事項別の検査結果を省庁等別にみると次表のとおりである。
事項
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省庁又は団体名
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不当事項 | 意見を表示し又は処置を要求した事項 | 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項 | 計 | |
会計検査院法第36条関係 | |||||
改善の意見を表示したもの | 改善の処置を要求したもの | ||||
総理府(防衛庁) |
件 |
件 |
件 |
件 1 |
件 1 |
同(経済企画庁) | 1 | 1 | |||
法務省 | 1 | 1 | |||
大蔵省 | 1 | 1 | |||
文部省 | 36 | 2 | 38 | ||
厚生省 | 108 | 3 | 111 | ||
農林水産省 | 13 | 1 | 2 | 16 | |
通商産業省 | 4 | 4 | |||
運輸省 | 2 | 1 | 3 | ||
郵政省 | 38 | 38 | |||
労働省 | 5 | 1 | 1 | 7 | |
建設省 | 9 | 2 | 11 | ||
自治省 | 1 | 1 | |||
住宅金融公庫 | 3 | 3 | |||
農林漁業金融公庫 | 2 | 2 | |||
日本道路公団 | 2 | 2 | |||
首都高速道路公団 | 1 | 1 | |||
阪神高速道路公団 | 1 | 1 | |||
住宅・都市整備公団 | 2 | 2 | |||
労働福祉事業団 | 4 | 4 | |||
畜産振興事業団 | 2 | 2 | |||
環境事業団 | 2 | 2 | |||
日本育英会 | 1 | 1 | |||
電源開発株式会社 | 1 | 1 | |||
奄美群島振興開発基金 | 1 | 1 | |||
日本私学振興財団 | 6 | 6 | |||
国際交流基金 | 1 | 1 | |||
日本電信電話株式会社 | 3 | 3 | |||
西日本旅客鉄道株式会社 | 1 | 1 | |||
九州旅客鉄道株式会社 | 1 | 1 | |||
東京湾横断道路株式会社 | 1 | 1 | |||
エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社 | 1 | 1 | |||
農業者年金基金 | 1 | 1 | |||
計 |
238 | 2 | 1 | 29 | 270 |
上記の各事項のほかに「特に掲記を要すると認めた事項」が2件あり、それら事項の概要を示すと次のとおりである。
検査の結果、「不当事項」として計238件(指摘金額226億7877万余円)掲記した。これを収入、支出等の別に分類し、態様別に説明すると、次のとおりである。
省庁又は団体名 | 租税 | 保険料 | 医療費 | 計 |
大蔵省 |
件 1 |
件 | 件 | 件 1 |
文部省 | 29 | 29 | ||
厚生省 | 1 | 1 | ||
労働省 | 1 | 1 | ||
労働福祉事業団 | 4 | 4 | ||
計 |
1 | 2 | 33 | 36 |
(1) 租税 | 1件 | 13億4092万余円 |
○大蔵省
・租税の徴収に当たり、納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤っているのに、課税資料の収集・活用が的確でなかったなどして、これを見過ごしていたため、納税者468人からの徴収額に過不足があったもの
(2) 保険料 | 2件 | 160億7103万余円 |
○厚生省
○労働省
(3) 医療費 | 33件 | 4億6052万余円 |
○文部省
○労働福祉事業団
省庁又は団体名 | 保険給付 | 医療費 | 補助金 | 貸付金 | その他 | 計 |
文部省 |
件 |
件 |
件 7 |
件 |
件 |
件 7 |
厚生省 | 1 | 1 | 105 | 107 | ||
農林水産省 | 7 | 6 | 13 | |||
通商産業省 | 4 | 4 | ||||
運輸省 | 2 | 2 | ||||
労働省 | 3 | 1 | 4 | |||
建設省 |
9 | 9 | ||||
住宅金融公庫 | 3 | 3 | ||||
農林漁業金融公庫 | 2 | 2 | ||||
畜産振興事業団 | 2 | 2 | ||||
環境事業団 | 2 | 2 | ||||
奄美群島振興開発基金 | 1 | 1 | ||||
日本私学振興財団 | 6 | 6 | ||||
東京湾横断道路株式会社 | 1 | 1 | ||||
農業者年金基金 | 1 | 1 | ||||
計 |
5 | 2 | 142 | 14 | 1 | 164 |
(1) 保険給付 | 5件 | 17億4611万余円 |
