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  • 平成2年度|
  • 第1章 検査結果の概要|
  • 第2節 検査結果の大要|
  • 第1 事項等別の検査結果

事項別の検査結果の概要


(1) 事項別の検査結果の概要

事項別の検査結果を省庁等別にみると次表のとおりである。

事項
省庁又は団体名

不当事項

意見を表示し又は処置を要求した事項 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項
会計検査院法第34条関係 会計検査院法第36条関係
是正改善の処置を要求したもの 改善の意見を表示したもの 改善の処置を要求したもの
裁判所
7

7
総理府(防衛庁)         1 1
大蔵省 2       1 3
文部省 28         28
厚生省 123 1       124
農林水産省 8   1   1 10
通商産業省 4       1 5
運輸省 2       2 4
郵政省 29   1   1 31
労働省 5     1   6
建設省 11       1 12
住宅金融公庫 4         4
農林漁業金融公庫 7         7
日本道路公団         1 1
首都高速道路公団         1 1
住宅・都市整備公団 4   1     5
石炭鉱害事業団   1       1
日本国有鉄道清算事業団 1         1
日本私学振興財団 4         4
日本電信電話株式会社         3 3
北海道旅客鉄道株式会社 1         1
東日本旅客鉄道株式会社     1     1
東海旅客鉄道株式会社     1   1 2
九州旅客鉄道株式会社     1     1

240 2 6 1 14 263

 上記の各事項について、その概要を示すと次のとおりである。

(不当事項)

 検査の結果、「不当事項」として計240件掲記した。これを収入、支出等の別に分類し、態様別に説明すると、次のとおりである。

1 収入に関するもの (計14件 22億1580万余円)

省庁名 租税 保険料 不正行為 その他

大蔵省

1


1


2
文部省       9 9
厚生省   2     2
労働省   1     1

1 3 1 9 14

 

(1) 租税 1件 13億9086万余円

<租税の徴収が適正でなかったもの>

○大蔵省

・租税の徴収に当たり、課税資料の収集・活用が的確でなかったなどのため、徴収額に過不足があったもの

(2) 保険料 3件 6億9341万余円

<保険料の徴収が適正でなかったもの>

○厚生省

・健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、事業主からの届出に対する調査確認及び指導が十分でなかったなどのため、徴収額が不足していたもの(1件 3億4890万余円)

・船員保険の保険料の徴収に当たり、船舶所有者からの届出に対する調査確認及び指導が十分でなかったなどのため、徴収額が不足していたもの(1件 6144万余円)

○労働省

・労働保険の保険料の徴収に当たり、事業主からの申告に対する調査確認が十分でなかったため、徴収額に過不足があったもの(1件 2億8306万余円)

(3) 不正行為 1件 391万余円

<現金等が領得されたもの>

○大蔵省

・税務署の分任国税出納官吏が、現金で納付を受けた国税を領得したもの

(4) その他 9件 1億2761万余円

○文部省

・国立大学において、授業料を免除する学生の選考に当たって、経済的困窮度等の免除要件に関する判定が適切でなかったため、授業料を免除できないのに免除していたもの

2 支出に関するもの (計197件 56億7249万余円)

省庁又は団体名 予算経理 工事 保険給付 医療費 補助金 貸付金 不正行為

裁判所

7







7
文部省 1       18     19
厚生省     1 75 45     121
農林水産省         7   1 8
通商産業省         4     4
運輸省         2     2
労働省     3 1       4
建設省         11     11
住宅金融公庫           4   4
農林漁業金融公庫           7   7
住宅・都市整備公団   4           4
日本国有鉄道清算事業団   1           1
日本私学振興財団         4     4
北海道旅客鉄道株式会社   1           1

8 6 4 76 91 11 1 197

 

(1) 予算経理 8件 1億2370万余円

<旅費の経理が適正を欠いていたもの>

○裁判所

・出張日数を付増ししたり、精算の事務手続を適切に行わなかったりしていて旅費の支払が適正を欠いていたもの(7件 1973万余円)

<予算執行が会計法令に違背し適正を欠いているもの>

○文部省

・東京工業大学が施行した校舎等改修工事において工事の契約、施工及び代金の支払に係る会計処理が会計法令に違背し適正を欠いているもの (1件 1億0397万余円)

(2) 工事 6件 1億8277万余円

<予定価格の積算が適切でなかったもの>

○住宅・都市整備公団

・敷地造成工事等の施行に当たり、機械土工費等の積算を誤ったため、契約額が割高になっているもの(4件 3090万円)

