ページトップ
  • 昭和52年度|
  • 第2章 検査結果の概要

不当事項等の概要


第2節 不当事項等の概要

 検査の結果について、「不当事項」、「意見を表示し又は処置を要求した事項」、「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」及び「特に掲記を要すると認めた事項」の各事項に区分して、その概要を示すと次のとおりである。

(不当事項)

 検査の結果、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項を「不当事項」として、計93件を掲記した。これを態様別に説明すると、次のとおりである。

1 収入に関するもの(計3件 13億3695万余円)

所管名

租税 保険

大蔵省

1


1
厚生省   2 2

1 2 3

(1) 租税 1件 11億8656万余円

○大蔵省

・租税を徴収するに当たって、当局が課税資料の収集や活用を適確にしていなかったり、法令適用の検討が十分でなかったり、納税者から提出された申告書に記載されている所得金額や税額の計算が誤っていたのにこれを見過したりするなど調査が十分でなかったことによって、徴収額に過不足を生じたもの

(2) 保険 2件 1億5039万余円

○厚生省

・健康保険、厚生年金保険及び船員保険の保険料を徴収するに当たって、保険料算定の基礎となる被保険者の報酬についての調査が十分でなかったなどのため徴収額に不足を生じたもの

2 支出に関するもの(計79件 49億1704万余円)

所管等名 工事 物件 役務 保険 補助金 貸付金 不正
行為

総理府(環境庁)

1
 件
1
総理府(国土庁)         3     3
文部省   1     5     6
厚生省         4     4
農林省   1     29     30
通商産業省         2     2
労働省       2     1 3
建設省 1       14 3   18
日本国有鉄道 2   2         4
日本電信電話公社     1         1
日本住宅公団 1             1
畜産振興事業団         1     1
宇宙開発事業団     1         1
日本中央競馬会     1         1
日本私学振興財団         3     3

5 2 5 2 61 3 1 79

( 1) 工事 5件 2億5823万余円

<予定価格の積算が適切でなかったもの>

○建設省

・宿舎建築工事の施行に当たり、外部足場費等の積算を誤ったため、契約額が割高になったもの

○日本国有鉄道

・盛土工事の施行に当たり、土工機械の機種の選定等が適切でなかったため、契約額が割高になったもの

<監督、検査が適切でなかったもの>

○総理府(環境庁)

・西表国立公園における植栽工の監督、検査及び事後管理が適切でなかったもの

○日本国有鉄道

・法(のり)面改良工事の施行に当たり、場所打ち鉄筋コンクリート格子枠(わく)を設計と相違して施工したもの

○日本住宅公団

・住宅建築工事の施行に当たり、基礎ぐいの施工が設計と相違しているもの

( 2) 物件 2件 35億2062万余円

<契約処置が適切でなかったもの>

○農林省

・シート等の購入価額が著しく高価となっているもの

<国有財産が遊休しているもの>

○文部省

・移転統合のため購入した用地が、校舎等諸施設の建設の目途も立たないまま遊休しているもの

( 3) 役務 5件 4607万余円

<計画が適切でなかったもの>

○日本国有鉄道

・携帯用燈器に用いる蓄電池の充電について、充電器を配備して充電する方法を考慮しないで外注したため、不経済になったもの

<予定価格の積算が適切でなかったもの>

○日本電信電話公社

・プッシュ式ボタン電話装置の修理に当たり、修理に要する作業時間の算定が適切でなかったため、契約額が割高になったもの

<契約処置が適切でなかったもの>

○宇宙開発事業団

・電気需給契約の契約電力の決定が適切でなかったため、電気料金が不経済に支払われているもの

○日本中央競馬会

・電力の使用実績が契約電力を著しく下回っているのに、契約電力変更の処置をとらなかったため、電気料金が不経済に支払われていたもの

<監督、検査が適切でなかったもの>

○日本国有鉄道

・車両清掃作業料金の支払に当たり、昼夜間作業の区分を誤ったため、支払額が過大となったもの

( 4) 保険 2件 1億6835万余円

○労働省

・雇用保険の失業給付金及び雇用調整給付金の支給に当たって、支給の原因となる事実についての調査が十分でなかったため、支給が適正に行われていなかったもの

( 5) 補助金 61件 5億8819万余円

○総理府(国土庁)

・小笠原諸島の復興事業として施行した砂防えん堤及び小中学校体育館の新設工事において、コンクリート費の積算が適切でなかったもの

○文部省

・学校給食施設整備事業において、補助の対象から除外すべきものを含めていたもの、また、公立小中学校の校舎や屋内運動場増改築事業において、補助の対象から除外すべきものを含めていたもの、補助事業の種目を誤って適用していたものなど

○厚生省

・上水道の災害復旧、廃棄物理立処分地の築造及び簡易水道の新設の各工事において、工事の施工が設計と相違していたもの

・看護婦等貸費生貸与補助金に係る補助対象事業費の精算が過大となっていたもの

○農林省

・土地改良、農道、林道の整備及び災害復旧等の公共事業において、工事の設計又は工事費の積算が適切でなかったもの、工事の施工が設計と相違していたもの、及び補助の目的を達していなかったもの