○厚生省
○労働省
○農業者年金基金
(2) 医療費 | 2件 | 4億6782万余円 |
○厚生省
○労働省
(3) 補助金 | 142件 | 15億1208万余円 |
○文部省
○厚生省
・児童保護費等負担金の算定において、児童の扶養義務者の所得税額等を誤認するなどして徴収金の額を過小に算定していたため、国庫負担対象事業費が過大に精算されていたもの(23件2449万余円)
○農林水産省
・新農業構造改善事業で設置された運動広場施設の敷地の一部が工場用地として売却され、これに伴い、同施設が県に無断で処分されていて、補助の目的に沿わない結果になっていたもの(1件599万余円)
○通商産業省
○運輸省
○建設省
・道路災害復旧事業の実施に当たり、法枠のアンカー工の削孔費を積算する際に、誤ってコンピュータに過大な削孔延長の数値を入力するなどしたため、工事費が割高となっているもの(1件443万余円)
○畜産振興事業団
○日本私学振興財団
(4) 貸付金 | 14件 | 1億6370万余円 |
○農林水産省
○住宅金融公庫
○農林漁業金融公庫
○環境事業団
○奄美群島振興開発基金
・水産業振興資金の貸付けにおいて、貸付の対象となった漁船が漁業以外の用途に使用されていて、貸付けの目的に沿わない結果になっていたもの(1件2200万円)
(5) その他 | 1件 | 2014万余円 |
○東京湾横断道路株式会社
省庁名 |
不正行為 |
郵政省 |
件 |
不正行為 | 38件 | 8億9639万余円 |
○郵政省
・郵便局の出納員等28名が、契約者から受領した保険料、預金者から受領した定額郵便貯金預入金、不正に払出しを受けた保険の解約還付金等を領得したもの
「意見を表示し又は処置を要求した事項」として計3件掲記した。
2件
○労働省
労働省では、継続雇用を推進し高年齢者の雇用の確保を図るため、定年の引上げ等により高年齢者の雇用を延長して、61歳以上の年齢まで継続雇用する制度を導入する事業主に対して継続雇用制度導入奨励金を支給している。これについて調査したところ、393事業主において、継続雇用期間経過前に雇用延長見込労働者が全員離職し、しかも、その大半の者が早期に離職しており、高年齢者の継続雇用が推進されておらず、奨励金支給の効果が十分発現していない事態が見受けられた。したがって、同省は、奨励金支給後の高年齢者の継続雇用の状況を奨励金の支給額に反映させるようにするとともに、その継続雇用の状況を的確に確認する措置を講ずるなどして、奨励金の支給を効果的に行う要がある。
背景金額 | 20億2200万円 |
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効果が十分発現していない奨励金の支給額 |
○日本育英会
日本育英会では、優れた学生及び生徒であって経済的理由により修学が困難な者に対する奨学金の貸付け、回収等の育英奨学事業を行っている。この奨学金の原資は、奨学金の貸与を受けた者からの回収金、一般会計及び資金運用部資金からの借入金等となっている。奨学金の回収状況を調査したところ、回収すべき奨学金に多額の滞納が生じていた。そして、既に生じている滞納については徐々に回収が進んでいるものの、毎年これを上回る新たな滞納が生じていて、滞納額が累増し、また、滞納期間も長期化している。したがって、同会は、奨学生等に対して返還意識の向上を図るとともに、口座振替払を強力に推進するなどして、滞納の防止、解消を図ることにより資金を効率的に運用し、もって育英奨学事業の適切な運営に努め、国の負担の増大を抑制する要がある。
背景金額 | 200億余円 |
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平成7年度末の奨学金の滞納額 |
1件
○農林水産省
・漁港整備事業により造成した漁港施設用地等の利用及び管理について
水産庁では、防波堤、岸壁、泊地等の施設や荷さばき所、野積場等の敷地である漁港施設用地等の整備を行う漁港整備事業を補助事業等により実施している。これについて調査したところ、補助事業で整備された漁港施設用地が長期間にわたり利用されていなかったり、民間会社等に占用されていたりなどしていて、事業の効果が十分発現していなかったり、補助の目的を達していなかったりしているものが185漁港において見受けられた。また、漁港区域内に無断でプレジャーボート等が係留されるなどしていて、漁港の管理が適切でないものが18漁港において見受けられた。したがって、同庁は、漁港管理者である地方公共団体による漁港施設用地の利用計画の策定に当たり、漁業協同組合等の事業主体等における用地の利用実態を確認し審査する体制を整備するとともに、漁港の管理・使用状況を的確に把握し、漁港管理者を指導する体制を整備するなどして、漁港施設用地等が事業の目的に沿って適正に利活用され、事業効果の発現が図られるよう処置を講ずる要がある。
