(昭和39年度) (特定土地改良工事特別会計) (項)土地改良事業費
九州農政局で、昭和39年9月、指名競争契約により西松建設株式会社に綾川農業水利事業籾木導水路第1期工事を71,250,000円(当初契約額72,600,000円)で請け負わせ施行しているが、スパイラル溶接鋼管の価格等の積算が適切を欠いたため予定価格が過大となり、ひいて工事費が約330万円高価となっていると認められる。
本件工事は、逆サイフォン工311メートル等を施行するもので、その予定価格71,250,000円についてみると、
(ア) 鋼管の製作すえ付費15,375,000円は、逆サイフォンに使用するスパイラル溶接鋼管(内径1,070ミリメートル、厚さ7ミリメートルおよび13ミリメートル)311メートル、68.41トンを工場で製作し、すえ付けるもので、積算にあたり、上記鋼管が受注生産品であるため市販価格がないものとし、製作会社からすえ付費込みの参考見積を徴するなどして、うち直管277メートル、55.386トンについてはトン当り製品価格136,212円、梱包費2,300円計7,671,678円としている。
しかしながら、この種の鋼管は、受注生産品ではあるが、需要が多く相当量生産されており、それぞれの規格に応じた価格で販売されていて、その製品価格については積算関係資料等によっても比較的容易に知ることができるものであり、これによるとトン当り65,000円程度となっている。いま、トン当り製品価格を65,000円とすれば、これに当局修正計算による梱包費4,304円を見込んでも69,304円計3,838,471円で足りる計算となる。
(イ) 労務宿舎損料、間接労務費計4,141,995円は、算出の根拠となる直接労務者人数を重複計算しているためこれを修正すると3,808,880円となり、また、異形鉄筋15.675トンは889,728円と積算しているが、当時の市場価格により計算すれば670,278円となる。
いま、仮に上記各項により、また、業者持主要既成品取扱経費等の過小積算額1,245,562円があるので、これらを修正し工事費を再計算すると総額67,878,221円となり、本件工事費はこれに比べて約330万円高価となっていると認められる。