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  • 昭和40年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第6節 各所管別の事項

農林省


 補助金 (171)−(290)

(171)−(272)  公共事業に対する国庫補助金等の経理当を得ないもの

(一般会計) (組織)農林本省 (項)土地改良事業費 (項)農用地開発事業費 (項)鉱害復旧事業費 (項)農業施設災害関連事業費 (項)農業施設災害復旧事業費 (項)昭和40年発生農業施設災害復旧事業費 (項)昭和39年発生農業施設災害復旧事業費 (項)昭和38年発生農業施設災害復旧事業費 (項)北海道土地改良事業費 (項)離島振興事業費
(組織)林野庁 (項)林道事業費 (項)山林施設災害復旧事業費
(組織)水産庁 (項)漁港施設費 (項)海岸事業費 (項)漁港施設災害復旧事業費 (項)昭和40年発生漁港施設災害復旧事業費 (項)北海道海岸事業費
(国有林野事業特別会計)(治山勘定)
(項)治山事業費 (項)北海道治山事業費 (項)離島治山事業費

 地方公共団体、土地改良区、森林組合等が施行した土地改良、治山施設、林道開設、漁港修築および災害復旧等の工事に対する国庫補助金または国庫負担金(以下「国庫補助金」という。)は土地改良法(昭和24年法律第195号)、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和25年法律第169号)等に基づいて交付されるものである。昭和41年中、全国の工事現場53,459箇所のうち北海道ほか34都府県につきその6.8%に相当する3,638箇所(工事費25,064,700,041円、国庫補助金15,200,078,404円)を実地に検査したところ、国庫補助金の経理当を得ないと認められ国庫補助金を除外すべきことの判明したものが、北海道ほか29都府県(注) において、除外すべき額1工事につき10万円以上のもので152工事57,272,821円(うち国有林野事業特別会計治山勘定の分7工事4,819,711円)あり、このうち国庫補助金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると別表第2 のとおり102件49,963,417円である。

 公共事業関係国庫補助金の経理については、不当と認めた事例を毎年度の検査報告に掲記して注意を促し、また、40年、これら不当な事態の発生を防止するため適切な処置を講ずるよう改善の意見を表示したところ、関係当局においても工事の監督、検査についての諸規程を改正するとともに、専門検査員制度を新設、拡充し、監督、検査の範囲、方法について具体的な基準を設けて工事の施行体制を整備するなどしており、検査の結果からみても相当程度努力の跡が認められる。しかしながら、なお上記のように不当な事例が絶えないことにかんがみ、今後一層指導監督の強化徹底を図るなど工事の適正な施行について配慮の要があるものと認められる。

 いま、検査の結果についてみると、地理的条件の悪いへき地で施行した比較的工事費の少額な工事において不良な事例が多く見受けられる状況であり、その態様について述べると、(ア)コンクリート工事においては、水路の擁壁やつり橋の橋台等の工事で、純コンクリートで施行することになっているのに、粗悪なコンクリートに多量の玉石を投入し、コンクリートのつき固めも十分でなかったため内部に多くの空げきがあるもの、井ぜきや防波堤等の工事で、粗悪なコンクリートで施行し、その練混ぜやつき固めなども十分でなかったため砂利だけの層があるものなどが67工事(国庫補助金24,384,359円)あり、(イ)石垣工事においては、水路や林道の工事で、築石の積み方が粗雑であるばかりでなく、胴込や裏込のコンクリートが粗悪で、なかにはこれらをほとんど施行していないものなどが52工事(国庫補助金14,311,382円)あって、これらコンクリート工事と石垣工事の不良なものが不当事項の大部分を占めている状況であり、(ウ)玉石コンクリート工事においては、山腹崩壊防止のためのえん堤や林道の擁壁等の工事で、表面だけを設計どおりに施行しその内部に玉石ばかりの層があるもの、玉石を多量に混入し、玉石と玉石とが重なり合っているばかりでなく、コンクリートも粗悪なもので施行しているものなどが16工事(国庫補助金9,095,552円)あり、これらのほか、(エ)ため池の堤とう工事で、盛土の締固めを十分行なっていないもの、水路の鉄線じゃかご工事で、規格外の小径の詰石を使用しているものなどが17工事(国庫補助金9,481,528円)ある。

 しかして、これらのうち設計に比べて強度が著しく低下していると認められるもののおもな事例を示すと次のとおりである。

1 福井県敦賀市が958,000円(国庫補助金869,864円)で施行した山水路40年災害復旧工事は、水路延長25メートルを復旧したものであるが、水路の擁壁110立方メートルは、設計では純コンクリートで施行することとなっているのに、実際は、水洗いの不十分な規格外の砂を多量に使用した粗悪なコンクリートの中に多量の玉石を投入して施行しており、コンクリート擁壁としての強度が設計に比べて著しく低下している。((214)参照)

2 熊本県球磨郡相良村が770,000円(国庫補助金733,810円)で施行した瀬馳頭首工40年災害復旧工事は、コンクリート井ぜき延長9メートル99立方メートルを復旧したものであるが、実際は、えん体は、設計と異なって下部を全く施行していないばかりでなく、きわめて粗悪なコンクリートで施行し、そのつき固めも十分でなかったため砂利だけの層を生じており、すでに内部は水が浸透している状況で、コンクリート井ぜきとしての強度が設計に比べて著しく低下している。((267)参照))

3 奈良県生駒郡平群村で受益者が577,000円(国庫補助金375,050円)で共同施行した櫟原農道40年災害復旧工事は、農道延長22メートルを復旧したものであるが、実際は、法留練積石垣89平方メートルは、石積の施行が粗雑で、築石と築石との間に多くのすき間があるばかりでなく、胴込コンクリートも粗悪なものを設計の半量程度しか施行していない状況で、練積石垣としての強度が設計に比べて著しく低下している。((235)参照))

4 青森県が3,890,948円(国庫補助金2,593,965円)で施行した弘前市中泊地内渓流崩壊防止工事は、延長32メートル、高さ8メートル、433立方メートルの治山えん堤を新設したものであるが、えん体は、設計では玉石コンクリートの表面を厚さ10センチメートルの純コンクリートで被覆して施行することになっているのに、実際は、設計どおりに施行しているのはえん体の表面から厚さ50センチメートルの部分だけであり、その内部は玉石ばかりの層とコンクリートの層とに分けて交互に打設しており、コンクリートえん堤としての強度が設計に比べて著しく低下している。((177)参照))

 (注)  別表第2に掲記した都道府県のほか千葉、徳島、佐賀各県

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