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  • 平成12年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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補助金


(184) 漁業集落環境整備事業の実施に当たり、施工が設計と著しく相違していたため、汚水処理水槽等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)水産庁 (項)離島振興事業費
部局等の名称 愛知県
補助の根拠 予算補助
補助事業者 愛知県
間接補助事業者
(事業主体)
愛知県知多郡南知多町
補助事業 漁業集落環境整備
補助事業の概要 汚水処理施設を新設するため、平成11年度に汚水処理水槽、管理棟等を建設するもの
事業費 456,391,950円
上記に対する国庫補助金交付額 228,195,975円
不当と認める事業費 22,528,373円
不当と認める国庫補助金交付額 11,264,186円

1 補助事業の概要

 この補助事業は、愛知県知多郡南知多町が、漁業集落環境整備事業の一環として同町日間賀島地区において汚水処理施設を新設するため、平成11年度に地下式の汚水処理水槽(縦14.7m、横26.0m、底面積382.2m2 )、その上部の管理棟(平屋建て一部2階建て。延床面積815.1m2 )などの建設を工事費456,391,950円(国庫補助金228,195,975円)で実施したものである。
 上記の汚水処理水槽は鉄筋コンクリート構造であり、高さ 6.9mの外壁に囲まれた内部は、処理水を一時貯留する処理水槽、処理水を消毒する紫外線消毒装置ピットなどに区分されている(参考図参照)
 この汚水処理水槽の外壁のうち、処理水槽及び紫外線消毒装置ピット部分(延長10.6m、厚さ40cm)については、設計図書等によると、外側縦方向の主鉄筋として径22mmの鉄筋を10cm間隔に配置するなどとしていた。そして、これによれば、外壁に作用する水平土圧等により主鉄筋に生じる引張応力度(注1) (常時)(注2) が鉄筋の許容引張応力度(注1) (常時)を下回ることから、応力計算上安全であるとして、これにより施工することとしていた。

2 検査の結果

 検査したところ、処理水槽及び紫外線消毒装置ピット部分の外壁の施工が次のとおり設計と著しく相違していた。
 すなわち、上記のように外側縦方向の主鉄筋については、径22mmの鉄筋を10cm間隔で配置するよう設計図書に明示されていたのに、施工する際に、誤って20cm間隔で配置しており、設計に比べて鉄筋量が半減していた。
 そこで、本件外壁について、改めて外側縦方向の主鉄筋に生じる引張応力度(常時)を計算すると2,257kgf/cm2 となり、許容引張応力度(常時)1,600kgf/cm2 を大幅に上回っていて、応力計算上安全な範囲を超えている。
 このような事態が生じていたのは、本件外壁の施工が設計と相違していたのに、これに対する同町の監督及び検査が適切でなかったこと、同町に対する愛知県の指導が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、本件汚水処理施設は施工が設計と著しく相違していたため、処理水槽、紫外線消毒装置ピット及びそれらの上部の管理棟(これらの工事費相当額22,528,373円)について所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額11,264,186円が不当と認められる。

(注1) 引張応力度・許容引張応力度 「引張応力度」とは、材に外から引張力がかかったとき、そのために材の内部に生じる力の単位面積当たりの大きさをいう。その数値が設計上許される上限を「許容引張応力度」という。
(注2) 常時 地震時などに対応する表現で、土圧など常に作用している荷重及び輪荷重など作用頻度が比較的高い荷重を考慮する場合をいう。

(参考図)

(参考図)

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