<監督及び検査が適切でなかったもの>

○日本国有鉄道清算事業団

・仕業庫及び交検庫新設工事の施行に当たり、鉄骨の製作運搬工事及び建方工事の施工が設計と著しく相違していて、工事の目的を達していないもの (1件 1億4461万余円)

○北海道旅客鉄道株式会社

・駅本屋屋上の防水修繕工事の施行に当たり、下地調整樹脂モルタルを全く打設していないなど、その施工が設計と著しく相違していて、工事の目的を達していないもの(1件 726万余円)

(3) 保険給付 4件 5億4357万余円

<保険の給付が適正でなかったもの>

○厚生省

・厚生年金保険の老齢厚生年金等の支給に当たり、年金の受給権者が被保険者資格を取得した場合の届出等に対する指導及び調査確認が十分でなかったため、支給が適正に行われていなかったもの(1件 1480万余円)

○労働省

・雇用保険の失業給付金の支給決定に当たり、受給資格者からの申告等に対する調査確認が十分でなかったため、支給が適正に行われていなかったもの(1件 1億0058万余円)

・雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給決定に当たり、事業主からの申請に対する調査確認が十分でなかったため、支給が適正に行われていなかったもの(1件 3446万余円)

・雇用保険の地域雇用開発助成金の支給決定に当たり、事業主からの申請に対する調査確認が十分でなかったため、支給が適正に行われていなかったもの(1件 3億9372万余円)

(4) 医療費

76件

10億8213万余円

<医療費の支払が適切でなかったもの>

○厚生省

・看護料、診察料、注射料等の診療報酬の支払に当たり、請求に対する審査点検が十分でなかったことなどのため、医療費の支払が適切でなく、これに対する国の負担が不当と認められるもの(72件 3億3058万余円)

・被保険者等への付添看護料の支給に当たり、支給申請に対する審査が十分でなかったことなどのため、支給が適切でなく、これに対する国の負担が不当と認められるもの(3件 7億2188万余円)

○労働省

・労働者災害補償保険の療養の給付に要する診療費の支払に当たり、医療機関からの請求に対する審査が十分でなかったため、支払が適正に行われていなかったもの(1件 2966万余円)

(5) 補助金 91件 36億2506万余円

<補助事業の実施及び経理が不当なもの>

○文部省

・義務教育費国庫負担金等の算定において、教職員の標準定数を過大に算定したり、諸手当について国家公務員の例に準じて定められたところによることなく算定したりしていたなどのため、負担金等が過大に交付されていたもの(10件 2億5397万余円)

・高等学校定時制及通信教育振興奨励費補助金の算定において、補助の対象とは認められない修学奨励費の貸与金額を含めていたため、補助金が過大に交付されていたもの(2件 2455万余円)

・公立小学校校舎増築事業等において、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたり、補助種目の適用を誤っていたりしていたもの(6件 4297万余円)

○厚生省

・医療施設運営費等補助金の算定において、診療収入額を実際の額より過小にするなどしていたため、補助対象事業費が過大に精算されていたもの(1件683万余円)

・生活保護費負担金の算定において、保護を受ける世帯における就労収入等の額を過小に認定したり、遺産相続に伴う保護費の返還金の額を過小に決定したりしていたため、負担金が過大に交付されていたもの(7件 3883万余円)

・老人福祉施設保護費負担金の算定において、老人やその扶養義務者からの徴収金の額を過小に算定していたため、国庫負担対象事業費が過大に精算されていたもの(5件 682万余円)

・児童保護費等負担金の算定において、児童の扶養義務者からの徴収金の額を過小に算定していたため、国庫負担対象事業費が過大に精算されていたもの(23件 2356万余円)

・国民健康保険の財政調整交付金の交付先において、交付額の算定の基礎となる保険料の収納割合を事実と相違した高い割合で交付申請を行っていたこと及びこれに対する道府県の審査が十分でなかったことなどのため、交付金が過大に交付されていたもの(9件 30億4588万余円)

○農林水産省

・補助事業で設置した多目的研修集会施設を補助の目的外に使用させているもの(1件 1915万余円)

・広域営農団地農道整備事業の実施に当たり、施工が設計と相違していたため、橋りょう上部工が不安定な状態になっているもの(1件 783万余円)

・家畜ふん尿を処理して利用する施設等の整備に当たり、実績報告が適正になされていなかったため、国庫補助対象事業費の精算が過大となっているもの(1件 483万余円)

