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  • 令和3年度|
  • 第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等|
  • 第3節 特定検査対象に関する検査状況

第1 新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算の執行状況等について


検査対象
国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省
新型コロナウイルス感染症対策に関連する事業の概要
令和元年度に決定した「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策―第2弾―」「生活不安に対応するための緊急措置」、2年度に決定した「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」、3年度に決定した「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」等に基づくなどして実施された事業
検査対象のうちコロナ関連事業を実施している府省等
裁判所、内閣、内閣府、デジタル庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省
予算の執行を他の事業と区分して管理されていたコロナ関連事業数及び予算総額
計1,367事業 94兆4920億円(令和元年度~3年度)
上記のうち令和2年度の戻入期限までに精算されなかった概算払額のうち、3年5月1日から4年4月30日までの間に精算が完了した補助金等の概算払額
3兆4460億円(令和2年度)
上記のうち最終的にコロナ関連事業の実施に充てられていなかった余剰額
4788億円

<構成>

1 検査の背景(a01リンク参照

(1) 新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算の執行状況等に係る検査の状況(a01_1リンク参照

(2) 対策等及びその予算の概要(a01_2リンク参照

ア 元年度に決定された対策等及びその予算の概要(a01_2_1リンク参照

イ 2年度に決定された対策等及びその予算の概要(a01_2_2リンク参照

ウ 3年度に決定された対策等及びその予算の概要(a01_2_3リンク参照

(3) 概算払をした補助金等の精算に伴う余剰額の国の会計における整理(a01_3リンク参照

2 検査の観点、着眼点、対象及び方法(a02リンク参照

(1) 検査の観点及び着眼点(a02_1リンク参照

(2) 検査の対象及び方法(a02_2リンク参照

3 検査の状況(a03リンク参照

(1) コロナ関連事業に係る区分管理の状況(a03_1リンク参照

(2) 3年度コロナ関連事業に係る予算の執行状況(a03_2リンク参照

ア 一般会計の予算の執行状況(a03_2_1リンク参照

イ 特別会計の予算の執行状況(a03_2_2リンク参照

ウ 対策等別の予算の執行状況(a03_2_3リンク参照

(3) 3か年度分のコロナ関連事業に係る予算の執行状況の全体像(a03_3リンク参照

ア 対策等における施策と経費項目の4類型(a03_3_1リンク参照

イ 類型別の予算の執行状況(a03_3_2リンク参照

ウ 事業別の予算の執行状況(a03_3_3リンク参照

(4) 2年度に概算払をした補助金等に係る精算及び余剰額の状況(a03_4リンク参照

(5) 各府省等におけるコロナ関連事業に係る予算の執行等に関する情報提供の状況(a03_5リンク参照

4 本院の所見(a04リンク参照

別表 検査報告掲記事項の一覧(a05リンク参照

1 検査の背景

(1) 新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算の執行状況等に係る検査の状況

政府は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、令和2年1月に新型コロナウイルス感染症対策本部(以下「政府対策本部」という。)を設置した。そして、政府又は政府対策本部は、新型コロナウイルス感染症対策に係る対応策、対策等(以下「対策等」という。)を決定し、多額の予算を計上して、同感染症対策に関連する各種事業(以下「コロナ関連事業」という。)を実施してきた。

本院は、令和2年度決算検査報告に特定検査対象に関する検査状況として「新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算の執行状況等について」(以下「2年度報告」という。)を掲記した。2年度報告では、元、2両年度に14府省等(注1)(外局等を含む。以下同じ。)が実施したコロナ関連事業のうち予算の執行を他の事業と区分して管理されていた770事業について分析して、歳出予算現額(以下、歳出予算額(当初予算額、補正予算額及び予算移替額の合計)に前年度繰越額、予備費使用額及び流用等増減額を加減したものを「予算現額」という。)について、各年度の重複を控除した総額(以下「予算総額」という。)が計65兆4165億余円、2年度から3年度への繰越額が計21兆7796億余円、元、2両年度の不用額が計1兆0763億余円等となっていることなどを記述した。また、所見において、各府省等においては、3年度以降においても引き続きコロナ関連事業は継続していることから、多額の繰越額や不用額を計上したコロナ関連事業について、その原因を分析するなどして、適時適切な実施に努めるとともに、コロナ関連事業として実施した各事業に係る予算の執行状況等を国民に対して広く情報提供することが望まれる旨を記述した。

(注1)
14府省等  裁判所、内閣、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省

(2) 対策等及びその予算の概要

2年1月に国内初の感染者が確認されて以降、3年度末までに実施された対策等及びその予算の概要は次のとおりとなっている。

ア 元年度に決定された対策等及びその予算の概要

政府対策本部は、2年2月に「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」(以下「元年度緊急対応策第1弾」という。)を決定し、これを実施するために、政府は、一般会計の予備費(以下、後述する一般会計に設置された新型コロナウイルス感染症対策予備費と区別して「一般会計予備費」という。)から103億余円の使用を決定するなどして計153億円の予算措置を講じた。

また、政府対策本部は、同年3月10日に「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策―第2弾―」(以下「元年度緊急対応策第2弾」という。)を決定し、これを実施するために、政府は、一般会計予備費から2294億余円、労働保険特別会計雇用勘定の予備費から420億円の使用をそれぞれ決定するなどして計4308億円の予算措置を講じた。

さらに、政府対策本部は、同月18日に「生活不安に対応するための緊急措置」(以下「元年度緊急措置」という。)を決定し、これを実施するために、政府は、一般会計予備費から103億余円の使用を決定した。

イ 2年度に決定された対策等及びその予算の概要

(ア) 一般会計予備費及び労働保険特別会計雇用勘定の予備費

令和2年度当初予算案は、元年12月に閣議で決定されていたことから、新型コロナウイルス感染症対策の予算は計上されていなかった。政府は、新型コロナウイルス感染症対策として、2年4月に一般会計予備費から838億余円の使用を決定し、また、同年12月に労働保険特別会計雇用勘定の予備費の予算額550億円全額の使用を決定した。

(イ) 2年度緊急経済対策及び2年度新規対策事業

政府は、2年4月に、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(以下「2年度緊急経済対策」という。)を閣議で決定し、これを実施するために、計25兆5654億余円の予算を令和2年度一般会計補正予算(第1号)等(以下「2年度第1次補正」という。)に計上した。このうち1兆5000億円は、一般会計に新たに設けられた新型コロナウイルス感染症対策予備費(以下「コロナ対策予備費」という。)として計上されており、新型コロナウイルス感染症に係る感染拡大防止策に要する経費その他の同感染症対策に係る緊急を要する経費以外には使用しないものとされた。

また、同年6月には、令和2年度一般会計補正予算(第2号)等(以下「2年度第2次補正」という。)が成立した。このうち、計31兆8170億余円は、10兆円のコロナ対策予備費の増額を含む新型コロナウイルス感染症対策関係経費となっている。政府は、これにより、2年度緊急経済対策の強化等を実施するとともに、新型コロナウイルス感染症対策に関連する新たな事業を実施することとした(以下、2年度第2次補正並びにコロナ対策予備費及び一般会計予備費の使用額により実施した新たな事業を「2年度新規対策事業」という。)。

(ウ) 2年度総合経済対策

政府は、同年12月に、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(以下「2年度総合経済対策」という。)を閣議で決定し、これを実施するために、計19兆1761億余円の予算を令和2年度一般会計補正予算(第3号)等(以下「2年度第3次補正」という。)に計上した。また、その際、コロナ対策予備費の予算額は、2年度第1次補正及び2年度第2次補正の11兆5000億円から1兆8500億円が減額され9兆6500億円となり、3年3月までに9兆1420億余円の使用が決定された。

ウ 3年度に決定された対策等及びその予算の概要

(ア) 3年度経済対策

政府は、3年11月に、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(以下「3年度経済対策」という。)を閣議で決定した上で計31兆5626億余円の予算を令和3年度一般会計補正予算(第1号)等(以下「3年度補正」という。)に計上するなどして、事業を実施している。

(イ) 3年度新規対策事業

2年7月の閣議において、財務大臣は、令和3年度一般会計予算等(以下「3年度当初予算」という。)の編成に当たっては、新型コロナウイルス感染症への対応に係る緊要な経費については所要の要望を行うことができるという方針を示し、各府省等はこの方針に沿って新型コロナウイルス感染症対策等の事業等に係る経費を要望して、3年度当初予算に7777億余円が計上された。また、コロナ対策予備費として5兆円が計上され、4年3月までに4兆6185億余円の使用が決定された(以下、3年度経済対策以外に3年度当初予算又は3年度のコロナ対策予備費により新たに実施している事業を「3年度新規対策事業」という。)。

政府対策本部及び内閣府は、対策等の取りまとめに当たり、各府省等に対して事務連絡を発出して、新型コロナウイルス感染症対策に係る各種施策の具体的な名称、概要、事業規模等の情報を登録すること(以下「施策登録」という。)を求めている。そして、各府省等は、施策登録時の施策を更に細分化するなどして事業を実施している。なお、対策等とは別に実施されている2年度新規対策事業及び3年度新規対策事業については、施策登録は行われていない。

