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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成27年3月

東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する会計検査の結果について

[別添]復旧・復興予算の執行状況に関する会計検査院の検査状況

会計検査院が平成26年次に検査を実施した結果、平成25年度決算検査報告に掲記した事項等のうち、東日本大震災関係経費に係る事項等は次のとおりである。

(1) 復旧・復興事業等に係る経費の積算や算定が適切とは認められないなどのもの(7件)

① 分庁舎等の解体撤去工事の施行に当たり、処分費等の積算を誤ったため、契約額が割高となっていたもの(警察庁)

東北管区警察局は、建設リサイクル法に基づき、本件工事から生ずる特定建設資材廃棄物の再資源化を行うこととしていたにもかかわらず、処分費等の積算に当たり、誤って最終処分場でがれき類を処分する単価を用いるなどしていたため、契約額が約670万円割高となっていた。

② 私立学校施設整備費補助金(防災機能強化施設整備事業)が過大に交付されていたもの(文部科学省)

学校法人富澤学園において、外壁改修工事に係る経費を非構造部材の耐震対策工事の補助対象経費に含めていたが、外壁改修工事は建物全体の構造設計・構造計算の対象となっているため、耐震補強工事に係る経費として計上すべきであり、外壁改修工事に係る経費を非構造部材の耐震対策工事の補助対象経費から控除して、併せて実施していた耐震補強工事の補助対象経費に加えると、耐震補強工事に係る補助対象経費の上限額を上回ることなどから、約530万円が過大に交付されていた。

③ 私立学校施設整備費補助金(防災機能等強化緊急特別推進事業)が過大に交付されていたもの(文部科学省)

2学校法人(学校法人京都女子学園及び学校法人瓜生山学園)において、耐震補強工事等に係る補助対象経費の算定に当たり、補助の対象とならない工事費等を補助対象経費に含めていたため、私立学校施設整備費補助金(防災機能等強化緊急特別推進事業)計約6850万円が過大に交付されていた。

④ 緊急雇用創出事業臨時特例交付金及びふるさと雇用再生特別交付金により造成した基金を補助の目的外に使用していたもの(厚生労働省)

緊急雇用創出事業臨時特例交付金及びふるさと雇用再生特別交付金により造成された基金を財源として実施された委託事業等において、委託事業の受託者等が、新規雇用失業者を雇用しないで事業を実施したり、支払の事実がない経費を計上したりなどしていて、基金が補助の目的外に使用されていた。(東日本大震災関係経費を含む約9960万円)

⑤ 森林域における放射性物質流出抑制対策調査に係る委託事業の実施に当たり、航空機の運航時間に運航していない時間を含めてレーザ計測の経費を算定するなどして委託費を支払っていたため、委託費の支払額が過大となっていたもの(農林水産省)

林野庁は、東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所の事故により発生した放射性物質を含む土砂等が森林域から流出するのを防止する対策を検討する事業を会社に委託して実施している。この事業において、受託会社が、航空機によるレーザ計測の運航時間に航空機が運航していない時間を含めてレーザ計測の経費を算定するなどしていたため、委託費の支払額約4710万円が過大となっていた。

⑥ 監視システムの整備に当たり補助率の適用を誤ったため、補助金が過大に交付されていたもの(経済産業省)

JX日鉱日石エネルギー株式会社が、大規模災害発生時等に各地域に石油を安定して供給できる体制を構築するために、石油基地の石油製品出荷設備等の災害対応能力を強化する事業を実施したところ、監視システムの整備に係る補助率の適用を誤ったため、補助金約250万円が過大に交付されていた。

⑦ 再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金により実施した事業において、工事の設計が適切でなかったもの(環境省)

青森県が実施した再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金事業において、蓄電池設備を固定するアンカーボルトに係る耐震設計計算上の検討を行っていなかったため、本件蓄電池設備(約810万円)は、地震時において転倒するなどして破損するおそれがあり、電力供給の機能の維持が確保されていない状態になっていた。

(2) 復旧・復興事業等の執行等に当たり、会計経理や制度等について是正改善や改善の要があると認められるなどのもの(17件)