・農業就業改善総合対策事業等において、計画が適切でなかったもの、補助の対象とは認められないものを補助事業に含めていたもの、補助の目的を達していなかったものなど

○通商産業省

・中小企業設備近代化資金の貸付けが適切でなく、補助の目的に沿わない結果になっていたもの

○建設省

・道路、下水道施設、公営住宅等の新設、改良及び災害復旧の公共事業において、工事の設計又は工事費の積算が適切でなかったもの、及び工事の施工が設計と相違していたもの

○畜産振興事業団

・畜産経営改善資金の融資に係る利子補給事業費補助金の交付に当たり、利子補給の対象にすべきでないものに利子補給をしていたもの

○日本私学振興財団

・私立大学等経常費補助金の交付に当たり、経理が著しく適正を欠いていて補助金交付の対象とならない学校法人に交付していたもの、経常的収入となる寄附金を考慮しないで補助金額を算定し交付していたものなど

( 6) 貸付金 3件 3億1957万余円

○建設省

・地方公共団体に対する都市開発資金の貸付け後の管理が適切でなかったため、貸付けの目的に適合しない結果になっているもの

( 7) 不正行為 1件 1599万余円

○労働省

・障害補償一時金及び障害特別支給金の国庫金振込明細票の作成事務等に従事していた職員が、国庫金振込明細票をすり替えるなどして、歳出金を領得したもの

3 収入、支出以外のもの(11件 1億9972万余円)

所管名 物件 不正行為


文部省

1


1
郵政省   10 10

1 10 11

( 1) 物件 1件 876万余円

 

<施設等の管理が適切でなかったもの>

○文部省

・施設等の管理が適切でなく、かつ、国有財産及び物品が損害を受けたもの

( 2) 不正行為 10件 1億9096万余円

○郵政省

・郵便局の出納官吏又は出納員が、窓口における現金の受払事務等に従事中、貸付証書等を偽造してその取扱いに係る貸付金を領得したもの、外務員から預かった貸付弁済金等の払込みをしないで領得したもの、家族等の郵便貯金通帳を利用して当座預金の裏付けのない小切手による架空の入金操作をし、これを払いもどして領得したものなど、また、局外における集金事務等に従事中、その取扱いに係る現金を領得したもの

(意見を表示し又は処置を要求した事項)

 会計検査院法第34条又は第36条の規定により、昭和53年中に関係大臣等に対して意見を表示し又は処置を要求した事項を「意見を表示し又は処置を要求した事項」として、計10件を掲記した。

1 会計検査院法第34条の規定によるもの (8件)

○総理府(国土庁)

・地籍調査事業の実施に関するもの

○文部省

・東京大学医学部附属病院精神神経科の管理運営に関するもの

○農林水産省

・管水路等の建設に伴う地上権の設定に関するもの

・農業近代化資金利子補給補助金の経理に関するもの

○労働省

・失業給付金の不正受給金返納金債権に係る延滞金債権の取扱いに関するもの

○日本電信電話公社

・可搬形交換装置設置のための敷地造成及び基礎台工事の工事費の積算に関するもの

○日本道路公団

・高速道路新設工事における土工工事費の積算に関するもの

○中小企業振興事業団

・中小企業高度化資金の貸付けの適正化に関するもの

2 会計検査院法第36条の規定によるもの (2件)

○農林水産省

・水田買入事業の実施及び一時貸付水田に係る水田総合利用奨励補助金の交付に関するもの

○郵政省

・郵便局における窓口職員の責任に関するもの

(本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項)

 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項として、計11件を掲記した。

○総理府(防衛庁)

・P−2J航空機用燃料セルの仕様に関するもの

・C−1航空機用メインタイヤの所要量の算定に関するもの

○文部省

・合板型わく費等の積算に関するもの

○厚生省

・外国製医療機器の購入契約に関するもの 

○建設省

・下水道工事における開削工法による管きょ布設工事の埋めもどし工費の積算に関するもの

○日本専売公社

・建築工事における鉄骨の工場加工費等の積算に関するもの 

○日本国有鉄道

・東北新幹線高架橋工事における排水設備の設計及び鉄筋加工組立費の積算に関するもの

○日本電信電話公社

・とう道工事における材料費の積算に関するもの 

○日本住宅公団

・学校等の用地に対する固定資産税等の負担に関するもの 

○日本道路公団

・舗装工事における下層路盤工費の積算に関するもの

○日本鉄道建設公団

・上越新幹線高架橋工事における鉄筋加工組立費の積算等に関するもの

(特に掲記を要すると認めた事項)

 以上の不当事項、意見を表示し又は処置を要求した事項、及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項のほか、事業効果等の見地から問題を提起して事態の進展を図り、又は今後の事業運営、経理執行等の参考に資するため、特に掲記を要すると認めた事項として、計6件を掲記した。

○農林水産省

・国営静清庵かんがい排水事業ほか2事業の施行に関するもの

○建設省

・大滝ダム及び川辺川ダムの建設に関するもの

○日本専売公社

・葉たばこの生産及び調達に関するもの

○日本専売公社・日本国有鉄道・日本電信電話公社

・3公社の直営病院の運営に関するもの

○日本国有鉄道

・経営改善に係る投資設備等の建設状況、か働状況及び投資の効果に関するもの

○年金福祉事業団

・大規模年金保養基地の建設計画に関するもの