会計名及び科目 | 道路整備特別会計 (項)道路事業費 |
部局等の名称 | 栃木県 |
補助の根拠 | 道路法(昭和27年法律第180号) |
補助事業者 (事業主体) |
栃木県 |
補助事業 | 一般国道408号道路改築 |
補助事業の概要 | 道路を新設するため、平成13年度から15年度までの間にボックスカルバート及びその上部の地覆・壁高欄等を施工するもの |
事業費 | 589,197,000円 |
上記に対する国庫補助金交付額 | 324,058,350円 |
不当と認める事業費 | 3,909,000円 |
不当と認める国庫補助金交付額 | 2,149,950円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、栃木県が、一般国道408号道路改築事業の一環として、真岡市亀山地内において、一般国道408号と北関東自動車道に設置される真岡インターチェンジ(仮称)との連絡道路を新設するなどのため、平成13年度から15年度までの間に、ボックスカルバート(以下「カルバート」という。)及びその上部の地覆・壁高欄の築造、盛土等を工事費589,197,000円(国庫補助金324,058,350円)で実施したものである。
このうち、カルバート(延長15.5m、高さ8.1m、幅24.1m)は、その内部を国道本線とし、その上部をインターチェンジとの連絡道路として使用するものである。そして、カルバート上部には、車両の路外への転落防止などのために鉄筋コンクリート構造の地覆・壁高欄(高さ1.55m)を上り下り両線にそれぞれ38.1m、計76.2mを設置することとし、これにより施工している(参考図参照)
。
上記の地覆・壁高欄のようなコンクリート構造物は、セメントの水和熱(注1)
、外気温などによる温度変化や乾燥収縮などによりひび割れが発生することがあり、ひび割れの程度によっては、雨水等の浸透によりコンクリートの中性化(注2)
や鉄筋腐食等の進行を速め、構造物の耐久性等の低下を著しく加速する可能性がある。
このため、コンクリート標準示方書(社団法人土木学会編)では、コンクリート構造物にこのようなひび割れが発生するのを防ぐために伸縮目地(以下「目地」という。)を設けることとし、設計図には目地の位置及び構造を明示しなければならないとしている。また、同県制定の土木工事共通仕様書では、目地について設計図等で特に明示していない場合であっても、請負者は瀝青(れきせい)系目地材料を厚さ1cm、施工間隔10m程度で施工することとしている。
2 検査の結果
検査したところ、本件地覆・壁高欄の設計及び施工が次のとおり適切でなかった。
すなわち、前記のとおり、コンクリート標準示方書では設計図には目地の位置及び構造を明示しなければならないとしているのに、本件地覆・壁高欄の設計図には目地の記載がなく、また、施工に当たっても土木工事共通仕様書に定めるような目地を全く設置していなかった。
このため、地覆・壁高欄の縦断方向の中央部付近に集中して26本のひび割れ(最大幅0.5mm)が生じており、中には車道側から路外側まで回っているものも見受けられ、出来形が著しく粗雑となっていて、鉄筋コンクリート構造物の耐久性等に大きな影響を与えるものとなっていた。
このような事態が生じていたのは、同県において、設計図等に目地の位置及び構造を明示していなかったこと、施工が適切でなかったのに、これに対する監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件カルバート上部の地覆・壁高欄(工事費相当額3,909,000円)は、設計及び施工が適切でなかったため、鉄筋コンクリート構造物としての耐久性等が著しく低くなっており工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額2,149,950円が不当と認められる。
(注1) | セメントの水和熱 セメントの成分と水が化学反応してコンクリートが硬化する際、発生する熱のことをいう。 |
(注2) | コンクリートの中性化 コンクリート表面から内部に侵入した大気中の二酸化炭素がコンクリートの主成分である水酸化カルシウムと反応して炭酸カルシウムが生じ、これがコンクリートのアルカリ度を弱めて中性化させることをいう。中性化したコンクリートは、鉄筋を錆から守る機能が低下する。 |