背景金額 | 11億0828万余円 |
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利用計画に沿って利用されていないなどの漁港施設用地に係る国庫補助金相当額 |
「本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項」として計29件(指摘金額 59億8810万余円)掲記した。
○総理府(防衛庁)
・航空自衛隊のレーダー基地等の光伝送装置に使用する光ファイバケーブルの費用の積算について
レーダー基地等の光伝送装置の製造請負契約において、装置に使用する光ファイバケーブルに、光ケーブルメーカーの製品のうち、経済的なテープ形の光ファイバ心線を用いたものを使用しても支障がないのに、装置の製造会社が自ら心線を製造し加工会社が加工して製造するものとして費用を積算していたため、積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 3900万円)
○総理府(経済企画庁)
・景気動向調査委託契約における法人企業動向調査に要する経費の積算について
法人企業動向調査の実施に当たり、調査対象法人の担当者が統計調査に習熟していることなどから、調査員が調査票を配布、回収する方法で調査しなくても特段の支障はなく、実際にほとんどの法人について郵送により調査が行われていたのに、この実態が積算に反映されていなかったため、16都道府県に対する委託費が割高となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 3570万円)
○法務省
矯正施設の下水道料金の支払に当たり、蒸気ボイラー設備等に給水された水の相当量が蒸発するなどしているのに、関係地方公共団体に対して減水量の申告を行っていなかったため、水道水等の使用量をそのまま汚水排出量と認定されるなどしていて、15施設で下水道料金が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 1110万円)
○文部省
補助事業で行う小中学校クラブハウス整備事業において、地域住民の利用のニーズや近隣の同種施設等の状況を的確に把握していなかったり、運営体制の整備等利用を促進するための方策を十分講じていなかったりしたため、109箇所のクラブハウスの利用が極めて低調となっているなど、事業の効果が十分発現していなかった。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 10億9203万余円)
国立大学附属病院において、都道府県知事に届け出た数以上に、重症者の療養に適した病床を整備したり、看護要員を配置したりしているのに、届出を見直していなかったなどのため、重症者療養環境特別加算や看護料を適切に算定することができず、8大学病院で診療報酬請求額が過小になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 7130万円)
○厚生省
・特別養護老人ホーム等の医師の人件費の算定及び入院患者日用品費の支給等について
老人福祉施設保護事業において、老人ホームに対する指導や審査等が十分でなかったなどのため、6都府県で、12老人ホームに配置された医師の勤務実態等が非常勤であるのに常勤の単価により医師の人件費が過大に支弁されていた。また、26都道府県で、老人ホームに入所している老人が病院等に入院した場合に支給する入院患者日用品費が老人延べ11,485人に対し支給されていなかったり、老人延べ13,179人に対する入院患者日用品費の経理処理が適切に行われていなかったりしていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 6845万余円)
背景金額 | 1億5719万余円 |
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不適切な経理処理をしていた入院患者日用品費に係る国庫負担額 |
国民健康保険の療養給付費負担金の交付に当たり、51市町において、年金受給権者一覧表を有効に活用せず、退職者医療制度の対象者を把握していなかったり、退職被保険者への資格異動の処理が的確でなかったりしたため、一般被保険者のままでいた同制度の対象者に係る負担金が過大に交付されていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 12億7524万余円)
厚生省で定めた届出書の様式が、医師等の標準人員に対する充足状況を的確に把握できるものとなっていなかったなどのため、19病院において、医師の数が標準人員を満たしていないのに、療養環境加算等の診療報酬を算定し請求しており、医療費が不適正に支払われていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 5195万余円)