元年度から3年度までに決定された上記の対策等とこれらに係る予算措置をまとめると、表1のとおりである。

表1 対策等と予算措置との対応関係

年度
対策等名
(決定年月)
対策等の主な内容 対策等に係る予算
令和元年度
元年度緊急対応策第1弾
〈新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策〉
(令和2年2月)
  • 〇帰国者等への支援:30億円
  • 〇国内感染対策の強化:65億円
  • 〇水際対策の強化:34億円
  • 〇影響を受ける産業等への緊急対応:6億円
  • 〇国際連携の強化等:18億円
153億円
(うち一般会計予備費使用額103億余円)
元年度緊急対応策第2弾
〈新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策―第2弾―〉
(2年3月)
  • 〇感染拡大防止策と医療提供体制の整備:486億円
  • 〇学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応:2463億円
  • 〇事業活動の縮小や雇用への対応:1192億円
  • 〇事態の変化に即応した緊急措置等:168億円
4308億円
(うち一般会計予備費使用額2294億余円、労働保険特別会計雇用勘定予備費使用額420億円)
元年度緊急措置
〈生活不安に対応するための緊急措置〉
(2年3月)
  • 〇個人向け緊急小口資金等の特例の拡大
一般会計予備費使用額:103億余円
元年度小計 4564億余円
2年度
(ア) 一般会計予備費及び労働保険特別会計雇用勘定の予備費
【一般会計予備費】新型コロナウイルス感染症対策に係る布製マスクの緊急配布等に必要な経費:437億余円  等
【労働保険特別会計雇用勘定予備費】新型コロナウイルス感染症対策に係る雇用調整助成金の特例措置に必要な経費:550億円
1388億余円
(一般会計予備費使用額838億余円、労働保険特別会計雇用勘定予備費使用額550億円)
(イ) 2年度緊急経済対策
〈新型コロナウイルス感染症緊急経済対策〉
(2年4月)
緊急支援フェーズ
  • 〇感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発:1兆8096億余円
  • 〇雇用の維持と事業の継続:19兆4904億余円
2年度第1次補正のうち2年度緊急経済対策関係経費
:25兆5654億余円
V字回復フェーズ
  • 〇次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復:1兆8481億余円
  • 〇強靱な経済構造の構築:9171億余円
今後への備え
  • 〇コロナ対策予備費:1兆5000億円
  • 〇資金繰り対応の強化:11兆6390億余円
  • 〇医療提供体制等の強化:2兆9892億余円
  • 〇新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充:2兆円
  • 〇持続化給付金の対応強化:1兆9399億余円
  • 〇雇用調整助成金の拡充:2808億余円
  • 〇教育ICT環境整備等のための光ファイバ整備推進:501億余円
  • 〇コロナ対策予備費:10兆円
2年度第2次補正のうち新型コロナウイルス感染症対策関係経費
:31兆8170億余円
(イ) 2年度新規対策事業
【2年度第2次補正】家賃支援給付金:2兆0241億余円
【コロナ対策予備費】子育て世帯生活支援特別給付金給付事業に必要な経費:2174億余円
 
(コロナ対策予備費使用額5098億余円)
(ウ) 2年度総合経済対策
〈国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策〉
(2年12月)
守りの視点
  • 〇新型コロナウイルス感染症の拡大防止策:4兆3581億余円
  • 〇防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保:3兆1414億余円
2年度第3次補正のうち2年度総合経済対策関係経費
:19兆1761億余円
攻めの視点
  • 〇ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現:11兆6765億余円
2年度小計 76兆6974億余円
3年度
(ア) 3年度経済対策
〈コロナ克服・新時代開拓のための経済対策〉
(3年11月)
  • 〇新型コロナウイルス感染症の拡大防止:18兆6059億余円
  • 〇「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え:1兆7687億余円
  • 〇未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動:8兆2531億余円
  • 〇防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保:2兆9348億余円
3年度補正のうち3年度経済対策関係経費:31兆5626億余 円
(イ) 3年度新規対策事業
〈3年度当初予算及びコロナ対策予備費〉
  • 〇コロナ対策予備費:5兆円
【コロナ対策予備費】新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの確保に必要な経費:5119億余円
【3年度当初予算】新型コロナウイルス感染症等の感染症対策:593億余円
5兆3963億余円
(3年度当初予算7777億余円、コロナ対策予備費使用額4兆6185億余円)
3年度小計 36兆9589億余円
元年度から3年度までの計 114兆1129億余円
  • 注(1) 元年度緊急対応策第1弾の153億円及び元年度緊急対応策第2弾の4308億円は、政府対策本部が両対応策の予算額として公表した金額を示している。また、「元年度小計」及び「元年度から3年度までの計」は、当該額を単純合計した額で示している。
  • 注(2) 「対策等の主な内容」には、具体例として、【 】で財源名を記載した上で予備費使用調書に記載された事項名又はコロナ関連事業名を記載して、その使用額又は本院が提出を受けた調書に記載された予算額を記載している。
  • 注(3) 「3年度新規対策事業」の「対策等に係る予算」については、3年度当初予算及びコロナ対策予備費使用額に係る全体額を記載している。

(3) 概算払をした補助金等の精算に伴う余剰額の国の会計における整理

2年度報告では、一般会計におけるコロナ関連事業に係る予算の2年度の支出済歳出額(以下「支出済額」という。)を41兆9684億余円と記述している。この支出済額には、補助金、負担金、交付金、委託費等(以下「補助金等」という。)を交付するなどした支出が多く含まれている。

経費の性質上支出すべき金額の確定前において支払をしなければ事務に支障を及ぼすような経費については、会計法(昭和22年法律第35号)第22条の規定により概算払をすることができるとされており、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号。以下「予決令」という。)第58条等の規定により、補助金等は、概算払をすることができる経費とされている。概算払は、支出すべき金額が確定していないものについて、未確定の金額を概算で支出するものであるから、その性質上、事後において必ず精算を行い、確定した金額が概算払により支出した額を下回り、補助金等の交付先等において最終的に使われない余剰が生じた場合には、国は概算払を受けた者に対して余剰額の返納を求めるとともに、余剰額を当年度の予算に戻入して支出済額から控除することができる。ただし、当年度の予算に戻入できるのは、予決令第6条の規定により、翌年度の4月30日までとされており、同日までに戻入できなかった場合、決算においては当年度の支出済額に含まれて計上される。そして、その後返納されたものは翌年度以降の歳入に計上されることとなる。

2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

2年度報告では、前記の14府省等が実施した、1(2)アの全ての事業及びイの新型コロナウイルス感染症対策との関連性を考慮して抽出した事業(注2)(以下、これらを合わせて「2年度報告コロナ関連事業」という。)計854事業を分析の対象とし、このうち新型コロナウイルス感染症対策に関連する予算執行を他の事業と区分して管理されていた770事業について分析した。そして、前記のとおり、多額の繰越額や不用額を計上している旨を記述するとともに、コロナ関連事業として実施した各事業に係る予算の執行状況等を国民に対して広く情報提供することが望まれる旨を記述した。

新型コロナウイルス感染症対策に関連する予算については、前記のように、2年度から3年度に多額の繰越額が計上されているとともに、前記1(2)ウのとおり3年度においても多額の予算が計上されている。また、2年度報告コロナ関連事業の中には、概算払をした補助金等が含まれている。

そこで、本院は、2年度報告に引き続き、事業等の執行における透明性の確保(注3)及び国民への説明責任の向上(注3)等の観点から、3年度のコロナ関連事業に係る予算の執行状況はどのようになっているか、元年度から3年度までのコロナ関連事業に係る予算の執行状況の全体像はどのようになっているか、2年度におけるコロナ関連事業の実施に当たり概算払をした補助金等に係る精算や余剰額等の状況はどのようになっているか、各府省等におけるコロナ関連事業に係る予算の執行等に関する情報提供の状況はどのようになっているかなどに着眼して検査した。

(注2)
新型コロナウイルス感染症対策との関連性を考慮して抽出した事業  2年度緊急経済対策、2年度新規対策事業及び2年度総合経済対策のうち「新型コロナウイルス感染症の拡大防止策」に係る全ての事業並びに2年度総合経済対策のうち「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」に係る事業で元年度緊急対応策第1弾、元年度緊急対応策第2弾、元年度緊急措置及び2年度緊急経済対策から継続している事業
(注3)
会計検査院法における「その他会計検査上必要な観点」に位置付けられるものである。

(2) 検査の対象及び方法

検査に当たっては、施策登録を行うなどしていた17府省等(注4)を対象として、3年度に実施された事業のうち新型コロナウイルス感染症対策との関連性を考慮して抽出した事業(注5)(以下「3年度コロナ関連事業」という。)及び2年度報告コロナ関連事業(以下、3年度コロナ関連事業と合わせて「3か年度分のコロナ関連事業」という。)の実施状況について、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)に基づき提出された計算書等のほか、各府省等から提出を受けたコロナ関連事業に係る調書等の内容の調査、分析等を在庁して行うとともに、12府省等(注6)において会計実地検査を行って、事業ごとの内容を確認した。

(注4)
17府省等  国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁(令和3年8月31日以前は他府省が実施していたものが含まれている。以下同じ。)、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省
(注5)
3年度に実施された事業のうち新型コロナウイルス感染症対策との関連性を考慮して抽出した事業  2年度報告コロナ関連事業から継続している事業、3年度新規対策事業及び3年度経済対策のうち「新型コロナウイルス感染症の拡大防止(「エネルギー価格高騰への対応」を除く。)」「「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え」等に係る事業
(注6)
12府省等  内閣、内閣府、デジタル庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省

