(284) 衛星を利用したタクシーの運行管理・配車システム整備事業の実施に当たり、システムの対象車両数が補助要件を下回ることから補助の対象とならないもの
会計名及び科目
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自動車損害賠償保障事業特別会計(自動車事故対策勘定)
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(項)自動車事故対策費
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部局等
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国土交通本省
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補助の根拠
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自動車損害賠償保障法(昭和30年法律第97号)
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補助事業者
(事業主体)
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有限会社須賀川交通
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補助事業
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衛星を利用したタクシーの運行管理・配車システム整備事業
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補助事業の概要
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都市交通の安全・円滑化に資するために、平成17年度に衛星を利用したタクシーの運行管理・配車システムの整備を行うもの
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事業費
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41,336,000円
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上記に対する国庫補助金交付額
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10,000,000円
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不当と認める事業費
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41,336,000円
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不当と認める国庫補助金交付額
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10,000,000円
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この補助事業は、都市交通の安全・円滑化に資するため、衛星を利用したタクシーの運行管理・配車システムを整備するもので、国土交通省では、配車センターの中央制御装置、タクシーの車載装置等の機器を購入する無線共同配車センター等に対し、購入に要する経費の一部として、自動車事故対策費補助金を交付している。
この補助要件として、導入するシステムは、衛星を利用してタクシーの運行状況を配車センターで地図画面により自動管理するとともに、配車依頼の電話番号から依頼人の位置を特定し、その付近を走行しているタクシーに車載装置の画面表示と合成音声によって配車指示を行うまでの一連の作業を自動的に行う機器及び機能を有するシステム(以下「高度配車システム」という。)であること、補助事業としての一定の効果を確保するため、同システムの対象車両数は70両以上であることなどとされている。
有限会社須賀川交通(以下「須賀川交通」という。)では、平成17年度に、グループ会社3社と共同で事業を実施している。そして、4社共同の配車センターに設置する中央制御装置等及びタクシー71両の車載装置として、配車センターからの配車指示を画面表示と合成音声によって行う操作器(以下「液晶型操作器」という。)を65機、液晶型操作器にカーナビゲーション装置を追加した操作器(以下「カーナビ付操作器」という。)を6機、計71機の操作器等を計41,336,000円で購入したとして国土交通省に実績報告書を提出し、補助金10,000,000円の交付を受けていた。
本院は、須賀川交通等において、合規性等の観点から、補助事業の経理が適正に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、この補助事業について、実績報告書等の書類により検査したところ、須賀川交通が実際に購入した車載装置の操作器は、液晶型操作器が51機、カーナビ付操作器が4機となっており、残りの16機は配車センターのオペレーターからの無線による音声で配車指示を行う操作器(以下「簡易型操作器」という。)で、高度配車システムの車載装置には該当しないものであった。
このため、本件事業における高度配車システムの車載装置は55機となり、これらが搭載される55両のタクシーでは補助要件である対象車両数70両を下回ることから、本件事業は補助の対象とは認められない。
なお、須賀川交通では、高度配車システムの機器を41,336,000円で購入したとしていたが、実際には、実績報告書で購入先としていた業者とは別の業者から、簡易型操作器を含めて26,500,000円で購入しており、実績報告書に添付されていた請求書、領収書等は架空のものであった。
このような事態が生じていたのは、事業主体において、補助事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、国土交通省において、本件事業に対する調査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件事業は、補助の対象と認められないことから、これに係る国庫補助金10,000,000円が不当と認められる。