○農林水産省
・加工原料用果実価格安定対策事業における平均取引価格の算定について
果実価格が下落した場合に生産者に補給金を交付する加工原料用果実価格安定対策事業において、補給金の交付単価の基となる平均取引価格は、生産者の手取りとなる奨励金等を含めて算定することとなっているのに、その趣旨についての理解が十分でなかったなどのため、これらを含めておらず、9県の事業実施主体において補給金が過大に交付されていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 2億3218万余円)
・政府米の運送に使用するパレットに係る費用の算定方法について
政府米の運送契約において、輸送に使用するパレットの回送作業の実態が変化し、経由するとしていたパレット集約倉庫を経由せずに出発地の政府米倉庫に回送されているなど、実際は実施されていない作業があるのに、この実態を把握していなかったため、12食糧事務所でパレット回送料等の費用が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 2億0685万円)
○運輸省
港湾整備事業により整備した公共マリーナ等において、利用を促進するための広報活動等が十分でなかったなどのため、プレジャーボートが係留・保管されていない保管スペースがある一方、港湾区域等に放置艇が見受けられ、7道府県における8箇所の公共マリーナ等が有効に利活用されていなかった。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 11億4107万余円)
○労働省
・地方公共団体の非常勤職員に対する労働者災害補償保険の適用について
地方公共団体の現業事業場における非常勤職員については、労働者災害補償保険が適用されるのに、労働省においてその取扱いを周知徹底していなかったなどのため、59地方公共団体で保険の加入手続が執られておらず、保険料が徴収されていなかった。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 5億6865万余円)
○建設省
・開削工法による下水道管布設工事における埋戻工費の積算について
補助事業で行う下水道整備事業の実施に当たり、下水道管布設後の溝の埋戻しに使用される機械の性能が向上するなどして、管の周辺部の埋戻し土砂の投入を機械により経済的に施工することが可能となっているのに、適切な積算を行えるような措置が講じられていなかったなどのため、179工事の埋戻工費の積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 8420万円)
補助事業で行う道路整備事業における道路用地の取得に当たり、158事業主体において、建設省の通知に定められている補償金の支払要件の確認が徹底されていなかったり、権利関係の状況の把握が十分でなく必要な手続が遅滞していたりなどしたため、所有権移転登記が未了のまま補償金の支払を完了していて、事務処理が適切を欠いていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
背景金額 | 34億9037万余円 |
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平成7年度末で所有権の移転登記が未了となっていた土地の補償金に係る国庫補助金相当額 |
○自治省
国会議員の選挙等の委託事務において、投票所入場券を郵送するに当たって、あらかじめ受取人の住所等の郵便番号ごとに区分し、同時に大量に差し出しており、郵便料金の割引を受けることができたのに、自治省において割引制度の活用について指導が十分でなかったなどのため、110市区町に対する委託費が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 4770万円)
○日本道路公団
トンネル工事において、近年、トンネル掘進機の性能が向上し、これにより掘削することで、余掘りや掘削面の凹凸が少なくなり、掘削面にコンクリートを吹き付けた後に敷設する防水シートのロス率が小さくなっているのに、この実態が積算に反映されていなかったため、49工事で覆工防水工費の積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 9800万円)
・道路建設工事におけるプレストレストコンクリート桁の鉄筋の加工組立費の積算について
道路建設工事において、橋りょうの工事現場で製作するプレストレストコンクリート桁の鉄筋の加工組立作業が、工事現場の製作作業場に設置された門型クレーンの軌道内で、同クレーンを使用して経済的に行われているのに、この実態が積算に反映されていなかったため、73工事で鉄筋の加工組立費の積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 7000万円)
