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  • 昭和40年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項

農林省


(137) 土えん堤工事の施行にあたり盛土転圧費を過大に積算したなどのため工事費が高価と認められるもの

 (特定土地改良工事特別会計) (項)土地改良事業費

 関東農政局で、昭和40年4月、随意契約により大豊建設株式会社に大井川農業水利事業池ケ谷池工事を39,450,000円(当初契約額38,870,000円)で請け負わせ施行しているが、堤体盛土の転圧速度の積算が適切を欠いたなどのため予定価格が過大となり、工事費が約150万円高価となっていると認められる。
 本件工事は、堤体積34,803立方メートルのえん堤等を施行するもので、その予定価格39,450,000円についてみると、盛土の転圧については、土量57,857立方メートルを小松製作所製D−80型ブルドーザでけん引する6トン級タンピングローラまたはD−120型ブルドーザでけん引する8トン級タイヤローラにより、毎時2.34キロメートルまたは2.46キロメートル(ブルドーザ変速機の歯車組合せ第1速による走行速度に相当する。)で、はがね土8回、さや土5回転圧することとして時間当り能力70立方メートルまたは105立方メートル、立方メートル当り11円から52円とし、堤防法面の整形費については、築堤盛土が終了した後法面4,886平方メートルを人力により深さ15センチメートルまで切り取って整形し、切土量730立方メートルをダンプトラックで上流190メートルの付近に運搬捨土することとして平方メートル当り59円とし、機械損料を合わせ転圧および整形費を13,722,239円と積算している。
 しかしながら、本件工事における転圧回数および速度については、あらかじめ農林省農業土木試験場に試験を依頼した結果、転圧回数8回または5回、速度毎時4キロメートル以下であれば設計の堤体強度が十分得られることが判明しており、これにより仕様書にも転圧速度を毎時4キロメートル以下と定めているものであるから、積算にあたっては、使用するブルドーザの性能諸元からみて、毎時4キロメートルに最も近接した走行速度である第2速の毎時3.7キロメートルまたは3.3キロメートルを基礎として計算すべきであったと認められ、これによれば時間当り能力は99立方メートルまたは126立方メートルとなり、また、法面整形については、前記のように法面切土することなく、一般に施行しているように盛土の進ちょくに応じブルドーザにより転圧整形を行なえば足りたものと認められる。
 いま、仮に上記により工事費を再計算すると、当局の計算によっても、転圧費は立方メートル当り8円から47円、また、法面整形費は平方メートル当り1円、機械損料を合わせ転圧および整形費は計12,402,679円で足り、その他の工事費を合わせると総額は37,938,000円となり、本件工事費はこれに比べて約150万円高価となっていると認められる。

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