・補助事業で設置した花き集出荷用建物を補助の目的外に使用しているもの(1件 363万余円)

・事業主体が既に自費で施行していて補助の対象にならないコンクリート擁壁工事を補助の対象としていたもの(1件 160万円)

・ナマコの増殖場造成事業の実施に当たり、諸経費の積算が過大となっていたため、工事費が割高となっているもの(2件 368万余円)

○通商産業省

・補助金を原資とする中小企業設備近代化資金の貸付けにおいて、設備を貸付対象事業費より低額で設置していて補助の目的に沿わない結果になっていたもの(4件 819万円)

○運輸省

・地下高速鉄道建設事業の実施に当たり、補助の対象とならない土地取得費を補助対象としているもの(1件 353万余円)

・港湾改修事業の実施に当たり、施工計画等が適切でなかったため岸壁の舗装等が沈下するなどしているもの(1件 380万余円)

○建設省

・公共下水道事業の実施に当たり、設計及び施工が適切でなかったため橋りょう上部工が不安定な状態になっているもの(1件 313万余円)

・道路橋の災害復旧等事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため橋台等が不安定な状態になっているもの(1件 570万余円)

・河川改修事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため橋台等が不安定な状態になっているもの(1件 1119万余円)

・緊急地方道路整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため橋台等が不安定な状態になっているもの(1件 1215万余円)

・土地区画整理事業の実施に当たり、建物等の移転補償費の算定が適切でなかったため、事業費が過大になっているもの(1件 1100万余円)

・緊急地方道路整備事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため擁壁が不安定な状態になっているもの(1件 903万余円)

・急傾斜地崩壊対策事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため擁壁等が不安定な状態になっているもの(1件 938万余円)

・道路改良事業の実施に当たり、設計が適切でなかったためボックスカルバートが不安定な状態になっているもの(2件 1876万余円)

・緊急地方道路整備事業の実施に当たり、土工の設計が過大となっていたため、工事費が不経済になっているもの(1件 118万余円)

・河川改修事業の実施に当たり、設計が適切でなかったため樋管の胸壁が不安定な状態になっているもの(1件 127万余円)

○日本私学振興財団

・私立大学等経常費補助金の交付に当たり、補助金の額の算定の対象とはならない教職員を含めるなどした資料に基づいて補助金の額を算定したため、交付額が過大になっていたもの(4件 4249万余円)

(6) 貸付金

11件

1億1212万余円

<貸付金の経理が不当なもの>

○住宅金融公庫

・団地住宅購入資金、マンション購入資金及び一般賃貸住宅次年度以降用地資金の貸付けにおいて、資金が二重に又は過大に貸し付けられていたり、住宅が目的外に使用されていたりしていたもの(4件 6070万円)

○農林漁業金融公庫

・総合施設資金等の貸付けにおいて、貸付金額を過大に算定していたものなど(7件 5142万余円)

(7) 不正行為

1件

309万余円

<現金等が領得されたもの>

○農林水産省

・資金前渡官吏の補助者が債権者への支払に充てる小切手を現金化して領得したもの(1件 309万余円)

3 収入支出以外のもの (計29件 5億5196万余円)

省庁名 不正行為

郵政省


29

不正行為 29件 5億5196万余円

<現金等が領得されたもの>

○郵政省

・郵便局の出納官吏、出納員等が、郵便貯金の預入金、簡易生命保険の保険料等を領得したもの(29件 5億5196万余円)

(意見を表示し又は処置を要求した事項)

「意見を表示し又は処置を要求した事項」として計9件掲記した。

1 会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した事項

2件


○厚生省

・付添看護に係る看護料の支給について

厚生省では、医療給付のうち、入院患者が医療機関の外部から看護補助者を求めて付添看護を受けた場合に支給する付添看護料について、1人の看護補助者が担当する患者数は3人までとし、その数が多いほど患者1人当たりの支給額を低く定めている。しかし、付添看護の形態等について調査したところ、同一の看護補助者が、4人以上の入院患者を担当していたり、2人の入院患者を担当したとする支給申請よりも多い3人の患者を担当していたりなどしている事態が見受けられた。このような事態が生じているのは、病院が介護職員を十分確保しないまま多数の患者の看護を外部の看護補助者に行わせていること、その審査が的確に行われていなかったことなどによると認められた。したがって、同省は、医療機関に対し介護職員等の確保に関する指導を強化するとともに、付添看護料の支給に係る審査方法等を整備して、付添看護の適正な運用について指導するなどして医療費の節減を図る要がある。