3 検査の状況

(1) コロナ関連事業に係る区分管理の状況

現行の財政会計制度上、予算執行は、予算科目ごとの予算現額についてなされるものであり、補正予算成立後等は、当初予算等の既定の予算と一体として執行される。したがって、補正予算額等の財源別に支出済額等を把握することは、補正予算等により予算科目が新設された場合を除き、基本的にできない。

一方、施策登録を基に多くの事業が予算の執行を区分して管理されていたことから、これらの事業については、事業ごとの予算執行の状況を整理して分析することが可能であった。そこで、本院は、施策登録を行うなどしていた17府省等に対して、各府省等が実施している3か年度分のコロナ関連事業を確認するなどして、15府省等(注7)の計1,529事業を特定した。これらの事業についてみると、1,367事業については予算の執行を区分して管理されており、各事業の実施状況を年度別にみると、表2のとおりである。

(注7)
15府省等  裁判所、内閣、内閣府、デジタル庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省

表2 区分して管理されていた3か年度分のコロナ関連事業に係る年度別事業実施一覧

(単位:事業)
2年度報告の対象 本件の対象
コロナ関連事業
:854事業(A)
コロナ関連事業
:1,529事業(C)
  うち区分管理が行われていたもの:770事業(B)
(B/A=90.1%)
  うち区分管理が行われていたもの:1,367事業(D)
(D/C=89.4%)
内訳
実施
開始
令和
元年度
2年度 3年度
元年度 78 16 94
2年度   687 253 940
3年度     333 333
78 703 586 1,367
  • 注(1) 2年度報告以降、新たに区分管理が行われた事業等があるため、本件において区分管理が行われていたもののうち元年度に実施された78事業及び2年度に実施された703事業の計781事業は、2年度報告において区分管理が行われていた770事業とは一致しない。
  • 注(2) 事業数は、各府省等において同じ事業を複数の局課で行っている場合は局課ごとに1事業と数えるなどしている(以下、本文及び表において同じ。)。

(2) 3年度コロナ関連事業に係る予算の執行状況

ア 一般会計の予算の執行状況

各府省等が3年度に一般会計において実施した3年度コロナ関連事業計572事業に係る予算の執行状況をみると、表3のとおり、予算現額は計48兆0931億余円、支出済額は計31兆5909億余円、予算現額に対する支出済額の割合(以下、単年度の予算現額又は3か年度分の予算総額に対する支出済額の割合を「執行率」という。)は65.6%となっていた。国土交通省の執行率が5.2%と低くなっているのは、予算現額2兆0602億余円のうち4年度への繰越額が1兆1649億余円、不用額が7875億余円と多額となっていたものであり、その多くがGo Toトラベル事業(4年度への繰越額3232億余円、不用額7743億余円)によるものである。

表3 各府省等の一般会計における3年度コロナ関連事業に係る予算の執行状況

(単位:事業、百万円、%)
項目
事業実施府省等名
事業数 予算現額
(B)
支出済額
(C)
4年度への繰越額
(D)
不用額
(E=B-C-D)
執行率
(F=C/B)
令和2年度からの繰越額
(A)
裁判所 2 1,332 1,332 1,238 94 92.8
内閣 14 14,847 20,606 14,961 5,218 427 72.6
内閣府 55 2,989,554 8,069,691 2,974,502 5,008,642 86,547 36.8
デジタル庁 9 6,600 15,021 6,362 7,908 750 42.3
総務省 31 2,452,583 8,182,800 6,868,600 1,271,931 42,268 83.9
法務省 8 249 2,002 1,886 33 82 94.1
外務省 50 18,372 111,350 102,378 3,046 5,925 91.9
財務省 16 5,784,490 5,795,929 5,151,739 644,189 88.8
文部科学省 69 171,225 418,149 253,435 109,167 55,546 60.6
厚生労働省 135 4,043,597 15,097,849 12,129,396 2,637,534 330,918 80.3
農林水産省 53 345,282 545,090 293,969 122,249 128,871 53.9
経済産業省 40 4,232,820 7,686,615 3,615,039 2,470,496 1,601,079 47.0
国土交通省 17 1,570,976 2,060,277 107,801 1,164,920 787,554 5.2
環境省 8 3,910 5,036 3,340 1,202 494 66.3
防衛省 65 790 81,363 66,337 13,004 2,020 81.5
572 21,636,633 48,093,117 31,590,990 12,815,355 3,686,771 65.6
  • 注(1) 事業実施に当たり、予算の移替え及び支出委任を行って実施している事業については、移替え先及び支出委任先の府省等において計数を計上している。
  • 注(2) 表中の金額欄の「0」は単位未満あり、「―」は皆無を示している(以下、表において同じ。)。

イ 特別会計の予算の執行状況

各府省等が3年度に特別会計において実施した3年度コロナ関連事業計14事業に係る予算の執行状況をみると、表4のとおり、予算現額は計2兆7804億余円、支出済額は計2兆2561億余円、執行率は81.1%となっていた。

表4 特別会計における3年度コロナ関連事業に係る予算の執行状況

(単位:事業、百万円、%)
特別会計名
(事業実施府省等名)
勘定名 事業数 予算現額
(B)
支出済額
(C)
4年度への繰越額
(D)
不用額
(E=B-C-D)
執行率
(F=C/B)
令和2年度からの繰越額
(A)
エネルギー対策
(内閣府、経済産業省、環境省)
エネルギー需給勘定 3 1,871 1,871 1,129 741 60.3
電源開発促進勘定 2 629 609 19 96.8
  5 1,871 2,501 1,739 761 69.5
労働保険
(厚生労働省)
労災勘定 3 223 545 286 259 52.4
雇用勘定 5 680,444 2,764,488 2,248,862 503,656 11,969 81.3
  8 680,667 2,765,033 2,249,148 503,656 12,228 81.3
年金(内閣府) 子ども・子育て支援勘定 1 6,453 12,908 5,302 6,398 1,207 41.0
14 688,993 2,780,443 2,256,190 510,054 14,197 81.1

(注) 3年度コロナ関連事業が実施されていない特別会計については記載していない。

ウ 対策等別の予算の執行状況

2年度緊急経済対策、2年度新規対策事業、2年度総合経済対策、3年度経済対策及び3年度新規対策事業により開始された事業に係る3年度における予算の執行状況をみると、表5のとおり、2年度から3年度への繰越額計22兆3256億余円、予算現額計50兆8735億余円、支出済額計33兆8471億余円、3年度から4年度への繰越額計13兆3254億余円となっていた(注8)

なお、2、3両年度に実施された事業の中には、特定の対策等において開始された後、別の対策等により補正予算、コロナ対策予備費使用額等の予算が追加されたものがある。また、2年度に開始され、3年度に繰り越された事業に、3年度当初予算、3年度補正、コロナ対策予備費使用額等の予算が追加されたものもある。これらの予算は、各府省等において事業ごとに一体の予算として管理され、執行されている場合があり、このような場合には、対策等ごとに予算の執行状況を整理することができない。このため、これらの事業の分析に当たっては、当初の対策等により開始された事業として整理した。

(注8)
元年度緊急対応策第1弾、元年度緊急対応策第2弾及び元年度緊急措置により開始された各事業については、2年度において執行されずに3年度に繰越しが行われた事業はない。

表5 令和2、3両年度の各対策等により開始された事業に係る3年度における予算の執行状況

(単位:事業、百万円、%)
対策等名 事業数 予算現額
(B)
支出済額
(C)
4年度への繰越額
(D)
不用額
(E=B-C-D)
執行率
(F=C/B)
令和2年度からの繰越額
(A)
2年度緊急経済対策 125 19,866,776 31,985,929 21,319,656 7,811,678 2,854,594 66.6
2年度新規対策事業 18 778,713 1,018,240 431,590 142,162 444,487 42.3
2年度総合経済対策 110 1,680,137 2,961,471 2,287,007 379,605 294,859 77.2
3年度経済対策及び
3年度新規対策事業
333 14,907,919 9,808,926 4,991,964 107,028 65.7
586 22,325,627 50,873,560 33,847,180 13,325,409 3,700,969 66.5
(ア) 2年度に開始された事業に係る予算の執行状況
a 2年度緊急経済対策により開始された事業に係る予算の執行状況

2年度緊急経済対策により開始された事業のうち、3年度に継続して実施された事業の3年度における予算の執行状況をみると、表6のとおり、計125事業で、2年度から3年度への繰越額計19兆8667億余円、予算現額計31兆9859億余円、支出済額計21兆3196億余円で執行率は66.6%となっていた。このうち、4年度への繰越額が多いのは、「Ⅰ.感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発」のうちの「3.医療提供体制の強化」で6兆4061億余円、不用額が多いのは、「Ⅱ.雇用の維持と事業の継続」のうちの「2.資金繰り対策」で1兆7083億余円となっていた。

表6 2年度緊急経済対策により開始された事業に係る3年度における予算の執行状況

(単位:事業、百万円、%)
項目名 事業数 予算現額
(B)
支出済額
(C)
4年度への繰越額
(D)
不用額
(E=B-C-D)
執行率
(F=C/B)
令和2年度からの繰越額
(A)
Ⅰ.感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発
 
