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  • 平成17年度|
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補助金


(333) 都市公園事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、擁壁の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの

会計名及び科目
一般会計 (組織)国土交通本省 (項)都市計画事業費
部局等の名称
広島県
補助の根拠
都市公園法(昭和31年法律第79号)
補助事業者
(事業主体)
広島県尾道市(平成17年3月27日以前は御調郡向島町)
補助事業
都市公園等統合補助
補助事業の概要
都市公園を整備するため、平成15、16両年度に土工及び調整池工を施工するもの
事業費
58,695,000円
 
上記に対する国庫補助金交付額
29,347,500円
 
不当と認める事業費
32,450,000円
 
不当と認める国庫補助金交付額
16,225,000円
 

1 補助事業の概要

 この補助事業は、広島県尾道市(平成17年3月27日以前は御調郡向島町)が、都市公園事業の一環として、同市向島町地内において、運動の用に供する公園を整備するため、15、16両年度に土工及び調整池工を工事費58,695,000円(国庫補助金29,347,500円)で実施したものである。
 このうち、調整池工は逆T型擁壁(高さ6m、延長70m)及びブロック積擁壁(高さ0.5m〜5m、延長計186.1m)の築造を行うものである(参考図1参照)
 そして、逆T型擁壁(以下「擁壁」という。)のつま先版の下面側に配置する主鉄筋については、配筋図によると、径13mmの鉄筋を25cm間隔で配置することとなっており、これにより施工していた(参考図2参照)

2 検査の結果

 本件工事について、設計図面、設計計算書等を検査したところ、擁壁のつま先版の設計が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、本件擁壁の設計の基礎となっている設計計算書によると、つま先版の下面側に配置する主鉄筋については、径16mmの鉄筋を25cm間隔で配置すれば、主鉄筋に生ずる引張応力度(注1) が許容引張応力度(注1) を下回ることから、応力計算上安全であるとしていた(参考図2参照)
 しかし、配筋図を作成する際、つま先版下面側の主鉄筋について、設計計算書どおりの径とすべきところを、誤って前記のとおり径13mmとしていた。
 そこで、擁壁について改めて応力計算を行うと、常時(注2) において、つま先版下面側の主鉄筋に生ずる引張応力度は226.08N/mm となり、許容引張応力度180N/mm を大幅に上回っていて、応力計算上安全な範囲を超えている。
 このような事態が生じていたのは、同市において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
 したがって、本件擁壁(工事費相当額32,450,000円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額16,225,000円が不当と認められる。

(注1)
 引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。
(注2)
 常時 地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。

(参考図1)

(調整池断面概念図)

(調整池断面概念図)

(参考図2)

(逆T型擁壁概念図)

(逆T型擁壁概念図)

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