○石炭鉱害事業団

・鉱害復旧のための暗きょ排水工事の施行について

石炭鉱害事業団では、湧水鉱害地区において、廃坑の崩壊等による地盤の沈下、湿潤化により耕作に支障を来している農地を回復するために、まず農地のかさ上げ工事を実施し、1、2年経過後に暗きょ排水工事を実施している。しかし、農地の形状を変えずにかさ上げ工事をする場合は現状の地盤を乱さずに行われるものであることから、両工事を同時施行しても支障はなく、同時施行していれば暗きょ排水工事における表土のはぎ取り、覆土等に必要な経費及び農業休止補償額は低減できたと認められる。したがって、同事業団は、両工事を同時に施行するよう計画、設計等の基準を整備する要がある。

2 会計検査院法第36条の規定によるもの

(ア) 改善の意見を表示した事項

○農林水産省

・市街化区域内に所在する国有農地等の有効な利活用を図るための処分の促進について

農林水産省では、昭和21年度以降、自作農創設等のために土地等の買収、管理及び処分を行っているが、国有農地等として管理しているものの中には市街化区域内にあって、〔1〕 小作人への売渡しを保留し、農耕地として貸し付けているもの、〔2〕 戦後の特殊事情により宅地等として貸し付けているものなどがある。しかし、〔1〕 については、家庭菜園程度にしか利用されていない事態が、〔2〕 については、もはや自作農の創設としての目的には供しないのに長期間転用貸付けを継続している事態が見受けられた。したがって、同省は、近年の都市周辺の宅地不足等による土地の有効利活用に関する社会的要請を踏まえ、国有農地等の現況を調査した上、現行制度上の課題を検討して国有農地の処分を促進するための処置等について検討する要がある。

○郵政省

・第三種郵便物制度の運用について

郵政省では、国民文化の普及向上に貢献すると認められる新聞、雑誌等の定期刊行物の郵送料を低廉にして社会・文化の発展に資するという趣旨から第三種郵便物制度を設けている。しかし、この制度の趣旨に沿わない定期刊行物が見受けられたので調査したところ、商品の販売等を主たる目的としているもの、全体の印刷部分に占める広告部分の割合が大きいものなど第三種郵便物としての法定条件に関して疑義のあるものが相当数見受けられた。したがって、同省は、第三種郵便物の認可後の監査体制を見直すなどの方策を講じ、適切な制度の運用を期する要がある。

○住宅・都市整備公団

・住宅団地内に施設用地として保有している土地の利用について

住宅・都市整備公団では、住宅団地を建設する場合、地方公共団体の長と協議の上策定した建設計画に基づいて医療施設、教育施設等の利便施設を居住者のために配置することとしており、そのための施設用地を確保することとしている。しかし、住宅建設が長期に及んでいる間に、周辺環境が変化したことなどにより、利便施設の需要が滅少し当該用地が長期間さら地のままとなっていて適切でない事態が見受けられた。したがって、公団は、住宅に対する国民のニーズを踏まえて、当該用地を住宅用地、駐車場等として利用する可能性を検討し、もって投下した多額の事業費の効果の発現を図る要がある。

○東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社

・直営店舗事業の収支及び管理について

東日本、東海、九州各旅客鉄道株式会社では、駅施設、人材等の経営資源を最大限活用することにより収入を確保し、安定的かつ健全な経営基盤を確立することを目的として、駅構内において物品販売、飲食等の店舗を直接経営する直営店舗事業を展開している。しかし、各会社では、この事業全体の収支を把握するのに必要な収支管理を行っていなかったのでその収支状況を調査したところ、大多数の店舗において、売上原価、人件費、業務費等の費用が売上収入を大幅に上回っている状況になっていた。したがって、各会社では、直営店舗の収支状況を的確に把握した上で、収益性の向上に必要な具体的対策を講じ、収支改善を図るとともに、今後新たに店舗を設置するに当たっても適切な設置及び管理を図る要がある。

(イ) 改善の処置を要求した事項

○労働省

・労働者災害補償保険の費用徴収制度の適切な実施について

労働省では、労働者災害補償保険において、労災事故発生前に故意又は重大な過失により加入手続をとっていなかった事業主については、保険給付に要する費用の全部又は一部を徴収することとする費用徴収制度を設けている。しかし、同省において、費用徴収制度の運用について実態を十分に把握していないなどのため、保険給付を行った労災事故のうち事故発生後に加入手続がとられたもので同制度の費用徴収が行われているものはほとんどない状況となっていた。したがって、同省は、事業を開始したときから加入手続をとって保険料を納付している事業主との間の負担の公平を確保することなどを目的として設けられた費用徴収制度を、労働者災害補償保険法の趣旨に沿って適切に実施するよう所要の措置を講ずる要がある。

