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  • 平成13年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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補助金


(211) 林業地域総合整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため、パイプカルバートの所要の安全度が確保されていない状態になっているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)林野庁 (項)森林環境整備事業費
部局等の名称 林野庁
補助の根拠 森林法(昭和26年法律第249号)
補助事業者
(事業主体)
静岡県
補助事業 林業地域総合整備
補助事業の概要 林道を開設するため、平成12、13両年度に土工、排水施設工等を施工するもの
事業費 39,480,000円
上記に対する国庫補助金交付額 21,714,000円
不当と認める事業費 3,727,921円
不当と認める国庫補助金交付額 2,050,356円

1 補助事業の概要

 この補助事業は、静岡県が、林業地域総合整備事業の一環として、磐田郡佐久間町上平山地内において林道を開設するため、平成12、13両年度に土工、排水施設工等を工事費39,480,000円(国庫補助金21,714,000円)で実施したものである。
 このうち排水施設工は、林道の開設により遮断される既存の渓流の機能を維持するため、パイプカルバート(以下「カルバート」という。)を3箇所(延長計42.5m)布設などするものである。そして、このうちの1箇所(内径1,000mm、延長26.7m)については最大土被り厚を4.5mとし、管種については遠心力鉄筋コンクリート管の外圧管1種、基礎形式については管の外周4分の1をコンクリートで固定する90度固定基礎として設計し、これにより施工していた。

2 検査の結果

 検査したところ、本件カルバートの設計が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、カルバートの設計に当たっては、「森林土木構造物標準設計」(財団法人林業土木コンサルタンツ作成。以下「標準設計」という。)により行うこととされ、その管種及び基礎形式の選定は、標準設計に示されている設計表により決定することとなっている。そして、本件カルバートについては、設計作業の当初、最大土被り厚を2.1mとして上記の管種・基礎形式を決定していた。しかし、その後、現場外で処理することとしていた残土の一部をこのカルバートの布設箇所に更に盛土して処理することとしたため、最大土被り厚を4.5mとしたが、管種等については再検討することなく設計を了していた。
 そこで、本件カルバートについて設計計算を行うと、最大土被り厚2.1mの場合のカルバートに作用する最大曲げモーメント(注) 6.1kN・mに対し、最大土被り厚4.5mにおける最大曲げモーメントは13.3kN・mとなり、カルバートの許容曲げモーメント(注) 6.4kN・mを大幅に上回っていて、応力計算上安全な範囲を超えている。
 このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
 したがって、本件カルバートの管種及び基礎形式の設計が適切でなかったため、カルバート延長26.7m及びその上部の盛土等(これらの工事費相当額3,727,921円)は、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る国庫補助金相当額2,050,356円が不当と認められる。

最大曲げモーメント・許容曲げモーメント 「最大曲げモーメント」とは、外力が材に作用し、これを曲げようと材に生じる力の最大値をいう。その数値が設計上許される上限を「許容曲げモーメント」という。

(参考図)

(参考図)

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