(国有林野事業特別会計)(国有林野事業勘定)(項)国有林野治山事業費
昭和40年度中、営林局署において国有林野治山事業費5,753,396,971円のうち2,863,383,693円で崩壊地復旧等の渓間工事635工事を施行しているが、北見ほか5営林局および中頓別ほか53営林署について、そのうち99工事673,208,286円を実地に検査したところ、コンクリートまたは玉石コンクリートのえん堤等の施行が設計と相違し、コンクリートの練混ぜおよびつき固め、玉石の配列が粗雑であったなどのため堤体内部に空げきを生じ、強度が設計に比べて著しく低下していると認められる事例が熊本営林局および中頓別ほか11営林署で次表のとおり16件工事費40,781,072円見受けられた。
しかして、営林局署で施行しているコンクリートえん堤等の工事については、検査の結果不当と認めた事項を昭和38、39両年度の検査報告に掲記してその是正につき注意を喚起したところであるが、なお前記のように工事の施行が不良な事例が多数発生している原因について検討すると、監督について、監督職員のコンクリート工事に対する知識経験の不足が見受けられること、監督職員による工事の施行管理が十分に行なわれていないこと、監督職員をコンクリート打設等の時期に重点的に立ち会わせる配慮に欠けていること、また、検査について、堤体内部等明視できない部分の品質検査が適確に行なわれていないことなどコンクリート工事における監督および検査が適切でなかったことによるものと認められる。ついては、このような事態の発生を防止するため、
(1) 監督職員に対しコンクリート工事施行に関する研修および指導を徹底してその能力を向上させるとともに、監督職員に工事の実態をは握できるような写真等の記録を整備保存させること、監督職員を工事の施行過程に応じ適期適切に立ち会わせるなど工事施行体制を整備すること、
(2) 堤体の検査にあたっては、その規模に応じ適切なせん孔注水検査の位置、深度、箇所数を決定して堤体内部の品質を確認できるようにするとともに、その合否を合理的に判定できる具体的基準を設け、検査の厳正実施を徹底すること、
(3) 上記の監督、検収の充実強化のほか、工事の発注にあたっては、業者の資力、技術水準、工事用機械の保有状況、手持工事量等について十分配慮することなど適切な処置を講ずることが緊要と認められる。
庁名 | 工事 | 請負人 | 契約年月 検収年月 |
工事費 | 施行不良工事費 | |
(139) |
中頓別営林署 |
平太郎沢荒廃防止 |
吉良土木株式会社 |
年 月 40. 5 〃 7 |
円 3,646,296 |
円 1,255,691 |
えん堤延長33メートルの新設にあたり、えん体231立方メートルはセメント191キログラム配合のコンクリートで施行したこととしているが、実際は中央部48立方メートル、右岸側そで部38立方メートル、左岸側そで下部34立方メートル計120立方メートルは練混ぜおよびつき固めが不十分であったことなどのため、モルタルと砂利とが分離して堤体内部に空げきを生じている状況で、コンクリートとしての強度が著しく低下している。 | ||||||
(140) | 上川営林署 | 高山沢崩壊地復旧 | 株式会社千葉組 | 40. 9 〃 11 |
7,025,010 | 1,091,963 |
えん堤延長35メートルおよび床固め延長22メートルの新設にあたり、えん体477立方メートルおよび125立方メートルはいずれも配合比5:5の玉石コンクリートで施行したこととしているが、実際はえん堤の下部130立方メートルは玉石の配列が粗雑となっていること、コンクリートのつき固めが不十分であったことなどのため、堤体内部に空げきを生じている状況で、玉石コンクリートとしての強度が著しく低下している。 | ||||||
(141) | 阿寒営林署 | 雄別治山 | 北炭建設株式会社 | 40. 5 〃 8 |
7,380,000 | 3,674,788 |
谷止め延長40メートルの新設にあたり、えん体793立方メートルはセメント220キログラム配合のコンクリートで施行したこととしているが、実際は下部444立方メートルは練混ぜおよびつき固めが不十分であったことなどのため、モルタルと砂利とが分離して堤体内部に空げきを生じている状況で、コンクリートとしての強度が著しく低下している。 | ||||||