1.マスク・消毒液等の確保
14 41,700 52,007 28,475 16,532 6,999 54.7
2.検査体制の強化と感染の早期発見
4 32,506 32,506 32,426 80 99.7
3.医療提供体制の強化
16 6,777,108 16,192,042 9,732,214 6,406,138 53,689 60.1
4.治療薬・ワクチンの開発加速
2 5,163 5,163 2,389 2,774 46.2
5.帰国者等の受入れ体制の強化
6.情報発信の充実
3 8,436 13,501 7,644 5,065 792 56.6
7.感染国等への緊急支援に対する拠出等の国際協力
1 4,700 4,700 4,700 100
8.学校の臨時休業等を円滑に進めるための環境整備
3 22,477 33,888 11,955 9,572 12,359 35.2
小計 43 6,892,094 16,333,811 9,819,807 6,437,308 76,694 60.1
Ⅱ.雇用の維持と事業の継続
 
1.雇用の維持
2 804,290 2,972,575 2,381,256 588,147 3,171 80.1
2.資金繰り対策
10 8,865,526 9,009,480 7,301,156 1,708,323 81.0
3.事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援
11 759,403 771,793 622,841 49,157 99,794 80.7
4.生活に困っている人々への支援
3 453,359 1,135,156 828,837 306,151 167 73.0
5.税制措置
小計 26 10,882,578 13,889,006 11,134,091 943,457 1,811,457 80.1
Ⅲ.次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復
 
1.観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業等に対する支援
6 1,752,466 1,346,611 108,377 338,184 900,049 8.0
2.地域経済の活性化
17 111,045 113,459 91,387 5,401 16,670 80.5
小計 23 1,863,512 1,460,071 199,764 343,586 916,720 13.6
Ⅳ.強靱な経済構造の構築
 
1.サプライチェーン改革
3 8,094 15,108 2,201 12,118 788 14.5
2.海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物・食品の輸出力の維持・強化及び国内供給力の強化支援
14 122,419 185,151 107,049 64,968 13,133 57.8
3.リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速
16 98,076 102,780 56,741 10,239 35,799 55.2
小計 33 228,591 303,040 165,992 87,326 49,721 54.7
125 19,866,776 31,985,929 21,319,656 7,811,678 2,854,594 66.6
  • 注(1) 「Ⅲ.次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復」において「予算現額」が「令和2年度からの繰越額」より小さくなっているのは、流用等による減額があることによる。
  • 注(2) 全て「―」が表示されている項目は、予算執行の該当がないことを示す(以下、表において同じ。)。
  • 注(3) このほかの項目として「Ⅴ.今後への備え」があるが、コロナ対策予備費に係る項目であるため記載を省略している。
b 2年度新規対策事業により開始された事業に係る予算の執行状況

2年度新規対策事業により開始された事業のうち、3年度に継続して実施された事業の3年度における予算の執行状況をみると、表7のとおり、計18事業で、2年度から3年度への繰越額計7787億余円、予算現額計1兆0182億余円、支出済額計4315億余円で執行率は42.3%となっていた。

表7 2年度新規対策事業により開始された事業に係る3年度における予算の執行状況

(単位:事業、百万円、%)
項目名 事業数 予算現額
(B)
支出済額
(C)
4年度への繰越額
(D)
不用額
(E=B-C-D)
執行率
(F=C/B)
令和2年度からの繰越額
(A)
2年度新規対策事業 2年度
第2次補正
12 523,275 773,802 223,525 142,162 408,114 28.8
一般会計予備費及びコロナ対策予備費 8 304,972 463,781 341,214 84,788 37,779 73.5
18 778,713 1,018,240 431,590 142,162 444,487 42.3

(注) 2年度新規対策事業により開始した事業には、2年度第2次補正と予備費使用額の両方の財源により実施されているものがあるため、数値を集計しても計とは一致しない。

c 2年度総合経済対策により開始された事業に係る予算の執行状況

2年度総合経済対策により開始された事業のうち、3年度に継続して実施された事業の3年度における予算の執行状況をみると、表8のとおり、計110事業で、2年度から3年度への繰越額計1兆6801億余円、予算現額計2兆9614億余円、支出済額計2兆2870億余円で執行率は77.2%となっていた。

表8 2年度総合経済対策により開始された事業に係る3年度における予算の執行状況

(単位:事業、百万円、%)
項目名 事業数 予算現額
(B)
支出済額
(C)
4年度への繰越額
(D)
不用額
(E=B-C-D)
執行率
(F=C/B)
令和2年度からの繰越額
(A)
Ⅰ.新型コロナウイルス感染症の拡大防止策
 
1.医療提供体制の確保と医療機関等への支援
15 478,044 466,569 343,406 4,973 118,189 73.6
2.検査体制の充実、ワクチン接種体制等の整備
10 826,902 1,667,075 1,526,257 96,973 43,845 91.5
3.知見に基づく感染防止対策の徹底
25 139,153 408,536 220,315 164,196 24,024 53.9
4.感染症の収束に向けた国際協力
2 1,576 1,576 1,551 25 98.4
その他 1 981 981 981 0 99.9
小計 53 1,446,658 2,544,739 2,092,512 266,142 186,084 82.2
Ⅱ.ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現
 
1.デジタル改革・グリーン社会の実現
23 41,187 42,442 25,698 6,262 10,481 60.5
2.経済構造の転換・イノベーション等による生産性向上
2 3,478 3,478 3,257 220 93.6
3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現
32 188,812 370,812 165,539 107,200 98,072 44.6
小計 57 233,478 416,732 194,495 113,462 108,774 46.6
110 1,680,137 2,961,471 2,287,007 379,605 294,859 77.2
(イ) 3年度に開始された事業に係る予算の執行状況

3年度に開始された事業について、予算の執行状況をみると、表9のとおり、計333事業で、予算現額計14兆9079億余円、支出済額計9兆8089億余円で執行率は65.7%となっていた。

表9 令和3年度に開始された事業に係る予算の執行状況

(単位:事業、百万円、%)
対策名・項目名・財源名等 事業数 予算現額
(B)
支出済額
(C)
4年度への繰越額
(D)
不用額
(E=B-C-D)
執行率
(F=C/B)
令和2年度からの繰越額
(A)
3年度経済対策
Ⅰ.新型コロナウイルス感染症の拡大防止
1.医療提供体制の確保等
26 - 2,445,137 1,490,085 900,598 54,453 60.9
2.感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業や生活・暮らしの支援
25 - 8,592,723 5,702,922 2,852,033 37,767 66.3
小計 51 - 11,037,861 7,193,008 3,752,631 92,220 65.1
Ⅱ.「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え
1.安全・安心を確保した社会経済活動の再開
27 - 1,123,551 46,144 1,068,233 9,173 4.1
2.感染症有事対応の抜本的強化
51 - 708,930 695,964 12,962 2 98.1
小計 78 - 1,832,481 742,109 1,081,195 9,175 40.4
Ⅲ. 未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動
成長戦略
1.科学技術立国の実現
2 - 117 - 117 - -
2.地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」
11 - 82,440 72,400 9,472 567 87.8
3.経済安全保障
- - - - - - -
その他 1 - 89 - 89 - -
分配戦略
1.民間部門における分配強化に向けた強力な支援
- - - - - - -
2.公的部門における分配機能の強化等
3 - 3,487 508 2,978 0 14.5
小計 17 - 86,135 72,908 12,659 567 84.6
146 - 12,956,478 8,008,027 4,846,486 101,964 61.8
3年度新規
対策事業
3年度当初予算 181 - 122,261 103,396 13,805 5,059 84.5
コロナ対策予備費 6 - 1,829,179 1,697,502 131,672 4 92.8
187 - 1,951,440 1,800,899 145,477 5,064 92.2
合計 333 - 14,907,919 9,808,926 4,991,964 107,028 65.7

(1) 3か年度分のコロナ関連事業に係る予算の執行状況の全体像

ア 対策等における施策と経費項目の4類型

3か年度分のコロナ関連事業の全体像について、「新型コロナウイルス感染症防止策」「経済・雇用対策」「国際協力」及び「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の4類型に分類した上で3か年度分のコロナ関連事業に係る対策等における施策の各項目を経費項目ごとに整理すると、表10のとおりとなる。

なお、本件以外に令和3年度決算検査報告に掲記したコロナ関連事業に関する個別の検査結果等(以下「検査報告掲記事項」という。)と上記の経費項目との関係については表10のとおりであり、検査報告掲記事項の一覧は別表に記載したとおりである。

表10 各経費項目の内容

経費項目 令和元年度 2年度 3年度
検査報告掲記事項注(6)
大分類 小分類 元年度緊急対応策第1弾 元年度緊急対応策第2弾 2年度緊急経済対策 2年度総合経済対策 3年度経済対策
新型コロナウイルス感染症防止策
マスク・消毒液確保等関係経費
(2)4.マスク、医薬品等の迅速かつ円滑な供給体制の確保
(1)1.感染拡大防止策
(1)2.需給両面からの総合的なマスク対策
Ⅰ.1.マスク・消毒液等の確保
     
