会計名及び科目
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一般会計
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(組織)農林水産本省
(項)農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業費
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部局等
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関東農政局
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補助の根拠
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土地改良法(昭和24年法律第195号)
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補助事業者
(事業主体)
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埼玉県
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補助事業
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農林漁業用揮発油税財源身替農道整備
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補助事業の概要
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農業生産の近代化及び農業生産物の流通の合理化を図ることなどを目的として、平成9年度から18年度までの間に農道を整備するもの
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事業費
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889,148,000円
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上記に対する国庫補助金交付額
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444,574,000円
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適正でない申請に係る事業費
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889,148,000円
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上記に対する国庫補助金交付額
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444,574,000円
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この補助事業は、埼玉県が、平成9年度から18年度までの間に、農業生産の近代化及び農業生産物の流通の合理化を図ることなどを目的として、深谷市、大里郡川本町及び同郡花園町(これらの3市町及び同郡岡部町は18年1月1日に合併して深谷市となった。)にまたがって所在する大里中央地区において、事業費計889,148,000円(国庫補助金計444,574,000円)で農道(延長1,734m)を整備したものである。
本件補助事業は、土地改良法(昭和24年法律第195号)に基づく土地改良事業として実施されるもので、同法第85条の2の規定によれば、市町村は、農業振興地域整備計画(注)
の中から必要と認める土地改良事業を都道府県が行うべきことを都道府県知事に申請することができるとされている。そして、上記の申請に当たっては、同法第3条により規定されている土地改良事業の施行に係る地域内にある農用地等の所有者等(以下「3条資格者」という。)のうち、あらかじめ3分の2以上の同意を得なければならないなどとされている。
そして、前記の3市町では、本件土地改良事業の申請に当たり、10年2月に、深谷市の317名、川本町の204名、花園町の110名、計631名の3条資格者に対してそれぞれ本件土地改良事業への同意の確認を行い、深谷市の306名、川本町の202名、花園町の103名、計611名(96.8%)の3条資格者の同意を得たとしていた。
本院は、埼玉県において、合規性等の観点から、事業が法令に基づき適正に実施されているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件補助事業について、県営土地改良事業施行申請書等の書類及び現地の状況を検査したところ、次のとおり事業の実施が適切でなかった。
すなわち、川本町が3条資格者202名の同意を得たとして同県に提出していた同意書は原本の写しであり、これに原本と相違ないことを川本町長が証明したものであった。
しかし、上記の同意書の原本を確認したところ、これは本件土地改良事業に係る同意書ではなく、これとは別途に同県が7年度に開始した県営土地改良事業に係る同意書を川本町が加工するなどして作成したものであり、川本町は、本件土地改良事業の申請に当たって本来行うべき3条資格者に対する同意の確認を行っていなかった。
以上のことから、本件土地改良事業に同意した3条資格者は、深谷市の306名、花園町の102名、計408名(64.7%)であり、これは631名の3条資格者の3分の2を下回ることとなり、土地改良法に定める申請のための要件を満たしていない。
このような事態が生じていたのは、川本町において虚偽の同意書を作成するなど土地改良事業を適正に実施するという認識が十分でなかったこと、埼玉県において川本町から提出された同意書に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件補助事業は、土地改良法に定める要件を満たしておらず、これを補助対象事業として国に申請しその採択を得て実施しているのは適切とは認められず、これに係る国庫補助金計444,574,000円が不当と認められる。