(278) 入居者の公募等を行わずに特定地元企業等の従業員を入居させていて、公営住宅の管理が適切に行われていないもの
会計名及び科目
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(1)
(2)
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建設省所管
国土交通省所管
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一般会計
一般会計
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(組織)建設本省
(項)住宅建設事業費
(組織)国土交通本省
(項)住宅建設等事業費
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部局等
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長崎県
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補助の根拠
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公営住宅法(昭和26年法律第193号)
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補助事業者
(事業主体)
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長崎県西海市(平成17年3月31日以前は西彼杵郡大島町)
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補助金
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(1)
(2)
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公営住宅建設事業費補助金
公営住宅ストック総合改善事業費補助金
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補助金の概要
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(1)
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住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸等するため、公営住宅を建設する地方公共団体へ交付するもの
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(2)
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既設公営住宅の居住水準の向上等のため、改善を行う地方公共団体へ交付するもの
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事業費
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(1)
(2)
計
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137,062,000円
13,366,000円
150,428,000円
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(昭和50年度)
(平成16年度)
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上記に対する国庫補助金交付額
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(1)
(2)
計
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68,531,000円
6,683,000円
75,214,000円
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不当と認める国庫補助金交付額
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(1)
(2)
計
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7,798,092円
331,682円
8,129,774円
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(昭和50年度)
(平成16年度)
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長崎県西海市(平成17年3月31日以前は西彼杵郡大島町)では、公営住宅法(昭和26年法律第193号。以下「法」という。)の規定に基づき、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸するなどのため公営住宅を整備し、管理している。
そして、同市は、公営住宅建設事業により、昭和50年度に真砂団地A−1棟(鉄筋コンクリート造5階建、管理戸数30戸)を事業費137,062,000円(国庫補助金68,531,000円)で整備し、51年度から管理を開始しており、さらに、平成16年度には外壁改修等を行う公営住宅ストック総合改善事業を事業費13,366,000円(国庫補助金6,683,000円)で実施している。
公営住宅の管理において、入居者の募集方法については、法第22条の規定により、原則として公募によらなければならないとされており、入居者資格については、法第23条の規定により、現に同居し又は同居しようとする親族があること、入居者の1箇月当たりの収入が公営住宅法施行令(昭和26年政令第240号)第6条で定める基準を超えないことなどとされている。
本院は、長崎県及び西海市において、合規性等の観点から、公営住宅の管理が適切であるかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件補助事業について、公営住宅の管理及び現存する入居状況等に関する書類等により検査したところ、前記の真砂団地A−1棟の管理において、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、同市では、昭和59年4月以降、管理戸数全30戸のうち26戸について法第22条に定める公募を行わず、地元企業及びその関係企業等(以下「特定地元企業等」という。)からの申請により、法第23条の規定に定める入居者資格の審査を行わないまま、順次その従業員を入居させていた。そして、この26戸については、特定地元企業等が入居名義人となり、家賃も特定地元企業等から納付されていたことから、特定地元企業等の専用住戸と同様の実態となっていた。
このような事態が生じていたのは、同市において、公営住宅の管理に関し、法等の趣旨を十分理解していなかったこと、同県において、同市に対する指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件真砂団地A−1棟の公営住宅建設事業及び公営住宅ストック総合改善事業に対し交付された国庫補助金計75,214,000円のうち、26戸について入居者の公募等を行わずに管理していた59年4月以降からの期間に係る国庫補助金相当額計8,129,774円が不当と認められる。