(本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項)

「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」として計14件掲記した。

○総理府(防衛庁)

・防音工事により設置された設備を維持するための補助事業について

自衛隊等の航空機による騒音防止のために小中学校に設置された換気設備の電気料金等を補助する事業において、飛行場の運用形態の変更により騒音が低減したため、設備が使用されていなかったり使用時間が著しく減少していたりしているのに、使用実績に基づいた補助金の交付が行われていなかった。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

○大蔵省

・国税の還付に当たって支払われる還付加算金の課税について

国税を還付する際に併せて支払われる還付加算金は、雑所得として課税の対象となるのに、納税者に対する広報が十分でなく、また、税務署において課税資料を十分に活用していなかったため、還付加算金について申告がなく、これに対する課税がされていない事態が多数見受けられた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

○農林水産省

・国産材産業振興資金の貸付けについて

国産材の生産を担う事業者等に対する国産材産業振興資金の貸付けにおいて、都道府県の審査が十分でなかったことなどのため、借入者が国産材を取り扱っていなかったり、必要な資金の額を過大に算定し貸付けを受けていたりなどしていて、適切とは認められない事態が多数見受けられた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

○通商産業省

・中小企業設備近代化資金貸付事業における余裕金の運用について

都道府県が特別会計で行っている設備近代化資金貸付事業の経理において、発生した余裕金は他会計の余裕金とともに高い利回りで運用されているが、その運用益は、適正な額を特別会計に計上して本件事業の貸付財源等に充てるべきなのに一部しか計上せず、都道府県の一般会計に計上していた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

○運輸省

・防波堤築造工事等におけるケーソン製作費の積算について

防波堤築造工事等において、フローティングドックで製作するケーソン1層ごとの施工高を適切に設定していなかったためケーソン製作費の積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

・航空機騒音対策における貸付金について

運輸省において、航空機騒音のため移転する借家人のために空港周辺整備機構が国から貸付金の貸付けを受けて建設した共同住宅が譲渡されているのに、これに係る貸付金が貸し付けられたままとなっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

○郵政省

・郵便局における現金準備額について

各地域の郵便局の資金運転の拠点となっている郵便局において、1営業日当たりの現金準備額が現金支払額を大幅に上回っていて、効率的な資金運転が行われていなかった。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

○建設省

・公営住宅の建替事業の実施について

公営住宅の建替事業において、入居者資格についての基準が明確でなかったなどのため、第一種公営住宅の従前入居者であり、かつ、第二種公営住宅の収入基準を超えている者が入居する住宅を、補助率の高い第二種公営住宅として補助金を交付しており、補助金が過大に交付されていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

○日本道路公団

・トンネル工事における掘削費等の積算について

掘削延長の長いトンネル工事において、掘削費等の積算が、近年開発され普及している大型の掘削機械を用いた効率的な作業の実態に適合していなかったため積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

○首都高速道路公団

・情報板等の製造及び設置工事における一般管理費等の積算について

高速道路の交通状況を表示する情報板等の製造業者が、これら設備を工場で製造し所定の現場に設置する工事において、製品費に係る一般管理費等が重複して積算するよう定められていたため積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

○日本電信電話株式会社

・アナログ交換機に対する固定資産税の負担について

設備の更新に伴い廃棄することとなったアナログ交換機を適切な時期に固定資産から除却すれば、固定資産税が賦課されないようになる。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

・電話帳の作成に利用するコンピュータヘの入力方法について

電話帳編集システムによる加入電話等のデータの異動更新処理に当たり、電話帳に加入者の住所を完全に掲載するのに必要なデータの入力が十分でなく、再び入力作業が必要となる事態を招くこととなっていた。 これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

・テレホンカードの販売管理体制について

テレホンカードの委託販売において、販売管理が適切に行われているかどうかの審査及び指導が十分でなかったため、販売代金の回収未済額が累増し、その回収が困難な状況となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。

○東海旅客鉄道株式会社

・新幹線軌道工事における道床交換費及び枕木(まくらぎ)交換費の積算について

新幹線軌道工事において、道床交換費及び枕木交換費の積算方法が人力施工を前提としたものとなっていて、機械を使用した施工の実態を反映していなかったため積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。