① 防災情報通信基盤整備事業等の実施について(総務省)

総務省が実施する防災情報通信基盤整備事業等において、防災情報を電子メールで一斉に配信する機能に不必要な重複が生じていたり、構築した防災システムの機能の一部が当初の計画どおりに使用できないなどの状態となっていたり、また、総務省において、事業主体に対して参考となる情報の直接の提供を行っておらず、事業主体に対する支援が十分なものとなっていなかったりしている事態が見受けられた。したがって、総務省において、関係機関との調整や文書化した運用マニュアルの整備を行うことなどにより、災害時において不必要な重複を生ずることなく、防災システムの機能を十分活用し迅速な対応を行うことができることとなるよう指導するとともに、今後の同種事業の実施に当たり、参考となるような情報の提供や指導を行うなど事業主体への支援を十分に行うことにより、事業が効率的、効果的に実施されることとなるよう処置を講ずる要がある。(事態の背景となる補助事業の国庫補助金交付額(約8億0920万円)のうち、東日本大震災関係経費は約2億0790万円)

② 私立学校施設における耐震補強事業の補助対象経費の取扱いについて(文部科学省)

文部科学省は、高等学校等を設置する学校法人が、耐震補強壁、柱、梁等の構造体の設置・補強等の工事を実施する耐震補強事業を行う場合に、当該学校法人に対し、私立学校施設整備費補助金(私立学校教育研究装置等施設整備費(私立高等学校等施設高機能化整備費))を交付している。検査したところ、校舎等の建物の耐震性能の向上に資することが構造計算等により明確にされていない工事に係る経費を補助対象経費に含めている事態等が見受けられた。したがって、文部科学省において、補助対象工事は、校舎等の建物の耐震性能の向上に資することが構造計算等により明確にされている工事に限られることを、課長通知において明示するなどの処置を講ずる要がある。(このうち、東日本大震災関係経費に係る補助金の交付額の開差額は約440万円)

③ 学校施設環境改善交付金等の交付額の算定について(文部科学省)

文部科学省が地方公共団体に交付している学校施設環境改善交付金等の交付額の算定に当たり、公立学校施設以外の施設を交付対象に含めて交付額を算定するなどしていたり、公立学校施設を法令に適合させるための工事等において実績報告時の交付対象工事費の減額を交付額算定上の配分基礎額に反映させていなかったり、交付申請時の交付対象工事費の上限額を実績報告時に適用していなかったりしている事態が見受けられた。したがって、文部科学省において、学校建物内に設置されている公立学校施設以外の施設は交付対象にならないことを事業主体等に周知徹底するなどしたり、法令に適合させるための工事等において実績報告時の交付対象工事費に減額があった場合にはこれを配分基礎額にも反映させる必要があること及び交付申請時の交付対象工事費の上限額を実績報告時にも適用する必要があることを明確に定めたりする処置を講ずる要がある。(このうち、過大に算定されるなどしている東日本大震災関係経費は約6910万円)

④ 保証保険資金等緊急支援事業による代位弁済に係る回収金について(農林水産省)

岩手、宮城、茨城各県の3漁業信用基金協会において、求償権の行使による回収金に係る国庫補助金相当額約1億0360万円が、国庫に返還することが可能となっているにもかかわらず滞留していたり、独立行政法人農林漁業信用基金において、3協会から同基金に納付された回収金に係る交付金相当額約2億3980万円が、年度末において生じているにもかかわらず国庫に返還されないまま年度を越えて滞留していたりしている事態が見受けられた。したがって、水産庁において、協会の回収金に係る国庫補助金相当額及び信用基金の回収金に係る交付金相当額を適時適切に国庫に返還することが可能となるよう、補助金要綱等を速やかに改正するなどして、滞留している国庫補助金相当額及び交付金相当額をそれぞれ国庫に返還させるよう処置を講ずる要がある。

⑤ 東日本大震災復旧・復興予備費を財源とする農畜産業振興対策交付金の未使用額及び返還額の国庫への納付について(農林水産省)

