会計名及び科目 | 道路整備特別会計 (項)道路事業費 |
部局等の名称 | 大阪府 |
補助の根拠 | 道路法(昭和27年法律第180号) |
補助事業者 (事業主体) |
大阪府 |
補助事業 | 主要地方道大阪中央環状線鳥飼大橋架替 |
補助事業の概要 | 橋りょうを架け替えるため、平成14、15両年度に支障となる水道施設の移設補償を行うもの |
事業費 | 293,454,400円 | (うち国庫補助対象額203,518,100円) |
上記に対する国庫補助金交付額 | 101,759,050円 | |
不当と認める事業費 | 13,974,016円 | (うち国庫補助対象額9,691,000円) |
不当と認める国庫補助金交付額 | 4,845,500円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、大阪府が、主要地方道大阪中央環状線鳥飼大橋架替事業の一環として、守口市と摂津市を結ぶ鳥飼大橋に平行して架設している鳥飼ガス管橋の撤去に伴い、同ガス管橋に添架されている大阪府水道企業管理者(以下「水道企業管理者」という。)所有の水道管等の水道施設の移設に要する費用として、平成14、15両年度に293,454,400円(国庫補助金101,759,050円)を水道企業管理者(大阪府水道事業会計(特別会計))に補償したものである。この補償金の算定に当たっては、移設に要する工事費等(以下「施設移設費」という。)279,480,349円に、これに係る消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)額13,974,016円を加算している。
国土交通省道路局所管の国庫補助事業の施行に伴う損失の補償においては、消費税について、「建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失の補償等に関する消費税及び地方消費税の取扱いについて」(平成9年建設省経整発第67号の3)に準じ、次のように取り扱うこととされている。
すなわち、補償を受けた土地等の権利者等が補償金により代替施設を建設する場合などには、建設業者等に支払うこととなる消費税を考慮して補償金を適正に算定することとされている。そして、土地等の権利者等が事業者である場合において、補償金により建設業者等から資産の譲渡等を受け、消費税を負担しても、当該事業者の消費税納付税額の計算上、課税売上高に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額として控除(以下、この控除を「仕入税額控除」という。)の対象となるときは、当該事業者は実質的に消費税を負担しないこととなるため、補償金の算定に当たり消費税を積算上考慮しないこととされている。
そして、消費税法(昭和63年法律第108号)によれば、事業者の課税売上割合(注)
が95%以上となっている場合、事業者は、課税仕入れに係る消費税の全額を仕入税額控除することができることとなっている。また、地方公共団体の特別会計に係る消費税の納付税額の計算に当たり、補助金収入など売上げ以外の収入(以下「特定収入」という。)の額を売上高と特定収入の合計額で除した割合(以下「特定収入割合」という。)が100分の5以下の場合には、特定収入により賄われる消費税額は、課税仕入れに係る消費税額として課税売上高に対する消費税額から控除できることとなっている。
2 検査の結果
検査したところ、本件補償金の算定に当たり、施設移設費に消費税額を加算したのは、次のとおり適切でなかった。
すなわち、水道企業管理者は消費税法上の事業者に該当し、大阪府水道事業会計の消費税の確定申告書等によれば、課税売上割合が95%以上であり、また、特定収入割合は100分の5以下であることから、課税仕入れに係る消費税の全額を仕入税額控除することができることとなる。したがって、水道企業管理者は水道施設の移設に係る消費税を実質的に負担しないこととなるので、補償金の算定に当たり消費税額を加算していたのは適切でない。
このような事態が生じていたのは、同府において、補償金の算定に当たり消費税の取扱いについての理解が十分でなかったことなどによると認められる。
上記により、本件事業に要する適正な費用は279,480,349円(うち国庫補助対象額193,826,775円)であり、消費税額13,974,016円(うち国庫補助対象額9,691,000円)が過大となっており、これに係る国庫補助金相当額4,845,500円が不当と認められる。