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補助金


(171)緊急地方道路整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、パイプカルバート等の所要の安全度が確保されていない状態になっているもの

会計名及び科目 道路整備特別会計 (項)地方道路整備臨時交付金
部局等の名称 新潟県
補助の根拠 道路整備緊急措置法(昭和33年法律第34号)
補助事業者
(事業主体)
新潟県東頸城郡牧村
補助事業 村道川西線緊急地方道路整備
補助事業の概要 村道を拡幅するため、平成14年度に土工、横断施設工等を施工するもの
事業費 60,589,200円
上記に対する国庫補助金交付額 30,294,600円
不当と認める事業費 6,927,000円
不当と認める国庫補助金交付額 3,463,500円

1 補助事業の概要

 この補助事業は、新潟県東頸城郡牧村が、緊急地方道路整備事業の一環として、同村下湯谷地内において、村道を拡幅するため、平成14年度に、土工、舗装工、横断施設工等を工事費60,589,200円(国庫補助金30,294,600円)で実施したものである。
 上記のうち横断施設工は、道路の拡幅により付け替えが必要となる既存の排水管の機能を維持するなどのため、道路下を横断するパイプカルバート(以下「カルバート」という。)を4箇所(工事起点側の3号カルバートから終点側の6号カルバートまでの4箇所、延長計59.4m)に布設するもので、このうち、3号カルバートは管内径1,000mm、延長15.0m、4号カルバートは管内径450mm、延長9.0mとなっている。
 同村では、カルバートの設計については、「道路土工カルバート工指針」(社団法人日本道路協会編。以下「指針」という。)により行っている。そして、その管種及び基礎形式については、指針に示されている「パイプカルバート基礎形式選定図」(以下「選定図」という。)により、管頂部における埋戻し幅が管外径の2倍未満などの場合(この場合を「溝型」という。)の選定図を適用して決定している。
 そして、3号カルバート及び4号カルバートについては、活荷重(注1) が作用する部分の土被り厚がそれぞれ1.50mから3.40m、0.48mから1.60mであることから、管種を遠心力鉄筋コンクリート管(1種管)、基礎形式を管の外周4分の1をコンクリートで固定する90度固定基礎とすれば、設計上安全であるとし、この管種及び基礎形式により施工していた(参考図参照)

2 検査の結果

 検査したところ、3号カルバート及び4号カルバートの設計が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、設計図面では、3号カルバートについては掘削底面の幅を2,400mm、法勾配(注2) 5分で、4号カルバートについては掘削底面の幅を1,600mm、法勾配3分で掘削してカルバートを布設した後、所定の計画高さまで埋め戻すことにしている。このため、管頂部における埋戻し幅は3号カルバートで3,760mm、4号カルバートで2,000mmとなり、それぞれの管外径1,164mm、526mmの2倍以上となっている。そして、実際の施工においても、この設計図面に基づき、現地盤を掘削してカルバートを布設し、埋め戻していた。
 しかし、このように管頂部の埋戻し幅が広い場合、カルバートに作用する土圧は溝型の選定図で想定されている土圧より大きくなり、土圧計算の対象となる範囲も広くなることから、指針によると、管種及び基礎形式の選定に当たっては、溝型ではなく、管頂部における埋戻し幅が管外径の2倍以上あるなどの場合(この場合を「突出型」という。)の選定図を適用することとされている(参考図参照)
 そこで、両カルバートについて、突出型として前記の土被り厚に基づいて改めて応力計算を行うと、カルバートに生じる最大曲げモーメント(注3) が、3号カルバートで12.686kN・m、4号カルバートで1.756kN・mとなり、それぞれ、許容曲げモーメント(注3) 6.377kN・m、1.530kN・mを大幅に上回っていて、応力計算上安全な範囲を超えている。
 そして、3号カルバートの管頂部には、縦断方向にき裂が生じている状況であった。
 このような事態が生じていたのは、同村において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、本件両カルバートの設計が適切でなかったため、そのカルバート延長計24.0m及びその上部の舗装等(これらの工事費相当額6,927,000円)は所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額3,463,500円が不当と認められる。

(注1) 活荷重 自動車等が構造物上を移動する際に作用する荷重
(注2) 法勾配 土木工事においては、勾配は通常斜面を斜辺とする直角三角形の縦の辺の長さに対する横の辺の長さの比で示し、例えば、高さ1mに対して長さが0.5mの場合は「5分」という。
(注3) 最大曲げモーメント・許容曲げモーメント 「最大曲げモーメント」とは、外力が材に作用し、これを曲げようと材に生じる力の最大値をいう。その数値が設計上許される上限を「許容曲げモーメント」という。

(参考図)

(参考図)

(注)
寸法等の記載は、上段が3号カルバート、下段が4号カルバートのもの

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