農林水産省は、東日本大震災復旧・復興予備費を財源とする農畜産業振興対策交付金について、同交付金の交付先である独立行政法人農畜産業振興機構において、復旧・復興に関連する経費以外には使用しないこととする制限があり、有効に活用できない多額の未使用額及び返還額が生じていることを把握していたのに、同機構に対して、当該未使用額及び返還額を速やかに国庫に納付させていない事態が見受けられた。このため、農林水産省において、25年度末までに生じた未使用額及び返還額について、26年4月までに国庫に納付させるとともに、同月に通知を発するなどして、今後生ずることとなる未使用額及び返還額についても四半期ごとに国庫に納付させることとする処置を講じた。(平成25年11月末現在における未使用額及び返還額約731億7460万円)

⑥ 直接採択事業の実施における事業費の支払等について(農林水産省)

農林水産省は、農林水産本省及び地方農政局等が直接、農山漁村6次産業化対策事業等を実施する民間事業者等の事業主体に対して、補助金等を交付する方式(以下、この方式による補助事業等を「直接採択事業」という。)により事業を実施している。しかし、事業主体において、事業資金の確保に支障が生じていたり、直接採択事業により整備した機械、施設等の試運転、調整等が完了していないことなどにより、その引渡しを受けることを保留していたりなどして、補助金等の受領後速やかに事業費の支払が完了していないなどしている事態が見受けられた。このため、公募要領等において、事業主体は、補助金等の受領後、速やかに事業費の支払を完了するとともにその報告をすることなどを明記させるなどの処置を講じた。(このうち、東日本大震災関係経費は約6300万円)

⑦ 間伐等における集約化施業が可能な施業地の選定等について(農林水産省)

林野庁は、森林環境保全整備事業及び森林整備加速化・林業再生事業(復興対策基金事業)における間伐等の実施に当たり、効率的で低コストな森林の整備を行うための集約化施業を推進しているのに、事業主体が、点在していて路網による連続性がない施業地で事業を実施していたため、高性能林業機械を効率的に活用するなどの集約的な間伐等が実施可能なものとなっていない事態、さらに、上記の間伐等のうち、復興対策基金事業により実施した間伐等において、原木の増産につながらない切捨間伐を実施している事態が見受けられた。このため、事務連絡において、集約化施業における間伐等を実施する際の施業地の選定基準を具体的に示すとともに、復興対策基金事業における間伐等は搬出間伐が主目的であることなどの周知徹底を図る処置を講じた。(両事態に係る国庫補助金相当額の合計約5億8150万円)

⑧ パイプライン工事における再生砕石の利用促進について(農林水産省)

農林水産省農業水利事業所等では、パイプライン工事において、設計基準等に再生砕石の中に含まれる異物の除去等に係る注意事項の記載があることなどから、管路の基礎材に、再生砕石ではなく新材砕石を使用していた。しかし、農林水産省は、上記の注意事項の趣旨は、再生砕石の利用を妨げるものではないとしていること、また、再生砕石を使用している事務所等では、異物の混入等について、監督員が基礎材の搬入の際に現地において確認して再生砕石を使用していることなどから、新材砕石より安価である再生砕石を使用することが可能であった。このため、農林水産省において、再生砕石の利用を一層促進することにより、環境に配慮しつつ経済的な設計を行えるよう処置を講じた。(低減できた管路の基礎材費の積算額約2530万円)

⑨ 東日本大震災の被災地における防災のための集団移転促進事業の実施について(国土交通省)

移転促進区域からの移転者が住宅団地内の宅地等へ集団的に移転することを促進する防災のための集団移転促進事業の実施状況について、岩手、宮城、福島各県管内の25市町村が実施した事業を対象に検査したところ、住宅団地の整備に時間を要する中、移転者の意向が変化するなどして宅地希望者が減少して、宅地に空き区画が生じている事態が見受けられた。したがって、国土交通省において、適時適切な意向調査等を行うよう市町村に対して助言等を行い、また、住宅団地の宅地に空き区画が生ずるおそれがある場合には、事業規模を縮小したり、公共用地へ転用したりするなど、事業計画の適切な見直し及び移転者の中から再募集を行うなどの措置を講ずるよう市町村に対して周知等を行う要がある。(防災のための集団移転促進事業に係る東日本大震災復興交付金の交付決定額約4410億0810万円)