○首都高速道路公団
高速道路の路面清掃費の積算に当たり、一般運転手が運転できる大型自動車に該当するスイーパの運転手を特殊運転手として積算していたり、複数のスイーパ等で収集した塵芥を作業基地でまとめるなどして処分場に運搬している実態を積算に反映させていなかったりしたため、12契約の路面清掃費の積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 5400万円)
○阪神高速道路公団
高速道路の路面清掃費の積算に当たり、一般運転手が運転できる大型自動車に該当するスイーパの運転手を特殊運転手として積算していたり、ランプ部の散水はスイーパに搭載されている水タンクの水で足りるのに別途散水車を見込んだりなどしていたため、16契約の路面清掃費の積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 4800万円)
○住宅・都市整備公団
・エレベーター設備工事における自動通報システムの設計について
エレベーター設備工事における自動通報システムの設計に当たり、自動通報装置の仕様や運用実態からみて、1台の自動通報装置に複数のエレベーターを接続しても特に支障がないのに、経済性を配慮した設計基準が整備されていなかったなどのため、82工事で装置費が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 6200万円)
宅地等の造成工事において、将来、別途工事で更に切土する予定の法面のうち、種子吹付け等の保護工を施工しない切土法面の整形については、保護工の下地処理を要しないことから、切土工に使用する機械により施工すれば足りるのに、経済的な整形についての配慮が十分でなかったなどのため、人力等により施工していて、30工事で工事費が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 6570万円)
○電源開発株式会社
・火力発電所の定期点検工事等における一般管理費の積算について
火力発電所において、発電設備の定期点検工事と機器の補修等の付帯工事を一体の工事として同一業者に請け負わせ施行していることから、両工事の工事原価の合計額に対応した一般管理費率を適用すべきであったのに、積算の基準にその算定方法が定められていなかったなどのため、6発電所で一般管理費の積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 2100万円)
○国際交流基金
海外の研究・教育機関への図書、教材等の寄贈事業において、図書等の送付準備が早い時期に完了していることから、船便により送付することとしても、従来どおりの時期に到着することが十分可能な状況であったのに、経済的な送付方法の検討が十分でなかったなどのため、航空便で送付していて不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 3260万円)
○日本電信電話株式会社
交換機の監視試験装置の設計に当たり、交換機等が最大ユニット数まで収容されていない既設の装置を活用することができるのに、本社において経済的な設計についての指導が十分でなかったなどのため、交換機等の新設に伴い新たに装置を設置していて、5支社で装置の購入経費が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 1億5250万円)
機械棟相互間の中継系光ケーブルを接続する光配線盤の設計に当たり、光配線盤に装着する部品である光コネクタは、ケーブルの心線を交換機等に接続する際に装着すれば足りるのに、経済的な設計についての本社の指導が十分でなかったなどのため、11支社で光コネクタの購入費が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 8230万円)
・電話番号案内業務委託契約における社会保険料等の事業主負担額の積算について
電話番号案内業務委託契約における社会保険料等の事業主負担額の積算に当たり、積算基準が明確になっていなかったなどのため、想定した勤務時間より短時間の勤務であるなど雇用保険等の加入要件に該当しない短時間労働者についても事業主負担額を算出するなどしていて、6支社で積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 7320万円)
○西日本旅客鉄道株式会社
