(276) まちづくり交付金による既存建造物活用事業の実施に当たり、対象経費とならない消耗品等の購入費を含めて交付額を算出していたため、同交付金が過大に交付されているもの
会計名及び科目
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一般会計
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(組織)国土交通本省
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(項)都市環境整備事業費
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部局等
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福岡県
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交付の根拠
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都市再生特別措置法(平成14年法律第22号)
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交付金事業者
(事業主体)
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北九州市
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交付金事業
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既存建造物活用
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交付金事業の概要
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既存の建造物を活用して子育てふれあい交流プラザを整備するため、平成17年度に展示内装工事、施設内設置遊具造作等を実施するもの
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事業費
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444,298,890円
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(うち交付金対象額440,656,000円)
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上記に対する交付金交付額
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176,262,400円
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不当と認める事業費
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32,830,696円
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(うち交付金対象額32,561,511円)
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不当と認める交付金交付額
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13,024,604円
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この交付金事業は、北九州市が、小倉都心地区において、小倉都心部の魅力を高め、集客活性化を図るため、北九州200万都市圏の中核に相応しい高次な都市機能の充実と都心部の賑わいづくりを推進することを目標として、都市再生特別措置法(平成14年法律第22号)に基づいて、平成16年度に都市再生整備計画を策定し、16年度から20年度までの5年間に、まちづくり交付金による事業として既存建造物活用事業、街路事業等を実施するものである。このうち、本件地区の既存建造物活用事業は、既存のビルの一画に子育てを支援し地域の交流を図るための地域交流センターとして「子育てふれあい交流プラザ」(以下「交流プラザ」という。)を整備するものである。
そして、同市では、17年5月に、交流プラザの整備の一環として交流プラザ展示物製作等業務を専門業者に444,298,890円(うち交付金対象額440,656,000円、これに対する交付金176,262,400円)で委託し、18年4月までに同額を同業者に支払っている。
まちづくり交付金の交付対象となる経費は、まちづくり交付金交付要綱(平成16年国都事第1号、国道企第6号、国住市第25号国土交通事務次官通知)により、財政法(昭和22年法律第34号)第4条の規定に基づく公債の発行対象となる経費に該当するものとされている。この経費は、公共事業費、出資金及び貸付金の財源について、国会の議決を経た範囲で公債を発行し又は借入金をなすことができる経費であり、一般に、資産を形成するもので、通常、当該資産からの受益も長期にわたることから、その財源に充てるため公債を発行することができるとされている。
本院は、北九州市において会計実地検査を行った。そして、合規性等の観点から、本件事業について、交付金の算定に当たり対象事業費を基準に従って適正に算出しているかなどに着眼して、契約書等の書類及び現地の状況を検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、同市では、前記のとおり、交流プラザ内に展示内装工事、施設内設置遊具造作等を行う業務を専門業者に委託し、同業者に対する支払額のうち440,656,000円を対象経費として交付金の額を算出していたが、その中には積み木、絵本、ペン、スタンプ等の備品、消耗品(以下、これらを「消耗品等」という。)の購入費が含まれていた。
しかし、まちづくり交付金の交付の対象となる経費は、前記のとおり公債の発行対象となる経費に該当するものとされており、消耗品等の購入費を対象経費に含めて交付金の額を算出していたのは適切とは認められない。
このような事態が生じていたのは、同市において、まちづくり交付金の制度に対する理解が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件契約における適正な交付金の対象となる経費は、消耗品等の購入費を控除した411,468,194円(うち交付金対象額408,094,489円)となり、前記の事業費444,298,890円(うち交付金対象額440,656,000円)との差額32,830,696円(うち交付金対象額32,561,511円)に係る交付金相当額13,024,604円が過大に交付されていて、不当と認められる。