⑩ 道路管理データベースシステムへの基本データの登録について(国土交通省)

国土交通省において、災害時等に迅速かつ的確な対応を行うために重要となる道路管理データベースシステムの機能を活用するのに必要な供用中の道路施設に係る諸元等の基本データが多数登録されておらず、その状態が計画的に解消されていない事態が見受けられた。したがって、国土交通省において、基本データが登録されていない状態を計画的に解消するよう改善の処置を講ずる要がある。(東日本大震災関係経費を含む指摘の背景となった未登録データの作成に係る費用の積算額約1億1510万円)

⑪ 防衛装備品等の調達に関する契約における資料の信頼性確保について(防衛省)

防衛省が原価計算方式により予定価格を算定するなどして契約を締結した防衛関連企業12社において、原価計算等に関する規程類が十分整備されていなかったり、原価計算に係る工数の計上に当たり、工数が適正に計上されているか検証するための資料を保存していなかったりなどしていて、実績工数の客観性を検証することができないなどの事態が見受けられた。したがって、防衛省において、防衛関連企業に対して、原価計算等に関する規程類の整備が十分なものとなっているか、原価計算に係る適正な工数の計上を行う体制が整っているかなどについて早急に調査を行い、必要に応じて防衛関連企業に対して改善を求めるなどの方策を検討する要がある。(一般会計及び復興特会予算を含む防衛関連企業12社に対する支払金額約7223億3030万円)

⑫ 大規模災害等に備えて調達した携帯無線機の運用開始に必要な手続について(防衛省)

大規模災害等に備えて調達した携帯無線機について、これらを装備した部隊等において無線局の開設等に必要な所定の手続が適切に行われていなかったため、運用を開始できない事態が見受けられた。このため、海上幕僚監部において、部隊等に対して、無線局の開設等に必要な手続を速やかに行うよう指示し、部隊等が手続を完了して、全ての携帯無線機の運用を開始する処置を講じた。(必要な手続が行われていなかった携帯無線機の調達額約4460万円)

⑬ 東日本大震災復興特別貸付における低利貸付の実施について(株式会社日本政策金融公庫)

株式会社日本政策金融公庫において、借受者が低利適用限度額を超えて貸付けを受けていないかについて、実効性のある確認を行う仕組みとなっていないなどのため、低利適用限度額を超えて低利貸付が行われている事態が約8億9700万円、差額利息約1340万円見受けられた。したがって、同公庫において、差額利息のうち、まだ徴求していないものを徴求するとともに、公庫と他の融資機関との間で、低利貸付の貸付金元高の合計金額を把握するための協力体制が執られるよう協定等を締結したり、内規に、協定等に基づき、他の融資機関や公庫の他の事業から貸付金元高に係る証ひょうの提供を受けるなどして低利適用限度額の確認を行い、その内容を記録するなどのための具体的な方法を財務省及び中小企業庁と協議した上で定めて、各支店に周知したりする処置を講ずる要がある。

⑭ 海洋の調査・観測を実施するための船舶の建造契約について(独立行政法人海洋研究開発機構)

独立行政法人海洋研究開発機構が、海洋の調査・観測を実施するための船舶を建造する契約を締結するに当たり、予定価格を適切に算定するための詳細な資料を徴したり、建造に要した工数等に基づく費用を把握できる旨の条項を契約書等に定めたりしておらず、予定価格と建造に要した費用との間に大きな開差が生じている事態が見受けられた。このため、同機構において、詳細な資料を徴するなどして予定価格の算定の基礎となる見積りの妥当性を確認できるようにするとともに、建造に要した工数等に基づく費用を把握できる旨の条項を契約書等に定めるなどして知見を蓄積することにより、予定価格を適切に算定することができるようにしたもの(予定価格と建造に要した費用の開差額は約16億2900万円)