検査体制整備等関係経費
(2)1.病原体等の迅速な検査体制の強化等
(3)1.全国の検疫所等の検査体制・機能の強化
(3)2.健康フォローアップセンターの体制整備による検疫機能の充実
(3)3.入国管理の更なる強化
(1)3.PCR検査体制の強化
(4)2.水際対策における迅速かつ機動的な対応
Ⅰ.2.検査体制の強化と感染の早期発見
Ⅰ.2.検査体制の充実、ワクチン接種体制等の整備(1)
   
医療提供体制整備等関係経費
(2)2.感染症指定医療機関等の治療体制・機能の強化
(1)4.医療提供体制の整備と治療薬等の開発加速
(1)5.症状がある方への対応
Ⅰ.3.医療提供体制の強化
Ⅰ.1.医療提供体制の確保と医療機関等への支援
Ⅰ..3.知見に基づく感染防止対策の徹底
Ⅰ.1.医療提供体制の確保等(1)
Ⅰ.1.医療提供体制の確保等(3)
④⑤⑧
治療薬・ワクチン開発等関係経費
(2)3.検査キット、抗ウイルス薬、ワクチン等の研究開発の促進
 
Ⅰ.4.治療薬・ワクチンの開発加速
Ⅰ.2.検査体制の充実、ワクチン接種体制等の整備(2)
Ⅰ.1.医療提供体制の確保等(2)
Ⅱ.2.感染症有事対応の抜本的強化(1)
 
帰国者受入れ等関係経費
(1)1.帰国者等の健康管理、感染拡大防止のための支援
(1)2.帰国者等の円滑な社会復帰等のための支援
(1)3.邦人の安全確保のための支援
 
Ⅰ.5.帰国者等の受入れ体制の強化
     
情報発信等関係経費
(4)1.国民及び外国人旅行者への迅速かつ正確な情報提供と風評対策
(1)6.情報発信の充実
Ⅰ.6.情報発信の充実
     
学校臨時休業等関係経費  
(2)1.保護者の休暇取得支援等
(2)2.個人向け緊急小口資金等の特例
(2)3.放課後児童クラブ等の体制強化等
(2)4.学校給食休止への対応
(2)5.テレワーク等の推進
Ⅰ.8.学校の臨時休業等を円滑に進めるための環境整備
     
経済•雇用対策
雇用対策等関係経費
(4)3.雇用対策
(3)1.雇用調整助成金の特例措置の拡大
Ⅱ.1.雇用の維持
Ⅱ.3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現(2)
Ⅲ.分.(1)民間部門における分配強化に向けた強力な支援②③
Ⅲ.分.(2)公的部門における分配機能の強化等①
⑥⑦
資金繰り対策等関係経費
(4)2.観光業等の中小企業・小規模事業者対策等
(3)2.強力な資金繰り対策
Ⅱ.2.資金繰り対策
     
中小事業者支援等関係経費    
Ⅱ.3.事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援
Ⅱ.5.税制措置
Ⅱ.2.経済構造の転換・イノベーション等による生産性向上(1)(2)
Ⅰ.2.感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業や生活・暮らしの支援(1)
Ⅲ.分.(1)民間部門における分配強化に向けた強力な支援①
Ⅲ.成.(2)地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」③エ
生活困窮者支援等関係経費  
(3)5.生活困窮者自立支援制度の利用促進等による包括的支援の強化
Ⅱ.4.生活に困っている人々への支援
Ⅱ.3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現(4)
Ⅰ.2.感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業や生活・暮らしの支援(2)
Ⅲ.分.(2)公的部門における分配機能の強化等②
観光業、文化芸術事業支援等関係経費  
(3)4.観光業への対応
Ⅲ.1.観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業等に対する支援
Ⅱ.3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現(1)
Ⅱ.1.安全・安心を確保した社会経済活動の再開
Ⅲ.成.(2)地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」③ウ
⑨⑮⑯
地域経済活性化等関係経費  
(4)5.地方公共団体における取組への財政支援
Ⅲ.2.地域経済の活性化
 
Ⅲ.成.(2)地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」③イ
 
サプライチェーン改革等関係経費  
(3)3.サプライチェーン毀損への対応
Ⅳ.1.サプライチェーン改革
Ⅱ.2.経済構造の転換・イノベーション等による生産性向上(3)
   
農林水産業支援等関係経費    
Ⅳ.2.海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物・食品の輸出力の維持・強化及び国内供給力の強化支援
Ⅱ.3.地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現(3)
Ⅲ.成.(2)地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」③ア
⑩⑪⑫⑬
デジタル・トランスフォーメーション等関係経費  
(4)1.新たな法整備
(4)3.行政手続、公共調達等に係る臨時措置等
Ⅳ.3.リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速
Ⅱ.1.デジタル改革・グリーン社会の実現
Ⅲ.成.(1)科学技術立国の実現
Ⅲ.成.(2)地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」①、②
②③
国際協力
国際協力等関係経費
(5)1.感染症対策に係る国際支援
(4)4.国際連携の強化
Ⅰ.7.感染国等への緊急支援に対する拠出等の国際協力
Ⅰ.4.感染症の収束に向けた国際協力
Ⅱ.2.感染症有事対応の抜本的強化(2)
 
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金     新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金   ①⑰
  • 注(1) 小分類の各項目は、「元年度緊急対応策第1弾」「元年度緊急対応策第2弾」「2年度緊急経済対策」「2年度総合経済対策」及び「3年度経済対策」に基づき、本院で独自に分類した項目である。
  • 注(2) 「元年度緊急措置」に係る施策については、経費項目のうち「生活困窮者支援等関係経費」に割り振っている。
  • 注(3) 「3年度経済対策」の「成」及び「分」は、それぞれ「Ⅲ.未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動」のうちの「成長戦略」及び「分配戦略」を示している。
  • 注(4) 「2年度新規対策事業」及び「3年度新規対策事業」においては、予算措置の基となる対策がないことから、経費項目別の大分類、小分類に直接区分している。
  • 注(5) 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の経費項目には、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金効果促進事業を含んでいる。
  • 注(6) 「検査報告掲記事項」に記載している番号は、別表の番号であり、当該掲記事項の検査の対象となっているコロナ関連事業の経費項目の分類を示すものである。

イ 類型別の予算の執行状況

3か年度分のコロナ関連事業計1,367事業の予算を通算して執行状況をみたところ、表11のとおり、予算総額は計94兆4920億余円、元年度から3年度までの支出済額は計76兆4921億余円、執行率は80.9%であり、3年度から4年度への繰越額は計13兆3254億余円、元年度から3年度までの不用額は計4兆6744億余円、不用額の予算総額に対する割合(以下「不用率」という。)は4.9%となっていた。

また、これを経費項目別にみると、大分類の「新型コロナウイルス感染症防止策」に係る予算総額は18兆6564億余円、支出済額は15兆8855億余円、執行率は85.1%、また、大分類の「経済・雇用対策」に係る予算総額は60兆2710億余円、支出済額は50兆7807億余円、執行率は84.2%となっていて、全体の予算総額の63.7%、支出済額の66.3%が「経済・雇用対策」となっていた。

なお、この執行状況の集計は、次のようにして行った。

(ア) 各年度の予算現額には前年度から翌年度への繰越額が含まれているため、単純に合計すると二重に計上されることから、重複を排除した額である予算総額を基に算定した。

(イ) 支出済額及び不用額は、年度ごとに金額が確定することから、元年度から3年度までの支出済額及び不用額をそれぞれ合算し、当該額の予算総額に対する割合をそれぞれ執行率及び不用率とした。

(ウ) 繰越額は、前年度の予算を翌年度に繰り越して使用するものであることから、3年度から4年度への繰越額を算出した。なお、この総額は前記の3(2)ウ表5における4年度への繰越額と一致する。

表11 3か年度分のコロナ関連事業に係る予算を通算した執行状況

(単位:事業、百万円、%)
経費項目 事業数 予算総額
(A)
支出済額
(B)
執行率
(C=B/A)
令和4年度への繰越額
(D)
不用額
(E=A-B-D)
不用率
(F=E/A)
大分類 小分類
新型コロナウイルス感染症防止策
マスク・消毒液確保等関係経費 164 706,633 532,034 75.2 140,558 34,040 4.8
検査体制整備等関係経費 39 1,195,564 1,059,883 88.6 121,052 14,629 1.2
医療提供体制整備等関係経費 193 10,056,426 8,745,935 86.9 988,025 322,465 3.2
治療薬・ワクチン開発等関係経費 52 6,283,857 5,351,552 85.1 841,522 90,783 1.4
帰国者受入れ等関係経費 11 9,642 6,664 69.1 2,977 30.8
情報発信等関係経費 37 33,506 25,813 77.0 5,065 2,628 7.8
学校臨時休業等関係経費 37 370,815 163,671 44.1 9,572 197,571 53.2
小計
533 18,656,445 15,885,553 85.1 2,105,796 665,096 3.5
経済•雇用対策
雇用対策等関係経費 14 3,202,784 2,601,078 81.2 588,147 13,558 0.4
資金繰り対策等関係経費 49 17,124,655 15,405,706 89.9 1,718,948 10.0
中小事業者支援等関係経費 57 11,358,572 8,403,392 73.9 2,347,195 607,984 5.3
生活困窮者支援等関係経費 77 22,726,381 21,170,311 93.1 1,057,115 498,954 2.1
観光業、文化芸術事業支援等関係経費 74 2,649,446 1,306,411 49.3 406,876 936,158 35.3
地域経済活性化等関係経費 75 1,520,466 414,842 27.2 1,073,634 31,989 2.1
サプライチェーン改革等関係経費 19 575,386 561,413 97.5 12,118 1,854 0.3
農林水産業支援等関係経費 71 468,490 384,759 82.1 6,344 77,386 16.5
デジタル・トランスフォーメーション等関係経費 205 644,882 532,881 82.6 26,005 85,995 13.3
小計
641 60,271,065 50,780,797 84.2 5,517,438 3,972,829 6.5
国際協力
国際協力等関係経費 186 388,364 388,337 99.9 27 0.0
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 7 15,176,155 9,437,510 62.1 5,702,175 36,470 0.2
1,367 94,492,031 76,492,198 80.9 13,325,409 4,674,423 4.9
  • 注(1) 各府省等のコロナ関連事業が対策等で複数の項目に分類されている場合、各府省等からの回答に基づき主な経費項目に割り振るなどしている。
  • 注(2) 令和3年度に区分管理を行わなくなった事業の2年度から3年度への繰越額は、予算総額から控除している。

