会計名及び科目 | 一般会計 (組織)国土交通本省 (項)都市計画事業費 |
部局等の名称 | 栃木県 |
補助の根拠 | 都市公園法(昭和31年法律第79号) |
補助事業者 (事業主体) |
栃木県芳賀郡益子町 |
補助事業 | 都市公園等統合補助 |
補助事業の概要 | 都市公園を整備するため、平成16年度に法面工及び排水工を施工するもの |
事業費 | 24,990,000円 | (うち国庫補助対象額23,404,500円) |
上記に対する国庫補助金交付額 | 11,702,250円 | |
不当と認める事業費 | 3,245,000円 | (全額国庫補助対象額) |
不当と認める国庫補助金交付額 | 1,622,500円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、栃木県芳賀郡益子町が、都市公園事業の一環として、同町大沢地内において、町民の多様な利用に供する総合公園を整備するため、平成16年度に、法面工及び排水工を工事費24,990,000円(うち国庫補助対象額23,404,500円、国庫補助金11,702,250円)で実施したものである。
このうち、排水工は、公園内の雨水を排水するため、前年度に造成した遊具広場等の地中に排水管として内径600mmの遠心力鉄筋コンクリート管(1種管。以下「ヒューム管」という。)を延長123.4m布設するなどのもので、ヒューム管の土被り厚は最大で3.1mとなっている。
そして、排水工の設計については、掘削底面の幅を1,300mm、法勾配(注1)
を5分で掘削し、砕石を敷き均してヒューム管を布設し、砕石基礎の支承角(注2)
が90度となるように管の外周に砕石を密着させて締め固めた後、元の地盤まで埋め戻すこととし、これにより施工していた(参考図参照)。
2 検査の結果
検査したところ、排水工の設計が次のとおり適切でなかった。
すなわち、排水工の設計に当たっては、「道路土工 カルバート工指針」(社団法人日本道路協会編)に示されている「コンクリート製パイプカルバート基礎形式選定図」のうち、管頂部における埋戻し幅が管外径の2倍未満などの場合(この場合の埋設形式を「溝型」という。)の選定図を適用し、前記の管の種類及び基礎であれば、最大土被り厚の箇所でもヒューム管は土圧に対して設計上安全であるとしていた。
しかし、前記のとおり掘削底面の幅1,300mm、法勾配5分で掘削した場合、管頂部における埋戻し幅は2,150mmとなり、管外径700mmの2倍以上となる。そして、このように管頂部の埋戻し幅が広い場合、管に作用する土圧は溝型の選定図で想定されている土圧より大きくなり、土圧計算の対象となる範囲も広くなることから、溝型ではなく、管頂部における埋戻し幅が管外径の2倍以上あるなどの場合(この場合の埋設形式を「突出型」という。)の選定図を適用すべきであった(参考図参照)
。
そこで、本件ヒューム管について、突出型として改めて応力計算を行うと、土被り厚が2.16m以上の延長37.1mの区間では、管に生ずる最大曲げモーメント(注3)
が管の許容曲げモーメント(注3)
を上回って応力計算上安全な範囲を超えており、土被り厚が最大となる3.1mの箇所では、管に生ずる最大曲げモーメントが3.83kN・mとなり、管の許容曲げモーメント2.59kN・mを大幅に上回っている。
そして、上記区間の一部のヒューム管の管頂部には、縦断方向にき裂が生じている状況であった。
このような事態が生じていたのは、同町において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件排水工は、設計が適切でなかったため、ヒューム管延長37.1m等(これらの工事費相当額3,245,000円)は所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額1,622,500円が不当と認められる。
(注1) | 法勾配 土木工事においては、勾配は通常斜面を斜辺とする直角三角形の縦の辺の長さに対する横の辺の長さの比で示し、例えば、高さ1mに対して長さが0.5mの場合は「5分」という。 |
(注2) | 支承角 管が基礎によって支持される角度をいう(参考図参照)。 |
(注3) | 最大曲げモーメント・許容曲げモーメント 「最大曲げモーメント」とは、外力が材に作用し、これを曲げようと材に生ずる力の最大値をいう。その数値が設計上許される上限を「許容曲げモーメント」という。 |
ヒューム管に作用する土圧の概念図