⑮ 東日本大震災災害復旧資金の貸付けにおける利子補給の実施について(株式会社商工組合中央金庫)

株式会社商工組合中央金庫において、借受者が低利適用限度額を超えて貸付けを受けていないかについて、実効性のある確認を行う仕組みとなっていないなどのため、低利適用限度額を超えて低利貸付が行われている事態が1億9470万円、差額利息約370万円見受けられた。したがって、同金庫において、金庫と他の融資機関との間で、低利貸付の貸付金元高の合計金額を把握するための協力体制が執られるよう協定等を締結したり、要領等に、協定等に基づき、他の融資機関から貸付金元高に係る証ひょうの提供を受けるなどして低利適用限度額の確認を行い、その内容を記録するなどのための具体的な方法を財務省及び中小企業庁と協議した上で定めて、各支店に周知したりする処置を講ずる要がある。

⑯ 東日本大震災により発生した災害廃棄物等の処理について(環境省)

東日本大震災では、13道県で計3120万tの災害廃棄物等が発生し、25年度末で計2978万tが処理され、福島県を除く12道県で処理が完了している。これを踏まえて処理事業について検査したところ、福島県は最終処分場等が確保できていなかったなどのため処理完了までに相当の期間を要すると予想され、これは放射性物質の影響による複合的な問題であることから、放射性物質に係る国の他の施策との連携も含めた施策が必要であると認められる。25年度末で災害廃棄物等の処理が完了した岩手、宮城両県は、今般の災害廃棄物等の処理に当たり、減容化や再資源化に係る技術の導入や民間企業の活用等を行っており、これらの技術や知見を整理することが、今後、類似の事態が生じた際のより迅速な処理のために重要である。また、災害廃棄物等の発生状況や処理方法の違いなどで事業費に差が生ずることから、災害廃棄物等の発生状況等に応じた費用の情報の蓄積が、今後の処理方法の選択に当たり有益と思料される。(災害廃棄物等の処理に係る事業費約1兆3202億円(平成23年度~25年度))

⑰ 東日本大震災に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質により発生した指定廃棄物の一時保管及び処理の状況等について(環境省)

指定廃棄物の処理を適切に実施することは、地域住民の生活環境に及ぼす影響を低減するとともに、国民の安全・安心を確保するためなどに極めて重要である。いまだ国の処理体制が構築されていない一方で、指定廃棄物に係る国の予算額は多額に上っている。そこで、地方公共団体において指定廃棄物の一時保管等が適切に行われているかなどについて検査したところ、一部の施設等においては、指定廃棄物の増加に伴い保管場所がひっ迫していたり、保管容器の使用年数が耐用年数を経過していたりなどしている事態が見受けられた。環境省は、事業主体に対し、財政的な支援に限らずその他の支援を実施するなどして指定廃棄物の一時保管に係る負担を軽減したり、保管容器の更新等に対する支援・助言を行うことなどに特に留意して事業を実施していくことが求められる。(指定廃棄物の一時保管等に係る事業費約185億6420万円(平成23年度~25年度))

(3) 国会及び内閣に報告した事項(1件)

① 復興木材安定供給等対策の実施状況等について(農林水産省)

林野庁が補助金を交付し、45道府県が同補助金で造成した基金により実施する復興木材安定供給等対策について検査したところ、木材の国内供給の増加につながらない輸出促進に関する調査を行うなどしていた。また、木材の流通状況について調査した範囲では、被災地以外から被災地への木材供給は極めて限定的なものにとどまり、全国規模での被災地への木材供給は見受けられなかった。さらに、林野庁は、同対策における木材の生産能力向上の目標値について検証することとしていなかった。したがって、林野庁において、今後の復興のための事業については、被災地の要望に対応した事業となるようにしたり、事業効果の評価及び検証を的確に実施したりなどすることが必要である。そして、この検査結果を26年10月に、会計検査院法第30条の2の規定に基づき報告した。(国庫補助金額約1399億4550万円)