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  • 平成13年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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補助金


(212) 農地防災事業の実施に当たり、ため池堤体内の旧底樋の撤去に係る施工が設計と著しく相違していたなどのため工事の目的を達していないもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)農林水産本省 (項)農地等保全管理事業費
部局等の名称 近畿農政局
補助の根拠 土地改良法(昭和24年法律第195号)
補助事業者
(事業主体)
奈良県
補助事業 農地防災
補助事業の概要 ため池を改修するため、平成12年度に堤体の盛土、底樋の改修等を行うもの
事業費 10,815,000円
上記に対する国庫補助金交付額 5,407,500円
不当と認める事業費 10,815,000円
不当と認める国庫補助金交付額 5,407,500円

1 補助事業の概要

 この補助事業は、奈良県が、農地防災事業の一環として、山辺郡都祁村金ジツ池地区において、堤体断面が不足するなどしていて危険な状態となっているため池を改修するため、平成12年度に堤体の盛土、ため池から用水を取水するための施設である底樋の改修等を工事費10,815,000円(国庫補助金5,407,500円)で実施したものである。
 同県では、上記工事の設計については、農林水産省制定の「土地改良事業設計指針「ため池整備」」及び同県制定の「ため池改修実施基準」(以下「設計指針等」という。)に基づいて行っている。
 そして、底樋の改修工法としては、開削・埋戻し工法を採用し、その施工方法は現況堤体下部に埋設されている既設の底樋(コンクリート管、内径250mm、延長9.8m。以下「旧底樋」という。)を露出させる幅まで堤体を開削してこれを撤去し、その後新たな底樋(鋳鉄管、内径600mm、延長10.1m。以下「新底樋」という。)を設置して、盛土等を行うこととしていた(参考図参照)

2 検査の結果

 検査したところ、旧底樋の撤去に係る施工については、実際には設計図書等と異なり、新底樋を設置する幅を開削しただけで旧底樋を露出させる幅までの開削は行っておらず、旧底樋は撤去せずに存置したままとしていた。
 しかし、旧底樋を堤体内に存置する場合には、設計指針等によれば、旧底樋が破損して漏水経路となることを防ぐため、両端をコンクリートで閉鎖し、管内すべてをモルタルで充てんすることとされているのに、本件工事の場合は、旧底樋の流入部及び出口部の両端をコンクリートで閉鎖したのみで、旧底樋管内はモルタルで充てんされていなかった(参考図参照)
 このような事態が生じていたのは、旧底樋の撤去に係る施工が設計と著しく相違していたのに、これに対する同県の監督及び検査が適切でなかったことによると認められる。
 したがって、本件ため池の堤体内に存置された旧底樋の撤去については、施工が設計と著しく相違しており、その結果、ため池の堤体内に存置された旧底樋が漏水経路となって堤体が損壊するおそれがあり、ため池自体の安全性が確保されていない状態となっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金5,407,500円が不当と認められる。

(参考図)

(参考図)

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