会計名及び科目 | 一般会計 (組織)国土交通本省 (項)住宅対策諸費 |
部局等の名称 | 福島県ほか3府県 |
補助の根拠 | 公営住宅法(昭和26年法律第193号) |
補助事業者 (事業主体) |
県1、市3、計4事業主体 |
補助金 | 公営住宅家賃対策補助金 |
補助金の概要 | 公営住宅を管理する地方公共団体に対して、家賃に係る補助を行うために交付するもの |
上記に対する国庫補助金交付額 | 946,473,000円 | (平成12年度〜16年度) |
不当と認める国庫補助金交付額 | 43,312,000円 | (平成12年度〜16年度) |
公営住宅家賃対策補助金(以下「家賃対策補助金」という。)は、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸することを目的として、公営住宅法(昭和26年法律第193号)の規定に基づき建設された公営住宅を管理する地方公共団体に対し国が交付するものである。その交付額は、公営住宅の団地別、管理開始年度別、入居者の収入の区分別等に次のとおり補助基本額を算定し、これらを合計した後に2分の1を乗じるなどして算定することとなっている。
このうち、近傍同種の住宅の家賃の額及び入居者負担基準額は、それぞれ次により算定することとなっている。
(1)近傍同種の住宅の家賃の額
近傍同種の住宅の家賃の額(以下「近傍住宅家賃」という。)は、上記のとおり、建物・土地部分の複成価格等により構成されており、このうち建物部分の複成価格については、「公営住宅法の一部を改正する法律等の運用について」(平成8年建設省住総発第135号建設省住宅局長通知)等によると、次のとおり算定することとなっている。
ア 建物部分の複成価格は、近傍同種の住宅の建設に要した費用に国土交通大臣が毎年定める率を乗じて得られる額から経過年数に応じた減価相当額を控除した額とする。
近傍同種の住宅の建設に要した費用は、当該公営住宅の近傍に存在する同種の住宅の建設に要した費用又は当該公営住宅の建設に要した費用とするが、建設に要した費用には、共同施設(児童遊園、通路、駐車場等)の工事費は含めないこととする。
イ 建設後、相当程度の年数が経過したことなどにより近傍同種の住宅の建設に要した費用の確定が困難な場合等には、事業主体が、建設年度別等の標準的な費用の額を設定することも許容されるが、標準的な費用が実際の費用を上回ることがないよう十分に配慮して適切な額を設定する。
(2)入居者負担基準額
入居者負担基準額は、入居者の収入、当該公営住宅の立地条件等に応じて毎年度算定されることとなっている。
そして、公営住宅の建設に係る土地の取得費については補助対象外となっているが、平成10年12月11日から15年3月31日までの間の公営住宅の建設に係る土地の取得費については、特例的に公営住宅等供給促進緊急助成事業費補助金(以下「緊急助成事業費補助金」という。)により補助の対象としている。この緊急助成事業費補助金の交付を受けた公営住宅については、後年度において家賃対策補助金の額から緊急助成事業費補助金に相当する額を家賃対策補助金の対象となる期間(20年)にわたって減額することとなっている。そして、この減額の方法については、入居者負担基準額に、土地の取得費に1000分の5.096を乗じた額を加算することにより、補助基本額を減額することとなっている。
2 検査の結果
北海道ほか25都府県及び管内の322市区町村、計348事業主体について検査した結果、福島県ほか3事業主体において、補助基本額の算定に当たり、建物部分の複成価格の算出方法を誤っていたり、緊急助成事業費補助金の交付を受けた公営住宅に係る入居者負担基準額に前記の加算をしないまま算定したりなどしていた。その結果、補助基本額が過大に算定されており、これに係る国庫補助金計43,312,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、上記の4事業主体において補助基本額の算定に当たり、近傍住宅家賃及び入居者負担基準額の算定について理解が十分でなかったこと、事業主体内部の事務の連携が十分でなかったこと及び補助金交付申請書の受理、審査を行う府県の審査が十分でなかったことなどによると認められる。
これを態様別・事業主体別に示すと次のとおりである。
府県名 | 事業主体 | 年度 | 国庫補助金交付額 | 不当と認める国庫補助金交付額 | |
千円 | 千円 |
(1)近傍住宅家賃の算定を誤っていたもの
(233) | 大阪府 | 泉佐野市 | 13〜16 | 358,146 | 26,899 |
泉佐野市では、補助基本額の算定に当たり、建物部分の複成価格を算出する際に、近傍同種の住宅の建設に要した費用として、当該公営住宅の建設に要した実際の費用を用いることとしていたが、誤って、これより高額な建設工事の予定価格算定の基礎である設計金額を用いていた。このため、近傍住宅家賃が過大に算定され、その結果、補助基本額が過大に算定されていた。
したがって、適正な近傍住宅家賃により補助金額を算定すると、計331,247,000円となり、交付額との差額、計26,899,000円が過大に交付されていた。
(234) | 香川県 | さぬき市 | 13、14 | 14,136 | 4,086 |
さぬき市では、補助基本額の算定に当たり、建物部分の複成価格を算出する際に、近傍同種の住宅の建設に要した費用として、当該公営住宅の建設に要した実際の費用を用いることとしていたが、誤って、杭基礎等に係る工事費を二重計上したり、共同施設である駐車場等に係る工事費を計上したり、別棟の住宅と共用している浄化槽設備等の工事費を戸数あん分しないまま全額を計上したりなどしていた。このため、近傍住宅家賃が過大に算定され、その結果、補助基本額が過大に算定されていた。
したがって、適正な近傍住宅家賃により補助金額を算定すると、計10,050,000円となり、交付額との差額、計4,086,000円が過大に交付されていた。
(2)入居者負担基準額に所定の加算をしていなかったもの
(235) | 福島県 | 福島県 | 12、14、15 | 445,553 | 8,333 |
(236) | 鳥取県 | 鳥取市 | 12、13 | 128,638 | 3,994 |
上記の2事業主体では、緊急助成事業費補助金の交付を受けた公営住宅に係る補助基本額の算定に当たり、入居者負担基準額に前記の加算をしないまま算定していたため、補助基本額が過大に算定されていた。
したがって、入居者負担基準額に加算すべき額を加算して適正な家賃対策補助金の額を算定すると、福島県では計437,220,000円、鳥取市では計124,644,000円となり、交付額との差額、計8,333,000円、計3,994,000円がそれぞれ過大に交付されていた。
(233)—(236) の計 | 946,473 | 43,312 |