会計名及び科目 | 一般会計 (組織)林野庁 (項)林業振興費 |
部局等の名称 | 林野庁 |
補助の根拠 | 予算補助 |
補助事業者 | 岩手県 |
間接補助事業者 | 岩手県久慈市 |
間接補助事業者 (事業主体) |
いわて森のトレー生産協同組合 |
補助事業 | 景気対策臨時緊急特別林業構造改善、経営基盤強化林業構造改善 |
補助事業の概要 | 間伐材の利用を促進するなどのため、平成10年度から12年度までに木製トレーを製造するための木材処理加工施設等を整備するもの |
事業費 | 2,692,212,600円 |
上記に対する国庫補助金交付額 | 1,279,104,000円 |
不当と認める事業費 | 2,692,212,600円 |
不当と認める国庫補助金交付額 | 1,279,104,000円 |
1 補助事業の概要
この補助事業は、岩手県久慈市に所在する「いわて森のトレー生産協同組合」(以下「組合」という。)が、景気対策臨時緊急特別林業構造改善事業及び経営基盤強化林業構造改善事業の一環として、間伐材の利用を促進するなどのため、平成10年度から12年度(10年度事業は11年度に繰越し)までに木製トレーを製造するための装置、作業用建物等の木材処理加工施設等の整備を事業費2,692,212,600円(国庫補助金1,279,104,000円)で実施したものである。
上記補助金の交付決定等に当たって、組合は、補助金で取得した財産を、久慈市の承認を受けないで、処分制限期間内は補助金の交付の目的に反して使用したり、担保に供したりしてはならないなどの条件が付されている。
木製トレーの製造は、〔1〕間伐材の原木を厚さ0.35mmの単板にスライスする工程、〔2〕各単板を乾燥させ、これを3枚糊付けして重ね合わせ、圧縮プレスをした後に成形する工程から成っている。〔2〕の工程についでは、乾燥炉1台、糊付装置2台、ホットプレス装置1台、成型機4台をもって1ラインとし、すべて本件木製トレーの製造のために新たに開発されたものである。
組合では、11年度に3ライン、12年度に1ライン、計4ラインを整備することとし、これらの装置を12年3月及び13年3月に機械メーカーから購入していた。
2 検査の結果
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
ア 組合では、12年3月に整備した3ラインについて、各装置が新たに開発されたものであるにもかかわらず、これを試運転するなどして機能を確認することなく受領していた。そして、久慈市及び岩手県においても、完了確認調査の際にこれを了としていた。
しかし、実際には、装置に不具合があり、木製トレーが事業計画どおりに製造できない状況となっていた。
すなわち、組合では、これらラインを稼働させたところ、木製トレーに、膨れ、割れが生じるなど仕様どおり製造できず、装置の不具合について機械メーカーに対策を執らせたが、不具合は改善されないままであった。
このような状況の中、組合では、同様の事態が予期されるのに、13年3月に1ラインを整備していた。
そして、組合では、装置の不具合のため木材処理加工施設をほとんど稼働させることなく、製品が安定して製造されないことから、14年8月に、事業を中断していて、本件補助事業は補助の目的を達していない。
イ 組合では、事業の実施に当たり、自己負担分のうち1,150,000,000円を金融機関から12年4月以降借り入れており、このうち1,080,000,000円について、同市に無断で、13年3月以降、木材処理加工施設等を担保に供し、14年6月の会計実地検査時においても無断で担保に供されたままとなっていて、補助金の交付条件に違背している。
上記ア、イのような事態が生じていたのは、組合において、装置に対する受領検査が十分でなかったり、適正な補助事業の実施に対する認識が欠けていたりしていること、同県及び同市において、完了確認調査及び組合に対する指導監督が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件木材処理加工施設等(事業費2,692,212,600円)は、補助の目的を達しておらず、また、補助金の交付条件に違背していて、これに係る国庫補助金1,279,104,000円が不当と認められる。