(142) | 同 | 雄別(災害)治山 | 村井建設木材工業株式会社 | 40. 8 〃 12 |
4,199,325 | 790,951 |
谷止め延長32メートルの新設にあたり、えん体411立方メートルはセメント220キログラム配合のコンクリートで施行したこととしているが、実際は中段部88立方メートルは練混ぜおよびつき固めが不十分であったことなどのため、モルタルと砂利とが分離して堤体内部に空げきを生じている状況で、コンクリートとしての強度が著しく低下している。 | ||||||
(143) | 寒河江営林署 | 四ツ谷川治山 | 犬飼工業株式会社 | 40. 5 〃 10 |
6,150,000 | 3,844,048 |
床固め延長70メートルの新設にあたり、えん体543立方メートルは配合比5:5の玉石コンクリート404立方メートルをセメント228キログラム配合のコンクリート厚さ20センチメートル119立方メートル等で被覆したこととしているが、実際は右岸側367立方メートルは玉石の配列が粗雑となっていること、コンクリートのつき固めが不十分であったことなどのため、堤体内部に空げきを生じている状況で、玉石コンクリートとしての強度が著しく低下している。 | ||||||
(144) | 山形営林署 | ナヘ沢治山 | 羽陽土建工業株式会社 | 40. 5 〃 10 |
4,870,000 | 1,570,169 |
えん堤延長23メートルの新設にあたり、えん体322立方メートルは配合比5:5の玉石コンクリートで施行したこととしているが、実際は右岸側上部154立方メートルはコンクリートのつき固めが不十分であったことなどのため、堤体内部に空げきを生じている状況で、玉石コンクリートとしての強度が著しく低下している。 | ||||||
(145) | 河津営林署 | 白川下流治山 | 株式会社河津組 | 40. 6 〃 10 |
4,049,314 | 4,049,314 |
えん堤延長29メートルの新設にあたり、えん体364立方メートルはセメント241キログラム配合のコンクリート等で施行したこととしているが、実際は練混ぜおよびつき固めが不十分であったことなどのため、モルタルと砂利とが分離して堤体内部に空げきを生じ、全面的に漏水している状況で、コンクリートえん堤としての強度が著しく低下している。 | ||||||
(146) | 河津営林署 | 片瀬治山 | 東海建設株式会社 | 40. 6 〃 11 |
8,775,819 | 8,775,819 |
えん堤2箇所(下流えん堤延長21メートル、上流えん堤延長27メートル)の新設にあたり、えん体416立方メートルおよび382立方メートルはいずれも配合比4:6の玉石コンクリートで施行したこととしているが、実際は玉石の配列が粗雑となっていること、コンクリートのつき固めが不十分であったことなどのため、堤体内部に空げきを生じている状況で、玉石コンクリートえん堤としての強度が著しく低下している。 | ||||||
(147) | 臼田営林署 | 金峰山川荒廃防止第二 | 株式会社新津組 | 40. 6 〃 11 |
7,931,328 | 1,779,622 |
床固め延長47メートルの新設にあたり、えん体755立方メートルはセメント210キログラム配合のコンクリートで施行したこととしているが、実際は上部152立方メートルおよび水表中央部42立方メートル計194立方メートルは練混ぜおよびつき固めが不十分であったことなどのため、堤体内部に空げきを生じている状況で、コンクリートとしての強度が著しく低下している。 | ||||||
(148) | 駒ケ根営林署 | ヨウカイ沢崩壊地復旧 | 株式会社酒井組 | 40. 7 〃 10 |
4,937,514 | 3,453,430 |
谷止め3箇所(1号延長25メートル、2号延長22メートル、3号延長20メートル)の新設にあたり、えん体203立方メートル、134立方メートルおよび143立方メートルはいずれも配合比3:7の玉石コンクリートをセメント211キログラム配合のコンクリート厚さ10センチメートル計54立方メートルで被覆したこととしているが、実際は1号および2号谷止め338立方メートルは玉石の配列が粗雑となっていること、コンクリートのつき固めが不十分であったことなどのため、堤体内部に空げきを生じている状況で、玉石コンクリート谷止めとしての強度が著しく低下している。 | ||||||
