会計名及び科目
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一般会計
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(組織)農林水産本省
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(項)総合食料対策費
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部局等
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東北農政局
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補助の根拠
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予算補助
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補助事業者
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山形県
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間接補助事業者
(事業主体)
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東日本ユビキタストレーサビリティ推進協議会
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補助事業
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トレーサビリティシステム導入促進対策
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補助事業の概要
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トレーサビリティシステムを構築するため、平成15年度にデータベースサーバ等の機器等を導入するもの
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事業費
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490,062,000円
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上記に対する国庫補助金交付額
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243,540,000円
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不当と認める事業費
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490,062,000円
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不当と認める国庫補助金交付額
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243,540,000円
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この補助事業は、東日本ユビキタストレーサビリティ推進協議会(山形県東置賜郡高畠町)が、トレーサビリティシステム(注)
導入促進対策事業として、消費者の食品に対する信頼や安心を確保するため、青果及び米(以下「青果等」という。)の生産から加工流通、販売までのトレーサビリティシステム(以下「システム」という。)を構築することとし、平成15年度に、これに必要なサーバ、電子チップリーダ、処理用携帯端末等の端末装置40セット等及びデータベースサーバ一式を事業費490,062,000円(国庫補助金243,540,000円)で導入したものである。
同協議会は、山形県産の青果等を対象として、その生産者2,500名の出荷拠点18箇所及び加工流通・販売業者2者の配送センター等に端末装置各2セットを設置し、出荷拠点においては生産者が入力した生産履歴情報を、配送センター等においては加工流通・販売情報をそれぞれ蓄積し、これらの情報を消費者に提供することとしていた。
本院は、山形県及び同協議会において、有効性等の観点からシステムは計画どおり導入され稼動しているかなどに着眼して会計実地検査を行った。同協議会では、本件補助事業に係る帳簿、契約書、領収書等の書類の所在が不明であるとしているため、関係者から別途提出を受けた書類等により検査したところ、次のとおり、適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、生産者の出荷拠点18箇所においては、上記の端末装置が4箇所にしか設置されていなかった。また、加工流通・販売業者2者は実際には本件補助事業に参加していなかったことから、当該業者の配送センター等においては端末装置が全く設置されていなかった。そして、出荷拠点等に設置されなかった端末装置は、梱包されたまま倉庫に保管されていたり、所在不明となっていたりしていた。
これらのことから、生産履歴情報については、上記の生産者2,500名のうち4名分の情報が蓄積されていたにすぎず、また、加工流通・販売情報については全く入力できない状況であった。このように、本件補助事業で導入した端末装置等及びデータベースサーバによるシステムは構築されておらず、生産履歴情報等は消費者に提供されないままとなっていた。
このような事態が生じていたのは、同協議会において、補助事業の適正な実施に対する認識が欠如していたこと、同県において、本件補助事業の審査、確認及び同協議会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件補助事業は、消費者の食品に対する信頼や安心を確保するためのシステムが構築されないままとなっていて補助の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金243,540,000円が不当と認められる。