会計名及び科目 | 一般会計 (組織)農林水産本省 (項)農業振興費 |
部局等の名称 | 中国四国農政局 |
補助の根拠 | 予算補助 |
補助事業者 | 愛媛県 |
間接補助事業者 (事業主体) |
愛媛県宇摩郡土居町 |
補助事業 | 小規模零細地域営農確立促進対策 |
補助事業の概要 | 小規模零細な農林家における農林業所得の向上等を図るため、平成11年度に農業用機械施設等を整備するもの |
事業費 | 23,226,000円 |
上記に対する国庫補助金交付額 | 15,484,000円 |
不当と認める事業費 | 2,883,986円 |
不当と認める国庫補助金交付額 | 1,922,793円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、愛媛県宇摩郡土居町が、小規模零細地域営農確立促進対策事業の一環として、小規模零細な農林家における農林業所得の向上等を図るため、平成11年度に農業用機械施設(以下「農業用機械」という。)の導入及び農機具保管施設の設置を事業費23,226,000円(国庫補助金15,484,000円)で実施したものである。
同町では、地域の農林家が組織する農業用機械の共同利用組合(以下「利用組合」という。)の組合員から事業実施の同意を得た上で、組合員の作付面積に基づき、水稲の収穫等の作業内容に応じた農業用機械ごとの利用計画面積を算出し、導入する農業用機械でこれを耕作などするとした事業実施計画を策定していた。そして、これに基づき、トラクタ2台、田植機2台、コンバイン2台、動力噴霧機1台、マルチ機2台、掘取機2台、管理機2台、計13台(事業費11,113,693円)の導入を行い、これらを利用組合に農機具保管施設とともに管理、利用させていた。
2 検査の結果
検査したところ、次のとおり、適切とは認められない事態が見受けられた。
同町では、本件農業用機械の年間の利用計画面積について、トラクタ2台で計6.2ha、田植機2台で計2.9ha、コンバイン2台で計2.9ha、動力噴霧機1台で10.4ha、マルチ機2台で計1.2ha、掘取機2台で計1.2ha、管理機2台で計3.3haとしていた。
これに対して、本件農業用機械13台のうち、機種ごとに2台を導入し、耐用年数(5年)の相当期間が経過していて残余期間がほとんどない田植機、コンバイン、マルチ機、掘取機及び管理機、計10台の11年度から15年度までの各年度の利用状況をみると、田植機は相当程度の利用が図られていたものの、これを除いた8台については、利用実績面積は最大に利用した年度でもコンバインでは0.88ha、マルチ機では0.34ha、掘取機では0.35ha、管理機では0.65haとなっていて、機種ごとの利用割合(利用計画面積に対する利用実績面積の割合)が19.7%から30.3%と著しく低調となっていた。
そこで、同町における事業実施計画の策定状況についてみると、本件農業用機械の導入に際して、利用組合の組合員から事業実施についての同意は得たものの、新たに導入する農業用機械の利用については、利用料金を支払ってまでもこれらを利用することについての十分な合意形成が図られないまま、事業実施計画を策定していた。
そして、利用組合の組合員の多くは、本件農業用機械の導入後も、自己所有の農業用機械を利用して耕作などしている状況であった。
したがって、本件農業用機械については利用することについての十分な合意形成が図られておらず、機種ごとに2台を導入しているコンバイン、マルチ機、掘取機及び管理機は、いずれの年度においても、それぞれ1台で利用組合の組合員の必要に応えられるものである。よって、機種ごとに2台を導入しているこれらのうち、残りの1台が全く利用されないこととなるこれら4台相当分(事業費2,883,986円)に係る国庫補助金相当額1,922,793円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同町において、事業実施計画を適切に策定することについての認識が十分でなかったこと、愛媛県において、本件補助事業の審査・指導が十分でなかったことなどによると認められる。