ウ 事業別の予算の執行状況

3か年度分のコロナ関連事業計1,367事業について、事業別に通算して予算の執行状況をみたところ、次の(ア)から(オ)までのとおりとなっていた。

(ア) 支出済額が大きい事業

支出済額が大きい5事業をみると、表12―1のとおりとなっていて、最も大きい事業は、経済・雇用対策の特別定額給付金給付事業で12兆7723億余円となっていた。同事業は、全国の市区町村を事業主体とし、基準日(2年4月27日)において住民基本台帳に記録されている給付対象者1人につき10万円を給付するものである。

表12―1 支出済額が大きい5事業

(単位:百万円、%)
順位
実施年度
実施府省等名 経費項目 事業名 予算総額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D=A-B-C)
執行率
(E=B/A)
大分類 小分類
1位 令和
2
総務省 経済・雇用対策 生活困窮者支援等関係経費 特別定額給付金給付事業 12,880,292 12,772,382 107,910 99.1
2位 2、3 内閣府、総務省 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 15,175,994 9,437,433 5,702,115 36,445 62.1
3位 2、3 財務省 経済・雇用対策 資金繰り対策等関係経費 民間金融機関及び日本政策金融公庫等を通じた資金繰り支援 8,923,700 8,279,950 643,750 92.7
4位 2、3 経済産業省 経済・雇用対策 中小事業者支援等関係経費 持続化給付金 5,665,735 5,639,196 12,299 14,240 99.5
5位 2、3 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症防止策 医療提供体制整備等関係経費 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分) 6,086,302 5,367,542 700,221 18,537 88.1
  • 注(1) 「実施年度」は、事業が実施された年度を通年で表示している(以下、表12―1から14―2までにおいて同じ。)。
  • 注(2) 「支出済額」及び「不用額」は、事業の実施年度における額を合計したものである(以下、表12―1から14―2までにおいて同じ。)。
  • 注(3) 「繰越額」は、実施年度の最終年度における繰越額を表示している(以下、表12―1から14―2までにおいて同じ。)。
  • 注(4) 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、内閣府から総務省へ予算を移し替えて執行していることから執行率及び不用率は両府省の合計額により算出している(以下、表12―1から14―2までにおいて同じ。)。
(イ) 執行率が低い事業

支出済額が1000億円以上の事業のうち、執行率が低い5事業をみると、表12―2のとおりとなっていて、最も低い事業は経済・雇用対策の事業復活支援金の18.9%となっていた。同事業は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小法人・個人事業主を対象に支援金を支払うものである。そして、執行率が低くなった理由について、経済産業省は、支援金に対する審査委託業務に従事する人数を当初、平均約9,000人と想定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により約6,000人しか確保できず、審査が遅延したことによるとしていた。

表12―2 支出済額が1000億円以上の事業のうち、執行率が低い5事業

(単位:百万円、%)
順位
実施年度
実施府省等名 経費項目 事業名 予算総額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D=A-B- C)
執行率
(E=)B/A
大分類 小分類
1位 令和
3
経済産業省 経済・雇用対策 中小事業者支援等関係経費 事業復活支援金 2,791,490 529,589 2,261,901 18.9
2位 2、3 経済産業省 経済・雇用対策 資金繰り対策等関係経費 危機対応円滑化業務出資金 1,080,100 321,200 758,900 29.7
3位 2、3 国土交通省 経済・雇用対策 観光業、文化芸術事業支援等関係経費 Go Toトラベル事業 1,961,544 863,949 323,209 774,385 44.0
4位 2、3 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症防止策 医療提供体制整備等関係経費 新型コロナウイルス感染症対策に係る水際対策の強化 311,206 156,261 148,143 6,801 50.2
5位 2、3 内閣府、総務省 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 15,175,994 9,437,433 5,702,115 36,445 62.1
(ウ) 繰越額が大きい事業

3年度から4年度への繰越額が大きい5事業をみると、表13のとおりとなっていて、最も大きい事業は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金で5兆7021億余円となっていた。同事業は、新型コロナウイルスの感染拡大の防止及び感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活の支援等を通じた地方創生に資するために、地方公共団体に交付金を交付するものである。そして、繰越額が大きくなった理由について、内閣府及び総務省は、地方公共団体における効果的な感染防止策や地域生活の支援等の観点に基づく実施計画の策定、地方公共団体における飲食店からの各種申請への対応に係る事務手続等に不測の日数を要したことなどによるとしていた。

表13 令和3年度から4年度への繰越額が大きい5事業

(単位:百万円)
順位
実施年度
実施府省等名 経費項目 事業名 予算総額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D=A-B-C)
大分類 小分類
1位 令和
2、3
内閣府、総務省 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 15,175,994 9,437,433 5,702,115 36,445
2位 3 経済産業省 経済・雇用対策 中小事業者支援等関係経費 事業復活支援金 2,791,490 529,589 2,261,901
3位 3 国土交通省 経済・雇用対策 地域経済活性化等関係経費 地域観光事業支援 894,167 43,813 841,424 8,928
4位 3 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症防止策 治療薬・ワクチン開発等関係経費 新型コロナウイルスワクチンの接種体制の確保等 2,050,944 1,292,756 709,359 48,828
5位 2、3 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症防止策 医療提供体制整備等関係経費 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分) 6,086,302 5,367,542 700,221 18,537
(エ) 不用額が大きい事業

不用額が大きい5事業をみると、表14―1のとおりとなっていて、最も大きい事業は、経済・雇用対策のGo Toトラベル事業で7743億余円となっていた。同事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により、観光需要等が大きく減少したことを踏まえて、官民一体型の消費喚起キャンペーンを行うものである。そして、不用額が大きくなった理由について、国土交通省は、2年末以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等から事業が全国的に停止していることなどによるとしていた。

表14―1 不用額が大きい5事業

(単位:百万円、%)
順位
実施年度
実施府省等名 経費項目 事業名 予算総額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D=A-B-C)
不用率
(E=D/A)
大分類 小分類
1位 令和
2、3
国土交通省 経済・雇用対策 観光業、文化芸術事業支援等関係経費 Go Toトラベル事業 1,961,544 863,949 323,209 774,385 39.4
2位 2、3 経済産業省 経済・雇用対策 資金繰り対策等関係経費 危機対応円滑化業務出資金 1,080,100 321,200 758,900 70.2
3位 2、3 財務省 経済・雇用対策 資金繰り対策等関係経費 民間金融機関及び日本政策金融公庫等を通じた資金繰り支援 8,923,700 8,279,950 643,750 7.2
4位 2、3 経済産業省 経済・雇用対策 中小事業者支援等関係経費 中小企業向け資本性資金供給・資本増強支援事業 418,700 20,000 398,700 95.2
5位 2、3 経済産業省 経済・雇用対策 資金繰り対策等関係経費 民間金融機関を通じた資金繰り支援 2,635,600 2,400,264 235,335 8.9
(オ) 不用率が高い事業

不用額が100億円以上の事業のうち、不用率が高い5事業をみると、表14―2のとおりとなっていて、最も高い事業は、新型コロナウイルス感染症防止策の新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等で99.9%となっていた。同事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により2年3月2日から小学校が全国一斉臨時休業等となったため子どもの世話を行うことが必要となった労働者に有給の休暇を取得させた事業主等に対して、助成するなどするものである。そして、不用率が高くなった理由について、厚生労働省は、次のとおりとしている。すなわち、厚生労働省は、当初126万5千余人を対象に1536億余円の支給を見込んで、2年3月13日に助成金及び支援金の制度を創設し、同月18日に申請受付を開始していた。しかし、当該事業の予算は翌年度への繰越しの対象となっていなかったことなどから元年度の事業期間は3月31日までとなった。その間の支給実績は申請書等の不備により支給決定まで至らない申請があったこと及び当初の見込みより申請が少なかったことにより、実際には個人事業主6人に対する209,100円となっており、申請書の審査受付業務及びコールセンター業務の委託費1億4762万余円と合わせた計1億4783万余円が支出済額となっている。

当該事業については、元年度において執行しなかった予算は全て不用額として計上されているが、政府は2年度第1次補正等により改めて予算措置を講じて、新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金を元年度と同様の事業として実施しており、2年度の支給実績は174,303件、574億余円となっている。

