(270) 雪国快適環境総合整備事業で整備したファミリースキー場が一度も供用されておらず、補助の目的を達していないもの
会計名及び科目
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総理府所管
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一般会計
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(組織)国土庁
(項)豪雪地帯対策特別事業費
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部局等
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国土庁(平成13年1月6日以降は国土交通本省)
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補助の根拠
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予算補助
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補助事業者
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福井県
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間接補助事業者
(事業主体)
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福井県足羽郡美山町(平成18年2月1日以降は福井市)
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補助事業
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雪国快適環境総合整備
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補助事業の概要
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豪雪地帯において、地域の実情に即した住民主体の克雪活動とともに雪と親しむ親雪活動を総合的に推進するため、平成5年度にファミリースキー場等を整備するもの
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事業費
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136,189,690円
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上記に対する国庫補助金交付額
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53,580,000円
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不当と認める事業費
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103,211,150円
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不当と認める国庫補助金交付額
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40,786,000円
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雪国快適環境総合整備事業費補助金は、豪雪地帯において、地域の実情に即した住民主体の克雪活動を推進するために必要な施設(以下「克雪施設」という。)とともに、雪と親しむ親雪活動を推進するために必要な施設(以下「親雪施設」という。)又は冬期の健康増進、各世代間の交流を総合的に推進するのに必要な施設(以下「交流施設」という。)を整備する市町村に対して補助するもので、平成7年度までは、克雪施設とともに親雪施設又は交流施設を整備することをその補助の要件としている。
そして、福井県足羽郡美山町(18年2月1日以降は福井市)では、5年度に、同町所谷地区等5地区において克雪施設として消雪パイプ等の整備を事業費32,978,540円(国庫補助金12,794,000円)で、同町所谷地区において親雪施設としてファミリースキー場の整備を事業費103,211,150円(国庫補助金40,786,000円)で、計136,189,690円(国庫補助金計53,580,000円)でそれぞれ実施している。
本院は、福井県及び福井市において会計実地検査を行った。そして、有効性等の観点から、本件補助事業について、補助の対象となった施設が有効に使用され、補助目的を達成しているかなどに着眼して、実績報告書等の書類及び現地の状況を検査したところ、克雪施設については有効に活用されているものの、補助の要件に基づいて克雪施設とともに整備した親雪施設について、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、同町では、本件補助事業の実施に際し、昭和60年3月に策定した美山町総合振興計画において同町内にスキー場の整備を計画していたことなどから、平成5年度に雪国快適環境総合整備事業費補助金の交付を申請し、親雪施設としてのファミリースキー場(以下「スキー場」という。)の整備のために、ゲレンデ13,400m2
の造成、休憩所1棟の建設等を実施し、6年3月に整備が完了したとして実績報告書を提出していた。そして、同町では、6年度に同町の単独事業費で実施したスキー場までの道路(以下「アクセス道路」という。)の整備が6年10月に完了したことをもって、スキー場の整備が完成したとしていた。
しかし、同町では、7年1月に、スキー場を供用するためにアクセス道路の除雪を行ったが、倒木等により一部区間の除雪が行えなかったため、冬期における車両運行の安全確保の点からアクセス道路が使用できず、当該年度のスキー場の供用を断念した。そして、このアクセス道路は、適地の確保ができなかったため極めて急勾配となっており、同町では別ルートによるスキー場への道路整備を検討したものの財源的な問題から実現に至らなかったこともあり、スキー場は現在に至るまで一度も供用されていない状況となっている。
このような事態が生じていたのは、同町において、本件補助事業で自らが必要であるとして克雪施設とともに親雪施設として整備したスキー場を供用するための努力が十分でなかったこと及び同町に対する福井県の指導が十分でなかったことによると認められる。
したがって、本件補助事業において、補助の要件に基づいて整備された本件親雪施設(事業費103,211,150円)は、整備完了後一度も供用されていないことから、本件補助事業の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金40,786,000円が不当と認められる。