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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第11 国土交通省|
  • 不当事項

補助金


(232)公共下水道事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、水管橋の橋台等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)国土交通本省 (項)都市計画事業費
部局等の名称 山形県
補助の根拠 下水道法(昭和33年法律第79号)
補助事業者
(事業主体)
山形県西村山郡大江町
補助事業 大江町公共下水道事業
補助事業の概要 下水道の水管橋を新設するため、平成15、16両年度に橋台、上部工等を施工するもの
事業費 68,067,300円
上記に対する国庫補助金交付額 34,033,650円
不当と認める事業費 52,809,000円
不当と認める国庫補助金交付額 26,404,500円

1 補助事業の概要

 この補助事業は、山形県西村山郡大江町が、大江町公共下水道事業の一環として、同町大字左沢地内の月布川に下水道の水管橋(橋長42.1m)を新設するため、平成15、16両年度に、橋台2基、護岸等の築造、鋼製の上部工(トラス形式)及びステンレス鋼製の下水道管(内径20cm)の製作・架設等を工事費68,067,300円(国庫補助金34,033,650円)で実施したものである。
 このうち、左岸側及び右岸側の両橋台は鉄筋コンクリート構造の逆T式橋台となっている(参考図1参照)
 そして、左岸側橋台のつま先版の下面側に配置する主鉄筋については、配筋図によると、径16mmの鉄筋を25cm間隔で配置することとなっており、これにより施工していた(参考図2参照)

2 検査の結果

 検査したところ、左岸側橋台のつま先版の設計が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、本件橋台の設計の基礎となっている設計計算書では、橋台の設計計算を「道路橋示方書・同解説」(社団法人日本道路協会編)に基づき行っている。この設計計算書によると、左岸側橋台のつま先版の下面側に配置する主鉄筋については、径16mmの鉄筋を、12.5cm間隔で配置すれば、主鉄筋に生ずる引張応力度(注) が許容引張応力度(注) を下回ることから、応力計算上安全であるとしていた(参考図2参照)
 しかし、配筋図を作成する際、つま先版下面側の主鉄筋について、設計計算どおりの間隔とすべきところを、誤って前記のとおり25cm間隔としていた。
 そこで、左岸側橋台について改めて応力計算を行うと、地震時において、つま先版下面側の主鉄筋に生ずる引張応力度は435.65N/mm となり、許容引張応力度300N/mm を大幅に上回っていて、応力計算上安全な範囲を超えている。
 このような事態が生じていたのは、同町において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
 したがって、本件水管橋は、左岸側橋台の設計が適切でなかったため、同橋台及びこれに架設された鋼製の上部工等(これらの工事費相当額52,809,000円)は所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額26,404,500円が不当と認められる。

引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生ずる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。

(参考図1)

水管橋概念図

水管橋概念図

(参考図2)

左岸側橋台概念図

〔 配筋図及び施工〕

〔配筋図及び施工〕 

 

〔設計計算書〕

〔設計計算書〕 

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