表14―2 不用額が100億円以上の事業のうち、不用率が高い5事業

(単位:百万円、%)
順位
実施年度
実施府省等名 経費項目 事業名 予算総額
(A)
支出済額
(B)
繰越額
(C)
不用額
(D=A-B-C)
不用率
(E=D/A)
大分類 小分類
1位 令和
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症防止策 学校臨時休業等関係経費 新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等 155,646 147 155,498 99.9
2位 2、3 経済産業省 経済・雇用対策 中小事業者支援等関係経費 中小企業向け資本性資金供給・資本増強支援事業 418,700 20,000 398,700 95.2
3位 2、3 経済産業省 経済・雇用対策 観光業、文化芸術事業支援等関係経費 Go Toイベント事業及びGo To商店街事業 127,919 21,241 3,973 102,705 80.2
4位 2、3 経済産業省 経済・雇用対策 資金繰り対策等関係経費 危機対応円滑化業務出資金 1,080,100 321,200 758,900 70.2
5位 2、3 農林水産省 経済・雇用対策 観光業、文化芸術事業支援等関係経費 飲食業消費喚起事業(Go To Eatキャンペーン) 51,500 23,530 3,428 24,541 47.6

(4) 2年度に概算払をした補助金等に係る精算及び余剰額の状況

前記1(3)のとおり、概算払をした補助金等の精算が翌年度の4月30日までに完了しなかった場合、交付先等において最終的に使われなかった余剰額は当年度の予算に戻入することができず、決算においては当年度の支出済額に含まれて計上される。このため、これらの補助金等については、当年度の支出済額は補助金等の実質的な執行額を示していないことになる。

そこで、2年度に実施されたコロナ関連事業の中で予算の執行を区分して管理されていた703事業のうち、支出済額が100億円以上で、2年度に補助金等を概算払により交付するなどしていた事業について、3年4月30日までに精算が完了しなかった補助金等のその後の精算状況を確認した。その結果、表15のとおり、3年5月1日から4年4月30日までの間に精算が完了した概算払額は計3兆4460億余円であり、このうち確定した交付額等は計2兆9672億余円、余剰額は計4788億余円となっていた。

すなわち、上記の概算払額計3兆4460億余円については、決算においては2年度のコロナ関連事業の支出済額として計上されていたものであるが、余剰額計4788億余円については、最終的にコロナ関連事業の実施に充てられていなかったものである。

なお、この余剰額は4年7月末時点までに全額が国庫へ返納されており、決算においては3年度又は4年度の歳入に計上されることとなる。

表15 2年度に実施されていたコロナ関連事業のうち支出済額が100億円以上で同年度に概算払を行った補助金等の余剰額の状況(単位:百万円)

実施
府省等名
事業名 令和3年5月1日から4年4月30日までの間に精算が完了した概算払額(注) 左のうち確定した交付額等 余剰額
(A) (B) (A)-(B)
内閣府 子育て世帯への臨時特別給付金の支給 158,329 154,270 4,058
文部科学省 学習保障に必要な人的体制の強化 14,063 8,153 5,909
厚生労働省 ワクチン・治療薬の開発等 1,932 1,874 58
ワクチン接種体制等の整備 10,278 6,506 3,772
国民健康保険料、介護保険料等の減免を行った市町村等に対する財政支援 47,312 41,639 5,673
新型コロナウイルス感染症の流行下における妊産婦総合対策事業 12,103 1,416 10,686
新型コロナウイルス感染症患者等への支援及び新型コロナウイルス感染症患者の入院医療費の支援 16,642 9,548 7,093
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分) 2,467,738 2,221,145 246,593
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分) 317,457 235,424 82,032
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(障害分) 98,584 49,788 48,796
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(児童福祉施設等分) 31,163 20,804 10,359
低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金の支給 185,493 162,097 23,396
厚生労働省 小計 3,188,707 2,750,245 438,461
農林水産省 サービス産業消費喚起事業(Go To Eatキャンペーン)(給付金) 15,595 15,585 10
国産農林水産物等販売促進緊急対策事業のうち水産物販売促進緊急対策事業 5,375 2,981 2,393
国産農林水産物等販売促進緊急対策事業のうち品目横断的販売促進緊急対策事業及び国産農林水産物等販売促進緊急対策委託事業 36,987 35,099 1,888
農林水産省 小計 57,958 53,666 4,292
経済産業省 持続化給付金 27,037 871 26,165
3,446,096 2,967,207 478,888

(注) 「令和3年5月1日から4年4月30日までの間に精算が完了した概算払額」には、次のものは含まない。 ① 精算の結果余剰額が生じなかったもの ② 事業を実施した年度を区分して精算額を把握することが困難なことなどにより集計対象外としたもの ③ 令和4年4月30日までに精算が完了せず、同年5月1日以降に精算が行われるもの

(5) 各府省等におけるコロナ関連事業に係る予算の執行等に関する情報提供の状況

前記1(1)のとおり、本院は2年度報告の所見において、コロナ関連事業として実施した各事業に係る予算の執行状況等を国民に対して広く情報提供することが望まれるなどと記述している。

そこで、4年5月時点で、コロナ関連事業に係る予算の執行状況に関し、各府省等がどのような情報を提供しているか確認したところ、内閣府、総務省、外務省及び厚生労働省は表16のとおり、コロナ関連事業の一部について、その予算の執行状況を公表していた。

表16 各府省等におけるコロナ関連事業に係る予算執行状況の公表状況

項目
情報提供主体
コロナ関連事業名等 ウェブサイトにおける公表資料名 予算執行状況
支出済額
繰越額 不用額
内閣府
(各府省等の状況を内閣府が取りまとめて公表)
令和元年度から3年度までの対策等に基づき各府省等が実施する主な事業(原則として一般会計の予算額が100億円以上の事業) 経済対策のフォローアップについて(金融政策、物価等に関する集中審議資料)    
総務省 特別定額給付金給付事業 特別定額給付金の給付済金額の推移    
外務省 Gaviを通じたCOVAXファシリティのワクチン事前買取制度への拠出、Gaviワクチンアライアンス拠出金及びCOVAXファシリティを通じた途上国への新型コロナ・ワクチン普及支援 日本によるワクチン関連支援    
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分) 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分)の介護サービス事業所・施設等への交付実績    
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分) 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)執行状況
  • 注(1) 各府省等から提出を受けた調書等に基づき回答のあった公表状況について取りまとめている。
  • 注(2) 予算執行状況については情報提供のある項目に「〇」を記載している。
  • 注(3) 予算執行状況は、都道府県等が国からの交付決定を受けて補助金等に係る予算執行を行った状況を含めて記載している。

そして、その掲載情報の内容をみると、次のとおりとなっていた。

内閣府は、「経済財政諮問会議」の会議資料「経済対策のフォローアップについて(金融政策、物価等に関する集中審議資料)」として、元年度から3年度までの対策等に基づき各府省等が実施する主な事業(原則として一般会計の予算額が100億円以上の事業)を取りまとめて情報提供を行っており、その中で各府省等が実施したコロナ関連事業の支出済額の一部を含む進捗状況等を公表していた。

総務省は、所管のコロナ関連事業のうち「特別定額給付金給付事業」について、「特別定額給付金の給付済金額の推移」として、支出済額のうち、給付済金額の推移等を公表していた。

外務省は、所管のコロナ関連事業のうち「Gaviを通じたCOVAXファシリティのワクチン事前買取制度への拠出」「Gaviワクチンアライアンス拠出金」及び「COVAXファシリティを通じた途上国への新型コロナ・ワクチン普及支援」の支出済額のうちCOVAXファシリティへの拠出額を「日本によるワクチン関連支援」の内数として公表していた。

厚生労働省は、所管のコロナ関連事業のうち「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分)」について、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分)の介護サービス事業所・施設等への交付実績」として、都道府県が介護サービス事業所・施設等に対して支払った補助金交付額等を公表していた。また、同様に、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)」について、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)執行状況」として、国から都道府県への交付決定額、都道府県執行額、都道府県における翌年度への繰越額及び都道府県における残額(国庫への返納又は国の不用額)の状況等を公表していた。

また、これらのほか、各府省等では、「予算執行の情報開示充実に関する指針」(平成22年3月内閣官房国家戦略室)に基づき、補助金等については、決算額ではないものの交付決定額等を公表するなどしていた。

このように、内閣府が取りまとめた資料において各府省等の主な事業の支出済額については公表されるなどしていたが、繰越額及び不用額については、特段、公表すべき基準等がないことなどから、厚生労働省の1事業以外には、コロナ関連事業と分かる形で公表されていなかった。しかし、繰越額及び不用額は、予算の執行状況を示す基本的な情報の一つであり、前記3(3)イのとおり、3か年度分のコロナ関連事業に係る予算総額が計94兆4920億余円であるのに対して、3年度から4年度への繰越額は計13兆3254億余円、不用額は計4兆6744億余円と多額となっている状況に鑑みれば、新型コロナウイルス感染症対策に係る予算措置に対する国民の理解と協力を得るためには、コロナ関連事業に係る予算額や支出済額だけではなく、繰越額及び不用額並びに補助金等の余剰額についても公表することが重要である。