高架橋等の耐震補強工事における鋼板取付費の積算に当たり、試験施工を行い、ハンドリングマシーンと高所作業車等を併用する工法を積算要領に採用していたが、実際の施工は、賃料や損料が低額なトラッククレーン等を使用して行われていて、積算要領が施工の実態に適合しておらず、16工事の鋼板取付費の積算額が過大になっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 1億9350万円)
○九州旅客鉄道株式会社
・旅客車用品リネンサプライ作業の業務委託契約における作業単価の積算について
旅客車用品リネンサプライ作業の業務委託契約における作業単価の積算に当たり、特急列車は近年新型車両や改造車両が増加し、これら車両は座席にひじカバーが付いていなかったり、座席数が既存車両に比べて少なくなっていたりしていて、整備作業時分が短縮されているのに、この実態が積算に反映されていなかったため、委託費が割高となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 2880万円)
○エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社
ディジタル移動加入者交換機の音声処理装置に搭載され基地局との接続に使用されるインタフェース・カード(IFカード)の搭載設計に当たり、接続する基地局の数を考慮しなかったなどのため、1基地局としか接続していない装置にもIFカードが2枚搭載されている箇所があり、IFカードの購入費が不経済となっていた。これについて指摘したところ改善の処置が執られた。
(指摘金額 8110万円)
「特に掲記を要すると認めた事項」として計2件掲記した。
林野庁では、国有林野を、国土の保全や水資源のかん養等の公益的機能の発揮、林産物の供給等を目的として管理経営している。この国有林野事業の経理は、国有林野事業特別会計により一般会計と区分して経理されているが、昭和50年代に入り収支が悪化し、度重なる改善計画にもかかわらず、状況は好転せず厳しい財務状況となっている。本院は、過去2度の決算検査報告に、国有林野事業特別会計の損益が悪化している事態等を掲記し問題を提起してきたところであるが、こうした事態を踏まえて今回、経常事業部門を中心として調査を実施した。調査したところ、収入については、木材価格の低迷、伐採量の減少等により林産物収入が減少している。一方、支出については、要員規模の適正化が図られているが、要員の高齢化等により給与経費等の減少割合は小さくなっており、また、公益的機能の発揮のため森林保全等に要する投資も多額になっている。このため、借入金が増加し、その償還及び支払利子も増加の一途をたどっている。このように、国有林野事業は困難な事情を抱えており、このまま推移すると国有林野事業の財政は更に厳しさを増し、現行の経営改善計画で定めた収支均衡等の目標を達成できなくなるおそれがある。ついては、国土の保全等を第一とする公益林に係る経費が明確に把握できるような方途を講じ、その財源のあり方を総合的に検討すること、水源かん養機能の発揮や自然保護等の立場からの伐採制限について広く国民の理解・支援等を得るよう努めることなどにより、事態の改善が図られることが望まれる。
背景金額 | 1兆5075億9275万余円 |
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平成7年度末の特別会計の累積欠損金 |
日本国有鉄道清算事業団は、旧日本国有鉄道の長期債務等の償還、同事業団に帰属した土地、株式等の資産の処分等を行っている。そして、同事業団では、土地信託方式、建物提案方式等の多様な土地処分方法を導入するなどして、土地処分の促進を図ってきている。しかし、実質的な処分終了の目標年次である平成9年度を目前に控え、土地等の資産の処分が計画どおり進展していないことから、債務の償還は進んでいない。このような状況を踏まえ、保有土地のうち重要な資産とされている土地の現状、今後の処分見込み等を調査した。調査したところ、関係地方公共団体、地元住民等の協力が十分得られないことから土地区画整理事業等による面的整備や土地を更地化する基盤整備事業が遅延していたり、購入を希望する地方公共団体において財政事情等から予算措置を講じられなかったり、不動産市況の悪化等により土地需要が低迷したりなどしているため、多くの土地が未処分のままとなっていた。そして、土地の早期処分が図れないまま推移すると、長期債務等から発生する金利等により長期債務等残高が累増し、償還財源不足となる額は相当多額になることが見込まれる。ついては、同事業団において、関係地方公共団体等と折衝を重ね、土地の面的整備の促進を図ったり、地方公共団体が購入を希望する土地の売却あるいは別途の土地処分方法の検討を行ったりなどの施策を講じ、適切な土地処分の促進を図ることが緊要である。
背景金額 | 3兆円 |
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平成7年度末の保有土地の時価推定額 |