度が確保されていない状態になっているもの

会計名及び科目
一般会計 (組織)国土交通本省 (項)都市計画事業費
部局等の名称
長崎県
補助の根拠
下水道法(昭和33年法律第79号)
補助事業者
(事業主体)
長崎県佐世保市
補助事業
佐世保市都市計画下水道
補助事業の概要
都市下水路を整備するため、平成15、16両年度にボックスカルバート等を築造するもの
事業費
33,926,550円
 
上記に対する国庫補助金交付額
13,570,620円
 
不当と認める事業費
9,887,000円
 
不当と認める国庫補助金交付額
3,954,800円
 

1 補助事業の概要

 この補助事業は、長崎県佐世保市が、都市下水路事業の一環として、同市中里町と竹辺町の境界に沿って、都市下水路を新設するため、平成15、16両年度に、ボックスカルバート(以下「カルバート」という。)、護岸等の築造を工事費33,926,550円(国庫補助金13,570,620円)で実施したものである。
 このうち、カルバートは、都市下水路が市道と交差する箇所に築造するもので、延長第13.2m、内空断面の幅3.3m、高さ1.6mの現場打ち鉄筋コンクリート構造となっている(参考図参照)
 そして、頂版下面側及び底版上面側に配置する主鉄筋については、配筋図によると、径19mmの鉄筋を25cm間隔で配置することとなっており、これにより施工していた。

2 検査の結果

 本件工事について、設計図面、設計計算書等及び現地の状況を検査したところ、カルバートの設計が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、本件カルバートの設計の基礎となっている設計計算書によると、頂版下面側及び底版上面側に配置する主鉄筋については、径19mmの鉄筋を12.5cm間隔で配置すれば、主鉄筋に生ずる引張応力度(注1) (常時)(注2) が許容引張応力度(注1) (常時)を下回ることから、応力計算上安全であるとしていた。
 しかし、配筋図を作成する際、頂版下面側及び底版上面側の主鉄筋について、設計計算書どおりの間隔とすべきところを、誤って前記のとおり25cm間隔としていた。
 そこで、カルバートについて改めて応力計算を行うと、頂版下面側の主鉄筋に生ずる引張応力度(常時)は232.19N/mm 、底版上面側の主鉄筋に生ずる引張応力度(常時)は228.79N/mm となり、いずれも許容引張応力度(常時)160N/mm を大幅に上回っていて、応力計算上安全な範囲を超えている。
 そして、カルバートの頂版下面側中央部には、縦断方向にき裂が生じている状況であった。
 このような事態が生じていたのは、同市において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
 したがって、本件カルバート(工事費相当額9,887,000円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額3,954,800円が不当と認められる。

(注1)
 引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値設計上許される上限を「許容引張応力度」という。
(注2)
 常時 地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。

(参考図)

(参考図)

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