4 本院の所見

新型コロナウイルス感染症については、感染の波が周期的に続いていて、国民生活や経済に大きな影響を及ぼしており、前例のない規模の財政支出が続けられている。財務省は、未知のリスクに対して、感染の影響も不明な中で、国民の命と健康を守り抜くことを最優先に、万全な対応を期すため、切れ目ない支援を行うべく、累次の補正予算の編成や予備費の支出を含めて十分な予算を措置したとしている。

そこで、事業等の執行における透明性の確保や国民への説明責任の向上等の観点から、本院において、2年度報告に引き続き、3か年度分のコロナ関連事業に係る3年度末時点での予算の執行状況について検査したところ、元年度から3年度までの3年間の合計の予算総額は94兆4920億余円と多額になっており、そのうち3年度から4年度へ繰り越した額も13兆3254億余円と多額になっている状況が見受けられた。

また、2年度に概算払をした補助金等のうち3年4月30日までに精算が完了しなかったものに係るその後の精算状況について検査したところ、同年5月1日から4年4月30日までの間に精算が完了したものについての余剰額は4788億余円となっていた。すなわち、2年度のコロナ関連事業の支出済額のうち4788億余円は、最終的にコロナ関連事業の実施に充てられていなかったものであり、決算だけではコロナ関連事業の実質的な執行額が把握できない状態となっている。

さらに、コロナ関連事業に係る予算執行等の情報提供の状況について検査したところ、内閣府が取りまとめた資料において各府省等の主な事業の支出済額については公表されるなどしていたが、繰越額及び不用額については、特段、公表すべき基準等がないことなどから、厚生労働省の1事業以外にはコロナ関連事業と分かる形で公表されていなかった。

以上のように、コロナ関連事業に係る予算は、3か年度にわたり多額の支出が行われてきており、4年度への繰越額や不用額が多額に計上されている。このような状況において、これまで政府が実施してきたコロナ関連事業について今後も引き続き国民の理解と協力を得つつ新型コロナウイルス感染症に関連する対策を進めていくためには、政府が実施する同感染症対策について予算の執行状況等を含めて情報を広く分かりやすく伝えることが重要である。ついては、各府省等は、多額に執行されているコロナ関連事業に係る予算の執行状況等に関して、予算の執行状況を示す基本的な情報である支出済額、繰越額及び不用額並びに補助金等の余剰額について分かりやすく情報を提供することが望まれる。

本院としては、新型コロナウイルス感染症が引き続き我が国に多大な影響を与えていることを踏まえて、新型コロナウイルス感染症対策に関連する各種施策に係る予算の執行状況等について引き続き検査していくこととする。

別表 検査報告掲記事項の一覧

番号
府省等名
事項 大分類
(小分類)
掲記区分
ページ
総務省
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の交付対象事業費が過大に精算されていたなどのもの
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金
不当 0055リンク参照
文部科学省
国立大学法人情報機器整備費補助金が過大に交付されていたもの
経済・雇用対策(デジタル・トランスフォーメーション等関係経費)
不当 0088リンク参照
文部科学省
家庭学習のための通信機器整備支援事業により整備したモバイルWi―Fiルータ等について、事業主体に使用が低調となっている理由を確認させた上で家庭学習における使用を促進するための方策を検討して周知したり、家庭学習以外での有効活用を図るための方法等を検討して周知したりして、使用促進や有効活用が図られるよう意見を表示したもの
経済・雇用対策(デジタル・トランスフォーメーション等関係経費)
意見表示
0099リンク参照
厚生労働省
新型コロナウイルス感染症に感染した入国者に係る入院費の支払に当たり、支払う必要のない消費税相当額を含めていたため、医療機関への支払が過大となっていたもの
新型コロナウイルス感染症防止策(医療提供体制整備等関係経費)
不当 0112リンク参照
厚生労働省
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)(新型コロナウイルス感染症対策事業及び新型コロナウイルス感染症重点医療機関体制整備事業に係る分)が過大に交付されていたもの
新型コロナウイルス感染症防止策(医療提供体制整備等関係経費)
不当 0135リンク参照
厚生労働省
保有するデータを活用するなどして雇用調整助成金等と休業支援金等の重複支給や休業支援金等の二重支給の有無を確認することなどとして、その具体的な方法を策定するよう是正改善の処置を求め、重複支給又は二重支給が確認されたものについて不正受給額等を返還させる措置を講ずるよう適宜の処置を要求し、及び、リスクの所在等に十分に留意して雇用調整助成金等に関する実地調査の対象とする事業主の範囲を設定することとする見直しを行うことなどとして、その具体的な方法を策定するよう改善の処置を要求したもの
経済・雇用対策(雇用対策等関係経費)
処置要求
0179リンク参照
厚生労働省
雇用調整助成金の支給に当たり、事業主の支給申請に係る負担の軽減や支給事務の迅速性の確保に配慮しつつ、支給額が休業手当の支払額を上回る額を極力生じさせない合理的な算定方法とするよう意見を表示したもの
経済・雇用対策(雇用対策等関係経費)
意見表示
0188リンク参照
厚生労働省
新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER―SYS)の開発・保守等に関する契約において実施している新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」の開発・保守等について
新型コロナウイルス感染症防止策(医療提供体制整備等関係経費)
事後 0214リンク参照
農林水産省
Go To Eatキャンペーンに係る食事券発行委託事業において、管理職の職員の人件費に係る時間単価の算定が適正でなかったため、委託費の支払額が過大となっていたもの
経済・雇用対策(観光業、文化芸術事業支援等関係経費)
不当 0216リンク参照
農林水産省
過剰木材在庫利用緊急対策事業の実施に当たり、同事業以外に国からの助成を受けていて、補助の対象とならないもの
経済・雇用対策(農林水産業支援等関係経費)
不当 0220リンク参照
農林水産省
6次産業化市場規模拡大対策整備交付金事業の交付対象事業費に、対象とならない経費を含めていたもの
経済・雇用対策(農林水産業支援等関係経費)
不当 0223リンク参照
農林水産省
高収益作物次期作支援交付金事業の実施に当たり、過大に交付された交付金について返還手続を行わせるよう適宜の処置を要求し、及び取組交付金が過大に交付されるなどしていた事態に係る事例等を事業実施主体に周知するなどして、必要と認められる場合には事後確認することを促すなどしたり、今後、事務に誤りが生じやすい状況になることが想定される場合に備えて、事業実施主体に事後確認を行わせることができるよう、あらかじめ必要な仕組みを検討したりするよう改善の処置を要求したもの
経済・雇用対策(農林水産業支援等関係経費)
処置要求
0235リンク参照
農林水産省
過剰木材在庫利用緊急対策事業と同様の要件を規定する事業について、工務店等の事業主体が事業申請を行うに当たり、地方公共団体の補助金等の財源として国庫補助金等が含まれていないことを確実に確認する仕組みを構築して、これを規程に反映させるよう事業実施主体を指導等することとするとともに、今後木材製品の利用促進を支援する事業を実施する場合に備えて、過剰木材在庫利用緊急対策事業を改めて検証して、その結果を制度設計に活用する方法を検討するよう意見を表示したもの
経済・雇用対策(農林水産業支援等関係経費)
意見表示
0241リンク参照
経済産業省
地域企業再起支援事業の実施に当たり、要件を満たしていない中小企業者が実施していて補助の対象とならないもの
経済・雇用対策(中小事業者支援等関係経費)
不当 0284リンク参照
経済産業省
コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金の補助対象事業費を過大に精算していたもの
経済・雇用対策(観光業、文化芸術事業支援等関係経費)
不当 0287リンク参照
国土交通省
Go Toトラベル事業における取消料対応費用等について、支払要件を満たしていない取消料対応費用等に相当する委託費を国庫に返還させるよう適宜の処置を要求し、及び事後審査の対象範囲を拡充して、取消料対応費用等の支払対象とならないものがないか確認を行うよう事務局に指示し、支払対象とならないことが確認されたものについて返還させるよう改善の処置を要求したもの
経済・雇用対策(観光業、文化芸術事業支援等関係経費)
処置要求
0324リンク参照
内閣府、総務省
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による事業の実施に当たり、商品券等の配布事業において使用期限経過後の未換金相当額等に交付金を充当しない取扱いとするなどした上でその旨を地方公共団体に対して周知するなどするよう改善の処置を要求するとともに、水道料金等の減免事業において実施計画の確認を確実に行えるようにするための方策を検討するなどしたり、効果検証の趣旨に沿った適切な方法により、速やかに効果検証を実施して検証結果を公表するよう地方公共団体に対して周知したりするよう意見を表示したもの
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金
意見表示

処置要求
0387リンク参照
日本私立学校振興・共済事業団
私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの
経済・雇用対策(生活困窮者支援等関係経費)
不当 0403リンク参照
各経費項目に当てはめられないもの
 
政府出資法人
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するための対策等による政府出資法人の財務等への影響について  
随時報告
0467リンク参照

(注) 掲記区分の「不当」は、検査の結果、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項、「意見表示」又は「処置要求」は、会計検査院法第34条又は第36条の規定により関係大臣等に対して意見を表示し又は処置を要求した事項、「事後」は、会計検査院法第34条又は第36条の規定により関係大臣等に対して意見を表示し又は処置を要求した事項について、当局において講じた処置又は講じた処置の状況、「随時報告」は、会計検査院法第30条の2の規定により国会及び内閣に報告した事項をそれぞれ示している。