会計名及び科目 | 一般会計 (組織)水産庁 (項)水産業振興費 |
部局等の名称 | 水産庁 |
補助の根拠 | 予算補助 |
補助事業者 | 高知県 |
間接補助事業者 (事業主体) |
高知県室戸市 |
補助事業 | 水産業地域改善対策 |
補助事業の概要 | 漁業者の経営の安定と生活水準の向上を図るため、平成2年度に荷さばき施設を設置するもの |
事業費 | 215,514,000円 |
上記に対する国庫補助金交付額 | 143,676,000円 |
不当と認める事業費 | 117,556,876円 |
不当と認める国庫補助金交付額 | 78,371,250円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、高知県室戸市が、漁業経営の安定と漁家の生活水準の向上を目的とする水産業地域改善対策事業の一環として、定置網漁業により水揚げされた漁獲物を出荷調整し、活魚販売を行うことにより魚価の安定・向上を図るため、平成2年度に、水槽8基からなる荷さばき施設(建物延べ床面積526.0m2
、水槽15.7t 2基、同8.0t 6基等)を事業費215,514,000円(国庫補助金143,676,000円)で設置したものである。
同市では、事業計画において、本件施設の管理及び運営を佐喜浜町漁業協同組合に委託し、本件施設を利用して年間132.0tのアジ、ウマヅラハギ、タイ等の活魚を集荷し、直接市場に出荷販売することとしていた。
2 検査の結果
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
本件施設では、利用初年度である3年度は年間入出荷量132.0tの利用計画に対し16.7t(12.6%)程度の実績はあったものの、活魚出荷に対する漁業者の協力が得られなかったことなどにより、翌年度以降は同組合に活魚を供給する漁業者がなく、本件施設は全く利用されなくなった。
5年9月、同市では、施設利用の再開を試みたが、その後も漁業者による利用はほとんどない状況となっていたことなどから、8年に本院が注意したところ、高知県では、同市に対して、今後3年を目途に本件施設の多角的な有効利用を図るよう指導及び支援を行うとしていた。そして、これを受けて、同市では同年11月に施設の再開計画を策定し、年間47.2tの活魚を取り扱うこととしていた。
しかし、その後12年度までの利用実績は、計画年間入出荷量47.2tに対し9年度0.5t(1.2%)、10年度0.8t(1.6%)の入出荷があっただけで、11、12両年度は漁業者による利用が全くない状況となっていた。なお、水槽の一部については漁業者以外の事業者(仲買人)が同市の許可を得て専用使用していた。
このような事態が生じていたのは、同市において、再開計画策定後も施設の運営方法等の検討や利用状況の把握が十分でなかったこと、需要が見込めない状況になっているにもかかわらず本件施設の運営を継続していることなどによると認められる。
したがって、補助事業により設置した本件荷さばき施設(11年3月末残存価額117,556,876円)は補助の目的を達しておらず、これに対する国庫補助金相当額78,371,250円は不当と認められる。