(149) | 飯田営林署 | ワル沢崩壊地復旧 | 吉川建設株式会社 | 40. 6 〃 9 |
5,435,632 | 2,197,917 |
谷止め延長27メートルおよび床固め延長14メートルの新設にあたり、えん体439立方メートルおよび53立方メートル等はいずれもセメント210キログラム配合のコンクリートで施行したこととしているが、実際は谷止めの下部242立方メートルは練混ぜおよびつき固めが不十分であったことなどのため、モルタルと砂利とが分離して堤体内部に空げきを生じている状況で、コンクリートとしての強度が著しく低下している。 | ||||||
(150) | 岐阜営林署 | 神崎崩壊地復旧治山 | 武宮建設株式会社 | 40. 6 〃 9 |
3,600,000 | 3,600,000 |
谷止め延長20メートルの新設にあたり、えん体317立方メートルは配合比6:4の玉石コンクリートで施行したこととしているが、実際は玉石の配列が粗雑となっていること、コンクリートのつき固めが不十分であったことなどのため、堤体内部に空げきを生じている状況で、玉石コンクリート谷止めとしての強度が著しく低下している。 | ||||||
(151) | 同 | 大河原崩壊地復旧治山 | 富田屋土建有限会社 | 40.10 〃 12 |
7,693,785 | 829,145 |
えん堤延長37メートルの新設にあたり、えん体744立方メートルは配合比6:4の玉石コンクリートで施行したこととしているが、実際は中段部87立方メートル、右岸側そで上部14立方メートル計101立方メートルは玉石の配列が粗雑となっていること、コンクリートのつき固めが不十分であったことなどのため、堤体内部に空げきを生じている状況で、玉石コンクリートとしての強度が著しく低下している。 | ||||||
(152) | 下呂営林署 | 川上崩壊地復旧治山 | 今井建設株式会社 | 40. 5 〃 10 |
6,211,851 | 599,602 |
谷止め3箇所(2号延長23メートル、3号延長23メートル、4号延長15メートル)の新設にあたり、えん体188立方メートル、105立方メートルおよび65立方メートルはいずれも配合比6:4の玉石コンクリートで施行したこととしているが、実際は2号谷止めのうち上部69立方メートルは玉石の配列が粗雑となっていること、コンクリートのつき固めが不十分であったことなどのため、堤体内部に空げきを生じている状況で、玉石コンクリートとしての強度が著しく低下している。 | ||||||
(153) | 小坂営林署 | 鹿山(カエル又)崩壊地復旧治山 | 岐阜県岩佐某 | 40. 5 〃 8 |
4,089,664 | 1,983,808 |
えん堤延長34メートルの新設にあたり、えん体447立方メートルは配合比6:4の玉石コンクリートで施行したこととしているが、実際は下部278立方メートルは玉石の配列が粗雑となっていること、コンクリートのつき固めが不十分であったことなどのため、堤体内部に空げきを生じでいる状況で、玉石コンクリートとしての強度が著しく低下している。 | ||||||
(154) | 熊本営林局 | 鶴見岳国有林崩壊地復旧新設 | 橋本建設株式会社 | 40. 7 〃 10 |
4,750,000 | 1,284,805 |
えん堤2箇所(下流延長27メートル、上流延長21メートル)の新設にあたり、えん体294立方メートルおよび233立方メートルはいずれも配合比7:3の玉石コンクリートで施行したこととしているが、実際は下流えん堤の中段部および両そで部71立方メートル、上流えん堤の中段部および右岸側そで部97立方メートル計169立方メートルはいずれもコンクリートのつき固めが不十分であったことなどのため、堤体内部に空げきを生じている状況で、玉石コンクートとしての強度が著しく低下している。 | ||||||
計 | 90,745,538 | 40,781,072 |