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  • 昭和40年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項

農林省


(290)  災害復旧事業費の査定額を減額させたもの

 (一般会計)

 地方公共団体、土地改良区、森林組合等が施行する農業施設、山林施設、漁港施設の昭和40年発生災害復旧工事の査定を了したもの(農林省査定額40,222,018,000円)に対する検査は、査定済の復旧事業費が6億円をこえる21道府県のうち北海道ほか16府県を選び、40年12月から41年4月までの間に農業施設1,918工事7,721,365,000円、山林施設218工事284,881,000円、漁港施設169工事735,391,000円計2,305工事8,741,637,000円について実施した。
 その結果は、既存の施設が被災していなかったり、被害が軽微であったりしているのに災害復旧の査定を受けて改良工事を施行しようとしているもの、護岸の法長、延長等を過大に見込んでいるもの、または機械施行が有利であるのに人力施行で積算しているものなどが見受けられ、これらの査定工事費を適正なものに修正する必要があると認め、当局に対して注意したところ、前記17道府県において農業施設で378工事269,490,000円、山林施設で4工事4,757,000円、漁港施設で29工事17,559,000円計411工事291,806,000円(国庫補助(負担)金相当額268,735,000円)を減額是正する旨の回答があった。これを道府県別、態様別に示すと次表のとおりである。

類別
道府県名
農林省査定額 左のうち実地検査したもの 減額させた工事費
改良工事その他 設計過大 積算過大
工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額


千円
千円
千円
千円
千円
千円
北海道 304 2,372,948 108 1,510,652 2 365 16 89,995 8 23,658 26 114,018
新潟県 2,977 5,474,397 177 1,508,839 5 9,438 16 6,877 9 8,652 30 24,967
山梨〃 854 742,565 172 371,648 2 4,066 46 16,716 4 1,394 52 22,176
長野〃 1,213 905,300 54 99,521

8 1,355 3 791 11 2,146
静岡県 799 1,053,543 107 470,248 1 120 12 11,218 8 3,435 21 14,773
三重〃 1,774 983,831 74 150,007



1 224 1 224
京都府 1,129 1,006,119 140 599,575 1 133 26 6,509 7 13,723 34 20,365
兵庫県 9,158 4,678,788 234 1,103,828

14 4,061 6 13,674 20 17,735
奈良〃 1,777 628,953 56 74,051

5 745

5 745
和歌山〃 2,315 993,576 215 314,365 1 132 24 11,096 8 5,026 33 16,254
島根〃 3,576 1,786,538 245 441,478 3 3,640 42 9,234 10 2,982 55 15,856
岡山〃 2,100 1,205,116 144 331,877 2 1,707 15 4,447

17 6,154
広島〃 3,622 2,434,774 227 642,717 2 965 51 15,583 8 1,671 61 18,219
徳島〃 987 720,467 39 88,835

7 4,136 2 236 9 4,372
香川〃 1,445 1,050,369 114 538,630

2 800 3 593 5 1,393
高知〃 1,129 782,402 45 152,439 1 3,983 1 100 5 2,580 7 6,663
熊本〃 1,702 989,124 154 342,927

23 5,671 1 75 24 5,746
合計 36,861 27,808,810 2,305 8,741,637 20 24,549 308 188,543 83 78,714 411 291,806

 しかして、災害復旧事業費の査定については、査定額を減額させた事例を毎年度の検査報告に掲記して注意を促し、また、40年、改善の意見を表示したところ、農林省においても、農地農業用施設災害復旧事業事務取扱要綱および査定要領等を全面的に改正し、採択すべき範囲、工法についての基準を設けるとともに、主任査定官制度を設けて査定事務の責任体制を確立するなどしており、検査の結果からみても相当程度努力の跡が認められる。しかしながら、なお上記のように不当と認めた事例が絶えないことにかんがみ、今後一層体制の強化を図るなど適正な査定についての配慮を要するものと認められる。

 以上のほか、査定の時と状況が変化したため災害復旧工事として施行する必要がないと判明したものを注意して減額是正させたものが3工事525,000円(国庫補助金相当額392,000円)ある。
 しかして前記の是正させたもののうち、おもな事例を示すと次のとおりである。

1 設計が過大と認められるもの

 (1) 北海道瀬棚郡今金町住吉頭首工40年災害復旧は、査定額198,124,000円(国庫補助金192,774,652円)で井ぜき延長71メートルを復旧するもので、堤体は土砂吐け2連を設置した可動ぜきとし、基礎にコンクリートパイル575本を打ち込み、その上部に鉄筋コンクリート1,594立方メートルを施行して井ぜきを新設するほか、付帯護岸擁壁は延長190メートルを鉄筋コンクリート746立方メートル等で施行することとしていたものであるが、堤体基礎のコンクリートパイルは河床が砂れき層で安定しており、また、付帯護岸擁壁のうち延長40メートルは被害がないから、いずれも除外すべきである。さらに、応急工事として新設する井ぜき延長47メートルは、うち右岸側延長32メートルは上、下流に鋼矢板301枚を打ち込み、その上部に止水壁コンクリート288立方メートルを打設し、この間の幅20メートルに4層から12層の木工沈床640平方メートルを施行し、また、左岸側延長15メートルはコンクリート89立方メートルの固定ぜきで施行することとしていたが、応急工事は暫定的なものであり、かつ、河床の状況からみて、上、下流に長さ6メートルまたは3メートルの鋼矢板を打設し、この間の下部に玉石混り土砂670立方メートルを中詰とし、その表面に4層の木工沈床幅16メートル752平方メートルを施行することとしても支障がないものと認められる。いま、上記により計算すれば復旧費は163,930,000円となり、34,194,000円(国庫補助金33,270,762円)が過大となっていた。

 (2) 新潟県糸魚川市寒谷水路40年災害復旧は、査定額8,973,000円(国庫補助金8,623,053円)で水路延長1,980メートルを復旧することとし、うち延長442メートルの両岸は基礎コンクリート153立方メートルおよび控35センチメートルのコンクリートブロック練積628平方メートルを施行することとしていたが、本件水路は上幅1.65メートル、底幅1メートル、高さ65センチメートル程度の小断面のものであるから、コンクリートブロック練積に代えて配合比1:3:6の三面張コンクリート総量314立方メートルで施行すれば足りるものと認められ、これにより計算すれば復旧費は7,931,000円となり、1,042,000円(国庫補助金1,001,362円)が過大となっていた。

2 積算が過大と認められるもの

 北海道勇払郡鵡川町田浦水路40年災害復旧は、査定額5,526,000円(国庫補助金5,481,792円)で水路延長51メートルを三面張鉄筋コンクリート85立方メートル等で復旧するもので、コンクリートミキサ等の機械器具損料はすべて使用時間によって計算しているのであるから、使用時間に時間当りの損料を乗じ281,925円とすべきものを誤って日当りの損料を乗じ1,424,015円と積算しているなどのため、2,064,000円(国庫補助金2,047,488円)が過大となっていた。

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